水平対向エンジンは、現在自動車用として実用化しているのがスバルとポルシェだけという珍しいエンジンで、車に対する様々なメリットを持つエンジン形式です。

しかしそんな水平対向エンジンはオイル漏れしやすい形式とも言われており、オイルにじみやオイル垂れのトラブルが付き物となっています。

今回はそんな水平対向エンジンのオイル漏れについてご説明しましょう。

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水平対向エンジンはオイル漏れしやすいのか?

スバル 水平対向エンジン

水平対向エンジンはピストンのシリンダーが真横に配置されている形式のエンジンで、シリンダーがクランクシャフトをはさんで左右に向かい合っておかれているので水平対向と呼ばれます。

向かい合ったシリンダーがそれぞれの振動を打ち消し会うので振動が非常に少ないエンジンで、同じ気筒数の直列エンジンやV型エンジンよりも静かです。

さらにエンジンが横に長く高さは低いことでエンジン自体の重心が低く、車全体の重心も下げることができます。

搭載には横幅の広さをクリアする必要はありますが、基本的なエンジンの性能は素晴らしいものがあります。

しかしこのシリンダーが横向きというのがオイル漏れに対しては弱点となっており、たしかに水平対向エンジンはオイル漏れの頻度が高いエンジンといえるでしょう。

エンジンオイルの重要性

エンジンの内部でもっともオイルが必要な箇所はシリンダー部分で、常に高速往復運動をしているピストンとシリンダーの間にはオイルによる潤滑が不可欠です。

またオイルによって細かい金属粉やごみなどを取り去ったり、ピストンの冷却に役立ったり、またピストンとシリンダーのわずかな隙間をオイルで密閉するという役割もある、化なり重要な要素となります。

そんなエンジンオイルはオイルポンプで圧送された圧力でエンジン全体に循環しており、ピストンとシリンダーにむけてもオイルジェットと呼ばれる噴射装置で常にオイルを供給しています。

シリンダーに吹き付けられたオイルはその後重力によってオイルパンに戻っていき、オイルストレーナーなどで浄化されたあと、またエンジンの内部を循環するのです。

複数の役割をもつ重要なエンジンオイルですが、車の消耗品の中では劣化が早い部類なので割と早めのインターバルで交換が必要です。

横置きエンジンはオイル漏れしやすい

さて一般的な直列エンジンの場合、エンジンにはいくつものシール部品が使われており、その中でも重要なのはオイルパンとシリンダーブロックの間と、シリンダーヘッドとシリンダーブロック間、シリンダーヘッドとロッカーカバー間の3箇所のガスケットです。

エンジンの中でトップ3にはいる大型部品なので、そのガスケットのシールの信頼性はエンジンのオイル漏れに対して重要な要素となります。

直列エンジンではガスケットは3箇所とも基本的にエンジンの横方向に広がっており、オイルはその脇を流れ落ちていくような形になります。

オイルがガスケットに触れている時間はほんのわずかで、重力やエンジンの動きによってオイルは断続的にガスケットに当たるような形になります。

しかしエンジンを横置きしてしまうと状況は代わり、ガスケットがエンジン縦方向にきますのでオイルがガスケットの下側の位置に溜まる結果となります。

重力で自然に流れてはいかないのですから、なにかしら動くものがない箇所はオイルが常にガスケットに接触しているといってもよいでしょう。

水平対向エンジンはまさにこの状態となっており、オイルが自然に流れ落ちていかないのですから、ガスケットが劣化してくれば真っ先にオイルが滲み出す構造となってしまっています。

ガスケット自体は年々性能が向上しているものの、経年劣化によるシール材自体の劣化はどうしようもないのです。

オイル漏れ自体はすぐひどくならない

私たち日本人は車のトラブルに対して敏感で、オイル漏れと聞くとドバドバオイルが漏れるものだと思って慌ててしまいますよね。

しかし実際にオイル漏れと呼ばれている現象は、わずかに濡れたようなあとが残るオイルにじみがほとんどであり、いくら水平対向エンジンがオイル漏れしやすいといって、すぐに重大なトラブルになるようなものではないのです。

