オシャレでありながら、広い室内空間のあるカングー。
これだけ広ければバイクに乗っている人なら、「カングーはトランポとして使えるかな?」と思う方もいるでしょう。
確かにこれほどデザイン的にも魅力的な車が、自家用車にもトランポにも使えたら最高ですよね。
実はカングーはトランポとして使えます。ハイエースほど大きくはないのでバイクは選びますが、十分に使うことができます。
この記事では、カングーはトランポとしてどれだけ使えるかについて詳しく解説していきます。
カングーは車種は限定的だがトランポとして使える理由
初代ルノーカングーは、1997年からルノーが販売する小型のバン。
車の前半分は、普通の乗用車で、後ろ半分が貨物車に改装されたフルゴネットと呼ばれるタイプのバンです。
初代ルノーカングーのころから欧州では郵便貨物車として使用され、その高い積載性能から高い人気を誇るカングーは、2007年に2代目となるカングー2へと進化。
それまでルノー初代クリオを流用していたプラットフォームは、1クラス上のメガーヌ2と共用とすることで大型化しました。
荷室もさらに広くなったカングー2なら、バイクのトランスポーターとして十分な性能を発揮します。
トランポに求められる条件は、大きく分けて3つあります。
- バイクが載ること。荷室への乗降性がよいこと
- バイクを固定しやすいこと
- 積載時の運動性能とパワートレーンの耐久性
カングーがどうして十分な性能を発揮できるのか、これらの要素をもとに具体的に解説していきます。
理由1.荷室寸法と積載性能が優秀
カングーは郵便貨物車であるので積載性は非常に優秀です。
荷室寸法・リアハッチ入り口寸法
トランポとしてもっとも重要なバロメーターであるカングーの荷室寸法は、リアシートをたたんだ状態で、
- 荷室長1,803mm
- 荷室幅1,511mm(リアホイールハウス間1,121mm)
- 荷室高1,115mm
この大きさです。
リアハッチ入り口の寸法は
- 開口部高1,100mm
- 幅1,170mm
- 地上高590mm
です。
バイクを車載する上でポイントとなるのが室内高と床面地上高。積み下ろしの労力に関わるカングーの床面地上高は、軽トラより低い590mmとなんとか及第点です。
1,115mmの室内高は、フロアに防汚マットを敷くと考えると1,100mmというのが実質的な高さになります。
1,000mm前後のバイクなら積載可能
中型、大型バイクの全高はおよそ1,300mm前後ですが、諸元表の全高はスクリーンも含む寸法。
カングーに積み込む場合にはスクリーンやミラーを外して、1,000mm前後になるバイクであれば、楽に積み込むことが可能です。
それでも入らない場合は、サスペンションを縮めて全高を抑える、もしくはタイヤを外すか、一時的に小径タイヤへと交換して1,000mm以内に収めれば積み込むことが可能です。
特にサスペンションが長く大径タイヤを履くオフロードバイクを載せる場合には、事前に多大な準備が必要になります。
ルノー カングーにバイクは乗りますが、バイクを選ぶという条件が付きます。180度まで開く観音扉のリアハッチは、2段階のロック機構つきで積み下ろし時の邪魔にならない便利なハッチです。
なおカングーのこの荷室の広さはキャンプにも最適です。キャンプへの適性については以下の記事で解説しているので、興味のある方はぜひこちらもご覧ください。
ルノーカングーがキャンプに最適な理由5つ理由2.バイクの固定方法が豊富
バイクを固定するためのタイダウンベルトの取り回しには問題はありません。
後部座席頭上に三連の小物入れがありますが、これを取り外すことで空間を確保。残ったボルト穴にアイボルトを入れて固定に使えます。
天井両サイドに標準装備の荷掛フックを備えていますが、そのまま使うには耐荷重が不足するため、フックを取り外してここもアイボルトへ交換するのがベターでしょう。
その他ボルト穴はたくさんあるので固定に困ることはないと思われます。
理由3.商用車っぽくない乗り味
フランス車は柔らかい足回りでありながら芯のある乗り味が特徴です。
日本の約1.5倍の国土面積をもつフランスは平地と丘陵地が7割を占め、都市間をつなぐ郊外道路はアップダウンを繰り返すハイスピードのワインディングロード。
街なみには今も昔ながらの凸凹の石畳が敷き詰められるため、フランス車の足回りはしなやかでありながら、高速域でも破綻させないようにするのがフランス流のサスペンションセッティングです。(詳細は以下の記事をご参照ください。)
ルノーはどこの国の車?国産車との違いはこの3つだ!そんなフランス生まれのルノー カングーは、悪条件の道路において、さらに過酷な商用車というカテゴリの代表車種。
バイクの積載時にもフランス車としての乗り味をくずしません。フランス人に合わせた大きめのシートは、柔らかなあたりながら芯のある快適な座り心地。
