ベンツ・BMWのイメージが強いドイツブランドですが、最近ますます注目が集まているのはアウディです。
やや格が低い印象がありますが、つくりはとてもしっかりしていますし、なにより日本の過酷な雪道にも、十分対応できるメーカーなんですよ。
というわけで今回は、ドイツ御三家でお馴染みのアウディについて、メーカーとして「どれくらい雪道性能が高いのか?」について解説していきたいと思います。
Twitterの投稿や、車種ごとの性能、そして他メーカーとの比較なども調べ上げたので、ぜひ最後までご覧になってくださいね。
アウディの雪道走行性能
具体的な解説の前に、アウディに対する世間のイメージを見てみたいと思います。いくつか気になる投稿を見つけたので、参考までにご覧ください。
詳しい理屈は知らないが
なんやら雪道に強いとかで北海道にいるとほんとAudiが多い— 偽教授 (@Fake_professor) 2018年10月16日
まず北海道でアウディを見かける機会が多いとのこと。これについては私自身も、北海道に住んでいたときに感じたことがあります。
外車が走っていると自然と目に留まりますが、本州と北海道で見比べると、北海道でのアウディ率は明らかに多いんですよ。
FFとFRの比較だけど、雪道ではFFの方がスタックしにくいんだって。AudiのFFモデル(前輪駆動)は雪道でも安定走行だって。そう言えば、北海道で走っている外車はAudiが多いらしい。まぁ、クワトロに越した事はないけど。AudiはFFで、BMWはFRに拘ってるイメージ。4WDだと、AudiはクワトロでBMWはXドライブ
— hiro♪ (@hirokiess) 2018年2月12日
ドイツ御三家のなかでも、FR志向のベンツ・BMWに対し、アウディはFFベースのモデルが多いことが特徴です。FRとFFでは、エンジンレイアウトの関係から、FFのほうがはるかに雪道では使えますよ。
のちほど解説しますが、アウディはとくに重量バランスに優れているので、FFでもけっこう走れるんです。4WDにこしたことはありませんが、FFでも雪に対応できることが、アウディが北海道で多くみられる要因なのかもしれません。
なんでA6にしたの?ってよく聞かれるけど、、、荷物沢山載るし、雪道最強だから。それに尽きる。笑
春休みの2ヶ月間は、ほぼずっと長野にいますよ〜⛷(長野周辺のAudi乗りと繋がりたい) pic.twitter.com/6AL2NpLbRT
— けん (@K3n_A6) 2018年9月26日
こちらは、雪国のアウディオーナーさんの投稿です。
アウディA6のワゴンタイプなら、雪道も走れるうえに荷物も積めるので、長野でも非常に重宝すると思います。おまけにスタイルもかっこいいので、乗っていて気分がいいですよね。
アウディの雪道走行性能の理由
それでは、アウディの雪道性能について解説をしていきたいと思います。雪道で重要なのは「走行中スリップしないこと」ですね。
ブレーキ性能は車種によって多少バラつきがあるものの、アウディは総じて4WD性能が高めです。この理由について順を追って説明しましょう。
4WDシステム「Quattro」の安定性
まず、アウディの4WDシステムですが、これは「Quattro」と呼ばれるシステムが採用されています。日本では「クワトロ」とカタカナ表記することが一般的なため、以下クワトロとしましょう。
このクワトロは、別名「AWD(All Wheel Drive)」とも呼ばれ、日本語では常時全輪駆動というニュアンスがあります。日本でいえば、スバルのシステムもこのように呼称されますね。
昨今、4WD車に採用されるシステムは、センターデフ(前後車軸をつなぐパーツ)の役割として、電子制御ビスカスカップリングを用いた方式が一般的です。これは基本的には2WD駆動で、空転による回転差を感知したときのみ、もう一方の車軸も駆動させるという仕組みとなっています。
つまり理論的には、何も起きなければ100:0の割合で前後トルクを分配することになるので、2WDと本格的なフルタイム4WDとの中間に位置するようなイメージなのです。頼りない気がしますが、最近は4WD技術が進んでいるので、これでも十分優れた性能を発揮しますよ。
しかし、クワトロはAWDという名から察するように、どんな状況でも前後輪が駆動する仕組みになっているのです。これが「雪道に強い」とされるポイントの一つといえますね。
縦置きエンジンによる優れた重量バランス
クワトロの優位性としてもう一つ挙げられるのが、優れた重量バランスです。重量バランスとは、つまり4輪に加わる荷重のバランスのことを指し、安定したグリップを引き出すのに重要なファクターとなります。
アウディは、A1やA3、TTなどのモデルを除けば、そのほとんどがエンジンを縦置きにレイアウトしているんです。通常、FFベースの自動車はエンジンを横置きにするのが一般的ですからね。(縦置きと横置きの違いの詳細は以下の記事をご参照ください。)
エンジンの縦置きと横置きの違い6つ!メリット・デメリットを解説!縦置きレイアウトの最大のメリットは、横方向への重量バランスが均等になりやすいことです。ようするに、左右の重量バランスが整うというわけ。
よって4輪が均等にグリップするので、タイヤのポテンシャルを最大限に活用することが可能になります。結果、抜群の安定感を得るんですね。
