今、カジュアルなスタイルのSUVが流行っていますが、その立役者といえば、ホンダの「ヴェゼル」ですよね?
ハイブリッドのエコなイメージと、親しみやすいキャラクターにより、今もなお人気絶頂です。
しかしながら、それゆえに「SUVっていっても形だけでしょ? 走破性は低いよ」なんて声もよく聞きます…。
というわけで今回は、ホンダ「ヴェゼル」の雪道走行について、さまざまな角度から徹底分析してみました。
ライバル車とも比較してみたので、購入について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
ヴェゼルは雪道での走行はどうなのか
FFと4WDをラインナップするヴェゼルですが、4WDモデルなら、雪道でも安心して走ることができます。
もちろん4WDというのが大きな要因ではありますが、ヴェゼルは構造自体が雪道に対応しているんです。コンパクトではあるものの、さすがはSUVといったところですね。
それでは、諸元を参考にしながら、具体的な話にまいりましょう。
項目 | 諸元 | |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc | 1,496cc |
最高出力 | 131PS/6,600rpm | エンジン:132PS/6,600rpm モーター:29.5PS |
最大トルク | 15.8kgf・m/4,600rpm | エンジン:15.9kgf・m/4,600rpm モーター:16.3kgf・m |
車重 | 1,180-1,270kg | 1,270-1,390kg |
全長×全幅×全高 | 4,330×1,770×1,605mm | |
最低地上高 | 185mm | |
駆動方式 | FF/4WD |
※水冷、直列4気筒、DOHCエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!走行性能の評価
路面がツルツルな日は、信号で発進できず、立ち往生してしまうことが多々あります。
交差点はアイスバーンになりやすいため、とくにスリップしやすいポイントですからね。他にも登坂や駐車場など、走りにくい場所は日常のいたる所に潜んでいます。
ヴェゼルは安心して走れるのでしょうか? 雪道走行には、こんなものが求められます。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- 車重の重さ
- トルクの大きさ
ヴェゼルはこの4点のうち、「車重」以外は満たしていますね。
車重が重いほうが有利なのは、グリップ力が働きやすいからです。摩擦の力は、その物体に加わる荷重が大きいほど強く働きます。
すなわち、重い車のほうが、タイヤがグリップするということ。
のちほど詳しく触れますが、ヴェゼルはコンパクトSUVのなかでも軽量なモデルなので、発進時のグリップ力が弱いといえます。
しかし、それ以外は問題ありません。
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。電子制御により、前後のトルク配分を適切にコントロールするので、雪の上でも安心して走ることができます。
次に「最低地上高」ですが、これは150mm以上が楽に走れるラインといわれています。「185mm」のヴェゼルなら余裕をもって発進できますね。他の車に比べて、轍にも強いです。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められますね。モーターによって低速域からトルクを発揮できるので、雪の上でもバッチリ。
ただし、スタック(雪にハマること)したとき、モーターが駆動しないケースがあるので、雪から抜け出すのに骨が折れるかも…。トルクの数値自体はそれほど大きくないので、走破性にもやや欠けます…。
念のため、「牽引ロープ」「スコップ」「スタックラダー」などを準備しておきましょう。
まとめると、準備さえしておけば、ヴェゼルは雪道でも安心して走れるモデルといえますね。あまりハードな使い方はできませんが、日常使用なら問題ないでしょう。
なおスピードという意味でのヴェゼルの走行性能については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご参照ください。
ヴェゼルの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?コーナリング性能の評価
「ただ走れさえすればOK」なんてことはありませんよね?
