CR-Zはスポーティな雰囲気をまとったハイブリッドカーとして、30~40代の男性を中心に人気のモデルです。
シャープなフロントマスクと、サイドからテールにかけての角ばった意匠が、男心をくすぐりますよね。
このルックスから「加速性能はどれくらいなんだろう」と、気になる人も多いんじゃないでしょうか?
というわけで今回はホンダのコンパクトハイブリッド「CR-Z」について、加速性能という点に注目して解説していきたいと思います。
0-100km/h加速のタイムや、オーナーさんの口コミもピックアップしたので、ぜひ参考にしてみてください。
CR-Zの加速性能
スポーティなルックスが目を惹くCR-Zですが、加速性能に関しては「見かけのわりに遅い」とよくいわれます。
ハイブリッドゆえに発進直後の出足は悪くないのですが、期待値を高く持たれがちなので、ガッカリする方が多いですね。
これを踏まえたうえで、CR-Zの加速性能を順序だてて解説していきたいと思います。というわけで、まずはこちらの諸元表をご覧ください。
項目 | 諸元 | |
種類 | 水冷直列4気筒SOHC16バルブ+モーター | 水冷直列4気筒SOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc | 1,496cc |
最高出力 | エンジン:120PS/6,600rpm モーター:20PS | エンジン:118PS/6,600rpm モーター:20PS |
最大トルク | エンジン:14.8kgf・m/4,800rpm モーター:8.0kgf・m | エンジン:14.7kgf・m/4,800rpm モーター:8.0kgf・m |
車両重量 | 1,150kg | 1,180kg |
PWR | 9.58kg/PS | 10.0kg/PS |
TWR | 77.70kg/kgf・m | 80.27kg/kgf・m |
0-100km/h | 8.4秒 | 9秒 |
※水冷、直列4気筒、SOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!SOHCエンジンとは?仕組み/構造は?メリット3つデメリット3つ!ちなみに表の左は6MTモデル、右はCVTモデルのものです。どちらを選ぶかで、微妙に設定が変わってくるんですね。
さらに補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
それでは、具体的な評価を見ていきましょう。
0-100km/h加速タイムの評価
まずは加速性能としてイメージしやすい、0-100km/h加速からチェックしていきたいと思います。
CR-Zのタイムですが、だいたい8~9秒といったところです。スポーツ色を押し出してはいますが、たしかにそれほど速いタイムではありませんね。
数字だけでイメージできない方は、こちらにトヨタの人気モデルのタイムを一覧にしてみたので、参考にしてみたください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
86 | 7.3秒 |
アルファード 3.5L | 8秒 |
カローラフィールダー | 9.0秒 |
プリウス | 9.5秒 |
ヴォクシー | 11秒 |
シエンタ(ガソリン) | 12秒 |
なお上記の表にある車種の加速性能については以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アルファード/ヴェルファイアの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シエンタの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?エンジン性能の評価
続いて、「エンジン性能はどんなもんなのか?」評価してみたいと思います。
まず出力ですが、最高120PSということで、特段優れている感じではありません。1.5Lクラスの乗用車でも、このくらいの出力は出ますからね。
トルクに関しても同様で、14.8kgf・mが最大で、モーターも8.0kgf・m程度です。最近では20kgf・m近いトルクを発揮するモーターが、どんどんハイブリッドモデルに搭載されていますし、スポーツハイブリッドを謳うならもう少しトルクが欲しいところ。
というわけで、エンジン性能は標準的なものであるとわかりました。けっして低くはないのですが、スポーティな外観から考えると、正直物足りなく感じると思います。
ボディ性能の評価
エンジン性能に目を通したところで、これを踏まえてボディの軽量性について考えてみましょう。
車の軽量性を示す指標に、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」というものがあります。簡単にいうと、出力・トルクに対するボディ重量のことです。「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。
CR-Zはボディ重量が1,150kgということで、PWR・TWRを算出するとそれぞれ「9.58kg/PS」「77.70kg/kgf・m」となります。とくにTWRはダイレクトに加速性能に影響する項目なのですが、CR-Zのそれは国産モデルのなかでも「中の上」といった水準。
したがって、「遅くはないけど、特別速いわけでもない」といった感じです。PWR・TWRについても、先ほどのトヨタ車のものをまとめてみたので、参考にしてください。
車種 | PWR | TWR |
86 | 6.15[kg/PS] | 58.9[kg/kgf・m] |
