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「ディーゼル燃料」「ディーゼル油」とは?軽油、重油との違いまで全て解説!

ガソリンエンジンは燃料に「ガソリン」を使うエンジンですが、ディーゼルエンジンの燃料は「ディーゼル燃料」と呼ばれることもあり、どんな燃料なのか気になりますよね。

今回はディーゼル燃料についてご説明します。

ディーゼル燃料、ディーゼル油とは?

給油

「ディーゼル燃料」または「ディーゼル油」と呼ばれている燃料はディーゼルエンジンで使用できる燃料の総称であり、単一の燃料を示す言葉ではありません。

ディーゼルエンジンとガソリンエンジンの名称

ガソリンエンジンは点火方式に「火花着火」を用いるエンジンで、燃料にガソリンだけしか使えない特徴があります。

ガソリンの特性に合わせた点火機構や燃料噴射装置を備えています。ガソリンエンジンにもし別の燃料を入れてしまうと正常に稼動しないどころか、エンジンを壊したり、点火できなかったりします。

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一方でディーゼルエンジンは点火方式に「圧縮着火」を使うエンジンで、燃料の温度を上げて自己着火を起こすことで燃焼をするエンジンです。

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「ディーゼル」という名前は開発者であるドイツ人の「ルドルフ・ディーゼル」から取られており、ディーゼルは燃料の名前ではありません。

というのもディーゼルエンジンはさまざまな燃料を使用することが可能で、ガソリンエンジンとは大きく特徴が違います。

一方ガソリンエンジンは開発者の名前を取ればオットー機関などと呼ぶのですが、世界的にガソリンエンジン、もしくはガソリンのイギリスでの名称を取って「ペトロル(Petrol)エンジン」で名称が定着しています。

ディーゼルエンジンの燃料

ディーゼルエンジンの燃料に要求される性能としては、燃料の自己着火温度が250℃付近にあることです。

この条件に適合する燃料であればさまざまな燃料が使えるのがディーゼルエンジンの特徴で、それらの燃料を合わせてディーゼル燃料などと呼ばれることもあります。

一般的にディーゼルエンジンで使える燃料には次のようなものが有ります。

ディーゼルエンジンの燃料使用用途
軽油自動車、トラック
重油船舶、産業機械
バイオディーゼル自動車
ジェット燃料(ケロシン)航空機、軍用飛行機、ヘリコプター

このうち軽油は自動車用のディーゼル燃料として広く活用されているもので、欧州などでは軽油のことを「Diesel」という名前で販売されています。

日本でディーゼル油といえば一般的には軽油のことを指しますが、ガソリンスタンドによってはディーゼルという名称で販売しているところもあります。

またその他の燃料についてはそれぞれエンジンが使われる用途によって別れており、排気ガスの浄化性能や燃料のコストの差、入手のしやすさなどが違います。

ディーゼル燃料、ディーゼル油と他の燃料との違い

ガソリン

ではここからはそれぞれの燃料の違いをご説明していきましょう。

軽油

軽油はディーゼル燃料としてもっとも基本的な燃料で、ディーゼルエンジンに適している燃料と言えます。

軽油は原油を分離して精製される成分のひとつで、原油の15%〜20%ほどが軽油になります。その特性は250℃前後の自己着火温度を持つことにあり、基本的にディーゼルエンジンは軽油の特性を元に設計されています。

また火花などによる引火点が50℃〜70℃と比較的高く、常温では簡単に燃焼することがなく、安全度も高い燃料です。

簡単には燃焼しないということで保管もやりやすく、ガソリンスタンドなどでは比較的扱いやすい燃料になります。

一方でガソリンよりも精製量が少ないことから一般的には軽油はガソリンより割高となります。ですが日本においては状況が特殊で、ガソリンエンジン車が圧倒的に多いことから軽油に対する需要が低く、ガソリンより単価が10円ほど安いという、世界でも珍しい状況となっています。

注意

一方で軽油は-2.5℃〜-0℃付近という比較的高い温度で凍結する特性もあり、北陸や東北、北海道などの寒冷地では燃料が凍結してしまうという問題が起こります。

そういった地域では燃料に凍結防止剤を混ぜた寒冷地専用の軽油が売られており、寒冷地にディーゼルエンジン車で向かうのであれば注意しなければなりません。

こういった特徴はありますが、軽油は粘度が低くて扱いやすく、ディーゼルエンジン用の燃料としての性能はもっとも合致しています。

なお軽油については以下の記事でも解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。

ガソリン(クリーン)ディーゼルの燃料は軽油?灯油やガソリンを給油しても走れる?