雪道では、ドライな路面以上にコーナリング性能が重要です。路肩に突っ込んでいる事故現場を、たびたび目にしますよね。こうはなりたくありません…。
コーナーリング性能には、このような条件が求められます。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。
このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。ようするに、コーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。
しかし、雪道は摩擦が極端に少ないため、軽いボデイのほうが有利とされています。グリップ力よりも、コーナリングフォースを減らしたほうが安全に旋回できるということ。
その点、ヴェゼルは軽量なので有利といえますね。
また、コーナーにおいては重心が低いほうが安心。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが利かず、横転してしまうことがあります。
雪国の方なら、真冬の峠道で軽自動車が横転している光景を、よく目にすることでしょう。
周知のとおり、「N-BOX」などスペース系モデルを除けば、ホンダ車は全般的に重心が低いです。
ヴェゼルも重心が低いので、コーナリングでは有利。この安定感はSUVでも随一のものでしょう。
したがって、雪道のコーナーにおいては、ヴェゼルはかなり強いモデルいえますね。油断は禁物ですが、峠道なども安心して運転することができます。
ブレーキ性能の評価
最後に分析するのは、「ブレーキ性能」です。雪道性能において、最重要ポイントといえるでしょう。なにせ、スリップによる事故がほとんどですからね。
ブレーキシステムの制動力や、タイヤの性能も重要ではありますが、他にもこんなものが関連しています。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。なんとなく、重い車は止まりにくいイメージがありますよね?
事実、重量が大きいほうが、静止させるのに多くのエネルギーを必要とします。
しかし、荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるのです。それに、重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力に設計されています。
ゆえに、車の制動距離に関して、車重は関係ないのです。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。
「では、どうなのか?」というと、イメージのとおり、重い車のほうが止まりにくいのです。
理由を簡単に説明すると、雪によって極端に摩擦力が減り、グリップ力が荷重に対して比例しないから、ということです。
少し、長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。前述のとおり、ヴェゼルは軽いので、ブレーキに関しても有利なのです。
また、4WDというのも、実は有効なんです。駆動方式はフットブレーキとは直接関係ありませんが、エンジンブレーキは関連が深いんですよ。
なにせ「駆動するのが2輪か?4輪か?」という話ですからね。
停車直前に、アクセルオフやエンジンブレーキで減速力を働かせておくことで、スリップの危険を減らすことができます。
2輪駆動車でエンジンブレーキを使うと、横滑りする恐れがあるのですが、4輪駆動ならその心配もありません。
まとめると、ヴェゼルなら雪道のブレーキングも問題ありません。過信せず、早めに減速すれば日常使用なら安心して運転することができます。
もしヴェゼルを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ヴェゼルでの雪道走行での評価は?
ヴェゼルのの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?
Twitterから感想をいくつかピックアップしてみました。
これって純正装着タイヤのグレードの違いとかそういうアレじゃないの?
そうじゃないんだったらフォレスターすごい。しかし、ヴェゼルも意外とやる子なんですよ。
雪道でエクストレイルが走行不能になってるとこ助けたことある。— Caesar Brown Suzuki 鈴木凱撒伯朗 (@caesarsuzuki808) 2018年6月1日
雪道に強いメーカーといえば、スバルの名を挙げる人が多いかと思います。スバルのAWDは非常に優秀ですからね。
しかし、ヴェゼルだって負けちゃいませんよ。スタックしたエクストレイルを救出できるくらいなんですから。(エクストレイルの雪道性能の詳細は以下の記事をご参照ください。)
エクストレイルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!ヴェゼルさん雪道強いな
さすがAWD
前乗ってたbBならもう3回くらい死んでる笑— たかへろ (@Laurentech_SPAZ) 2015年1月15日
FFファミリーカーとは比較にならないほど走行性能が高いヴェゼル。以前bBに乗っていたというこちらの男性は、その違いを痛感したようですね。
AWD(常時全輪駆動)によって安定感は抜群です。
今回
レンタカーはヴェゼルを借りれたのだが
雪道の走破力は小型でもSUV、あと室内空間はよかった
ただ操作性とホンダセンシングは微妙
とくに自動ブレーキサポート?は怖いわww— パルFUJIさん (@FUJI_Hayabusa66) 2018年2月27日
いくつか気になったポイントはあるものの、雪道の走行性能については、文句がないという感想です。