アルファード (3.5L) | 7.14[kg/PS] | 58.4[kg/kgf・m] |
カローラフィールダー | 8.29[kg/PS] | 66.3[kg/kgf・m] |
プリウス | 13.98[kg/PS] | 94.5[kg/kgf・m] |
ヴォクシー | 10.33[kg/PS] | 79.7[kg/kgf・m] |
シエンタ(ガソリン) | 12.52[kg/PS] | 94.2[kg/kgf・m] |
もしCR-Zを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!CR-Zの実際の加速感
性能を数字だけで語っていても、いまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterで加速感をチェック
速そうに見えて実はそうでもない見かけ倒しな車10選
7.Honda CR-Z
0-100km 加速 8.2秒うん。詐欺。
俺も速そうに見えるもw pic.twitter.com/2CAA5a55dd— 知 基 (@New_brassiere) 2018年1月31日
「速そうに見えて実はそうでもない車」という、少し不名誉なランキングにノミネートされています。もちろん投稿者さんの個人的な意見ではありますが、これには正直私も同感です。
見た目が非常にスポーティなので、どうしても加速性能に対する期待値が高まってしまいますからね。実際には、ハイブリッドコンパクトカーとしては高性能なのですが…。
さてそろそろ
CR-Z
とにかく遅い。曲がらない止まらない加速しないの三拍子揃った駄馬。他のあらゆるスポーツカーに勝てない。
ただ、ガンダムな内装と無駄に低い着座位置のせいで、高レベルなスポーツカーごっこが出来る。愛車。
— 蒟ε蒻 (@konnyaku555) 2018年3月31日
こちらの方からは、「曲がらない、止まらない、加速しないの三拍子」とまで言われてしまっています。この意見もコンパクトカーとしてではなく、スポーツカーとして捉えているようですね。
いっぽうで、スタイリングについてはポジティブな意見も見られます。角ばったエクステリアは「ガンダム」に例えられ、スポーツカーとしての雰囲気は十分楽しめるとのこと。
最後に付け加えられた「愛車」の一言から、自虐とともにCR-Zに対する愛を感じます。なんやかんやで気に入っているのでしょう。
HONDA CR-Z。正直リアルで欲しい。ハイブリッドFFなので初期加速は非常に速いし扱いやすさも抜群。コンパクトだし文句はありませんが、やはり大排気量の車と勝負は難しいです。乗ってて楽しければいいのだ! pic.twitter.com/S8vxyhYXzQ
— タケト(108円) (@hoitaketodesuyo) 2018年7月30日
加速の「性能」については微妙ですが、初期加速はモーターが駆動するので、出足の速さは抜群。
体感としては、そこそこ加速感を楽しめるでしょう。投稿さんのおっしゃるとおり、結局のところ「乗っていて楽しめればいい」というのが正解ですよね。
扱いやすくて低燃費で、おまけにかっこいいので、スポーティな要素をもつハイブリッドカーとして考えれば、かなり秀逸な一台といえます。
You Tubeで加速感をチェック
CR-Zの0-100km/h加速が撮影された動画で、なんとなく加速の雰囲気が感じてもらえるかと。測定の結果、タイムは8.4秒とのことです。
たしかに速度メーターを見てみると、スピードの伸びが緩やかですね。スポーツカーという先入観をもって見ると、遅いと感じても無理はないでしょう。
こちらの動画では、「NORMAL」「ECON」「SPORT」の3種類のモードで測定がされています。
それぞれのタイムは「9.1秒」「10.0秒」「8.4秒」。やはり、最高でも8.4秒が頭打ちのようです。
CR-Zの加速性能を他の車と比較
それでは、他の国産モデルと細かく比較してみると、どういった結果になるのか検証してみましょう。
バリバリのスポーツカーは比較対象にならないので、今回はCR-Zと同じく、コンパクトスポーツとして知られるスズキ「スイフト スポーツ」、日産「ノート e-POWER NISMO」、トヨタ「ヴィッツ GRMN」と比較してみたいと思います。
スズキ スイフトスポーツ
コンパクトカーに定評のあるスズキですが、走行性能といえば「スイフトスポーツ」の名が挙がるでしょう。そのポテンシャルの高さは、スポーツカーと比較されるほどです。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒 1.4L ターボ |
排気量 | 1,371cc |
最高出力 | 140PS/5,500rpm |
最大トルク | 23.4kgf・m/2,500-3,500rpm |
車両重量 | 860-940kg |
PWR | 6.4kg/PS |
TWR | 38.46kg/kgf・m |
0-100km/h | 8.1秒 |
スイフト スポーツの0-100km/h加速タイムですが、メーカーによって8.1秒と公称されています。
公称値というのは「最低でもこの性能は保証できる」という数値が発表されるので、実際にはもう少し速いかもしれません。
7秒台を記録している動画も出回っているようですが、どちらにせよ、CR-Zよりも加速は優秀といえるでしょう。
スイフト スポーツはエンジン性能も非常に優秀で、最高140PSの出力と最大23.4kgf・mのトルクを発揮します。加えて、ボディ重量もCR-Zより200kg軽いので、PWR・TWRも圧倒的に勝っています。
