スズキ スイフトはスポーティなデザインが特徴のコンパクトカーで、スズキの世界戦略車に位置付けられる重要な車です。
そんなスイフトですが、雪道への適応度についてはあまり解説されていませんよね。
そこで今回はスイフトが雪道に強いのかどうなのかを徹底解説しちゃいます。
スイフトは雪道での走行は特に強いわけではない
スイフトは現行型で4代目となり、4代目は2017年にフルモデルチェンジしたばかりの比較的新しい設計の車です。
駆動方式はFFを基本として、前輪がスリップしたときのみ駆動力を後輪にも伝えるオンデマンド式4WDもラインナップしています。
スイフトが雪道に強いかどうかはのちほど詳しく説明しますが、まず基本的に雪道走行にはタイヤをスタッドレスタイヤにするのは必須で、豪雪地帯ではそれに加えてチェーンが必要です。
スイフトに限らずどれほど雪道に強い車でも路面と唯一接触するタイヤが滑ってしまっては元も子もありませんので、タイヤを履き替えていることを前提としてお話しします。
それに加えて雪道ではスピードを落として走行し、慎重に運転するとともになにかあってもすぐ対応できる心構えが必要です。
現行スイフトはエンジンなどの仕様で大きく5タイプに分けられますので、それぞれの基本スペックを表にまとめた上でスイフトの雪道走行について詳しくご説明します。
なおスイフトにはスイフトスポーツという派生車種がありますが、こちらも一緒にご説明します。
項目 | ハイブリッド車 | マイルド ハイブリッド車 | ガソリン車 (1.2L NA) | ガソリン車 (1.0Lターボ) | スイフトスポーツ |
駆動方式 | FF | FF/4WD | FF/4WD | FF | FF |
エンジン | K12C型 1.2L直4 DOHC16バルブ 吸排気VVT +モーター | K12C型 1.2L直4 DOHC16バルブ 吸排気VVT +モーター | K12C型 1.2L直4 DOHC16バルブ 吸排気VVT | K10C型 1.0L直3 ターボ DOHC 12バルブVVT | K14C型 1.0L直4 直噴ターボDOHC 16バルブVVT |
最高出力 | エンジン: 67kW<91PS>/ 6,000rpmモーター: 10kW<13.6PS>/ 3,185rpm~ 8,000rpm | エンジン: 67kW<91PS>/ 6,000rpmモーター: 2.3kW<3.1PS>/ 1,000rpm | 67kW<91PS>/ 6,000rpm | 75kW<102PS>/ 5,500rpm | 103kW<140PS>/ 5,500rpm |
最大トルク | エンジン: 118N・m <12.0kg・m>/ 4,400rpmモーター: 30N・m <3.1kg・m>/ 1,000rpm~ 3,185rpm | エンジン: 118N・m <12.0kg・m>/ 4,400rpmモーター: 50N・m <5.1kg・m>/ 100rpm | 118N・m <12.0kg・m>/ 4,400rpm | 150N・m <15.3kg・m>/ 1,700rpm- 4,500rpm | 230N・m <23.4kg・m>/ 2,500rpm- 3,500rpm |
変速機 | AGS | CVT | 5MT/CVT | 6AT | 6MT/6AT |
最低地上高 | 120mm | 120mm~ 145mm | 120mm~ 145mm | 120mm | 120mm |
車両重量 | 940kg〜 960kg | 900kg〜 970kg | 840kg〜 960kg | 930kg | 970kg〜 990kg |
価格 | 1,668,600円〜 1,949,400円 | 1,625,400円〜 1,941,840円 | 1,343,520円〜 1,713,960円 | 1,594,080円〜 1,844,640円 | 1,836,000円〜 2,050,920円 |
※上記の表にある直3、直4エンジン、マイルドハイブリッドの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!マイルドハイブリッド(MHEV)とは?仕組み/構造は?搭載車の燃費は悪いのか解説!軽量なのは諸刃の剣
まず現行型のスイフトの大きな特徴として、車両重量の軽さがあります。しかし雪道走行において重量の軽さはよいことだけではなく、デメリットもあります。
これまでのスイフトでも車の軽さに重点をおいて設計されており、現行型でもさらにその特徴を伸ばしています。
コンパクトカーとはいえ普通車なのにもっとも軽い仕様で840kg、重たいスイフトスポーツでも990kgと1t切りを目指して設計されています。