ちなみに、常時前輪駆動ということですが、縦置きレイアウト(センターデフ式4WD)の場合は前40:後60、横置きレイアウト(ハルデックス式)の場合は前95:後5の割合でトルクを分配しているといいます。
国産車でいえば、スバルが似たような仕組みになっており、水平対向エンジンを縦置きにして重量バランスを整えていますね。
もしアウディ車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!アウディの車種ごとの雪道走行性能
続いては、アウディのおすすめモデルについて具体的に見ていきたいと思います。雪道に強いモデルばかりですが、今回はとくに人気なモデルを選んでみました。
Q7
項目 | 45TFSI クワトロ | 55TFSI クワトロ |
種類 | 直列4気筒DOHCターボ | V型6気筒DOHC Sチャージャー |
排気量 | 1,984cc | 2,994cc |
最高出力 | 252PS/5,000-6,000rpm | 333PS/5,500-6,500rpm |
最大トルク | 37.7kgf・m/1,600-4,500rpm | 44.9kgf・m/2,900-5,300rpm |
車重 | 2,000kg | 2,100kg |
全長×全幅×全高 | 5,070×1,970×1,735mm | 5,070×1,970×1,705mm |
最低地上高 | 210mm | 210mm |
駆動方式 | フルタイム4WD | フルタイム4WD |
※直列4気筒、V型6気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!アウディの最強SUVといえば、フルサイズモデルの「Q7」でしょう。大柄ではありますが、洗練されたルックスがとてもクールな一台です。もちろん、駆動方式はすべてクワトロのみなので、非常にバランスに優れています。
大柄なわりに排気量は2.0~3.0Lと、あまり大きくありませんが、トルク性能はピカイチですよ。2.0Lターボモデルなら37.7kgf・m、3.0L Sチャージャーモデルなら44.9kgf・mという強大なトルクを発揮します。それも低速域から使えるので、雪道ではかなり心強いですね。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!スーパーチャージャーとは?仕組み/構造は?音が最高のメリット?!フルサイズなので、重量は2tを超えるほどの重さですが、コーナリングやブレーキング時に丁寧に運転すれば、さほど問題はないでしょう。特性を考えると、街乗りよりもレジャーや豪雪地帯での使用が適していますね。
そして極めつけは、210mmの最低地上高です。車体下のクリアランスは、SUVの最大のメリットともいえ、20cmもの高さが確保されているので轍(わだち)や氷塊も難なくスルーできるでしょう。
燃費性能含め総合的に考えると、場面は考え物ではありますが、単に雪道を走らせるなら、かなり強力なモデルといえますね。
S3
項目 | スポーツバック |
種類 | 直列4気筒DOHC16バルブ ICターボ |
排気量 | 1,984cc |
最高出力 | 290PS/5,400-6,500rpm |
最大トルク | 38.8kgf・m/1,850-5,300rpm |
車重 | 1,520kg |
全長×全幅×全高 | 4,335×1,785×1,440mm |
最低地上高 | 120mm |
駆動方式 | フルタイム4WD |
※ICターボの詳細は以下の記事をご参照ください。
インタークーラーターボとは?仕組み/構造は?ターボチャージャーとの違いまで解説!ハッチバックモデルも人気のアウディですが、比較的新しいモデルの「S3」は、スポーティな一面が楽しい一台です。ラインナップは2.0LターボのAWDのみです。
小柄なモデルですが、強力なタービンから発せられるエンジン性能は、最高290PS、最大38.8kgf・mという実力。スポーツカーに引けを取らないスペックをもつハッチバックモデルなのです。これだけのパワーがあったら、雪道でも安心ですね。
車重も標準的あので、運動性能はかなり高いといえるでしょう。最低地上高が120mmと低いため、道を選ぶ必要はありますが、街中程度なら十分使えるモデルですよ。
A6 セダン
項目 | 1.8 TFSI | 3.0 TFSI クワトロ |
種類 | 直列4気筒DOHC16バルブ ターボ | 水冷V型6気筒DOHC24バルブ Sチャージャー |
排気量 | 1,798cc | 2,994cc |
最高出力 | 190PS/4,200-6,200rpm | 333PS/5,500-6,500rpm |
最大トルク | 32.6kgf・m/1,400-4,100rpm | 44.9kgf・m/2,900-5,300rpm |
車重 | 1,690kg | 1,840kg |
全長×全幅×全高 | 4,945×1,875×1,465mm | 4,945×1,875×1,465mm |
最低地上高 | 150mm | 150mm |
駆動方式 | FF | フルタイム4WD |
