アウディ A8はアウディの最高級車で、同社のフラッグシップモデルでもあります。
2017年にA8は最新型にフルモデルチェンジを行い、2017年の東京モーターショーにて日本でも発表されましたので、今回は新型アウディ A8の特徴や魅力をご紹介しましょう。
アウディ A8は最新のフラッグシップセダン
アウディはメルセデス・ベンツ、BMWとならんでドイツ御三家などと呼ばれる高級車メーカーですが、A8はそのラインナップのなかでのフラッグシップカーです。
ライバルは以下のようなそうそうたる面子が揃っています。
- メルセデス・ベンツSクラス
- BMW 7シリーズ
- レクサスLS500
※LSの詳細は以下の記事をご参照ください。
レクサスLSの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!現行A8は2010年に日本に導入され、高級車ながらもパワフルな走行性能で人気があります。
新型A8はまだ日本への導入日程は決まっていないのですが、それには後述するような理由があります。
日本導入が待ち遠しい車です。
新型A8にはノーマルタイプとロングサイズのA8Lの2種類があり、A8Lのほうがよりラグジュアリーなモデルの位置付けです。
この2モデルの現状わかっている主要スペックをご紹介したあとで、A8の特徴をご説明していきましょう。
項目 | A8 | A8L |
乗車定員 | 5名 | 4名 |
エンジン | ※全グレードに マイルドハイブリッド標準装備 3.0 TDI:3.0リッター V6ディーゼルターボ 3.0 TFSI:3.0リッター V6ガソリンターボ 4.0 TDI:4.0リッター V8ディーゼルターボ 4.0 TFSI:4.0リッター V8ガソリンターボ S8:6.0リッター W12 ツインターボエンジン | |
最高出力 | 3.0 TDI:290ps 3.0 TFSI:345ps 4.0 TDI:441ps 4.0 TFSI:466ps S8:608ps | |
変速機 | 8速オートマチックトランスミッション | |
全長 | 5,172mm | 5,302mm |
全幅 | 1,945mm | |
全高 | 1,473mm | 1,485mm |
ホイールベース | 2,998mm | 3,128mm |
※W12、V6、V8、ディーゼルターボ、ツインターボ、の詳細は以下の記事をご参照ください。
W12エンジンの特徴!どんな音?搭載車を外車の車種からそれぞれ紹介!V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!V8エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介ツインターボエンジンとは?仕組みは?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!アウディ A8の最新の魅力
アウディ A8は高級車として必要なものをすべて備えた車で、かつ走行性能にこだわるアウディの手でスポーツサルーンとしての一面も覗かせます。
しかし今回の新型車にはそれ以上の魅力ある特徴が増えており、アウディ史上だけでなく自動車の歴史に名を残す可能性が非常に高い車なのです。
そんなA8の魅力と特徴をご説明していきましょう。
A8最大の特徴「レベル3自動運転」
この新型A8の最大最高の特徴が、世界初となる完全自動運転機能「アウディAIトラフィックジャムパイロット」の搭載です。
世界中で騒がれている車の完全自動運転は、これまで実験室や制限された道路での実用化しかできておらず、これまで市販車への搭載はされていません。
自動運転には1~5までのレベルがあり、これまでは限定的に自動運転の可能なレベル2までのシステムしか搭載されてきませんでした。
自動運転レベル | 定義 | 主な搭載車 |
レベル1 運転支援 | 加速・操舵・制動のいずれか単一をシステムが支援的に行う状態。 自動ブレーキなどが該当する。 | 自動ブレーキ等の衝突安全装備搭載車 |
レベル2 部分自動運転 | システムがドライビング環境を観測しながら、加速・操舵・制動のうち同時に複数の操作をシステムが行う状態。 ドライバーは常時運転を監視、操作する必要がある。(ハンドルから手を離せない) | 車線キープ、自動追尾、ステアリングアシストなどの搭載車の一例 日産セレナ プロパイロットシステム テスラタイプSなど オートパイロットシステム |
レベル3 条件付自動運転 | 限定的な環境下若しくは交通状況のみ、システムが加速・操舵・制動を行い、システムが要請したときはドライバーが対応しなければならない状態。 ハンドルから手を離すことは可能だが、緊急時や特殊な状況ではドライバーの操作が必要。 | AUDI A8(世界初) |