この重量はトールワゴンタイプの軽自動車より軽く、このおかげで運動性能や燃費に良い影響があります。(加速性能については以下の記事をご参照ください。)
スイフトの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?しかし車の重量が軽いと路面に駆動力を伝えにくくなる点があり、雪道では車が滑り出すまでの限界性能が低下します。
アクセルワークやブレーキが荒いと車のタイヤが空転したり、スリップが始まります。
とはいえ重量が重たいと滑り始める限界性能は高くなりますが、ひとたび滑り出してしまうと今度は重さがネックとなり立て直すのがとても難しくなります。
よく雪道で大きな4WDのSUVがスタックしていることがありますが、これは滑り出したあとで復帰できなかったことがよくあります。
この点ではスイフトの重量の軽さはメリットとして機能し、車が軽い分立て直すのが容易です。
スイフトの特徴を活かす運転としては、荒い運転になったときに滑り出すことを把握しておけば、そのあとで慌てず立て直すようにすることです。
一旦滑り出しても慌てなければハンドルワークやポンピングブレーキを活用して対応ができます。
4WDは思ったほど効かない
スイフトにはFFと4WDがあり雪道に強いのはどちらかと言えば4WDなのですが、スイフトの4WDシステムではあまり雪道には強くありません。
4WDシステムにもさまざまありますが、スイフトのシステムは「オンデマンド式」と呼ばれるシステムで、通常走行時は前輪だけのFFですが、スリップを検知した時点で後輪にも駆動力を配分して4WDとなります。
通常走行時はFFなので燃費や騒音がよくなるメリットはあるのですが、4WDとしては簡易的なシステムといえます。
このシステムでもFFよりは雪道に強いのですが、前輪が滑り出してから後輪が駆動するので雪道ではスリップしやすいといえます。
またそもそもスイフトは出力やトルクがそこまで大きくなく、配分するとしてもそこまで4輪での駆動力は大きくできません。
雪道を走るのであれば、常に4輪が駆動できるフルタイム4WDが望ましいですね。
さらにスイフトの1.0Lターボモデルとスイフトスポーツには4WDの設定がありませんので、雪道走行を考えるとこの2仕様は選べません。(ターボの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!なおスイフトの主要緒言では「フルタイム4WD」と表記されていますが、2WDと4WDをドライバーが選択できないのでそう記載されているだけであり、多数ある4WDシステムを分類する規則がないのでフルタイムと記載されてしまっています。
実際にはパートタイム式に近いシステムですのでご注意ください。
わだちの上ではスタックの可能性も
スイフトは乗用車のコンパクトカーなので車高は低い車ですが、その分床面の最低地上高も低く雪のわだちなどに乗り上げてしまう可能性が高いです。
わだちが凍結して固くなっているとスイフトの軽さとトルクの少なさではそのままスタックしてしまうこともあります。
雪が深い道ではタイヤが通る道だけ雪が減り、その間のタイヤがない部分に雪がたまっていることがあります。
これをわだちといい、雪道を走るときにはできるだけわだちに乗り上げないよう走るのが普通です。
しかし積雪が深くわだちの高さが高い場合、スイフトの最低地上高ではわだちにぶつかってしまうことがあります。
雪がまだ柔らかいときには問題は少ないのですが、雪が凍結して固くなっているとそのまま床下にガリガリぶつかることになります。
朝方などでわだちが固く凍結すると、最悪そこに床面で乗り上げてしまってタイヤの駆動力が逃げ、前にも後ろにも進めずスタックする可能性もでてきます。
SUVなどは大きなタイヤと車体設計で最低地上高をあげていますが、雪道でもその特徴は活かされスタックしにくい車です。
それと比べるとスイフトは深い雪道ではリスクが大きく、路面状況の見極めが非常に重要となるでしょう。
ESP標準装備は心強い
ここまでスイフトが雪道に不向きな点ばかりご説明することになってしまいましたが、ESPと呼ばれる横滑り防止装置が全車標準装備されているのは心強い点です。
ESPは(Electric Stability Program)の略で、横滑り防止装置のほかにトラクションコントロール、ABS(Anti-lock Break System)がすべて組み合わされたシステムです。
このうちトラクションコントロールは発進時のタイヤの空転を制御し、ABSでブレーキ時の空転を制御しますので、雪道での発進時や減速時に威力を発揮します。
また横滑り防止装置はカーブでのスリップを抑制できますので、こちらも雪道に強くなるシステムです。
