マツダRX-8といえば、ロータリーエンジンを積んだ数少ないスポーツカーということで有名。
生産終了から6年以上経ちますが、今でも根強い人気を誇るモデルですよね。
ロータリーサウンドと称される独特のエンジン音は、多くのスポーツカーファンを虜にしてきたことでしょう。
いっぽうFRスポーツであることから、雪道など悪路の走行性能についてはあまり信頼されていないように思えます。
というわけで今回は、雪道に着目して、RX-8の走行性能について解説していきたいと思います。
ライバル車やTwitterの口コミも参考にしてみたので、ぜひご覧ください。
RX-8の雪道走行性能
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RX-8の雪道性能ですが、端的にいうと「雪に強くはないが、想像以上に走れるモデル」といった感じ。
車高が低いスポーツカーで、しかもFRなわけですから、もちろん雪には強くありません。しかし、多くの方がイメージするよりは、ずっと雪道を走れると思いますよ。
具体的な解説については後に回すとして、まずは世間の評価を見ていきましょう。いくつかTwitterかたピックアップしてみたので、感想をご覧ください。
RX-8のDSCを試す機会があったんですがとても雪道のFR車とは思えないパフォーマンスでうれしかった思い出
— くりす〄WHEREを書き忘れたDELETE文 (@x86_64) 2018年4月14日
DSCとはDynamic Stability Controlの略で、簡単にいえば「横滑り防止機能」のことです。トヨタなら「VSC」、ホンダなら「VSA」という具合に、各社で呼び名が異なりますね。
実はマツダのDSCは評判が高く、ONにすれば雪の上でもしっかりグリップしてくれます。初めてRX-8に乗った人は、それこそ「FR車とは思えない!」という感想を持つそうですよ。
RX-8は雪道ではDSC切らないと前に進まないよ☝
— わか (@wk480) 2018年1月26日
横滑り防止機能とは、挙動の不安定さを感知したときブレーキやエンジン出力を自動統合制御するシステムのこと。つまり、リアタイヤのスリップを検知して出力を調整するというわけですね。
なので、DSCをOFFにしている場合は、年式の古いFR車のように挙動が乱れやすくなるのです。
ドリフト走行など、よりFRらしい走りを楽しめるようになる一方で、悪路への性能低下は間違いありません。雪道では、発進するのも一苦労になることでしょう。
RX-8の雪道走行性能の理由
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。そこで今回は、公称性能を参考にして「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目について解説したいと思います。
まずは、RX-8の諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷式直列2ローター |
排気量 | 1,308cc |
最高出力 | 215PS/7,450rpm |
最大トルク | 22.0kgf・m/5,500rpm |
車重 | 1,340-1,360kg |
全長×全幅×全高 | 4,470×1,770×1,340mm |
最低地上高 | 125mm |
駆動方式 | FR |
※水冷、ロータリー、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!ロータリーエンジンとは?仕組みのメリット5つとデメリット6つを解説!雪道における走行性能
はじめに見るポイントは「雪の上を進むことができるのか?」ということ。雪が降ると積雪や凍結で発進が困難になります。
本格的な降雪地帯だと、シーズン中は轍(わだち)や氷塊などの障害物が路面に散らばるため、ただ走るだけでも一苦労なんですよね。
さて、雪道でも安全に走るためにはどんな能力が求められるのでしょうか?チェックポイントとして、以下4点を見ていきたいと思います。
- 駆動方式
- 車重の重さ
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、ご存知のようにFRは雪道に弱い駆動方式です。その理由は、駆動輪にトラクション(荷重)が乗らないため。ほとんどの市販車はフロントにエンジンを配しており、同じ2WDでもエンジン側に駆動のあるFFのほうが、断然トラクションが乗るんですよね。
ゆえに、FR車にとっては「リアにどれだけトラクションがかかるか?」でグリップ力が決まってきます。単純にいえば、車重が重いほうがスリップしにくいということ。その点RX-8は、FR車としてはそこそこ重量があるので、雪道でも走れる部類に入ります。
加えてDSCがいい仕事をするので、FRというイメージよりはずっと走りやすいと思いますよ。トルクもそれなりにありますし、上り坂だって走れます。
いっぽう、車体下のクリアランスには注意が必要です。スポーツモデル全般にいえることですが、最低地上高が12cmちょっとしかないので、路面状況には細心の注意を払う必要があります。とくに轍や氷塊には要注意。
まとめると、RX-8は雪道でも走ることはできますが、あまり無茶はできないモデルといえるでしょう。一応走れますが、常に緊張を強いられるので、SUVなどに比べるとストレスがかかることは間違いありません。
雪道におけるコーナリング性能
次に見るべきポイントは「コーナリング性能」です。本来なら、大雪の日はコーナーの多い道を避けるのがベストですが、そうも言ってられませんよね?
