セレナというと、ミディアムサイズのミニバンで使い勝手がいい印象がありますよね。
その一方で、FFの印象が強いせいか、悪路や雪に弱いイメージが浸透しており、走行性能への信頼感が低いように思えます。
実際、走行性能はどんなものなんでしょうか?
というわけで今回は、日産セレナの雪道走行について、公式諸元などを参考にしながら解説していきたいと思います。
ライバル車やTwitterの口コミも参考にしてみたので、ぜひご覧ください。
セレナの雪道走行性能
結論としては「気を付けて丁寧に運転すれば、雪道でも走れるモデル」といえますね。あまりハードな雪道では警戒が必要ですが、丁寧な運転を心がければ、日常程度の雪道なら走れるということです。
具体的な解説については後に回すとして、まずは世間の評価を見ていきましょう。セレナに対する感想をTwitterからいくつかピックアップしてみました。
おいおい、日産セレナe- powerのテレビCM、雪道走ってたぞ。もう北海道とか冬に向けた商売がスタートしてるんか。
— 越谷のスカルプ・ケア (@ieyasukoshigaya) 2018年9月9日
こちらは、新型セレナ e-POWERのテレビCMへの感想ですね。北海道などの雪国では早い段階で雪道のCMが放映されますが、セレナやエクストレイルはとくに雪道を意識した内容に仕上がっていますね。

つまり、メーカーとしても雪道性能を推していきたいということなのでしょう。それだけ雪への対応力をウリにしているということですから。
ただし注意が必要なのは、CMで流れる走行シーンはかなり飛ばしているので、真似してあのスピードで走るのは止めましょう…。
セレナ4WD雪道ちゃんと走りますやん🎵
— ぶあど (@babobabububu) 2018年1月28日
このように、4WDのセレナなら雪道もバッチリです。もちろん油断はいけませんが、本場のオーナーさんが性能を評価しているのですから、ある程度は信頼してよさそうですね。
毎年スキー行ってるから割と雪道は走るけど、セレナでスタックしたのは一度だけだし何故かそれ東京だし意味わからんよね
— むぎ (@nunocy) 2017年9月1日
こちらのオーナーさんも、毎年雪道で乗っているようですね。その中でスタック(雪にハマること)経験はただの一度だけというのですから、問題はないのでしょう。
なおセレナの口コミ・評判については以下の記事でも詳しくまとめているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

セレナの雪道走行性能の理由
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。そこで今回は、公称性能を参考にして「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目について解説したいと思います。
まずは、セレナの諸元をご覧ください。
項目 | 2.0L ハイブリッド | 1.2L e-POWER | 2.0L ガソリン |
種類 | 直列4気筒DOHC+モーター | 水冷直列3気筒DOHC+モーター | 直列4気筒DOHC |
排気量 | 1,997cc | 1,198cc | 1,997cc |
最高出力 | エンジン:150PS/6,000rpm モーター:2.6PS | エンジン:84PS/6,000rpm モーター:136PS | 150PS/6,000rpm |
最大トルク | エンジン:20.4kgf・m/4,400rpm モーター:4.9kgf・m | エンジン:10.5kgf・m/3,200-5,200rpm モーター:32.6kgf・m | 20.4kgf・m/4,400rpm |
車重 | 1,740-1,770kg | 1,730-1,760kg | 1,630-1,700kg |
全長×全幅×全高 | 4,770×1,740×1,865mm | 4,770×1,740×1,865mm | 4,770×1,740×1,865mm |
最低地上高 | 140mm/160mm | 140mm | 140mm |
駆動方式 | FF/4WD | FF | FF |
※直列4気筒、直列3気筒、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。