これまでこれら一つずつの機能は標準装備されていたりオプション設定となったりさまざまでしたが、現行型スイフトではすべてを含むESPが標準装備になっているのは素晴らしいです。
これがあるから雪道で絶対滑らないというわけではないので過信は禁物ですが、確実にないよりは安定した雪道走行が可能となっているでしょう。
なおあまりに雪が深い場合はESPがあるとスリップばかりとなり走り出せなくなるので、その場合はESP OFFスイッチを使って解除しましょう。
どれぐらいの状況でOFFにするかは経験が必要ですが、どうしてもスリップして発進できないときには一度ESPを切ってみてください。
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スイフトの雪道走行性能の世間からの評価
スイフトで雪道走行した時の実際の状況はTwitterにいくつも投稿されており、非常に参考になります。
今回はそのなかから何件かご紹介しましょう。
スイフトで雪道は慎重に
最近雪降ると今年の2月くらいに代車でCVTのスイフトで雪道走った時自分の感覚で大したことないところではまって何十分も雪と格闘してたこと思いだす
それからは大したことないと思ってのはkeiワークスのすごさを当たり前に思っていたからなんだと気づいてはまらず雪道を走ってくれるkeiワークスに感謝— さすらい@愛車はスイスポのす~ (@suzukihn22s) 2017年12月27日
雪かきつかれたー( ゚Д゚)いいタイミングでとしききてくれたで手伝ってくれたヽ(^0^)ノにしてもスイフト雪道弱すぎ(^^;)車体軽いな(^^;)
— ともろー (@t0m0ty0607) 2013年1月28日
スイフトでの雪道運転の実際を教えてもらえる貴重なツイートです。
keiワークスにも負けてしまうくらいの性能だそうですね。他のツイートを見てもあまり良い評価はありませんでした。
また4WDはやはり無理は禁物で、多少はマシぐらいに考えておく方がよいでしょう。
新雪の道ではESPをOFFに
今朝も用事でスイフトくんを始動。うちの所みたいな、ろくに除雪できてない道からの脱出には、ESPのOFFが必須。あとは勢いと切り返しで一気に。雪道の運転は、経験値の積み重ねだよなぁ。
— 郡文 (@softkazsan) January 27, 2018
この方のまわりではESPありの場合では車が発進できないのでOFFが必須だそうです。
状況としては除雪がされていない雪道のようですね。
それに加えて一気に発進することや切り返しで脱出するなどの技術が必要なようで、雪道は経験がないと厳しいものがありますね。
スイフトの雪道性能をほかの車と比較
ここまでスイフトの雪道走行での性能についてまとめてみましたが、やはり特別雪道に強い車というわけではないので不向きな点が並んでいます。
とはいえスイフトのような一般的なコンパクトカーではおおむね同じような性能ですので、スイフトが特別雪道に弱いというわけではありません。
しかしスイフトと同じ価格帯の車には比較的雪道に強い車もありますので、次はそんな車を何台かご紹介しましょう。
なおスイフトの価格帯は前述のとおり1,300,000円台から2,000,000円までなので、大半のコンパクトカーや軽自動車まで幅広い車種が入る価格帯ですね。
スズキ XBEE
XBEEは2017年12月に初登場したでき立てホヤホヤの新型車で、コンパクトSUVに分類される車です。
価格は1,700,000円程度とスイフトより多少高めですが、この価格帯でSUVとしての特性を兼ね備えています。
まず最低地上高が180mmと高く、スイフトよりもわだちなどへの乗り上げは有利です。
またスペック的にはスイフトとほぼ変わりませんが、XBEEには走行サポートシステムとしてグリップコントロールとヒルディセントコントロールが採用されており、前者はよりスリップに対応する制御、後者は下り坂でのブレーキサポート機能となり、雪道走行にはかかせないシステムです。
さらに走行モードとして”スノーモード”を備えており、スイッチを切り替えることで瞬時に車の制御が変わります。
雪道専用のモードを備えていることからもXBEEが雪道を考えて設計されていることがわかり、スイフトより確実に向いているでしょう。(XBEEの情報は以下の記事でも解説しています。)
スズキ新型クロスビーの最新情報!価格や内装を公開【東京モーターショー2017】なおXBEEは同じスズキの軽自動車であるハスラーの普通車バージョンです。ハスラーにも前述した雪道用装備は装着されており、エンジンパワーやトルクの少なさを除けばハスラーも雪道には強い車です。
ハスラーの雪道性能は以下の記事で詳しく解説しているので、あわせてご覧ください。
ハスラーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スバル インプレッサ
