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ハイブリッド車のインバーターとは?役割と故障時の修理/交換についてまで全て解説!

ハイブリッド車は日本で特に人気のあるエコカーで、低燃費性能の高さが特徴です。

そんなハイブリッド車には「インバーター」と呼ばれる重要な部品があり、ハイブリッド車の制御や寿命などさまざまな部分に関わる部品です。

今回はそんなハイブリッド車のインバーターについてご説明します。

ハイブリッド車のインバーターとは

パワーコントロールユニット

ハイブリッド車はガソリンエンジンやディーゼルエンジンなどの内燃機関と、強力な電気モーターの2種類を動力源として持っている車種です。

その目的は車の燃費の大幅な改善にあり、エンジンの効率の悪さを電気モーターが補うことによって燃料消費量を削減します。

ハイブリッド車の詳しい説明については以下の記事でご説明していますが、ハイブリッド車のモーターは高い出力を持つ非常に強力なもので、重量のある車を走行させることができるほどの性能を持ちます。

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車を走らせるほどの性能のモーターにはインバーターは欠かすことの出来ない部品で、ハイブリッドシステムの中心ともいえます。

まずはハイブリッドシステムの仕組みと、そこでインバーターが果たしている役割をご説明しましょう。

ハイブリッドシステムの仕組み

ハイブリッドシステム

ハイブリッドシステムと一口にいっても実は様々な種類があり、コスト重視の車種などにはマイルドハイブリッドという簡易的なシステムが使われます。

ですが今回ご説明するインバーターは「ストロングハイブリッド」という燃費を重視した複雑なシステムで使われるもので、そのキーワードは交流モーターの採用です。

ストロングハイブリッドの特徴

ストロングハイブリッドは初代ハイブリッド車ともいえるトヨタ プリウスで採用されているシステムで、特に燃費の改善効果が高いことが特徴です。

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ストロングハイブリッドの全体のシステムは数百ボルトのシステム電圧を持つ交流電源で構成されており、通常の自動車の電源システムとは独立したシステムとなります。

一般的に直流モーターよりも交流モーターのほうが出力や効率が高く、燃費と走行性能の両立のために採用されています。

ハイブリッド車は燃費改善のためにはモーターでどれだけ長い時間走行できるかにかかっており、ストロングハイブリッドはこの点を重視したシステムになっています。

その分ストロングハイブリッドのほうがコストが高くなるのですが、マイルドハイブリッドとストロングハイブリッドの燃費の差はおおよそ10km/Lにもなっており、ハイブリッド車としての魅力はストロングハイブリッドのほうが高いです。

なおストロング、マイルドハイブリッドについては以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

ハイブリッドシステムストロングハイブリッドとは?搭載車種はソリオとスイフト?日産からも紹介!マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!

ストロングハイブリッドシステムの構成

ストロングハイブリッドのシステムはおおよそ3つの部品で構成されており、そのうちの1つがインバーターです。ストロングハイブリッドの部品構成は次の通りとなっています。

ハイブリッドシステム部品説明電源
電動モーター走行および発電に使われるモーター。交流
インバーター直流-交流(3相交流)の変換システムで、交流モーターの回転制御や充電時の変換を行う。直流電源のマイルドハイブリッドでは不要な部品。直流-交流
駆動用バッテリーハイブリッドシステム専用の大型バッテリー。リチウムイオン式やニッケル水素式の充電池。ただしバッテリー自体は直流バッテリーである。直流

インバーターの役割については後ほど詳しくご説明しますが、ハイブリッド車はこの3つの部品の組み合わせで動いています。

まず駆動用バッテリーは容量の大きな大型バッテリーとなっていますが、充電池なので利用するには充電が必要です。

ポイント

その充電を行っているのは走行用にも使われるモーターであったり、充電専用のモーターですが、その動力は主に「回生ブレーキ」と呼ばれるシステムによって車の走行エネルギーの無駄を電気エネルギーとして回収しています。

ここで回収した電気エネルギーは車の発進時や低速走行時にモーターの動力として使用され、その間は可能な限りエンジンを停止させることで燃料消費量を削減して、ハイブリッド車は燃費を改善しているのです。

