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焼玉エンジンとは?構造/仕組みの特徴!船やバイク、自動車に搭載?!

機械用の原動機は産業革命以降さまざまな種類のエンジンが生み出されてきましたが、その中の一つに「焼玉エンジン」というものがあります。

戦前には非常に多く普及していたエンジンなのですが、現在は無くなっているエンジンです。

今回はそんな焼玉エンジンについてご説明します。

焼玉エンジンとは

エンジン

焼玉エンジンはピストンとシリンダーを使うレシプロエンジンの一種類で、焼玉という特徴的な点火機構を持つエンジンです。

焼玉はその名の通り熱するための鋳鉄製の玉なのですが、内側は空洞になっておりエンジンのシリンダーと繋がっています。

焼玉エンジンは点火機構が独特で、その特徴故にメリットとデメリットがはっきりしています。

ではまず焼玉エンジンの構造と特徴をご紹介しましょう。

焼玉エンジンの構造

焼玉エンジンは主に2つの部分から成り立っており、レシプロエンジンの基本であるシリンダー、ピストン、クランクシャフトで構成されるエンジン本体と、燃料系と点火系を構成する焼玉の部分です。

この2つは細い通路で繋がっており、シリンダーには焼玉から燃料が供給され、シリンダーから焼玉には空気が送られます。

焼玉エンジンの作動原理は非常に単純で、熱せられた焼玉の内部に燃料を噴射することで燃料を気化させ、空気と混合させます。

その後気化した燃料は高温の焼玉の壁面に接触することで、「熱面着火」という原理で燃焼が始まります。

つまり焼玉では普通のガソリンエンジンで言うところの燃料気化器と、スパークプラグのような点火をひとつで行っているのです。

この焼玉により、次の行程でエンジンが稼働します。

焼玉エンジンの動き

焼玉エンジンの動きとシリンダー、及び焼玉の状態を表にすると次のようになります。
なおこれは4ストロークエンジンでのものです。

行程シリンダー焼玉
①吸気行程ピストンが下降して空気をシリンダーに吸い込む焼玉で熱せられた燃料が気化し、シリンダーに吸い込まれる
②圧縮行程空気と焼玉から来た気化した燃料を混合、圧縮を行う圧縮とともに混合気が焼玉に流れ込む
③膨張(爆発)行程焼玉で点火した混合気が膨張しながら燃焼、ピストンを押し下げる。ここでエンジンの出力が発生する。焼玉内で混合気の圧力が上がり、熱面着火で点火する。燃焼中の混合気はシリンダーに流れ込み、シリンダー内の混合気にも燃焼が伝播する
④排気行程燃焼の終わったガスをシリンダーから排出するとくに役割なし

