ハイブリッド車は非常に燃費が良いエコカーの一種類で、日本では特に人気の高い車種です。
そんなハイブリッド車にはバッテリーが搭載されており、その寿命はハイブリッド車に乗る上では重要な点です。
今回はそんなハイブリッド車のバッテリーの寿命についてご説明します。
ハイブリッド車のバッテリーとは
ハイブリッド車は既存のガソリン車に電気モーターを組み合わせた車で、燃費を従来の車より大幅に高められることが特徴です。
ハイブリッドカーとは?メリット6つとデメリット/問題点11つ特徴をわかりやすく解説!ハイブリッド車は電気モーターを積極的に活用することでエンジンをサポートして燃費を向上させるのですが、そのモーターを稼働させる電力は車の減速時などに発電を行い、それをバッテリーへと蓄電することで必要なときに利用できるようになっています。
しかし従来のガソリン車にもバッテリーは搭載されているのですが、ハイブリッド車の場合は特別な仕様になっています。
ハイブリッド車の駆動用バッテリー
ハイブリッド車にはハイブリッドシステム専用の「駆動用バッテリー」という部品が搭載されており、ハイブリッドシステムの中核部品のひとつです。
ハイブリッド車は電気モーターとエンジンを組み合わせて走行するのですが、電気モーターの走行に使う電力は全て駆動用バッテリーから供給されています。
駆動用バッテリーは数百ボルトのシステム電圧を持つ直流バッテリーで、容量も数kWと非常に大容量です。
ハイブリッド車の中心技術として「回生ブレーキ」というものがあり、これは車の減速時に減速エネルギーを電気モーターで回収、発電してバッテリーを充電しています。
ハイブリッド車のモーター用の走行エネルギーはすべて回生ブレーキによって発電されており、その大本はこれまでエンジンの走行エネルギーを無駄にしていたものを活用しています。
そしてそれをモーターの走行に使うことでエンジンを一部停止させ、燃料消費量を抑えて燃費を向上させるのがハイブリッド車です。
ハイブリッド車の燃費を向上させるためにはこの駆動用バッテリーが大きいほうが有利であり、車のトランクルームの容量を減らすほど大きな部品です。
ハイブリッド車は燃費が悪い?低燃費車を比較してランキング形式で紹介!従来のガソリン車にはなかった部品であり、ハイブリッド車特有のものといえます。従来のガソリン車にもバッテリーという部品はありますが、ハイブリッド車の駆動用バッテリーとは性能も用途も全く違うものとなっています。
バッテリーの違い
従来のガソリン車に搭載されるバッテリーは通称「補機バッテリー」と呼ばれています。補機バッテリーの役割は車に使用される全ての電装品への給電で、12Vの鉛バッテリーが使われます。
発電はエンジンの回転を利用して稼動するオルタネーターで行われており、エンジンが動いている間は常に充電できます。
ここで発電した電気は一度補機バッテリーへ充電され、その後エンジンスターターやスパークプラグを始めとするエンジンの電装品や、その他の駆動部品や車の内装などで使われる電装品で使われます。
補機バッテリーはハイブリッドシステムの駆動用バッテリーとは電圧もその容量も桁違いに少ないのですが、従来の車であればその性能で十分です。
それだけハイブリッド車は多くの電力を必要とする車種ということであり、従来の車とはバッテリーに対する必要性が大きく違うのです。
ですがハイブリッド車でも補機バッテリー自体は搭載されており、ハイブリッドシステム以外のエンジンや従来の電装品などへの給電用として使われています。
ハイブリッド車の場合は、補機バッテリーの充電は駆動用バッテリーから電圧を落として供給するようになっており、補機バッテリーは駆動用バッテリーの補助的な役割です。
なお補機バッテリーについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車の補機バッテリーの寿命!交換時期/方法と充電についてまで全て解説!2つのバッテリーのコスト差
ハイブリッド車には駆動用バッテリーと補機バッテリーの2種類が搭載されますが、性能やサイズに加えて部品コストにも大きな差があります。
バッテリーは基本的に電圧が高かったり容量の大きなものほど部品コストが高くなる傾向にあり、この2種類のバッテリーはその点でおおきな差があります。
補機バッテリーはDC12Vの電圧で、その容量はおおよそ300〜500Whとなっています。なお補機バッテリーの場合は容量がAh(アンペアワット)で表記されているので、30Ah〜50Ahぐらいが商品に記載されている一般的な数値となり、それに電圧12Vを掛けた値がWhとなります。
一方でハイブリッド車専用の駆動用バッテリーは数百Vもの大電圧を扱うバッテリーですが、その容量は車によって大きく違います。
マイルドハイブリッドと言われる簡易的なハイブリッド車で電圧が低く2kWh前後が一般的ですが、もっと燃費を向上させたストロングハイブリッドでは5kWh〜6kWhとなります。
マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!ストロングハイブリッドとは?搭載車種はソリオとスイフト?日産からも紹介!バッテリー容量としては補機バッテリーの数倍から10倍程度となり、非常に大きな容量であることがわかります。
そのため駆動用バッテリーは部品コストが数万円〜十万円以上となることもあり、自動車の部品の中ではとても高額な部品となります。
一方で補機バッテリーの部品コストは数千円から1万円程度と比較的安価です。ハイブリッド車は補機バッテリーが大型のものとなるのでガソリン車などに比べれば高額で、ハイブリッド車は特にバッテリーにかかるコストがかなり重要です。
なお駆動用バッテリーの容量は大きければ大きいほど車の燃費を向上させることができますが、その分車両価格も上昇してしまうので燃費と価格のバランスによってバッテリー容量が決められます。
もしハイブリッド車を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ハイブリッド車のバッテリーの寿命
バッテリーはスマホやパソコンで使っているとわかりますが、長年使っているとその容量や性能はどんどん劣化します。
そしてそのうち寿命が訪れて交換しなければなくなりますが、ハイブリッド車や従来の車のバッテリーも同じように劣化するのでそのうち交換しなければならなくなります。
補機バッテリーとハイブリッド車の駆動用バッテリーでは寿命の考え方が違い、交換頻度もちがいます。
補機バッテリーの寿命
補機バッテリーに関しては従来の車で交換の感覚をご存知の方も多いかも知れませんが、およそ2年〜3年ごとに交換する部品となっています。
補機バッテリーは車が動いている間は常に充電と放電を繰り返しており、運転すればするほど少しずつ劣化が進んでいます。
またたとえ車を動かさずバッテリーを活用していなくても、自然放電という現象によっても自然に劣化は進んでいます。
そういった正常な使い方をしていれば車にもよりますが、2年〜3年ぐらい経過するとバッテリーの電圧が低下していき容量が減り、最終的には車の始動が出来ないほど性能が低下します。
またバッテリーはエンジンがかからないと充電が出来ませんが、エンジンがかかっていなくても内装やライトなどでバッテリーの消費をする場合があり、あまり長時間使用すると「バッテリー上がり」という状態となってバッテリーが使用不能になります。
そうなっても外部などからバッテリーを充電したりエンジンを始動したりすれば再充電は可能ですが、バッテリーの劣化が通常より多くなります。
補機バッテリーを少しでも長く利用したければバッテリー上がりが起こるような状態はなるべく避けると良いでしょう。
なおバッテリー上がりについては以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車のバッテリー上がりの原因と対処法!救援はできないのか真実を解説!駆動用バッテリーの寿命
ハイブリッド車専用の駆動用バッテリーはその構造や性能が補機バッテリーとは大きく違っており、交換が必要になるほど劣化するのは車の走行距離が100,000km以上になった場合や、年式で10年以上が経過した場合です。
補機バッテリーは鉛バッテリーと言われる比較的昔からある構造のバッテリーで、バッテリーの最も基本的なものの1つです。
ですがハイブリッド車用の駆動用バッテリーはスマホなどで使われる「リチウムイオンバッテリー」や「ニッケル水素バッテリー」と呼ばれる新しい構造のバッテリーで、その特徴は容量が多いことと充放電による劣化が少ないことです。
この特徴によってハイブリッド車は電気モーターを十分に活用できる性能が得られているといえ、これなくしてはハイブリッド車は今ほど普及していなかったでしょう。
とはいえ駆動用バッテリーも少しずつ劣化することは間違いなく、長い間運転していれば補機バッテリーと同じように電圧の低下や容量の低下が起こってきます。
ですがハイブリッド車の設計段階で駆動用バッテリーの劣化については考慮されており、一般的には前述した距離や年数まで使用できるように性能や容量が設定されています。
というのもハイブリッド車のハイブリッドシステムには上記の域までメーカーが保証する制度が付いていることが多く、メーカーとしても保証期間内に交換が必要な状態にならないようにしています。
ですがそれ以上バッテリーを利用すればそのうち寿命は来るので交換が必要となります。走行距離100,000kmや年式10年を越えたらすぐに寿命が来るわけではなく、車の走らせ方や使い方によって寿命の来るタイミングは様々です。
ただ寿命が来るとハイブリッドシステムが使用不可能となることで車自体の走行ができなくなり、自走して修理工場などには持ち込むことができなくなってしまいます。
そのため走行距離の多い車や年式の古いハイブリッド車に乗る時は、いつか駆動用バッテリーの劣化が来ることを考えて、
- JAF
- 修理工場
- ディーラー
などと連絡できる手段を備えておきましょう。
