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ディーゼルエンジンの軽自動車がない4つの理由!なぜかわかりやすく解説!

現在国内の自動車市場ではにわかにクリーンディーゼルエンジン車が人気になっており、年々搭載車種が増えてきています。

ですが日本で最も普及しているカテゴリーである軽自動車にはディーゼルエンジン車はありません。

今回はそんな軽自動車とクリーンディーゼルエンジン車の関係についてご説明します。

軽自動車のエンジン事情

エンジン

軽自動車というカテゴリーの車は日本にしか存在せず、世界的にはあそこまで小型の車はほとんどありません。

軽自動車には厳密に規格が決められており、車のサイズやエンジンの排気量などが決まっているのですが、そこにディーゼルエンジンに対する規制はありません。

しかし実際に軽自動車用でディーゼルエンジンが採用された例はほぼありません。現在軽自動車に使われているエンジンは次のようなものです。

軽自動車のエンジン

軽自動車の規格には車の全長、全高、全幅などのサイズに対する規制と、エンジンの排気量に対する規制があります。

そもそも軽自動車の規格に多くの規制がある理由は日本独特のものであり、狭い道路事情を抱える国土にあった国民車を安価に供給することを目指しています。

自動車を製造している国には少なからず国民車構想はあるのですが、軽自動車ほどサイズが小型の大衆車というのはめずらしいです。

この「安価」というのが軽自動車の最大のキーワードであり、エンジンの排気量に規制があるのもサイズが拡大してコストが増加しがちの自動車開発に制限を入れることです。

ポイント

排気量規制は軽自動車規格が決まってから何度も変わっており、最初は360ccから始まり、550ccを経て現在は660ccになっています。

また軽自動車用エンジンの出力にも64馬力という上限がありますが、これは軽自動車の規制ではなく各自動車メーカーが自ら規制をしている自主規制になります。

そのため現在の軽自動車用エンジンは全て660ccの小型エンジンで、気筒数は4気筒もしくは3気筒ですが、いずれもガソリンエンジンです。

基本となる自然吸気エンジンは50馬力前後の出力が一般的ですが、そこにターボチャージャーを組み合わせた過給エンジンで自主規制上限となる64馬力を発生させています。

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軽自動車のエンジンは小型で燃費の良いエンジンであることも必要ですが、なにより低コストで供給できることが求められており、日本の軽自動車を開発製造しているメーカーには独自の技術が求められます。

軽自動車へのディーゼルエンジン搭載例

 

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さて軽自動車規格の車にディーゼルエンジンが搭載されたことは皆無ではなく、一例だけ昔の車にあります。

MEMO

それは現在農機メーカーとして名高いヤンマーが開発、販売した「ポニー KYT型360」という軽自動車のトラックです。

この車は60年前以上前の軽自動車というものが生まれた黎明期の1台で、農機メインだったヤンマーが乗用車開発に打って出るためのプロジェクトの一つでした。

ポニーという名前の通り、仔馬のように元気よく走るトラックとして開発されました。

ポニーには当時の排気量上限である360ccのV型2気筒ディーゼルエンジンが搭載されており、最高出力は現在では信じられませんが9馬力ほどしかありません。ですが車自体もいまよりかなり軽量なので、非力ながら軽快に走る車だったようです。

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ヤンマーの意欲作として生まれたポニーですが、ライバルメーカーのガソリンエンジンに対してスペックの上でなかなか対抗できず、わずか1,000台程度発売したところで販売終了となりました。

これが最初で最後となり、これ以降軽自動車にディーゼルエンジンが搭載された例はありませんが、ポニーのエンジンはヤンマーのトラクターに受け継がれました。

MEMO

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ディーゼルエンジンの軽自動車がない理由

軽自動車にディーゼルエンジンが無いことにはそれなりの理由があり、現在の規制の中ではディーゼルエンジンを採用するメリットがほぼないのです。

エンジンのコストが高い

ディーゼルエンジンはその構造上同クラスのガソリンエンジンよりコストが増大してしまう点があり、軽自動車向けの低コストエンジンには向かないのです。

まずディーゼルエンジンは内部で発生する燃料の燃焼エネルギーがガソリンエンジンより高い特徴があり、このことがディーゼルエンジンのメリットである高い効率と燃費の良さを生み出しています。

MEMO

しかし一方でその燃焼エネルギーに耐えるためにエンジンの本体系がガソリンエンジンより頑丈にしなくてはならず、そのことからディーゼルエンジンの本体系は高コストにならざるを得ません。

またディーゼルエンジンは排気ガスの中に含まれる有害物質の量が多く、その処理のために排気ガス処理装置である触媒の設置が欠かせません。

ガソリンエンジンにも触媒は必要ですがディーゼルエンジンに比べると数もその容量も少なく、それに対してディーゼルエンジンの触媒は現在では何種類も搭載する必要があります。

ですが触媒はその内部に多くの貴金属を使用する必要のある部品で、コスト増加に対する影響が非常に大きな部品です。

ほかにもディーゼルエンジンのエンジン部品はガソリンエンジンより頑丈なものが多く、どうしてもエンジン全体が高コストにならざるを得ません。

普通乗用車の例ではディーゼルエンジン車はガソリンエンジン車に比べると数十万円は高くなってしまいます。

そうなるとコストが最重要である軽自動車に対してはガソリンエンジンのほうが圧倒的に有利であり、ディーゼルエンジンは採用しにくいのです。

なおコスト面については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

車 お金ディーゼルエンジン車の価格/値段が高い5つの理由!コスパとしてはお得なのか解説!