したがって、加速性能はスイフト スポーツのほうが数段上だと考えられますね。スポーツ走行も視野に入れたモデルなので、走行性能全般においてCR-Zを上回る性能を発揮するかと思われます。
なおスイフトについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
スイフトの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?【画像】スイフトはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!日産 ノートe-POWER NISMO
ここ数年で、一気に知名度を上げたハイブリッドモデルといえば、CMでもお馴染みの「ノート e-POWER」です。その特徴は、アクセルひとつで加減速を可能にする「ワンペダルドライブ」。
加速も速いと評判ですから、ここはぜひCR-Zと比較してみたいところ。今回は上位モデルの「NISMO」を参考にしてみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,198cc |
最高出力 | エンジン:79PS/5,400rpm モーター:109PS |
最大トルク | エンジン:10.5kgf・m/3,600-5,200rpm モーター:25.9kgf・m |
車両重量 | 1,250kg |
PWR | 9.62kg/PS |
TWR | 48.26kg/kgf・m |
0-100km/h | 7.5秒 |
ノートの0-100km/h加速タイムは、7.5秒と優れた数値を計測しています。オーナーさんによっては7.0秒を計測している人もいるようで、スイフト スポーツと同等クラスの加速性能といえるでしょう。
1.2LのNAエンジンということで、エンジンそのもののパワーはそれほどではありません。すなわち、ここで注目すべきはモーターの強力さですね。
ノートの電動ユニットには、加速性能で一躍有名になった同社「リーフ」と同じものが採用されています。
その性能は、モーターながら109PSという高出力。トルクも最大25.9kgf・mという数値を誇り、出足の速さはハイブリッドカーでも群を抜いています。
これによって、短距離においては優れた加速性能を発揮するのです。したがって100km/hまでの加速なら、間違いなくノート e-POWERのほうが上手といえます。
なおノートについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
日産ノート(e-power)の燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!日産ノート(e-power)の口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ ヴィッツ GRMN
最後に比較してみるのは、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」です。
ヴィッツというと、加速というイメージがありませんが、TOYOTA GAZOO Racingが手掛けるコンプリートモデル「GRMN」は、本格スポーツカーに匹敵する性能を有していんですよ。
コンプリートカーですから、CR-Zよりも速いことは明白ですが、どのくらい差があるのかチェックしてみましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHC Sチャージャー |
排気量 | 1,797cc |
最高出力 | 212PS/6,800rpm |
最大トルク | 25.5kgf・m/4,800rpm |
車両重量 | 1,140kg |
PWR | 5.37kg/PS |
TWR | 44.71kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.5秒 |
0-100km/h加速のタイムは、圧巻の6.5秒です。これはスイフト スポーツやノートe-POWERよりも優れたタイムで、コンパクトカー部門でもトップの性能。特殊なモデルなので、比較するのも変な話ですが…。
1.8Lエンジンにスーパーチャージャーを搭載したユニットは、最高212PS、最大25.5kgf・mというパワフルさを誇ります。加えて、ボディ重量は1,200kgを下回るため、スポーツカー顔負けの性能といえますね。
おそらく、CR-Zはエクステリアのイメージから、これくらいの性能が期待されてしまうのでしょう。つまり、こと加速性能においては、このギャップが物足りないと感じさせる原因になっているのです。
なおヴィッツについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ヴィッツの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!ヴィッツの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!CR-Zは雰囲気を大切にするエコカー
CR-Zの加速性能については、だいたいこんな感じでしょうか。スポーティな外観から速そうなイメージを持たれがちですが、実際にはそれほど大したことはないんですよね。
しかし、ハイブリッドカーとしてはまずまずの加速性能なので、「スポーティな雰囲気を楽しむコンパクトハイブリッド」として乗れば満足度は高いでしょう。
エコカーにシャープな走行を求めるなら、CR-Zはおすすめなモデルといえますね。