オイル漏れは最初はほんのわずかな量から始まり、ガスケットの劣化によって少しずつ漏れる量が増えていきます。

しかし症状が進行してオイルがポタポタ垂れ始めるようになるにはかなりの時間や走行距離が必要となりますので、普段乗っている水平対向エンジンの車がすぐにオイル漏れで大きなトラブルをかかえることはありません。

オイルにじみをずっと放置していればそのうち垂れるほど漏れてくるのでしょうが、そこまでいくには少なくとも走行距離が100,000km以上でなければないでしょう。

昔の車はガスケットの設計が悪く、また材料の耐久性も低かったため、文字通りオイル漏れが起こることはよくありました。

しかしスバルなどの信頼性の高いメーカーの水平対向エンジンならばそこまで重大なトラブルとはならず、車検などの際に発見したら対処する、ぐらいでよいのです。

ですので水平対向エンジンがオイル漏れしやすいとは言っても、現状では直列エンジンよりわずかに劣るぐらいなものなので、オイル漏れを気にして水平対向エンジン搭載車を買い控える必要はないでしょう。

水平対向エンジンのオイル漏れを防ぐ方法

オイル交換

では実際にオイル漏れが見つかった場合、対処方法としてはガスケットの交換がベストな選択です。

トラブルの原因は経年劣化したガスケットですので、新品にを換すればまた新車同然の状態に戻り、オイル漏れは止まります。

水平対向エンジンに限らずオイル漏れはエンジンには付き物の現象で、ガスケットの経年劣化による漏れというのは直列エンジンであろうと発生します。

ガスケットの設計の良し悪しで漏れやすいかそうでないかも決まりますが、スバルなど日本メーカーはそういった箇所の信頼性が高いので、世界でもトップクラスではあるのです。

しかしそれでもオイル漏れは起こりますし、にじみが出てきたということはガスケットの交換時期が来たサインともいえるのです。

交換にはエンジン下ろしが必要なので工賃が結構かかりますが、ガスケット一ヶ所の交換でおおよそ50,000円ぐらいが相場でしょう。

オイル漏れがもっとも多い箇所はロッカーカバーの部分ですので、片側でオイル漏れが見つかったらもう片方も交換しておくと工賃がお得です。

他に簡易的な対処方法としては、オイル漏れを止める薬剤をエンジンオイルに混ぜる方法があります。

エンジンオイルに入れる添加材のようなもので、一種の樹脂を漏れた部分に浸透させて漏れを止めるようです。

いくつもの種類が販売されており程度によっては効果があるようですが、メーカー推奨品ではないので入れるのは自己責任となります。

こちらは一本4,000円ぐらいなので、ガスケット交換まで費用がかけられないときの応急処置としては有用ではないでしょうか。

水平対向エンジンのオイル交換方法

水平対向エンジンのオイル漏れが直列エンジンなどに比べて頻度が高いのはたしかですが、だからといって水平対向エンジンのオイルがすぐになくなるということはありません。

一昔前の車だとシリンダーとピストンの間のシール性が悪くてオイルが燃焼室に多く入ってしまう車が多くあり、ガソリンと一緒に燃える量が多くてオイル消費が激しい車がありました。

しかし現在の車は国産車ならばそういったひどい設計の車はほとんどなく、燃焼室出のオイル消費に関してはほぼ問題ありません。

またオイル漏れやオイル滲みによるオイル消費量などたかが知れており、水平対向エンジンだからといって普通のエンジンと同じようにオイル交換していれば大丈夫です。

オイル交換のインターバルは自然吸気エンジンかターボエンジンかで変わってきますが、自然吸気なら10,000kmごとがメーカー推奨となっています。

ターボの場合は高温のターボによってオイルが劣化する速度が早いため、5,000kmが交換インターバルとなります。

オイル交換の作業も基本的には直列エンジンとおなじ作業で交換できますので、水平対向エンジンだからといって特別な作業はありません。

ただオイル交換2回につき一回交換するオイルフィルターは、ついている位置が水平対向エンジンは特殊なので、自分で交換する場合には事前に調べておいた方がよいでしょう。

直列エンジンではエンジンの横についていて上から脱着ができることがほとんどなのですが、水平対向エンジンの場合はエンジンの横に部品をつけることができず、オイルフィルターはエンジン下側についていることがほとんどです。

