いまやクロスオーバーSUVは、各社ラインナップを取り揃えており、大激戦区となっている市場です。
SUVの魅力は何といっても「使い勝手のよさ」だと思いますが、これには走行性能、とりわけ「加速性能」が大きな要因ではないでしょうか?
なにせ「SUV」の「S」は「スポーツ」の意ですからね。
というわけで今回は、マツダのコンパクトSUV「CX-3」について、「加速性能」にフォーカスして解説していきたいと思います。
「0-100km/h加速」や「オーナーの声」「ライバル車との比較」など、さまざまな角度から具体的に見ていきましょう。
CX-3の加速性能
2015年に登場した「CX-3」ですが、当初はディーゼルモデルのみのラインナップとなっていました。
ディーゼルエンジンは、踏み始めから太いトルクを発揮することが特徴ですが、中~高速域にかけてトルクが薄くなっていきます。
大排気量ならともかく、1.5Lモデルしか用意されていないCX-3にとっては、これは大きな弱点でした。
つまり、低速域だけパワフルで、その後は思うように加速しないのです…。
加えて、ディーゼルモデルは価格も高かったこともあり、「走行性能」と「価格」の選択肢を増やすため、マイナーチェンジではラインナップの拡大が望まれていました。
マイナーチェンジを経て加速が向上!?
こういった経緯もあり、2017年7年に待望のマイナーチェンジを迎えたCX-3。この後期型モデルの加速性能が、飛躍的に向上していると話題になっています。
ディーゼルモデルはもちろん、新たに追加されたガソリンモデルが、なかなか速いんです。(ディーゼルとガソリンエンジンの違いの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い3つ!比較すると熱効率や寿命が全然違う?!速いといっても、以前のモデルに比べて向上している程度なので、本格的な走行性能を持つ車には一歩及びません…。ただし、コンパクトクラスで上位の性能であることは間違いないでしょう。
ましてや欧州車に匹敵する「美麗なフォルム」によって、デザイン性も高く評価されているわけですから、車としての仕上がりは申し分ありませんね。
本当はエクステリアなどにも触れたいところですが、今回は加速がテーマなので、走行性能にフォーカスして詳しく解説したいと思います。
なおエクステリアについては以下の記事で詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもご参照ください。
【画像】マツダCX-3はかっこいいのか?デザインについて徹底分析!0-100km/h加速タイム
加速性能を見るのに参考になるのが「0-100km/h加速」のタイムです。発進から100km/hまで加速する機会なんて実際にはほとんどありませんが、性能の指標としては有効といえるでしょう。
しかし、最近ではメーカーが公称することは珍しく、CX-3についても正式なタイムは明らかになっていません…。
そこで、オーナーさんのレビューを参考にして、加速タイムを割り出してみました。
- 2.0L ガソリン(マイナー後期):8.6秒
- 1.8L ディーゼルターボ(マイナー後期):10秒
- 1.5L ディーゼルターボ(マイナー前期):12秒
※ディーゼルターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
ディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介レビューをもとにしているので正式なものではありませんが、大体こんなものでしょう。
8秒というと、一般的には十分加速が速い部類に入りますね。10秒という数字も、同クラスのなかでは平均的な数値です。
ちなみに、マイナーチェンジ前の「1.5L ディーゼルモデル」で12秒程度だったので、ずいぶんと加速性能が向上していることがわかります。
もう少しイメージしやすくするため、これをトヨタブランドの人気車種と比較してみましょう。一覧表にしてまとめてみたのでご覧ください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
86 | 7.3秒 |
レクサス GS300h | 8.0秒 |
レクサス IS300h | 8.1秒 |
CX-3(2.0L ガソリン) | 8.6秒 |
CX-3(1.8L ディーゼル) | 10.1秒 |
アルファード | 10.2秒 |
プリウス | 11.0秒 |
ヴォクシー/ノア | 11.6秒 |
シエンタ | 12.2秒 |
車格はバラバラですが、一般的に人気なモデルと比較してみると、十分速い部類であることがわかります。
なおプリウスの加速性能については、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エンジンラインナップを強化