さてインバーターの役割についてですが、この駆動用バッテリーと電動モーターの間を繋ぐためには欠かせない部品なのです。

なおハイブリッド車の仕組みについては以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

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インバーターの役割

インバーターは日本語では「逆変換回路」「逆変換装置」と呼ばれる部品なのですが、その役割は主に2つあり、「直流電流と交流電流の変換」と「電動モーターの制御」があります。

直流と交流の変換

まず1つ目の役割である直流電流と交流電流の変換ですが、インバーターという部品のメイン機能はこの点です。

前述でも少し触れましたが、ストロングハイブリッドシステムの他の2つの部品である駆動用バッテリーと電動モーターを繋ぐのがインバーターです。

駆動用バッテリーは直流電源のバッテリーなのですが、電動モーターの駆動のためには交流電源が必要なので、その間で直流から交流へと変換しているのがインバーターです。

また駆動用バッテリーの充電の際には逆の働きをしており、交流モーターで発電された交流電流をインバーターで直流電流に変換して駆動用バッテリーを充電する直流電流を作り出しています。

この変換を行っているのはインバーター内部にあるスイッチング回路という電子回路で、交流モーターを使用するために「三相交流」という特別な交流電源を作り出しています。

なおこの時に回路から独特の音が出るのですが、スイッチング回路での変換が何千〜何万ヘルツという高い周波数で行われるために発生する音も高周波となります。

この音は車内や車外からも聞くことが出来、「キュイーン」というハイブリッド車や電気自動車ならではの走行音を生み出しています。

交流モーターの回転制御

モーター

ハイブリッド車に使われる交流モーターは正式には「三相交流モーター」と呼ばれるものであり、その回転の制御にはインバーターが欠かせません。

三相とは位相の差がある3種類の交流電流のことで、3種類の電流を制御することで磁界を制御してモーターを回転させています。

三相交流モーターは別名ブラシレスモーターとも呼ばれ、直流モーターはブラシという物理的に接触する接点が必要なのに対し、三相交流モーターは完全に非接触で回転できるので、抵抗が少なく、ブラシの交換も不要というメリットがあります。

三相交流の回転は簡単に言えば交流電流の流れ方のみで制御されており、モーターの回転数を上げたり下げたりするためには交流電流自体を制御しなければなりません。

その制御をしているのがインバーターであり、直流電源から三相交流電源へと変換すると同時にその電流の強さなどを制御してモーターの回転数をコントロールしています。

つまりインバーター自体がモーターのコントロールを行うコンピューターのような役割を行っており、三相交流モーターを使う場合にはインバーターは欠かせません。

実際に車の速度をコントロールしているのは車自体のコンピューターですが、インバーターはそこからの指令を受けてモーターのコントロールを行っています。

インバーターとコンバーターの違い

ハイブリッドシステムは基本的に前述した3つの部品によって成り立っていますが、もう一つハイブリッド車にはコンバーターという部品も必要になります。似たような名前の部品ですが、その役割は少し違います。

コンバーターは正式名称を「DC-DCコンバーター」といい、DC(直流電流)の変換装置となります。DC-DCコンバーターの役割は直流電流の電圧変換で、駆動用バッテリーのDC200V程度のシステム電圧を、DC12Vまで降圧させています。

このDC12Vというのはハイブリッド車以外にも使われている自動車用バッテリーの電圧で、エンジンを始めとする自動車の全ての電装品で使われる直流電流になります。

ハイブリッド車は強力なモーターや電源を持っているとはいえ、ハイブリッドシステム以外のエンジンや電子機器などはすべて従来の車と変わっておらず、それらの作動のためにはDC12Vの電源がどうしても必要です。

ポイント

ハイブリッド車は充電は全てハイブリッドシステムで行うので、DC12Vを作り出すためにはDC-DC変換が必要となりコンバーターが必要です。

インバーターでも直流電流は作り出せるのですが、直流-交流変換と電圧変換を同時に行うのは非効率なため、インバーターとDC-DCコンバーターは別の部品として搭載されます。

トヨタ プリウスなどでは1つの部品の中にインバーターやコンバーターをまとめた「パワーコントロールユニット」という部品にしている場合もありますが、内部では完全に役割は別れています。