重油

重油も原油を精製する際に生み出される燃料成分ですが、重油は原油からガソリンやナフサ、軽油、灯油など有用なものを分離した後に残った燃料です。

重油は残渣油とも呼ばれており、原油を蒸留したあとに蒸留塔の底に残った成分です。それを元にして現在では2種類の重油が作られます。

A重油は残渣油10%に軽油を90%混ぜた燃料で、ほぼ軽油と同程度の特徴を持ちます。それでも軽油よりはコスト面で有利であり、おもに小型船舶や農業機械に使われます。

もうひとつのC重油はその成分の90%以上が残渣油で構成されており、簡単に言えば原油の残り成分です。

タール成分なども混ざっているため非常に粘度が高いのがC重油であり、軽油のようにサラサラではないのでディーゼルエンジンの燃料とするには特別な燃料系が必要です。

一方で残り成分がほとんどなので、燃料のコストが非常に安く、原油由来の燃料の中ではもっともコストパフォーマンスに優れます。

MEMO

その特徴からC重油は大型船舶用や産業用の燃料として主に使われており、自動車用に使われることはありません。

A重油はディーゼルエンジン用としてはほとんど軽油と変わらないので特性は変わりませんが、排気ガスの有害物質の排出量が多いために自動車用には使用が禁止されています。

またC重油に関しては粘度の高い燃料をエンジンに噴射するための機構に特別なものが必要ですが、ディーゼルエンジン本体としては同じ構造で稼働できます。

バイオディーゼル燃料

バイオディーゼル燃料は比較的近年登場してきたディーゼル燃料で、主に自動車用燃料として使われます。

バイオディーゼル燃料は燃料から発生するCO2を減少させることを目的とした燃料で、植物由来のアルコール燃料となっています。

バイオディーゼル燃料もディーゼルエンジンで燃焼させればCO2は発生しますが、そのCO2は植物の育成段階で大気中などから取り込まれたものなので、実質的にはCO2排出がないという考え方です。

バイオディーゼル燃料に使われる植物は基本的に何でも良いのですが、多くは生育が早くアルコールを生成しやすいトウモロコシなどの穀物が使われます。

バイオディーゼル燃料はディーゼルエンジン用燃料としては比較的上質なもので、軽油の代わりとして自動車用燃料として使われています。

日本では軽油が余っていることもあってまず見かけませんが、欧米や中南米などでは結構一般的なディーゼル燃料で、ガソリンスタンドなどでも購入できます。

バイオディーゼル燃料を使うディーゼルエンジンは軽油を使う場合とほぼ同構造で使用できるのですが、アルコールということで燃料の持つ単体のエネルギー量が軽油より少ないので、エンジン出力やトルクなどが低めになります。

自動車用として使われる場合、エンジンは軽油を使用する地域向けのものと同仕様のエンジンが使えますが、スペック面で差が生まれてきます。

MEMO

またバイオディーゼル燃料はCO2排出量を減らすという観点では良いのですが、原料となるトウモロコシは食料にして世界の飢餓地域などにまわすべきだ、という意見もあり、ディーゼル燃料の特徴以外の点で問題を抱えています。

またトウモロコシを育てるための畑を作るために中南米のジャングルを切り開く焼畑農法が広がっており、CO2を吸収する役割のある木々を減らすことに対する問題もあります。

日本では馴染みがないことからこういった問題を知っているひとも少ないのですが、世界的には重大な課題となっています。

ケロシン(ジェット燃料)

ケロシンはおもにジェット飛行機やジェット戦闘機などに使われる燃料なのですが、ディーゼルエンジンにも使うことが可能な特性を持っています。

ケロシンは成分的にはストーブなどで使われる灯油とほぼ同じですが、日本では飛行機用の燃料としての認識しかありません。軽油と多少燃料の特性は違いますが、自動車用の燃料としても使えないわけではありません。

ですが日本国内では自動車用に灯油を使うのは違法であり、軽油より排気ガスに有害物質が増加するために禁止されています。

また普通のディーゼル車は燃料配管などが灯油に適応していないので、腐食など様々な問題も生まれます。

これらの特徴から日本ではディーゼル燃料として一般的なものではありませんが、ケロシンに適応した燃料配管を持つディーゼルエンジンであれば使用することはできます。

その用途としては軍事関係が多く、戦車やヘリコプター、ディーゼルエンジン搭載のレシプロ航空機などに使用されます。

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というのもジェット機の燃料をそのまま流用できるので補給や輸送、保管などの面でメリットが大きく、一種類の燃料で使い回せるという点が評価されています。

ディーゼル燃料とガソリンの違い

さてこれらのディーゼル燃料はどれもほぼ同構造のディーゼルエンジンで使用できる汎用性を持っていますが、自動車用燃料としてもっともポピュラーなガソリンだけはディーゼル燃料としては使えません。

ガソリンはディーゼルエンジン用の燃料とするには特性が違いすぎており、最も差があるのが自己着火温度です。

ディーゼル燃料は軽油を始めとして250℃前後が自己着火温度になっており、ディーゼルエンジンは基本的にこの特性を持つ燃料に適用したエンジン構造となっています。

ですがガソリンは自己着火温度が300℃以上であり、ディーゼルエンジンにガソリンを噴射しても基本的には圧縮着火による燃焼が起こりません。

また逆にガソリンエンジンに軽油などのディーゼル燃料を使用した場合もエンジンは動かず、こちらも燃焼が始まりません。

ガソリンエンジンは電気火花による火花でガソリンに点火する構造を持ちますが、火花による点火にも温度が関係しており、ガソリンは-43℃以上という非常に低い温度でも点火ができる特性を持っています。