焼玉は燃料を気化させるのにも点火するためにも常に高温になっていなくてはならないのですが、その熱はエンジン内での燃焼による熱を使っています。

エンジンが動いている限りは常に焼玉が高温に保たれており、一度エンジンが動き始めれば燃料が続く限り動作が続きます。

またガソリンエンジンのように燃料を気化する専用部品が不要であり、液体の状態であればエンジン内部に噴射できるので、比較的どんな燃料でもエンジンは可動します。

焼玉の温度は普通の状態では燃料の気化だけできる温度なのですが、混合気が圧縮されると熱面着火で点火できる温度が下がりますので、圧縮行程でのみ点火が始まります。

混合気を圧縮する過程のどこかで点火が始まりますので、一般的に点火時期はコントロールすることが出来ず、ある意味自然に点火させていることになります。

それに比べてガソリンエンジンやディーゼルエンジンは点火タイミングが厳密にコントロールできるので、これも大きな違いとなります。

焼玉エンジンの始動方法

焼玉エンジンにはエンジンを始動させるスターターというものがなく、エンジン始動は焼玉を外部から熱することで始まります。

エンジンが停止した状態では焼玉が冷たいままですので、そのままでは燃料の気化も熱面着火も不可能です。

ポイント

そのため焼玉エンジンの始動時には手持ちのガスバーナー等で外から熱する必要があり、初めに焼玉をしっかり熱しておかなければなりません。

十分に焼玉が熱を持った状態で、エンジンのフライホイールを回して燃料を供給すれば、ようやく始動が出来ます。

ですがこれは小型の軽いエンジンの場合で、大型エンジンでは手でフライホイールを回すのは重たくて不可能です。

そのため大型の焼玉エンジンには圧縮空気を送る装置が別にあり、圧縮空気によってピストンを可動させることでエンジン始動が出来ます。

またエンジンを動かしやすいように、シリンダーに圧力弁を設けて始動時のみ開放することで、大気開放されてピストンが動きやすくなる仕組みもあります。

MEMO

焼玉を熱する時間はエンジンの大きさによっても違いますが、10分程度はかかったようですね。

一度エンジンが始動してしまえばその後は熱する必要がなくなるので、始動時だけ面倒なエンジンといえます。

なお始動の様子が動画で紹介されていましたので、ぜひご覧ください。現存する焼玉エンジンが少ないので、なかなか見られないものです。


焼玉エンジンのメリットとデメリット

焼玉エンジンは構造が単純なことから、日本では明治から戦後まで幅広く使われていました。

いくつものメリットがあったから普及したのですがデメリットも多く、他の効率の良いエンジンの登場によって急速に置き換えられていきました。

そんな焼玉エンジンのメリットとデメリットをご説明します。

焼玉エンジンのメリット

メリット

焼玉エンジンは日本では一時期幅広く普及していましたが、それは何より技術的にもまだ未熟だった国でも動くエンジンだったからです。

重油などの粗悪燃料でも可動する

焼玉エンジンに使用できる燃料は、ガソリンや軽油、天然ガスなどがつかえるのですが、それに加えて粗悪な重油などでも燃焼が可能な点が大きなメリットです。

重油は原油からガソリンや軽油などを分離した後に残る粘度の高い燃料で、いまでも主に船舶用に使われています。

燃料としては成分があまりよくなく、自動車用などの気化器では使えないのですが、焼玉エンジンでは燃料を直接焼玉へ噴射できればよいので使用できます。

重油は燃料代が比較的安いので経済性はよく、エンジンを維持する上では便利なものでした。

その反面重油には硫黄分が多く含まれていて、エンジン内部の水分と反応して硫酸を生み出すので、エンジンの部品に対しては悪影響もあります。

ですので推奨こそされてはいませんが、燃料代のことを考慮してさまざまな燃料が使えるのはやはりメリットです。

エンジン構造が単純

焼玉エンジンはレシプロエンジンとしては非常に構造が単純で、とくに点火系部品が一切不要なのがメリットです。

ガソリンエンジンではスパークプラグで点火していますが、スパークプラグを動かすにはイグニッションコイルやバッテリー、オルタネーターなどの発電機一式が必要になります。

つまりエンジンに電気系統を配備しなければならないのですが、点火も焼玉で行える焼玉エンジンにはそういったものが一切不要です。

部品が少なく単純ということはそれだけ頑丈に作れるほかに、工作精度の悪い技術力しかなくても製造できるというメリットも兼ね備えます。

また電気系統がないのはエンジンの信頼性を上げることができるので、機械系部品だけというのも良い点です。

これらの特徴は製造コストが安く、更に維持費や部品交換も少ないということになり、ユーザーにとってはうれしい点です。

焼玉エンジンのデメリット

デメリット

焼玉エンジンにはたしかにメリットはあったものの、次の点でデメリットも大きく、とくにディーゼルエンジンの普及とともにその役割は終わったと言えます。

出力が低い

焼玉エンジンは機械用エンジンとしては出力が低く、パワーを出すには大型化するしかありません。

焼玉エンジンの構造上、効率を上げるためにシリンダーでの圧縮比を上げるとノッキングの問題が出てきてしまいますので、あまり圧縮比を上げることが出来ません。

そのため出力は低くならざるを得ず、大きいエンジンでも数10馬力しかでないようなエンジンです。

出力を上げるためには排気量を大きくしなければなりませんが、その分エンジンの重量はどんどん大きくなってしまいますので、出力が必要な用途には使いにくいエンジンでもありました。

