日産「マーチ」といえば、かつて日産を代表するコンパクトカーでした。
丸くて可愛らしいルックスから、女性から支持を得ていましたね。
私の周辺では、マーチに乗っている叔母が2人いますし、ご近所さんも何人か乗っているほどの人気ぶりです。
ですが、ここ数年はコンパクトカーの競争が激化し、影が薄くなったように思えますね…。
ところが最近、「2018年にフルモデルチェンジを迎え、3ナンバーになった新型マーチが登場する」と、噂になっているのをご存知ですか?
今回は、コンセプトを全面刷新して帰ってくると噂の新型マーチについて、「3ナンバー化」という観点から分析していきたいと思います。
マーチは3ナンバー化する?
まずは、「なぜフルモデルチェンジがささやかれているのか?」という点について解説しましょう。ポイントは、日産の欧州戦略にあります。
欧州では新型マーチが登場
現在、ルノー傘下にある日産は、欧州では「マイクラ」というネームでマーチを販売しています。(ルノーの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ルノーはどこの国の車?国産車との違いはこの3つだ!2016年にパリモーターショーで新型の「マイクラGen5」が発表され、のちの2017年にデビューしました。
この新型マイクラですが、Bセグメントにサイズアップしたことで話題になっているんです。先代モデルにあたる4代目マーチ(K13型)までは、欧州ではAセグメントという規格でした。
4代目マーチは、日本でも現在販売されているモデルのことですね。
ちなみにAセグメントとは、「全長3,750mm以下」かつ「排気量600~1,300cc」、Bセグメントは「全長3,750~4,200mm」かつ「排気量1,000~1,500cc」の乗用車を指します。
国産コンパクトカーではマーチをはじめ、トヨタ「パッソ」や軽自動車がAセグメント、トヨタ「ヴィッツ」、日産「ノート」、ホンダ「フィット」などがBセグメントです。
ヴィッツの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!フィットの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日本での販売は、現行の4代目モデルが8年を迎えます。マーチのこれまでのモデルチェンジは、8~10年の間隔で行われているので、時期的にはそろそろです。
欧州で新型が登場した今、日本でもモデルチェンジの期待が高まっているということ。
気になる新型マーチのボディサイズ
新型ということで、スペックが気になるところですが、これが今までのモデルと大違いなんです。ボディサイズについて、以下をご覧ください。
項目 | 新型マーチ | 先代マーチ | 寸法差 |
全長 | 3,999mm | 3,825mm | +174mm |
全幅 | 1,743mm | 1,665mm | +77mm |
全高 | 1,455mm | 1,515mm | -55mm |
ホイール ベース | 2,450mm | 2,525mm | +75mm |
パッと見て、大幅にサイズアップしていることがわかりますね。全長に至っては10cmも伸びているんです。これまではパッソと同程度のサイズでしたが、新型はトヨタ「オーリス」に近いイメージです。(オーリスの詳細は以下の記事をご参照ください。)
【画像】オーリスはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!日本では「全長4,700mm」「全幅1,700mm」「全高2,000mm」「排気量2,000cc」のいずれかを超えれば3ナンバーに分類されます。
車幅が1,743mmに増えた新型マイクラは、日本なら問答無用で3ナンバー車ですね。
日産からの公式発表は?
というわけで、日本での販売にも期待が高まるマーチ。ところが、このモデルが日本でも販売されるかは、まだ日産から公式発表がありません。
公式発表があるまでは、モデルチェンジ説を信用できないのが自動車業界ですからね。
一部では、「三菱『ミラージュ』をOEM供給し、新型マーチとして販売する」なんていう説も浮上しています…。
ところが、国内でのテスト走行が確認されているので、新型マイクラが次期マーチとして販売される説は濃厚です。
日本仕様としては、ノートが搭載する「HR12-DDR」型エンジンの採用が有力説です。ボディの構造はマイクラと共通で、スペックについてはこのように予想されます。
エンジン | 直列3気筒 1.2L エコスーパーチャージャー 「HR12-DDR」型 |
最高出力 | 98ps/5,600rpm |
最大トルク | 14.5kg・m/4,400rpm |
駆動方式 | FF/4WD |
トランス ミッション | エクストロニックCVT(無段変速機) |
燃費 | 27.0km/L |
価格 | 120~180万円 |
※直列3気筒エンジン、スーパーチャージャーの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!スーパーチャージャーとは?仕組み/構造は?音が最高のメリット?!もしマーチの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!マーチが3ナンバー化する理由
「なぜマーチが3ナンバー化したのか?」について分析してみました。順を追って解説したいと思います。
なお、内容が複雑になってしまうので、「新型マイクラ」を便宜的に「新型マーチ」と呼ぶことにします。
世界市場で戦える車にするため
これまでのマーチは、日産の「エントリークラスのコンパクトカー」という立ち位置でした。
というのも、日産は「キューブ」や「ノート」といったコンパクトカーもそろえており、差別化をしていたのです。(ノートの詳細は以下の記事をご参照ください。)
日産ノート(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!大胆な路線変更