むしろウィンタースポーツや旅行といった目的で、冬だからこそ峠道を走る人も多いでしょう。
雪道で乗るなら、コーナーでも安定して走れる車を選びたいところ。コーナリング性能を評価するには、この2項目をチェックしてください。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが路面を強くグリップできるからです。
ところが、雪が積もったコーナーでは重ければ有利とはいえないんですよね。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォース(遠心力)がグリップを超えやすいのです。そのため、軽量であるほど安定して旋回できるようになります。
加えて重心位置もポイントで、コーナーにおいては重心が低いほど有利となります。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが効かず、横転しやすくなりますからね。
RX-8はライバル車と比較すると若干重いですが、自動車全般で見ると比較的軽い部類に入ります。加えて重心もかなり低めなので、コーナーにおいては抜群の安定感を誇るでしょう。
ただし、DSCを切るとFR本来のピーキーな挙動を見せるので、雪のコーナーではまともに走れませんよ。
雪道におけるブレーキ性能
最後にチェックするのは「ブレーキ性能」です。スリップしやすい雪道では、いうまでもなく重要な性能といえるでしょう。雪のシーズンに入ると必然的に事故が増えますが、その原因の多くはブレーキ時のスリップですからね。
車両に搭載されるブレーキシステムや、タイヤの性能も重要ではありますが、「ボディの軽量性」もブレーキ性能に欠かせない要素といえます。
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。重い車のほうが止まりにくい気がしますが、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も効きやすくなるのです。つまり、ドライな路面なら車重では制動距離を測れないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話で、雪が積もった道路では適用されません。雪によって摩擦力が極端に低下するため、車重による慣性力が、タイヤのグリップを容易に超えてしまうのです。
というわけで、雪道ではボディが軽いほうが止まりやすいのです。車格が異なるケースでは一概にいえませんが、似たようなモデルなら「軽量性=ブレーキ性能」と考えてほぼ間違いありません。
さきほどもいいましたが、RX-8は軽量な部類に入ります。そのため、ブレーキ性能に関しては問題ないでしょう。ペダルワークにさえ気を付けていれば、雪の上でもしっかり止まってくれると重いますよ。
もしRX-8を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!RX-8の雪道走行性能を他の車と比較
いくつか解説してきましたが、RX-8だけの性能を見てもいまいちピンときませんよね? そこで、ライバル車と比較して、もう少し客観的に分析してみたいと思います。
今回参考にするのは、同じくFR×クーペスタイルのホンダ「S2000」、日産「フェアレディZ」、トヨタ「86」の3台です。
趣旨とは若干異なりますが、販売価格も載せてみたので合わせてご覧ください。ちなみに、RX-8の販売当時の価格は263~325万円で、現在の中古相場は80~200万円といったところです。
ホンダ S2000
シャープなスタイルがかっこいいS2000。ホンダのFRスポーツといえば、名前が挙がるのはこのモデルでしょう。販売期間も1997~2009年ということで、RX-8と同じ時代を生きたモデルでもあります。
当時の販売価格は378~399万円でしたが、10年経つ今でも根強い人気を誇り、中古市場では200万円前後で取引されています。雪の上ではどちらが走れるのでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 2,156cc |
最高出力 | 242PS/7,800rpm |
最大トルク | 22.5kgf・m/6,500-7,500rpm |
車重 | 1,250-1,270kg |
全長×全幅×全高 | 4,135×1,750×1,285mm |
最低地上高 | 130mm |
駆動方式 | FR |
※直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!オープンスポーツということで、2.0L超えのモデルとしては軽量な部類に入るS2000。
軽量性とボディサイズを除いて、RX-8とは大きな差はないように思われます。しかし、雪道ではRX-8のほうが走りやすいという意見が多いんですよね。
S2000の特徴として挙げられるのは、エンジンの回転が鋭く、そして挙動制御がシビアということ。スポーツカーとしては楽しめますが、挙動を安定させたい雪道においては、運転の難易度を高めてしまいます。
また、ボディが軽いためブレーキで苦労することはありませんが、その分だけ発進が難所となるでしょう。