雪道における走行性能
路面がツルツルな日は、信号で発進できず、立ち往生してしまうことが多々あります。
交差点はアイスバーンになりやすいため、とくにスリップしやすいポイントですからね。他にも登坂や駐車場など、走りにくい場所は日常のいたる所に潜んでいます。
セレナは安心して走れるのでしょうか? 雪道走行には、こんなものが求められます。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。セレナの4WDシステムは、電子制御によって前後のトルク配分をコントロールします。最先端のシステムではありませんが、雪道では十分に役立ちます。
次に見るのは「最低地上高」です。一般的には150mm以上が、雪道でも楽に走れる目安だといわれていますね。セレナはFFモデルが140mm、4WDモデルが160mmという地上高なので、4WDを選択すれば問題ありません。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められますね。モーターによって低速域からトルクを発揮できるので、雪の上でもバッチリです。
ただし、スタックしたとき、モーターが駆動しないケースがあるので、雪から抜け出すのに骨が折れるかもしれません。念のため、「牽引ロープ」「スコップ」「スタックラダー」などを準備しておけば完璧です。
というわけで、セレナは雪道でも走れるモデルといえますね。FFモデルは少し心配ですが、4WDモデルなら安心して走ることができるでしょう。
雪道におけるコーナリング性能
雪道では、ドライな路面以上にコーナリング性能が重要です。路肩に突っ込んでいる事故現場を、たびたび目にしますよね。こうはなりたくありません…。
コーナーリング性能には、このような条件が求められます。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。
このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。コンパクトカーと大型SUVとでは、重量がぜんぜん違いますよね?
しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。
「重心の高さ」もポイントで、コーナーにおいては低いほど有利です。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが効かず、横転しやすくなりますからね。背が高くて足が弱いスペース系の軽自動車は、峠のコーナーは要注意ですよ。
セレナはというと、同クラスのミニバンのなかでも重めなモデルなので、コーナーでの挙動は少し苦手としています。車高も高いので、スピードの出し過ぎには注意しましょう。
雪道におけるブレーキ性能
最後に分析するのは、「ブレーキ性能」です。雪道性能において、最重要ポイントといえるでしょう。なにせ、スリップによる事故がほとんどですからね。
ブレーキシステムの制動力や、タイヤの性能も重要ではありますが、他にもこんなものが関連しています。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
イメージとしては重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。車格が異なるケースでは一概にいえませんが、少なくとも、似たようなモデルなら「軽量性=ブレーキ性能」と考えて間違いないでしょう。
さきほど触れたように、セレナは比較的重い車です。安全性能も完備していますが、丁寧なブレーキを心がけたいところですね。
これから車の購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。このやり方を知らないと最大60万円以上も損します。
詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。
セレナの雪道走行性能を他の車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較するとどうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはホンダ「ステップワゴン SPADA」、トヨタ「ヴォクシー」、三菱「デリカ D:5」の3台です。
比較しやすいように価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみにセレナは、ガソリンモデルが244万円~、ハイブリッドモデルが250~357万円、e-POWERが381万円~に設定されています。
ホンダ ステップワゴン SPADA
まずはじめに比較するのは、ホンダ「ステップワゴン SPADA」です。セレナとは非常に似たキャラクターですし、価格帯も228~367万円と近いので、どちらを購入するか迷う方も多いはず。
ハイブリッドはFFのみのラインナップなので、今回は4WDが用意された1.5Lターボモデルを参考にしてみましょう。さっそく諸元から性能を読み取ってみたいと思います。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 150PS/5,500rpm |
最大トルク | 20.7kgf・m/1,600-5,000rpm |
車重 | 1,680-1,750kg |
全長×全幅×全高 | 4,760×16951,855mm |
最低地上高 | 150/155mm |
駆動方式 | FF/4WD |
※ターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。

諸元表を見比べてみると、エンジン性能と最低地上高で優れている分、セレナのほうが走りやすそうな印象を受けます。
ステップワゴンのほうが重量は軽いですが、4WDモデルを選んだら重量に大きな差はありませんので、雪道ではセレナの走行性能のほうが上手といえるでしょう。
なおステップワゴンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。


トヨタ ヴォクシー
ミニバンのバリエーションが豊富なトヨタですが、その中でも「ヴォクシー」は根強い人気を誇る一台です。「ノア」「エスクァイア」とは姉妹車という関係ですが、今回はアクティブなイメージのヴォクシーと雪道性能を比較してみましょう。
ちなみに、ヴォクシーの販売価格は237~327万円ということで、セレナとは近い価格帯です。まさに、セレナにとって最大のライバルといえますね。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHC |
排気量 | 1,986cc |
最高出力 | 152PS/6,100rpm |
最大トルク | 19.7kgf・m/3,800rpm |
車重 | 1,570kg |
全長×全幅×全高 | 4,695×1,695×1,825mm |
最低地上高 | 160mm |
駆動方式 | FF/4WD |
諸元によると、最低地上高と軽量性はヴォクシー、エンジン性能ならセレナが優れてるようです。トルク性能が優れている分、発進性能ならセレナに軍配が上がることでしょう。
いっぽう、ヴォクシーは200kg近く軽量で車高も高いので、ブレーキ性能や走破性能に関してはセレナより強いです。
そのポイントに注目するかで判断が変わってきますが、トータル的な性能はヴォクシーのほうがやや上手といったところでしょうか。
なおヴォクシーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。


三菱 デリカ D:5
無骨なイメージのある三菱からは、SUV並みの性能を持つミニバン「デリカD:5」を比較対象にしてみたいと思います。
ディーゼルモデルの販売価格は240~373万円ということで、セレナとほぼ同じくらいの価格帯です。キャラクターはずいぶんと異なりますが、ぜひ比較しておきたいところ。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHCディーゼルターボ |
排気量 | 2,267cc |
最高出力 | 148PS/3,500rpm |
最大トルク | 36.7kgf・m/1,500-2,750rpm |
車重 | 1,880-1,910kg |
全長×全幅×全高 | 4,790×1,795×1,870mm |
最低地上高 | 210mm |
駆動方式 | 4WD |
※ディーゼルターボの詳細は以下の記事をご参照ください。

「本当にミニバンか?」思うほどのスペックですね。とくに20cmを超える最低地上高と、36kgf・fもの大トルクはSUVのそれです。
車重こそ重いですが、その分ボディ剛性や足回りも強く、重さを補って余りあるほどの性能をもっています。
よって、雪道ではデリカのほうが圧倒的に強いといえるでしょう。コンセプトが完全にアウトドア向けで、その性能はもはや本格SUVに匹敵するレベルですから、仕方ないといえば仕方ないです。
なおデリカD:5については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。


セレナは雪道走行する車としては買いか?
というわけで、の雪道走行についての解説は以上になります。デリカなみの走行はできませんが、同クラスのなかでもピカイチの走行性能をもっているようですね。
重いのでブレーキには要注意ですが、冬に乗る車として、購入候補としてはアリな一台といえるでしょう。
なおセレナについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