※水冷エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!最後に紹介するのは、アウディを語るうえで欠かせないセダンモデル。A4とも迷いましたが、今回紹介するのはミドルクラスセダンの「A6」です。ミドルとはいえ、1.8Lモデルなら634万円~、3.0Lモデルなら897万円~という、れっきとした上級セダンですよ。
さて、駆動方式はもちろんFFとAWDが用意されております。見ていただいてわかるように、トルクが非常に大きく、なおかつ低速から吹き上がるスポーティな味付けになっていますね。雪道でもしっかり走ってくれそうです。
車重はプレミアムセダンとして申し分ない重量があり、少しブレーキングには注意がいるでしょう。ただし、最低地上高が150mmと比較的高く、セダンとしては路面から受けるストレスは少ないモデルなのです。
したがって、総合的にみるとかなり雪道に強いセダンといえますね。クワトロを選択すれば、このクラスのセダンとしては圧倒的な雪道性能を発揮すると思いますよ。
アウディと他のメーカーの雪道走行性能を比較
アウディが雪道に強いのはわかりましたが、他社と比較すると実際どうなんでしょうか?ドイツ御三家ブランドのメルセデスベンツ、BMW、そして雪道に定評のあるスバルと比べてみたいと思います。
メルセデスベンツ
重厚な車づくりで知られるベンツですが、雪道での性能についてはアウディのほうが一枚上手といえますね。
ベンツのモデルはFRベースが主流ですよね。雪道においては、エンジン側に駆動のあるFFのほうが、荷重が乗るため有利とされています。そのため、FFベースの多いアウディのほうが雪に対するアドバンテージが大きいのです。
4WDに関して、ベンツの「4MATIC」はアウディのクワトロの仕組みに非常に似ており、FRベースではあるものの、非常に優れたシステムとされています。ですが、「エンジン縦置き×FFベース」の優位性によって、やはりアウディのほうが雪に強いといえるでしょう。
なおベンツの雪道性能については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ベンツは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!BMW
ベンツとは少し異なり、よりシャープでスポーティなキャラクターが人気のBMW。しかしながら、こちらも基本的にはFRがベースとなっているため、ベンツと同様、雪道ではアウディのほうが適応力が高いといえますね。
BMWの4WDシステムは「XDrive」というもので、ベンツ、アウディとは少し異なり、センターデフを用いないアクティブ・オンデマンド方式というものです。これは国産車でいうとマツダのような仕組みのシステムですね。
AWDではなく、電子制御カップリングを採用したスタンバイ式4WDである点が、ベンツやアウディと異なります。つまり、基本的にはFR走行をして、空転を感知したら前輪にもトルクを分配する仕組みなのです。
エンジン性能も相まって、雪道でもきっちり走れるシステムではあるのですが、アウディと比較すると、やや劣るのは否めませんね。
なおBMWの雪道性能については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
BMWは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スバル
最後に比較するのは、わらが日本のスバルです。国内では言わずと知れた「4WDメーカー」ですが、アウディと比較するとどうでしょうか?
まず、スバルの4WD方式ですが、シンメトリカルAWDというアウディ同様バランスに優れたシステムを使用しています。水平対向エンジンを縦置きに配し、左右対称にレイアウトされてるので、アウディとはかなりいい勝負。しかし、アウディと違う点はトルク分配にあります。
水平対向エンジン/ボクサーエンジンのメリット5つとデメリット5つ!音がいい?!さきほど解説したととおり、アウディのクワトロは前後のトルク配分を40:60という割合が基本的です。いっぽう、スバル車で多く採用されるAWDシステム「ACT-4」は、トルク配分を60:40、つまり前輪の比率が高めに設定されているのです。
エンジンの荷重をより効率よくグリップに使えることから、スバルのほうが優秀な4WDシステムを搭載していると考えられますね。他の項目で比較すると勝負はわかりませんが、単に雪道性能だけを見るなら、スバルのほうが上手といえるでしょう。
なおスバルについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
スバルが雪道に強い理由3つ!雪道走行性能が最強の車種はこれだ!アウディの雪道走行性能はスバルよりは劣るが優秀
というわけで、アウディが雪道に強い理由についての解説は以上になります。スバルと比較するとやや劣りますが、それでも十分優れた雪道性能を持っているんですよね。
個人的には、本格的な雪道を走るならQ7などのSUVモデル、ちょっとスポーティに楽しみたいならS3、優雅にクルージングを楽しむならA6がおすすめですね。他にもラインナップがあるので、よかったらチェックしてみてください。
なおアウディについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウディの決定的な特徴7つ!良さ・魅力はこれだ!アウディが高い3つの理由!価格が高額な車種ランキングとともに解説!