コンパクトでハイブリッドゆえに、SUVとしての機能を心配されることが多いヴェゼルですが、雪でもしっかりとパフォーマスを発揮しますよ。
なおヴェゼルの口コミ・評判については以下の記事でもまとめているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
ヴェゼルの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ヴェゼルの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「同クラスで比較すると、どうなのか?」ということ。各メーカーのライバル車の性能と比べてみましょう。
今回比較対象に選んだのはトヨタ「C-HR ターボ」、マツダ「CX-3 XD」、日産「ジューク 16GT FOUR」の3台です。
トヨタ C-HR ターボ
トヨタのコンパクトSUVといえば、環境性能が強く意識された「C-HR」です。ヴェゼルとはバチバチのライバル関係にあります。
雪道走行についてはどちらが上なのでしょうか? まずは諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHC ICターボ |
排気量 | 1,196cc |
最高出力 | 116PS/5,200~5,600rpm |
最大トルク | 18.9kgf・m/1,500~4,000rpm |
車重 | 1,570kg |
全長×全幅×全高 | 4,360×1,795×1,550mm |
最低地上高 | 155mm |
駆動方式 | 4WD |
※ターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!駆動方式は同じく、FFと4WDの2種類ですね。特徴として挙げられるのは、ヴェゼルよりも最低地上高が3cm低く、車重が200kg重いこと。
したがって、発進性能に関しては重量のあるC-HRにアドバンテージがありますが、その他の性能については、ヴェゼルのほうが上手でしょう。
C-HRについては試乗記事もございますので、購入を検討している方はこちらも参考にしてみてください。
C-HR(ターボ/ハイブリッド)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!マツダ CX-3 XD
マツダから選んだコンパクトSUVは「CX-3」のディーゼルモデル「XD」です。
同社フラッグシップSUV「CX-5」のダウンサイジングモデルですが、雪道性能はいかほどでしょうか? 諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ ディーゼルターボ |
排気量 | 1,756cc |
最高出力 | 116PS/4,000rpm |
最大トルク | 27.5kgf・m/1,600~2,600rpm |
車重 | 1,300-1,370kg |
全長×全幅×全高 | 4,275×1,765×1,550mm |
最低地上高 | 160mm |
駆動方式 | FF/4WD |
こちらも、ラインナップはFFと4WDの2種類です。車重は同程度で、最低地上高は2.5cmヴェゼルのほうが高いですね。
CX-3の特徴はディーゼルターボによる太いトルクでしょう。パワーに関しては、完全にヴェゼルの上を行っていますね。
しかし、雪道では「パワフルだから優れている」ということはありません。トータルの走行性能は大差ありませんが、運転のしやすさは最低地上高の高いヴェゼルが上手でしょう。
CX-3の雪道性能は以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
マツダCX-3は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!日産 ジューク 16GT FOUR
最後に比較するのが、日産より「ジューク」です。キャラクターとしてはスポーティな印象がありますが、雪道での走行性能はどうでしょうか?
ジュークの諸元はこちらになります。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHCターボ |
排気量 | 1,618cc |
最高出力 | 190PS/5,600rpm |
最大トルク | 24.5kgf・m/1,600~5,200rpm |
車重 | 1,370-1,390kg |
全長×全幅×全高 | 4,135×1,765×1,570mm |
最低地上高 | 170mm |
駆動方式 | 4WD |
ジュークの1.6Lターボモデルの「16GT FOUR」は、4WDの設定になっています。ターボらしく、トルクは24.5kgf・mとなかなかのもの。車重はヴェゼルと同じくらいで、最低地上高はジュークのほうが1cm低いですね。
エンジンの性能が高い分、雪道走行の性能はジュークのほうが上手でしょう。ジュークのほうが背も低いので、コーナーでの安定感も高そうです。
ヴェゼルは雪道走行する車としては買いか
というわけで、ヴェゼルの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、『雪道での走行性能は申し分ないが、本格的な走破性には欠ける』といった感じですね。
オフロードのような荒れた路面を走行するパワーはありませんが、日常レベルの雪道なら問題なく走行できるでしょう。
したがって、冬に乗る車としておすすめできる一台といえます。
ヴェゼルについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
ヴェゼルの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!ヴェゼルがファミリーカーとして最適な3つの理由