エンジンスペックがガソリンエンジンに及ばない

ディーゼルエンジンのスペック上の特徴は高い低速トルクにありますが、一方で最高出力がガソリンエンジンより低くなってしまう傾向にあり、車の性能的な魅力が低くなってしまうのです。

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ディーゼルエンジンは前述した通り本体系の部品が頑丈で重たくなっており、低速トルクは得意なのですが、エンジン回転数を高くしたときの出力は出しにくいエンジン特性を持ちます。

そのためディーゼルエンジンでガソリンエンジン並の出力を出すためには排気量を大きくしなければならないのですが、排気量に制限のある軽自動車エンジンではディーゼルエンジンが圧倒的に不利です。

同じ排気量であればガソリンエンジンのほうがどうしても最高出力が高くなるので、カタログ上のスペックで比較したときにはディーゼルエンジン車は非力で魅力が減退してしまいます。

前述したヤンマー ポニーの例でもそうでしたが、排気量の上限がある軽自動車でディーゼルエンジンとガソリンエンジンの車があった場合、車のスペック上としてはガソリンエンジンのほうが人気が高くなってしまいディーゼルエンジン車は商品力で劣ってしまいます。

このことからポニー以降ディーゼルエンジンは軽自動車に採用されなくなっているのです。

振動が大きい

ディーゼルエンジンの燃焼エネルギーの高さはエンジン本体に大きな衝撃を与えますが、それがもととなりディーゼルエンジンは振動が大きくなってしまいます。

軽自動車を購入する層の多くは一般家庭の主婦層が多く、車に求めるものはスペックよりも運転のしやすさや乗り心地です。

ディーゼルエンジンの振動の高さは車の乗り心地を悪化させますが、それを対策しようとすると今度はコストが増加してしまうので、軽自動車に対してはディーゼルエンジンの振動は大きなデメリットです。

対策にもコストがかかるのであれば、もとより振動の少ないガソリンエンジンのほうが採用するメリットがあるため、ディーゼルエンジンの採用は難しくなります。

音がうるさい

エンジンの振動の大きさはそのまま騒音の大きさに直結するもので、ディーゼルエンジンを軽自動車に搭載すると、運転中にとてもうるさい車になってしまいます。

エンジン振動はエンジンマウントを介して車体に伝わり、それが様々な部品に音をださせる原因となります。

車室内にもそれが伝わり運転中に煩いと感じる車になってしまうのですが、前述したように軽自動車は一般家庭で使うためにできるだけ静かなことも求められます。

エンジンの騒音を減らすためには、部品の合成の確保や遮音材の追加、エンジンマウントの対策などいろいろな方策がありますが、どれも結構コストがかかるものなので、普通車から高級車になるほど対策ができるコストがかけられます。

ですが軽自動車はもっともコストがかけられない車種ですので、ディーゼルエンジンの搭載によってわざわざ騒音が大きくなるよりはガソリンエンジンの搭載のほうが、コストメリットがあるのです。

それでも軽自動車の騒音対策はそこまでコストはかけられないので、ガソリンエンジンであっても軽自動車の騒音レベルは高めです。

その状況ではディーゼルエンジンの採用は難しく、採用したとしても騒音の面で大きく魅力が下がってしまうでしょう。

なおディーゼルエンジンの音については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

Cクラス エンジン(クリーン)ディーゼルエンジンの音の特徴!カラカラ音の原因と低減対策まで全て解説!

軽自動車に近いディーゼルエンジン搭載車

現在国内には軽自動車のディーゼルエンジン車はありませんが、近い存在としていくつかの小型車があげられます。

マツダ デミオ

マツダ デミオ

国内でのクリーンディーゼルエンジン車はマツダがその牽引役となっており、多数のディーゼルエンジン車のラインナップを持っています。

そのマツダのラインナップで最も小型のディーゼルエンジンを持つのがコンパクトカーの「デミオ」で、国内で販売されている車の中ではもっとも軽自動車に近い車です。

スペックxD(ディーゼルターボ)15C(自然吸気ガソリン)13C(自然吸気ガソリン)
エンジン形式S5-DPTS(SKYACTIV-D)P5-VPS(SKYACTIV-G)P3-VPS(SKYACTIV-G)
エンジンスペック1,498cc 直列4気筒DOHC16バルブ ターボ+インタークーラー1,496cc 直列4気筒DOHC16バルブ1,298cc 直列4気筒DOHC16バルブ
最高出力105ps(77kW)/4,000rpm110ps(81kW)/6,000rpm92ps(68kW)/6,000rpm
最大トルク25.5kgf・m(250N・m)/1,500rpm~2,500rpm14.4kgf・m(141N・m)/4,000rpm12.3kgf・m(121N・m)/4,000rpm
燃費(JC08モード)26.4km/L(AT)
30.0km/L(MT)
19.0km/L(AT)24.6km/L(AT)
価格1,782,000円〜2,192,400円1,490,400円〜2,019,600円1,393,200円〜1,776,000円