レベル4 高度自動運転 | 加速・操舵・制動といった操作を全てシステムが行い、その条件が続く限りドライバーが全く関与しない状態。 ある特定の状況下のみドライバーの運転が必要 | 一般車には非搭載 鉱山専用の特殊車両のみ |
レベル5 完全自動運転 | 無人運転。考え得る全ての状況下及び、極限環境での運転をシステムに任せる状態。 | なし |
A8に搭載されている自動運転システムは量産車世界初の完全自動運転システムで、普通の交通状況であれば手をハンドルから離した状態での自動運転が可能です。
このレベルの自動運転は実験車レベルなら実用化されていますが、これまで公道で自信をもって使用可能な技術はアウディが初なのです。
よく自動運転というとテスラのオートパイロットが話題になりますが、このシステムでもドライバーの運転が必要なレベル2止まりのもので、アウディのほうが自動運転では一歩先をいったことになります。
アウディのシステムでは次のような状況下で手放しの完全自動運転ができますが、その状況から逸脱した場合にはドライバーの操作が必要です。
- 中央分離帯のある高速道路を走行している
- 比較的混雑している
- 60km/h以下で走行している
簡単に言えば、広い道幅の高速道路で渋滞にはまったときに使える自動運転システムということですね。
もしシステム使用中でも、ドライバーの目が閉じたりすればシステムは停止しますし、その際の警告を無視していると車は完全停止まで自動でブレーキをかけ続けます。
あくまで限定的な状況のみとはいえ、私たち一般のドライバーが完全に手放しで自動運転を扱える時代がついに来たのです。
この自動運転システムはA8前者に搭載される見込みで、販売する地域の法規制が問題になります。
法規制がクリアできた地域から順次発売になる予定ですが、後述しますが日本はまだクリアできていません。
最新の軽量アルミニウムボディ
A8は伝統的に軽量なアルミモノコックボディを採用しており、それは新型A8にも進化した形で使われています。
アルミモノコックボディは主にスポーツカーなど軽量、高剛性の必要な車種に使われる技術です。
しかしアウディでは例え高級セダンであっても走行性能にはこだわりがあり、よりパフォーマンスを発揮できるアルミモノコックを昔から採用しているのです。(アウディの特徴の詳細は以下の記事をご参照ください。)
アウディの決定的な特徴7つ!良さ・魅力はこれだ!アルミモノコックといってもアルミ合金だけを使うのではなく、鋼板、マグネシウム合金、炭素繊維などの複合素材を適宜使い、軽量化と車体剛性の確保を両立させます。
実は先代より50kgほど重量が増しているのですが、これは車体サイズの拡大とさらなる剛性確保を行ったためで、車の完成度はさらに高まっているといえるでしょう。
環境性能に特化したハイブリッドラインナップ
A8には5種類の幅広いエンジンラインナップがありますが、アウディは環境性能にも重点をおいており、そのすべてにマイルドハイブリッドシステムが組み合わされます。
マイルドハイブリッドはトヨタ プリウスのようなフルハイブリッドと違い、主にエンジンのアシストに特化したシステムです。
マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!スターターオルタネーターをハイブリッドのモーターとしても活用し、走行条件によっては最大40秒間はエンジンを停止したゼロエミッションカーとなります。
フルハイブリッド車に比べて燃費に及ぼす効果は限定的ですが、コストが大幅にかからず一定の燃費改善効果が期待できる技術です。
新世代のアウディデザイン
アウディはコンパクトカーから高級車に至るまでシンプルながらもスポーティーなデザインを売りにしており、それは新型A8にも新世代のアウディデザインとして反映されています。
A8のエクステリアデザインは、細長でシャープなヘッドライトと六角形のシングルフレームグリルが際立つ顔つきになっています。
高級車といっても重たいイメージはなく、むしろ軽快で躍動感を感じる面もあります。
それはサイドのラインにも現れていて、車の前から後ろまでまっすぐ一本のラインが繋がる様は美しいです。
大きな車なのに背が低くスポーティな印象を与えるのは、アウディのデザインの巧みさでしょう。
リアデザインはどこかアメリカンスポーツカーのような潔さがあり、コンビランプから左右に繋がるオレンジのシンプルなラインが際立ちます。
ノーマルボディのA8がスポーティにまとまっているのに対し、ロングボディのA8Lでは全長が130mm延びていますがデザインに破綻はありません。
スラッと延びたサイドラインが延長されるので、より優雅さが増すように思えます。
なおアウディのデザインについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像】アウディのかっこいい車種ベスト10!デザインが最高なものを紹介!高級さと最新テクノロジーのインテリア