MEMO

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ハイブリッド車のインバーターの故障

インバーターはハイブリッドシステムの中核を成す非常に重要な部品なのですが、3つあるハイブリッドシステムの部品の中では比較的故障が起こりやすい部品です。

ただ故障が起こりやすいといってもかなりの期間使用したあとのことであり、走行距離で100,000km以上、年数で10年以上経過しなければ普通は故障しません。

インバーターが故障しやすい原因

ハイブリッドシステムの3部品の中でインバーターが比較的故障しやすいのは、インバーターにかかる負荷が非常に大きいことが原因です。

インバーターの中核であるスイッチング回路には常に200V近い電圧が流れているだけでなく、直流と交流の変換のために電子回路には常に負荷がかかっています。

さらにはスイッチング回路は作動時に非常に高い熱を発しており、熱による回路の経年劣化もインバーターが故障しやすくなる原因です。

インバーターはこの熱を冷却するために性能の高い水冷システムも備えているのですが、それでも負荷が高いことは間違いなく、長い期間使用していればその負荷は溜まっていくのです。

それに対して電動モーターはスイッチング回路などの複雑な回路はなく、比較的構造が単純なので故障は少ないです。

また駆動用バッテリーに関しては経年劣化によってその容量の低下などの問題はありますが、その状態でもある程度の年数は使用できるように設計されており完全な故障に至るまでには期間があります。

ですがインバーターの故障は車への影響は大きく、一度故障すると車が走行できなくなるほどの問題に発展します。

インバーター故障の症状

インバーターの故障する部分はほとんどがスイッチング回路などの電子回路系にありますが、車としてはインバーターの故障は車の自走不可という重大な状態となります。

ハイブリッド車のハイブリッドシステムは非常に厳重なフェールセーフ機構を備えており、エンジン以上に故障に対する判定が厳しくなっています。

ハイブリッドシステムがもし故障したまま走行を続けたりすると、高熱を発する電子回路などが発火する可能性もあるので、ハイブリッドシステムが故障したとシステムが判断した場合には車の走行を停止させます。

ハイブリッド車はエンジンでも走行できる車種ですが、こういった故障の場合にはエンジン走行もできなくなっており車の走行自体ができなくなります。

ハイブリッドシステムの故障はシステムが故障と判断すると運転席の警告灯やメッセージでドライバーに知らせるようになっており、部位はわからなくてもハイブリッドシステムに由来する故障ということはわかります。

ですが自走できないのでその場で症状が改善しない限りは動くことができず、車を安全なところに停車しておくしかありません。

なおハイブリッド車の故障については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

点検ハイブリッド車の故障率は高い?修理費用も高額?故障事例から故障リスクまで徹底解説!

ハイブリッド車のインバーターの交換・修理

さてインバーターが故障した状態では車は動かないので修理が必要となりますが、もし外出中に故障した場合には処置は大変です。

まずインバーターの修理にはディーラーに持ち込んでの修理が必要となりますが、持ち込むためには車を輸送できる別の手段が必要となります。

自動車を輸送できるトラックなどを業者から手配して輸送するか、もしくはディーラーに連絡が付けばそちらから輸送手段を提供してもらわないといけません。

注意

それには費用も時間もかかるので、普通の故障のときよりとても面倒です。そしてディーラーに持ち込んで修理を実施できたとして、今度は費用的な面で問題が起こります。

インバーターの故障部位は内部のどこかの部品になるのですが、修理はインバーター全体のASSY交換でしか実施しない場合が殆どで、150,000円近くする高額部品の全体を取り替えなくてはなりません。

これはインバーターという重要部品の保証をASSY単位でしか行っていないためで、もし内部部品の交換などをした場合は車の保証がなくなると考えたほうが良いです。

インバーターの交換修理は、走行距離100,000kmを超えるような長い距離を乗ったハイブリッド車には起こりがちな修理なのですが、その費用は輸送費用も考えると200,000円近くになることが多いです。

それだけの費用をかけて古い車を修理するという人は実際には少なく、インバーターの故障を基に車の乗り換えを選択する人がほとんどです。

乗り換えられた後のハイブリッド車は買い取りとなりますが、その後は修理されて中古車として販売される場合や、廃車となる場合などがあります。

なおハイブリッド車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

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