※ディーゼルターボの詳細は以下の記事をご参照ください。

マツダ ディーゼルエンジンディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介

デミオのディーゼルエンジンは排気量1.5Lとなっており、コンパクトカー用のエンジンとしては少し大きなエンジンです。

しかしデミオにはほかにも1.3L、1.5Lのガソリンエンジンモデルもあり、これと比較することで軽自動車にディーゼルエンジンがない理由がわかります。

ポイント

1.5Lディーゼルエンジンは燃費の面では同クラスのガソリンエンジンより有利ですが、一方で最高出力の面では劣っています。

最大トルクはディーゼルエンジンのほうが高いのですが、これを軽自動車の場合で考えるとどうしても出力上限が決まっているのでトルクよりも出力が重視されるのです。

また燃費については1.5Lディーゼルエンジンの下位クラスと、1.3L自然吸気ガソリンエンジンが同クラスですので、スペックが低くても排気量を下げることで燃費が達成できてしまいます。

このようにディーゼルエンジンは比較的排気量の大きいエンジンで良好なスペックをもたせるエンジンですので、排気量制限のある軽自動車には使いづらいのです。

また価格面についても見ていただくと分かる通りディーゼルエンジンのほうが数十万円高くなっており、これもコスト重視の軽自動車では大きなデメリットです。

なおデミオについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

マツダ デミオデミオの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?デミオは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

スズキ セレリオ(海外専用)

スズキ セレリオ

もう一車種、軽自動車に近いディーゼル車にスズキ セレリオという車があるのですが、この車はインドでの専売車となっていて国内ではラインナップにありません。

ですがこの車には現在の世界最小となる800cc 直列2気筒ディーゼルエンジンを搭載しており、排気量的にもっとも軽自動車に近い車です。

セレリオは4ドアのハッチバックコンパクトカーで、インドはスズキ車が大きなシェアを持っている国なので同国での重要車種となります。

当初は1.0Lの直列3気筒ガソリンエンジンのみでしたが、2015年にディーゼルエンジンモデルが登場し、このエンジンはスズキがセレリオに新開発したエンジンとなっています。

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スペックディーゼルエンジンモデルガソリンエンジンモデル
エンジン形式E08A型K10B型(ベースモデル)
K10C型(デュアルジェットエンジン)
エンジンスペック0.8L ディーゼル 直2 DOHC 8バルブ ターボ1.0L 直3 DOHC 12バルブ
最高出力35kW(47.6ps)/3,500rpm50kW(68PS)/6,000rpm
最大トルク125 N·m(12.8 kg・m)/2,000rpm90Nm(9.2kg·m)/4,800rpm
燃費
※インドでの値
27.62km/L

セレリオは日本の規格的に言えば普通車に相当しますが、インドで言えば軽自動車とおなじエントリーモデルの車になります。

1.0Lガソリンエンジンのスペックは日本の軽自動車のターボ車と同クラスなので、軽自動車がいかに強力で効率の良いエンジンを積んでいるのかがわかります。

ポイント

新開発されたE08Aディーゼルエンジンは排気量こそ小さいものの最新のディーゼルエンジン技術を織り込んだものであり、分類としてはクリーンディーゼルエンジンのひとつです。

排気量が小さいので最高出力は低いですが、最大トルクは高く、ディーゼルエンジンの特徴がよく表れています。燃費もかなり良く、そのまま日本に導入しても燃費だけは軽自動車にひけを取らないでしょう。

ですがエンジンが直列2気筒という日本ではほとんど見られないもので、このエンジン型式では直列3気筒や4気筒に比べてエンジン振動が大きく、ガソリンエンジンでも問題になりますが、更に振動の大きなディーゼルエンジンでは圧倒的なデメリットになってしまいます。

2気筒にすることで燃費の良さやトルクの高さというメリットも生まれますが、2気筒ディーゼルという形式がほとんどみられないのは振動が大きな問題となるからです。

ただインド市場では日本以上にコストを下げなければなりませんので、小排気量で気筒数の少ないエンジンが求められます。

日本市場ではあまり受け入れられないエンジンなのですが、インドではまだ受け入れられるスペックとなっています。

なおディーゼルエンジンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

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