CX-3の加速性能が高まった理由は、具体的にどんな点にあるのでしょうか?ここからは、もう少し踏み込んで解説していきたいと思います。
まずは、こちらのエンジン性能表をご覧ください。
項目 | 後期型 諸元 | 前期型 諸元 | |
エンジン型式 | S8-DPTS型 | PE-VPS型 | S5-DPTS型 |
種類 | 水冷直列4気筒 DOHC16バルブ ディーゼルターボ | 水冷直列4気筒 DOHC16バルブ | 水冷直列4気筒 DOHC16バルブ ディーゼルターボ |
排気量 | 1,756cc | 1,997cc | 1,498cc |
最高出力 | 116PS/4,000rpm | 150PS/6,000rpm | 105PS/4,000rpm |
最大トルク | 27.5kg・m/ 1,600~2,600rpm | 19.9kg・m/ 2,800rpm | 27.5kg・m/ 1,600~2,500rpm |
内径×行程 | 79.0mm×89.6mm | 83.5mm×91.2mm | 76.0mm×82.6mm |
※水冷、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!左が後期型、前期型のエンジン性能です。加速性能にとって重要な「最大トルク」ですが、ディーゼルモデルを見てみると数値に変化がありませんね。
しかし、排気量が増やされているので、後期型の方が上の領域まで回せるようになっているのです。
前期型は40km/h(3,000rpm付近)までの加速は抜群に優れているのですが、それ以降、伸び悩んでしまう欠点がありました。トルクバンドが低い領域にあり、高回転になるとパワーが不足してしまうのです。
一方、後期型はトルクバンドがやや上の領域までカバーしているので、前期型よりもパワーが使えるようになりました。結果として、「加速力が増した」というわけですね。
ガソリンモデルは新たに導入された「SKYACTIV-G」というエンジンユニットによって、2.0Lクラスにしてはなかなかの高トルクを実現しています。
発進直後のトルクはディーゼルやハイブリッドに及ばないものの、どの回転領域でもバランスよくパワーを発揮できるのです。
SKYACTIVにより最適化されたボディ
車としての総合的な性能は、エンジンだけでは成り立ちません。トランスミッションやシャシーなど、各パーツがどれだけ密に連携できるかが重要です。
CX-3は「スカイアクティブ(SKYACTIV)テクノロジー」によって、より高い水準で実現。高い剛性を持つので、ボディ全体でトルクを受け止めるように加速します。
スカイアクティブといえば、2010年からマツダが掲げている技術ですよね。「アイサイト」や「ホンダセンシング」など、先進安全技術のように勘違いされがちですが、実はまったく異なります。
簡単に説明すると、モデルごとに基本性能をゼロから見直し、同時に刷新することで、車体構造に最適化を図るというもの。各パーツの技術に、SKYACTIVの名を冠していることが特徴です。
通常、自動車の開発は「エンジン部門」「シャシー部門」などがバラバラに進行していきますが、スカイアクティブテクノロジーは各部門の刷新を同時に行うので、車全体の水準を向上させることが可能。
個々のユニットを統合的に制御し、マツダのコンセプトである「人馬一体の走り」を実現しました。
- エンジン:「SKYACTIV-G(ガソリン)」「SKYACTIV-D(ディーゼル)」
- トランスミッション:「SKYACTIV-DRIVE(AT)」「SKYACTIV-MT」
- ボディ:「SKYACTIV-BODY」
- シャシー:「SKYACTIV-CHASSIS」
- 車両運動制御技術:「SKYACTIV-VEHICLE DYNAMICS」
具体的には5つに分けられ、各部門にはこのような技術名称が名付けられています。
加速性能だけでなく、「安定性能」「旋回性能」「減速性能」が底上げされているので、高いパフォーマンスを発揮。
スカイアクティブについては以下の記事で解説しているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
スカイアクティブエンジンとは?どんな仕組み?搭載車は何の車種か紹介!スカイアクティブD(クリーンディーゼル)とは?欠点2つ!不具合や故障が多く耐久性に難あり?!CX-3の実際の加速感
それではネットの投稿を引用して、オーナーさんの感想をいくつか紹介したいと思います。
TwitterとYouTubeから気になるものを見つけたのでご覧ください。
Twitterで見るオーナーの感想
3のガソリンモデル試乗させてもらったけど、やっぱ2Lってだけあって加速感が全然違うのとガラガラ音がしなくて快適だった!