冒頭でも触れたように、モダンで可愛いデザインと、鮮やかなカラーリングによって、女性が主なターゲットでした。
とくに、3代目のK12型は大ヒットしたモデルで、「おしゃれで可愛い車」というイメージを定着させることに成功。
しかし、4代目モデルは製造コストの削減のため、生産拠点をタイへ移行したことで、品質が激減する結果に。
発売当初はあっちこっちでトラブルが連発していました。マイナーチェンジ後は品質を改善するものの、日本では軽自動車やコンパクトカーの競争が激化し、挽回には至りませんでした。
そこで日産は、世界市場で戦えるように、マーチの路線変更を目指したのです。これが3ナンバー化への第一歩でした。
デザインを全面刷新
新型マーチのデザインは、ジュネーブモーターショー2015で公開された「Nissan SWAY Concept」がベースとなっています。
このコンセプトモデルをサイズダウンさせたものの、デザインはほとんど同じです。
先代モデルと比較すると、「全長+174mm」「全幅+77mm」「全高-55mm」と変更されています。かなり「ロー&ワイド」なフォルムになっていることが、数字からも読み取れますよね。
刷新されたデザインの大きな特徴は、具体的にはこんな感じです。
- 日産のトレンドデザイン「Vモーショングリル」を採用
- リアドアハンドルがピラー一体型に変更
- ヘッドライトをシャープな「つり目デザイン」に変更
- テールランプを日産のトレンドデザイン「ブーメラン型」に変更
- 欧州のトレンドデザイン「フローディングルーフ」を採用
日産のトレンドを盛り込んだ、シャープでスタイリッシュなデザインになりました。
ここ最近、日産のデザインは「感情的な幾何学」というのがテーマで、「エモーショナルジオメトリー」と通称されます。
同じく欧州ウケを狙っているマツダは、有機的な流線形が特徴の「魂動デザイン」がテーマ。対して日産は無機質で直線的なデザインを取り入れています。(マツダのデザインの詳細は以下の記事をご参照ください。)
【画像】マツダ車はかっこいいのか?デザインについて徹底分析!これまでは女性的なデザインでしたが、どちらかというと男性的なデザインに変わりましたね。
欧州ウケも考えて、トレンドの「フローディングルーフ」も採用。これはCピラー(リアの窓枠)を黒くすることで、リアガラスを広く見せる手法です。
屋根が浮いているように見えるので、かなりスタイリッシュな印象になり、現在多くの欧州車で採用されています。
3ナンバー化することで、世界でも戦えるデザインに一新したのです。
品質を向上させるため
3ナンバー化したことには、「品質の向上」という、もう一つの大きな理由があります。
先ほど解説したように、4代目マーチは品質の低下で、大きく評価を落としました。この挽回も兼ねて、性能を高めることを目指したのです。
製造拠点をヨーロッパへ移行
新型モデルになり、タイからヨーロッパへと製造拠点を移しました。理由は、ルノーと共同開発したプラットフォームを搭載しているからです。
このプラットフォームは「CMF-Bプラットフォーム」と呼ばれ、
- コックピット
- エンジン
- アンダーボディ
- 電子アーキテクチャ
の要素から構成されています。
「ルノー=日産コンプライアンス」の成果ですね。
これは、基本構造や電子部品をルノーと日産で共有する仕組みです。新型マーチはプラットフォームをはじめ、多くの部品をルノー「ルーテシア」と共有しています。(ルーテシアの信頼性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ルーテシアは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!さまざまな部分を共有するので、部品点数を抑えることができ、車両の軽量化に成功しました。
他にも
- 開発コストの削減
- 製造コストの削減
- 工期の短縮
といったメリットがあります。
ルノーと部品を共有するためには、3ナンバー化が不可欠ですからね。結果として、コストを抑えつつ、品質の高い車両を製造することが可能になったのです。
性能が大幅に向上
コストの大幅な削減は、装備の充実化にもいい影響を与えます。
質感が従来のモデルとは比にならないほど向上し、全長・全幅が拡大されたことでキャビンが広くなりました。洗練されたインテリアと、クラストップの室内空間を実現。
車体が軽くなったことで走行性能も向上。「ロー&ワイド」なボディで、安定感も増しています。
とくに、ホイールベースが75mm長くなったことで、直進安定性が大きく改善されました。
項目 | 新型マーチ | 4代目マーチ |
最高出力 | 98ps/5,600rpm | 79ps/6,000rpm |
最大トルク | 14.5kg・m/ 4,400rpm | 10.8kg・m/ 4,400rpm |
燃費 | 27.0km/L | 21.4km/L |
先代モデルと比べると、エンジン出力も大きく向上しています。新型マーチの数値は、あくまでも予想ですが、ほぼ間違いありません。
3ナンバーのマーチは十分アリの車
というわけで、3ナンバーのサイズに拡大された新型マーチですが、このスペックなら日本での販売にも期待が高まります。
従来のマーチのイメージで乗ると、だいぶギャップを感じると思いますが、あらかじめ知っておけば、かなりいい車ですよね。
女性というより男性向けな車ですが、価格も従来のモデルと大きく変わらないですし、選択としては十分アリだと思います。
ホンダ「フィット」、トヨタ「アクア」、マツダ「デミオ」などと、熱い戦いを繰り広げるかもしれませんね。
なおアクアについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アクアの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ アクアの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!