エキゾーストマニフォールドの間を縫うようにフィルターが配置されていますので、車の下側から覗き込めるようでなければ作業できません。

ディーラーやガソリンスタンド、カー用品店などでは専用の大型ジャッキで車ごとあげて作業しますが、個人でやる場合には携帯ジャッキなどで地面との隙間をあけて作業するしかないでしょうね。

水平対向エンジンの専用オイル

オイル交換

では最後に水平対向エンジンに向いているエンジンオイルをいくつかご紹介しましょう。

水平対向エンジンはピストンが横方向なので、直列エンジンと違ってピストンの下側が重力でシリンダーに押し付けられており、普通のエンジンとはオイルに求められる性能が違うと言われています。

エンジンオイルの銘柄は社外品も数多くありますが、基本的にはメーカー推奨のオイルを入れておけば問題ありませんし、スバルの推奨オイルなら水平対向エンジンに適したオイルしかありませんので安心です。

車種やモデルによってオイルの種類が違いますので、ちゃんときまったオイルを選ぶのが車を長持ちさせるコツです。

純正オイルの粘度

よくエンジンオイルの種類を見るのに粘度というものがあるのですが、基本的に普通の車より高性能車のほうが粘度の高いオイルが向いています。

オイル粘度は高いと性能に影響があるのですが、その分オイル劣化も早いので負荷の高い大型車に向いています。粘度の低いオイルは燃費によい影響があるので、負荷の少ない一般車種に向いています。

純正オイルの粘度についてはスバルのディーラーなどで調べてもらうのが一番ですが、おおよそスバルの主要車種では次のような粘度が推奨されています。

車種 推奨粘度
BRZ 0W-20
WRX 5W-30
インプレッサ 5W-30 or 0W-20
レヴォーグ 5W-30 or 0W-20

基本的に粘度はこの2種類がほとんどのようですが、純正オイルでは車種ごとに添加材の配合などがちがっているので粘度だけでは判断できません。

しかし次にご紹介する社外品オイルを選ぶ場合には参考にできるでしょう。

社外の水平対向エンジン用オイル

水平対向エンジン用のオイルは純正以外にもいくつも販売されており、その中からいくつかご紹介しましょう。

RESPOボクサーエンジン専用オイル

参考:RESPO(レスポ)化学合成油エンジンオイル F-TYPE 10W-40/10W40 4.5L缶(4.5リットル缶) 4本セット ボクサーエンジン(水平対向エンジン)専用オイル

RESPOが販売しているボクサーエンジン専用オイルは専用というだけあって実績も多いオイルです。

適合車種はアマゾンで購入する際に簡単に選択できますので、間違えにくいのも便利ですね。

値段が普通のオイルより少々高いですが、高粘度の高性能オイルですので、スポーティーな走行の多いスバル車にはもってこいでしょう。

GULF フラット4&6専用オイル

参考:ガルフ フラット 4&6 5W-50 100%合成油 4.5L×3

ガルフはポルシェと関わりの強いメーカーで、ポルシェのレーシングカーにはガルフマークといわれるほどポルシェ専用オイルを作り続けてきたメーカーです。

ポルシェのスポーツカーは伝統的に水平対向エンジンを搭載しており、このオイルはガルフが水平対向エンジン用にチューニングしたオイルとなります。

ポルシェだけでなくスバルにも適合しており、こちらもアマゾンで車種を選択するだけでオイルが選べます。

5W-50ということでより高性能車向けのオイルとなっており、パワーの高いポルシェにはもってこいでしょう。

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この記事を書いた人

佐藤茂道
佐藤茂道
某自動車メーカーのエンジン部門で開発経験あり。子供の頃から車雑誌を切り抜きし、高校ではオートバイ・車にどハマりする。就職する際に、某自動車メーカーを選び、仕事でもプライベートでも車漬けに。今は日産スカイラインR33が愛車。