— しゅん@cx-3 (@hs3nu_cx) 2017年8月6日
後期型に改良されてからというもの、「加速感が増した」という感想が後を絶ちません。
ガソリンモデルのスムーズな回転フィーリングは、ディーゼルでは味わえないものがありますよね。ガソリンモデルを投入したのは、大正解だったといえるでしょう。
僕今cx3のディーゼルなんですがいいですよ。低速トルクがあるので加速時に背中を押される感じが癖になります。(ただ内装は狭いですが…。)
— はしししっし (@hasisisissy) 2018年2月5日
ディーゼルモデルもきっちり強化されているので、加速感はアップしています。
踏み出しからガツンとパワーが効いてくるので、シートに張り付けられるような感覚で加速するのが特徴。一度味わったら、病みつきになることは間違いありませんね。
#newcx3
CX-3、1.8ディーゼル。
走り出してまず思ったのは「とても静かになった」。初期型で特に加速時に気になってた「こもるような唸り音」をほとんど感じない。排気量アップの恩恵はパワフルさよりここにあるんじゃないかな。— まさひろ⊿11/19-20ガイシへ全力準備 (@masahiro2010) 2018年6月1日
加速感の向上以外に、「静粛性が増した」という意見も多く見られます。厳密には静粛性というよりも、エンジンの回転領域が増したことで、ノイズが低減したのです。
これによって、運転中のストレスが少なくなり、疲労を感じにくくなりました。
もしCX-3を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!Youtube動画で見る0-100km/h加速
こちらは1.8L ディーゼルモデルの0-100km/h加速を撮影したものですね。
発進から50km/hまではグンと加速していますが、その後ややトルクが枯れていくのが見てとれます。
これでもだいぶ改善したのですが、排気量が大きいCX-5などと比べると、やはり若干の物足りなさは感じてしまいますね。
なおCX-5の加速性能については以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもご参照ください。
マツダCX-5の加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?こちらはガソリンモデルの加速です。
まずまずの加速性能といったところでしょうか。街乗りで使う分には十分な性能ですね。
走りだしのパワーはディーゼルに劣るものの、回転数の上昇に比例して、グングンとスピードに乗っているのがよくわかります。
CX-3の加速性能を他の車と比較
最後に、CX-3のライバルにあたる車と加速性能を比較してみたいと思います。
コンパクト~ミドルクラスSUVということで、ホンダ「ヴェゼル」、トヨタ「C-HR」と性能を比べてみましょう。
ホンダ ヴェゼル
ホンダから販売されるミドルSUVといえば大人気の「ヴェゼル」です。
幅広い層にウケるデザインと、使い勝手のいいサイズ感で、今すごく売れてますよね。
加速性能について比較してみると、どうでしょうか?
項目 | 諸元 | |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc | 1,496cc |
最高出力 | 131PS/6,600rpm | エンジン:132PS/6,600rpm システム:152PS |
最大トルク | 15.8kg・m/4,600rpm | エンジン:15.9kg・m/4,600rpm モーター:16.3kg・m |
こちらがヴェゼルの諸元となります。ラインナップは「1.5L ガソリンエンジン」と「1.5L ハイブリッド」の2種類。
どちらのモデルとも、出力・トルクにおいてCX-5の方が上回っていますね。
また、0-100km/h加速は8~9秒程度ということで、ヴェゼルも加速に定評があるコンパクトSUVですが、発進からの加速はCX-3に分がありそうです。
ヴェゼルの加速性能については以下の記事でも詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもご参照ください。
ヴェゼルの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?トヨタ C-HR
トヨタから販売されるミドルSUVといえば「C-HR」ですよね。
スタイリッシュなキャラクターが似ている両車ですが、加速性能についてはどちらが優れているのでしょうか?
項目 | 諸元 | |
種類 | 直列4気筒DOHC ICターボ | 直列4気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,196cc | 1,797cc |
最高出力 | 116PS/ 5,200~5,600rpm | エンジン:98PS/5,200rpm システム:122PS |
最大トルク | 18.9kg・m/ 1,500~4,000rpm | エンジン:14.5kg・m/3,600rpm モーター:16.6kg・m |
※ターボエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!こちらがC-HRの諸元です。
C-HRはプリウスなどに採用される「1.8L ハイブリッド」と、ダウンサイジングの「1.2L ガソリンターボ」をラインナップしています。(ダウンサイジングターボの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ダウンサイジングターボとは?デメリット/欠点2つとメリット3つ!搭載車種も紹介こちらもパット見てわかる通り、出力・トルクにおいてCX-3の方が上回っていますね。
0-100km/h加速については、おおよそ11秒といわれており、タイムで見てもCX-3の方が優れています。
ターボとハイブリッドをラインナップに持つものの、単純な加速性能に関しては、CX-3の方が勝っているといえるでしょう。
したがって、このクラスで「質感」「加速性能」を重視して選ぶなら、CX-3がおすすめなのです。
なおCX-3については以下の記事でも取り上げているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもあわせてご参照ください。
マツダCX-3は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!マツダCX-3が高い理由3つ!ただ高額なだけじゃなかった?!