なおバッテリーを含めたハイブリッド車の寿命については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイブリッド車の寿命/耐久性は走行距離や年数だとどれくらい?ハイブリッド車のバッテリーの交換方法
ハイブリッド車に搭載される2種類のバッテリーは交換方法がそれぞれ違います。
まず補機バッテリーに関してですが、これは交換自体は非常に簡単で、エンジンルームやトランクルームに搭載されているバッテリーを外して新品に交換するだけです。
バッテリーにつながるハーネス類とバッテリー固定用のネジ何本かを取れば外すのは容易で、交換部品の取り付けも簡単です。
ディーラーや自動車用品店、ガソリンスタンドなどでも当然サービスは受けられますが、慣れている人なら個人でも交換できます。
ですがハイブリッド車の駆動用バッテリーに関しては交換は容易ではなく、専用の設備と大掛かりな交換部品が必要です。
駆動用バッテリーは車の車体と一体化するような搭載方法をされており、交換するためには様々な部品を取り外した後でなければできません。
もちろん個人では不可能ですし、ディーラー以外の自動車修理工場などでも作業が出来ない場合があります。
というのも駆動用バッテリーは数百ボルトという非常に強力な電圧を扱う「強電部品」で、その取扱には専用の知識や免許が必要になります。ディーラーにはそういったものが揃っているので修理が可能ですが、一般の修理工場ではなかなか扱えません。
もちろん個人では感電の危険があるので決して手を出してはいけない領域であり、車の説明書などにも明記されています。
しかし駆動用バッテリーの交換頻度は著しく低いので、交換が必要な事態に陥ることはそんなにないでしょう。
ハイブリッド車のバッテリーの交換費用
上記の2種類のバッテリーのコストについては前述で触れましたが、ユーザーの手に渡った後の交換費用についてはまた別であり、交換費用としては少し高くなります。
補機バッテリーに関しては、車にもよりますがバッテリー自体の値段は数千円〜1万円、2万円などさまざまなタイプのものがあります。
車によって大きさや容量を指定されているのでおおよそ値段は一定になりますが、中には高性能を謳った価格の高い商品などもあります。
交換の工賃自体は数千円といったところなので、通常で10,000円程度、トータルで高くても30,000円といったところでしょう。
ですが駆動用バッテリーは部品自体が高額なこともあり、その交換費用は部品と工賃を合わせて200,000円〜500,000円にも登ります。
車種によってハイブリッドシステムの性能が違うので値段はまちまちですが、少なくとも100,000円を切ることはないでしょう。
交換頻度にしても車の生涯で1回あるかないかというところなので、これほど費用がかかるのであれば車自体を乗り換える人も多いほどです。
駆動用バッテリーの交換が必要な時期は車の寿命として考えられる時期とほぼ一緒なので、車の乗り換えの1つのタイミングとなるでしょう。
ハイブリッド車は経済的でお得とは言い切れない
さてハイブリッド車は燃費や維持費が安くて経済的な車というのが評判ですが、駆動用バッテリーの交換費用を考えてしまうと経済性には疑問がついてしまいますよね。ですがそれは車の使い方や乗る期間によって大きく状況がかわってくるものです。
ハイブリッド車は普通のガソリン車よりも燃費が良い反面、その車両価格は高くなっており、燃費の差で車両価格差をカバーするにはそれなりの期間が必要です。
車の価格や性能にもよりますが、一般的にはおおよそ走行距離100,000kmぐらいで価格差が燃料代の安さでカバーできる場合が多く、およそ車の保証距離内でできるような設計がされているようです。
そのためその領域でハイブリッド車を乗り換えるのであれば経済的には一定の意味があるでしょう。
ですが問題はそれ以上の距離を乗ろうと考えた場合で、たしかに燃費の差による経済性は高くなっていくもののその途中で駆動用バッテリーの交換が入ってしまえば、その経済性は一気に吹き飛んでしまいます。
そのため交換となると乗り換えを選択する人が多いのですが、一方で中古車で車の寿命の途中から購入してしまうと十分にメリットを受けられない場合も出てきます。
ハイブリッド車の中古車で走行距離100,000kmを越えたり年式が10年越えた車は価格が大きく下がりますが、それを機にと購入しても直後にバッテリー交換が必要な自体が来れば費用は一気に増加します。
中古車販売店もその点は把握しているので価格を下げているので、ハイブリッド車の中古車を購入する場合には価格だけでなく走行距離や年式を注意し、乗る期間中に駆動用バッテリーの交換がはいらないようにしたほうがよいでしょう。
なおハイブリッド車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
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