インプレッサはスバルの普通車で最廉価モデルになりますが、価格帯としてはスイフトより多少上でAWD(4WD)は2,100,000円程度からとなります。
しかし雪道での走行性能の高さは国産車の強豪車より頭ひとつ抜け出ており、スバルが雪道に強いと言われる特徴を備えています。
インプレッサをはじめとするスバル車は全輪駆動システムにフルタイム4WDを採用しており、スイフトのシステムと違い常に4輪に駆動力がかかります。
これだけでも雪道に強いのですが、さらにアクティブトルクスプリット方式AWDという制御が入っていて4輪それぞれにかかる駆動力を自動的に制御して常に最適な走行条件に整えます。
スバル車は雪国では圧倒的な人気を誇りますがそれはこれら雪道の走破性の高さから出ており、雪道での実績は間違いなく国内メーカートップです。
ただインプレッサは最低地上高が130mmとスイフトと変わらない点もありますが、もう少し価格帯をあげれば200mm確保したスバル XVという選択肢も出てきます。
なおインプレッサについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
インプレッサは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!インプレッサG4の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!スズキ ジムニー
スイフトとほぼ同じ価格帯の車に同じスズキのジムニーがありますが、ジムニーは軽自動車ですが雪道の走破性は圧倒的に高い車です。
ジムニーは非常に特殊な軽自動車で、本格的なクロスカントリーSUVの性能を兼ね備えています。
耐久性の高いラダーフレームをはじめとして大径タイヤ、リジッドサスペンションなど、オフロード走行に不可欠な要素をたくさん持った車です。(走破性の詳細は以下の記事をご覧ください。)
ジムニーの走破性を徹底解剖!クロカン・オフロード性能はいかに?!最低地上高は200mmと高く、また4WDシステムも2WDと4WDを任意に切り替えられるパートタイム4WDです。
4WDに設定すれば常に4輪駆動となり、雪道走行でしっかりした走破性を持たせられます。
さらに変速機は副変速機付きなので、トルクが必要な場面では普通の車とは比べ物にならないパワーを発揮します。
なお軽自動車のジムニーには4WDの電子制御系はなく、トラクションコントロールなどのスリップ防止装置もありませんので、ドライバーの経験がすべてです。
しかしジムニーの普通車バージョンであるジムニーシエラには横滑り防止装置やトラクションコントロールは装備されており、価格帯も1,800,000円ぐらいまでなので、軽自動車でなくてもよいならこちらもおすすめです。
ジムニーの雪道走行性能については以下の記事でも取り上げているので、こちらもあわせてご覧ください。
ジムニーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スイフトは雪道走行する車としては買いではない
ここまで説明してきたことを総合すると、スイフトは雪道走行に強い車というわけではなく、あくまで標準的な雪道走行が可能なコンパクトカーという性能しかありません。
しかしスイフトと同じようなコンパクトカーには雪道に強い車というのはほとんどなく、性能的にはコンパクトカー全般に言えることですので、雪道走行を重視するならコンパクトカーはベストの選択肢とはならないでしょう。
スバル車は素晴らしい雪道走行性能を持っていますので、スイフトと同じような乗用車としてインプレッサは良い選択肢です。ただ価格がやや高い点には注意しましょう。(価格の詳細は以下の記事をご参照ください。)
スバル車が高い理由2つ!価格が高額な車種ランキングとともに解説!またもともとの設計が雪道に強いコンパクトSUV系も便利で価格もよいですが、こちらはスイフトほどスポーティなデザインではないので、デザインと雪道走行性能どちらを重視するかは人それぞれとなります。
スイフトと雪道は決して相性はよくないので、どうしてもスイフトが良い場合はしっかり雪道走行用の装備を揃え、さらに経験を積むことが大事です。
そこまでしても深い雪には対応できませんので、あまりひどい雪の時は運転を諦めるなどの対応も必要となるでしょう。
これからスイフトを買おうと思っている方は、以下の記事も一緒にご覧ください。購入の参考になりますよ。
スイフトの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?【画像】スイフトはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!