一般的な商用車では苦痛になる長距離移動も、カングーならば遠方のサーキットへ足を伸ばしたとしても苦になりません。
理由4.エンジン性能・走行性能が高い
現在新車で買えるルノー カングーは、1.2L直噴ターボエンジンの6速MT(250万円)とデュアルクラッチトランスミッションのEDC(260万円)のどちらかです。
直噴ターボとは?メリット3つとデメリット4つ!カーボンや耐久性のトラブル・不具合が多発?!ダウンサイジングされ、やや力不足と思える1.2Lの排気量は、直噴ターボの恩恵で2Lエンジン並のトルクを発生。
ダウンサイジングターボとは?デメリット/欠点2つとメリット3つ!搭載車種も紹介1,750rpmという低回転から発生する最大トルクでバイクを積んでも十分な加速性能を発揮します。
駆動系に負担のかかるトランポとして使用するなら、耐久性の高いMTを選びたいところです。
また、ホイールの穴数は4穴が通常であるこのクラスにおいて5穴を採用するオーバースペックぶりから、乗員と荷物に対する、フランスならではの濃厚な愛情が感じられます。
カングーのトランポとしての使い心地
ルノー カングーを実際にバイクのトランポとして使っているTwitterを集めて解説します。
やはり絶対的な数では、バイクを積載して使われる方は少ないようです。
えらくかっこいい写真が撮れましたが、カングーにベスパが積みきれなくて途方に暮れている図です😭😭😭
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秋ヶ瀬サーキットで行われるスクーターミーティングに参加するのですが、予報は生憎の雨マーク…というわけで、車載テスト。
ぎり… https://t.co/IopgpRJojl pic.twitter.com/rmKBQvlWPQ— ( ‘ω’o[ぴーなっつ]o (@peanut_dp0) 2017年10月12日
スクーター程度なら楽に積み込めると思っていましたが、バイク形状によっては苦労するようです。
これは・・・
楽しみ方は無限大! ルノー カングーとの付き合い方「乗用編」 – WEB CARTOP – https://t.co/Kt5gh5fRsm pic.twitter.com/TDORT9lHKu
— さぶろー@S1000R (@saburo_bike) 2017年12月21日
全長2,070mm、全幅715mm、全高1,130mmのYAMAHA YZF-R1もスクリーンを外せばなんとか収まるようです。
載せるには少々手間がかかりますが、トランスポーターとしても使えながら、乗用車としての快適性と豊かな低速トルクによるドライバビリティをバランスさせているのがルノー カングーの強みです。
初代カングーのトランポがパドックに並ぶというレアな状況(明日も同じ) pic.twitter.com/Z4vly2jc97
— ゆうのり (@yu_nori) 2015年12月19日
オフロードバイクは無理かと思いきや、初代カングーに載せている方がいらっしゃいます。
工夫次第では、よほど大型のバイクでなければカングーに載せることは可能なようです。
もしカングーの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!カングー以外のトランポの選択肢
理想のトランポとされるトヨタ ハイエースを多くのプライベートレーサーが使うのは、ハイエースがトランポとしてもっとも機能的なパッケージングと実用性を備えているからに他なりません。
ハイエースを買っておけばまず間違いはないのですが、ハイエースは中古であっても以外なほど高価なうえ維持費も高く、ファミリーカーとしてはやや持て余してしまいます。
おまけに盗難確率もNo.1と、ハイエースならではのデメリットが存在します。ハイエースの代わりとしてトランポによく使われる車と、カングーとを比較します。
ハイエースについては以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもご参照ください。
ハイエースがトランポに最適な理由4つ!使い心地まで解説!トヨタ タウンエース
ミニ・ハイエースとも呼べるトヨタ タウンエースは、バイク専用小型トランポとしては最適。この点はカングーと同じです。
1.5Lエンジンに4ATと5MTが用意され、価格は181万円からで安いので、とにかく値段を抑えたいならタウンエースはカングーより適しています。
しかしタウンエースはカングーと比べ乗用性がよくないので、普段乗りもするなら少し高くなってもカングーの方がベターです。
ホンダ ステップワゴン
最も廉価な1.5Lターボ+CVTの価格はカングーとほぼ同じ245万円。
ホンダ自慢の底床プラットフォームにより、約400mm床地上高でバイクを積み込みやすく、1425mmの室内高は、ほとんどのバイクがそのまま収まるうえ、乗用車であるため快適性も申し分ありません。