4WDやFFに比べて、駆動輪に荷重が乗りにくいFRは、ある程度重いほうがグリップするのです。つまり、重くてリアに荷重の乗りやすいRX-8のほうが、発進が容易ということ。したがって、雪道ではRX-8のほうが扱いやすい車といえます。
日産 フェアレディZ
日産屈指のスポーツカーであるフェアレディZは、日本車離れしたダイナミックなデザインが魅力的な一台ですね。
スポーツカー黄金期より継続して販売されている、数少ないクーペモデルでもあります。RX-8と同様、ドリフト車としても大人気。
現行モデルであるZ34型は、新車価格390~640万円、中古相場90~200万円となっています。さて、雪道性能についてはどちらが優れているのでしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | V型6気筒DOHC |
排気量 | 3,696cc |
最高出力 | 336PS/7,000rpm |
最大トルク | 37.2kgf・m/5,200rpm |
車重 | 1,590-1,710kg |
全長×全幅×全高 | 4,260×1,845×1,315mm |
最低地上高 | 120mm |
駆動方式 | FR |
※V型6気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!RX-8と比較すると、トルクが太くてボディが重く、そして重心が低いことがわかりますね。トルクが発揮できると有利に働くことが多いので、フェアレディZが一歩リード。
さきほど触れたとおり、ボディが重いほうが発進しやすいので、その点でもフェアレディZのほうが有利です。また、現在も販売されているモデルですから、横滑り防止をはじめ、あらゆる機能が進歩していることも大きなアドバンテージですね。
したがって、重量がある分ブレーキには注意が必要ですが、雪道ではフェアレディZのほうが優れているといえるでしょう。
なおフェアレディZについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フェアレディZの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?トヨタ 86
現代を代表するFRスポーツといえば、忘れてはいけないのがトヨタ86ですよね。
後輪駆動に加え、水平対向エンジンをフロントミッドシップに配置しており、非常にバランスに優れたモデルであります。スタイルとしても、RX-8と共通する部分が多いです。
若年層に向けていることから新車価格は262~496万円に設定され、スポーツカーとしては廉価なのも魅力のひとつ。中古市場でも人気があり、200万円超の価格で取引されることが多いようですね。雪道への対応力はどうでしょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC |
排気量 | 1,988cc |
最高出力 | 200PS/7,000rpm |
最大トルク | 20.9kgf・m/6,400-6,600rpm |
車重 | 1,240-1,270kg |
全長×全幅×全高 | 4,240×1,775×1,320mm |
最低地上高 | 130mm |
駆動方式 | FR |
※水平対向4気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!RX-8のほうがボディが長くて重いですが、その他には大きな違いは見られませんね。ですが、雪道では86のほうが乗りやすいという意見が多数を占めます。
86は低重心性・対称性に優れた水平対向エンジンをフロントミッドシップに配していることから、重量バランスが優れています。加えて、ボディはスバルが共同開発しているため、剛性が比較的高いため、安定性が極めて高いのです。
エンジン特性も素直なので扱いやすく、現行モデルであることから、先進装備も搭載しています。おそらく、FR車の中でもかなり雪に強い部類に入るでしょう。
なお86については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
トヨタ86(ハチロク)の試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!【画像/写真】トヨタ86の内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!RX-8は雪道走行する車としては買いか?
というわけで、RX-8の雪道走行についての解説は以上になります。
現行モデルのFRスポーツと比較すると見劣りしますが、この年式のFR車としては雪に対応しやすいモデルといえるでしょう。
冬でもFRのスポーツカーに乗りたいなら、選択肢としてはアリだと思いますよ。
なおスポーツカーの雪道性能については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ロードスターは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!日産GT-Rは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!