ですが軽油などは前述したように火花着火に対して安定した性能があり、70℃以上でなければ点火しませんのでガソリンエンジンでは点火ができないのです。

注意

たまに「”軽”と書いてあるから軽自動車に軽油を入れた」という話を聞きますが、もしこれをしてしまうとエンジンが動かないのは当然ですが、それ以上に車の燃料タンクや燃料配管、エンジン内部に残った軽油を処理するのが非常に大変になります。

全てを洗浄しなければガソリンエンジンとして正常な稼動は期待できず、修理費用がかなりかかることとなります。

軽油という名称と、軽自動車という車の形式がたまたま日本で合致してしまったことから起こる間違いですが、給油の際にはしっかり注意して行いましょう。

MEMO

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ディーゼル燃料に関するよくある疑問

疑問

さてここまで何種類かのディーゼル燃料をご紹介してきましたが、ディーゼル燃料にはいくつかよくある疑問があり、ここではそういった疑問に答えていこうと思います。

なぜディーゼルエンジンの燃料をディーゼル油と一般的に呼ばず軽油と呼ぶのか?

これはほぼ日本に限ったことではありますが、ディーゼル燃料やディーゼル油という名称は街中で見かけることはほとんどありません。

というのも日本でディーゼル燃料として使われるのはほとんどが軽油で、重油はほぼ船舶用、そのほかのディーゼル燃料に至ってはまず使われることがないからです。

これには日本特有の事情が関係しており、精製割合がガソリンより少ないにもかかわらず、日本国内では軽油が非常に多く余っているからです。

日本は原油を中東などからタンカーで運んで国内で精製していますが、国内では軽油の使用量が非常に少なくてそのほとんどが余ってしまいます。

ポイント

というのも日本では乗用車や商用車のほとんどがガソリンエンジン車で、軽油を使用するディーゼルエンジン車が非常に少ないためです。

このことからわざわざディーゼル燃料に軽油以外を使用する必要がなく、また余っていることからガソリンよりも低価格で販売されているのもディーゼル燃料が軽油のみである理由です。

また余り知られていませんが日本は世界的にも有数の軽油の輸出国でもあり、原油生産国でもないのに軽油が重要な輸出品目となっています。

海外ではディーゼルエンジン車の割合が高いこともあって軽油はガソリンよりむしろ高額になるのが一般的で、そういった事情からバイオディーゼル燃料などの代替燃料を含めてディーゼル燃料と呼んでいます。

なおディーゼルエンジン搭載車については以下の記事で取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

MINI 3DOORクリーンディーゼル搭載車一覧とおすすめ車種まとめ!SUVからミニバンまで全て紹介!

ディーゼルエンジンは植物油でも動くのか?

ディーゼルエンジンに使われるバイオディーゼル燃料は現在ではアルコール主体のものとなっていますが、そもそもディーゼルエンジンが開発された当初は菜種油で動くエンジンとして設計されていたことから、構造を整えれば植物油などでも稼働させることは可能です。

バイオディーゼル燃料とは広義的に言えば植物油も含んでいるのですが、現在では植物を原料としたアルコール燃料として規定されていることもあって植物油でディーゼルエンジンを動かすことはありません。

ディーゼルエンジンが開発された当時も植物油も使用していましたが、原油から精製される鉱物油の使用が本格化したこともあって植物油の使用はなくなりました。

ディーゼルエンジンに植物油が使えると聞くと自動車エンジンにも使いたいと思われるかもしれませんが、植物油は軽油とは燃料としての特性が違うことから基本的には使用してはいけません。

植物油と一口でいっても植物の種類によって菜種油、ごま油、オリーブ油などありますが、その成分によってはエンジンのゴムや樹脂に悪影響があったり、排気ガスに有害物質が増加したりするさまざまな問題が出てきます。

エンジンスペックとしても性能は大きく低下するので植物油を自動車に使うメリットはほぼなく、いくら多少安くても使わないほうが懸命です。

ディーゼルエンジンは食用油でも動くのか?

これも前述の植物油と同じではありますが、日本ではとくに使用後の「てんぷら油」が代表的なものでしょう。

昔から使用後の食用油を再利用する研究というのは頻繁に行われており、その一つにディーゼルエンジン車に使用済み食用油を使おうというものがあります。

特に日本では油の使用量の多い揚げ物の代表としててんぷら油がありますが、てんぷら油とひとくちで言っても成分はさまざまです。

日本ではさまざまな研究機関や会社がてんぷら油のディーゼルエンジンへの再利用を研究し、実用化されたものもいくつもあります。

自動車用として使われることはほぼ無いものの、農業機械やトラクターなどで使用されている例もあります。技術的には確立されているものの、やはり軽油に比べるとエンジンスペックの低下や排気ガスの悪化などもあって、メリットが少ないのが現実です。

また使用済み食用油は回収やろ過、成分の調整などでコストがかかることもあり、使用済み油とはいえまだコスト面で割高になります。

食用油を原料としたバイオディーゼル燃料の生成も研究されていますが、同じくコストが大きな課題です。

なおディーゼルエンジンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

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