しかし、伝達トルクの劣るCVTは、長期に渡る高負荷の使用ではCVTの故障を引き起こす可能性が考えられるため、商用車としての耐久性にも優れるカングーがベストです。
快適性とバイクの乗降性を重視するなら1BOXのミニバンも賢い選択といえます。
なおステップワゴンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ステップワゴンがトランポに最適な理由4つ!使い心地まで解説!ステップワゴンの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!日産 NV200 バネット
和製カングーと呼ばれるほどカングーに似通ったスペックを持つ日産 NV200。
エンジンは自然吸気の1.6L、トランスミッションは4ATと5MTが用意され、価格は174万円からとトランポとして使えるパワートレーンでありながら、お手頃な価格設定されています。(自然吸気エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!室内高1,320mmはカングーを上回り、積載できるバイクの範囲はカングーより広がりますが、どんなバイクでもそのまま積み込めるほどの高さではないため、決定打とはなりません。
商用然とした雰囲気はタウンエースほどではないものの、リーフスプリングの固い乗り心地をトランポとして割り切れるならば買いですが、積載性能と快適性能の両立させるという点ではカングーをおすすめします。
トヨタ シエンタ福祉車両 車いす仕様タイプ2
少し変わり種がトヨタ シエンタの福祉車両。
「車いす仕様タイプ2」は、バイクとほぼ同サイズの医療用ストレッチャーをそのまま積み込める、なだらかな傾斜フロアとスロープが備わり、バイクの積み下ろしが非常に楽に行える点がカングーや他のトランポにはない特色です。
しかし、自然吸気1.5LエンジンにCVTの組み合わせは、パワー・耐久性ともに不足しているうえ、価格はカングーに迫る230万円から。
用途の似ている福祉車両をトランポとして転用するのは良いアイデアですが、より重量物のバイクを載せるのは車に大きな負担がかかります。それならば最初からカングーを買ったほうが後悔せずに済みます。
なお普通のシエンタではありますが、以下の記事でも取り上げています。興味のある方はこちらも目を通してみてください。
シエンタの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!シエンタ(ガソリン/ハイブリッド)の試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!カングーはトランポとしてはそこそこ活躍できる
バイクのトランスポーターとして使うには、室内が広く高い方が圧倒的に積み込みやすいのが実情であり、ルノー カングーのやや低めの室内高は、積載できるバイクを制限してしまう点が最大の不安要素です。
しかし、カングーのトランスポーターとしてのデメリットはそこ一点のみなのです。
トランスポーターとしての高性能でありながら、乗用車としての走行性能と快適性を誇るオシャレなルックスのルノー カングーが、日本におけるルノー車の総販売台数の6割を占めるのも納得できます。
日常レジャーの用途に使うのならば、これ以上に魅力的な車はないでしょう。
カングーの車内に、積みたいバイクが載るのであれば、カングーを買って間違いはありません。トランスポーターとしてだけでなく、あらゆる要求を満たしてくれることでしょう。
もしカングーに載らないバイクだったり、今後より大きなバイクに乗り換えの予定がある、または載せるための手間を省きたいというのであれば、底床で広い室内のホンダ ステップワゴンを初めとする乗用1BOXカーの方がおすすめです。(ステップワゴンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ステップワゴンの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トランスポーターに「積載のための道具として割り切るか」、「ただの道具以上の使い心地を期待するか」の選択をつきつけるルノー カングーは、フランス人女性のような魔性の魅力を秘めています。
バイクを載せるために、手がかかっても、振り回されても、車もバイクも好きだという方にはルノー カングーがおすすめです。
これからカングーを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
カングーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!カングーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!