A8のインテリアには高級車には欠かせない上質なデザインはもちろんのこと、さらに最新のタッチパネルディスプレイが採用された先進性も感じるものとなっています。
A8のインテリアにはベンツにも負けない上質な本皮シートが装着されており、質感は素晴らしいものです。
またウッドパネルにもプラスチックではない本物の木材が使用されており、素材からして妥協はありません。
そんな高級車ならではの装備があるかと思いきや、ダッシュボード回りは先進性の固まりであり、もっとも目を引くのがセンターコンソールに設置された上下2段のタッチスクリーンです。
このスクリーンでナビやオーディオはもとより、エアコンなどもタッチパネルで操作します。
しかし難しいメニュー画面をめくる必要はなく、アナログに近い操作感のインターフェースとなっているのがさすがアウディです。
それ以外のボタン類も車内から極力なくすように設計されており、エアコンの吹き出し口すら使わないときには隠れるのです。
この徹底したデザインにより、洗練された未来感のようなものをインテリアから感じることができます。
自動運転と相まって、車の未来を一歩先に進んだような車です。
もしアウディ車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!A8Lは圧倒的なラグジュアリー性
東京モーターショー2017ではノーマルのA8とともにロングボディのA8Lが展示してあり、比べてみてもA8Lのラグジュアリー性は素晴らしいものがあります。
まずそもそもA8Lは乗車定員が違い、ノーマルが後席のセンターにも座れる3人掛けに対して、A8Lは2人掛けになっています。
センターにはアームレストとさまざまな装備のコントロールパネルが鎮座します。
また全長が130mm、全高が12mm拡大された恩恵は大きく、後席の足元空間は素晴らしい広さを誇っています。
さらに助手席側の後席はさらなる快適機能をもっており、助手席を前に倒しそこのフットレストに足をのせることで、しっかりと足を伸ばせるほどの空間ができ上がります。
そこにはなんとヒーター機能やマッサージ機能までついており、至れり尽くせりの高級装備です。
ここまで来ると自分で運転するのは考えられず完全なショーファードリブンカーですが、一度でいいからこの後席でくつろぎながら旅をしてみたいものですね。
アウディ A8の欠点
A8は世界最高クラスのパフォーマンスを備えた車ですが、多少欠点がないわけではありません。
これは主に自動運転に関係することで、最新技術に法律が追い付いていない一例でもあります。
自動運転には日本の法整備が未整備
A8の最大の魅力であるレベル3自動運転ですが、現在の日本の法規ではこれに関する条文が整っておらず、現状では日本で自動運転は使えません。
アウディはA8の生産について法整備の整った地域から段階的に進めていくとの方針を発表していますが、現在の日本の法律では手放しの自動運転は認められておらず、また事故などの際の責任についても明確になっていません。
国のロードマップでは2020年までにレベル3までの自動運転についての法整備を行う予定であり、それまで日本で自動運転を味わえるのが遅くなりそうです。
A8自体の日本導入は2018年といわれていますが、その場合自動運転機能はオミットされるのか、それとものちほど使えるようにシステムだけは搭載されるのか、注目が集まっています。
自動運転中の事故は誰のせい?
もうひとつ自動運転に関係する欠点としては、自動運転中の事故はいったい誰が責任を負うのか?ということです。
レベル2までの自動運転であればドライバーはハンドルを握っていつでも運転できる状態ですので、自動運転で問題があればすぐに対処が可能です。
もし運転が原因で事故が起きたとしても、責任はあくまでドライバーにあり自動運転は関係ありません。(システムエラー、設計の欠陥などは別ですが)
しかし完全自動運転となると、いくらA8の自動運転が高速道路の渋滞中のみであるとはいえ、事故が起きる可能性は常にあります。
一応アウディとしては車が原因の自動運転中の事故についてはメーカーが責任を追う考えはあるようですが、運転状態と事故の状況、また保険の関係などで複雑なことになりそうです。
A8は欧州ではすでに発売されていますが、自動運転機能については2018年に実装する予定であり、本国の欧州でも調整が進んでいるようです。
新たな車の未来を切り開く技術ですので、ぜひうまくいってほしいものです。
なおアウディについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
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