またピストンやクランクシャフトが大きく重たくなるので、結局エンジン回転数を抑えざるを得ず、出力の上昇代も少なくなります。

燃料消費が多い

焼玉エンジンの効率が悪いということは、それだけ燃料のエネルギーを有効に活用できていないことになりますので、燃料の消費量自体は多くなります。

焼玉エンジンは安価で粗悪な燃料も使えるのはメリットではありますが、燃料の量が多く必要なのであればデメリットのほうが大きくなる場合もあります。

また燃料消費量が多いということは、それだけ燃料タンクを大きくして一度に持っていく燃料を増やさなければならず、重量もかさみます。

時代によって燃料の値段はさまざまですが、燃料代が上がった時の影響は非常に大きいものとなるのです。

始動には熟練を要する

焼玉エンジンの始動方法を見ていただいたかと思いますが、かなり時間がかかり、またさまざまな手順が必要です。

安定して始動させるためには作業員の熟練が必須であり、誰でも扱えるエンジンではありません。

自動車やバイクの始動はキーを回したり、キックペダルを踏んだりするだけで、わりとあっさりエンジンがかかります。

そこに熟練など必要なく、誰でも簡単に始動させることができるのです。

ですが焼玉エンジンではそういうわけにはいかず、またあらかじめ焼玉を熱するためのバーナーなどの設備も必要となります。

何より始動に10分以上かかるというのは大変で、すぐにエンジンをかけて出発することができません。

ディーゼルエンジンの登場でこういった手間がなくなりますので、焼玉エンジンが廃れていったのも仕方ないことでしょう。

焼玉エンジンの歴史

焼玉エンジンはエンジンの歴史としては特別古いわけではなく、ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが発明された時期と同時期に生まれました。

MEMO

1886年ごろにイギリスで発明され、1890年には発明者のハーバート・アクロイド=スチュアートによって特許が申請されています。

その後1892年には早くも商品化がなされ、「ホーンスビー・アクロイド式機関」という名称の4ストロークエンジンとして登場しました。

その後2ストローク方式の焼玉エンジンが別のメーカーから発売され、とくにスウェーデンのポリンダー社が開発した「ポリンダー式機関」が優秀で幅広く普及しました。

日本で普及した焼玉エンジンもこのポリンダー式機関で、4ストロークより2ストロークのほうが構造上出力が高いので便利でした。

焼玉エンジンは日本では戦前もしくは戦中まで民間、軍用問わず幅広く使われていたのですが、戦後ガソリンエンジンやディーゼルエンジンが本格的に普及すると、その出力の高さや燃費の良さなどからまたたく間に置き換えが進みました。

また軽油やガソリンが比較的入手しやすく値段も安くなったこともあり、燃料消費量が多い焼玉エンジンは不要となったのです。

現在焼玉エンジンを動力として使っているところはほとんどなく、産業遺産としてわずかに保存されているのみです。

焼玉エンジンの用途

船

焼玉エンジンがもっとも多く使われたのは船舶用で、とくに小型漁船や渡し船などの小型船舶用の動力として幅広く普及しました。

MEMO

これらは焼玉エンジンが生み出す独特の音から「ポンポン船」と呼ばれており、今でもレトロな風物詩として音だけが使われたりします。

ポンポン船の音はよく映画の河川のシーンなどで使われたりしますが、焼玉エンジンを見たことのない人やポンポン船を知らない人は、何の音かわからなかったかもしれません。

最近の映画だと、ジブリ映画の「コクリコ坂から」で頻繁に船が登場するシーンがあり、ポンポン船の音が聞こえてきます。

実際戦前の日本ではポンポン船の音は日常の音の一つであり、今では懐かしいものでもあるのです。

他には鉄道用としても一時期使われたことがあり、蒸気機関車より安価で導入しやすい焼玉エンジン機関車が明治~大正時代には使われていたようです。

自動車や2輪車用には燃料や出力の問題で使いづらかったこともあり、実用化されたものはありません。

いずれの用途においてもディーゼルエンジンをメインとして置き換えがされています。