売れ行きが厳しくなっているミニバン部門ですが、なおも一定の人気を得ているのがトヨタ「アルファード」「ヴェルファイア」の姉妹モデルです。
高級セダンのような上質な乗り心地と、高級感あふれるスタイリングによって、ファンの心をつかんでいます。
「スタイルはかっこいいけど、走行性能にどうなのか?」と、こんな疑問を持つ方が多いんじゃないでしょうか?
というわけで今回は、トヨタの誇る上級ミニバン「アルファード」「ヴェルファイア」について、雪道走行の性能に焦点を当てて、分析してみました。
ライバル車とも比較してみたので、購入について悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
アルファード/ヴェルファイアは雪道をそれなりに走れる
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。
公称性能を参考にしながら、「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目について評価してみましょう。
今回はアルファードをメインとして進めていきますが、姉妹車のヴェルファイアもほとんど同じ性能です。というわけで、公式ページからアルファードの諸元を引用してみました。
項目 | 2.5L ガソリンモデル | 3.5L ガソリンモデル | 2.5L ハイブリッドモデル |
種類 | 直列4気筒 | V型6気筒 | 直列4気筒+モーター |
排気量 | 2,493cc | 3,456cc | 2,493cc |
最高出力 | 182PS/6,000rpm | 301PS/6,600rpm | エンジン:152PS/5,700rpm フロントモーター:143PS リアモーター:68PS |
最大トルク | 24.0kgf・m/4,100rpm | 36.8kgf・m/4,600-4,700rpm | エンジン:21.0kgf・m/4,400-4,800rpm フロントモーター:27.5kgf・m リアモーター:14.2kgf・m |
車重 | 1,990-2,020kg | 2,110-2,150kg | 2,090-2,240kg |
全長×全幅×全高 | 4,950×1,850×1,935mm | 4,945×1,850×1,935mm | 4,945×1,850×1,950mm |
最低地上高 | 160mm | 160mm | 165mm |
駆動方式 | FF/4WD | FF/4WD | 4WD |
※直列4気筒、V型6気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!走行性能の評価
雪道で困るシチュエーションといえば、「アイスバーンでスリップして、発進できない」ということ。
雪国にお住まいの方なら、一度は経験がありますよね? 交差点はアイスバーンになりやすいため、とくにスリップしやすいポイントです。
アルファード/ヴェルファイアは安心して走れるのでしょうか? 雪道走行には、こんなものが求められます。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。
アルファード/ヴェルファイアの4WD機構は、電子制御により前後のトルク配分を適切にコントロールするので、雪の上でも安心して走ることができますよ。
次に見るのは「最低地上高」ですね。一般的には150mm以上が、雪道でも楽に走れるラインといわれています。この点も、アルファード/ヴェルファイアはクリアしているので、問題なく雪道を走行できるでしょう。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められますね。大排気量のアルファード/ヴェルファイアは、トルクもしっかり確保されているのでバッチリです。
したがって、アルファード/ヴェルファイアは雪道でも走れるモデルといえますね。とくに、ボディ重量があるのでグリップが強く働き、アイスバーンでもスリップせずに発進できるでしょう。
コーナリング性能の評価
雪道では、ドライな路面以上にコーナリング性能が重要です。大型のSUVなど、雪に強い車だって路肩に突っ込んでいたりしますが、これにはどんな事情があるんでしょうか?
コーナーリング性能には、このような条件が求められます。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
多くの人が、経験的にコーナリングでも4WDが有利だと感じていることでしょう。でも実際には、駆動方式による差はそう大きくありません。
このように感じるのは、高剛性&高重量なボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。
ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。コンパクトカーと大型SUVとでは、重量がぜんぜん違いますよね?
しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。
「重心の高さ」もひとつのポイントで、コーナーにおいては低いほど有利です。重心が高いとモーメントが働き、横転しやすくなりますからね。スペース系の軽自動車は背が高くて足が弱いので、峠のコーナーは要注意というわけ。
アルファード/ヴェルファイアはというと、2tを超える車重と、2mにせまる全高をもつため、コーナーでは注意が必要ですね…。
ミニバン全般にいえることですが、かなり強力なコーナリングフォースが働きます。
高級モデルということで、ボディ剛性や操縦安定性はかなり高いレベルではありますが、コーナー進入時は十分気を付けましょう。
なおコーナリング性能については、以下の記事でも解説しています。興味がある方はこちらも参考にしてみてください。
ヴェルファイアの試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!ブレーキ性能の評価
最後に分析するのは、「ブレーキ性能」です。雪道性能において、最重要ポイントといえるでしょう。なにせ、スリップによる事故がほとんどですからね。
ブレーキシステムの制動力や、タイヤの性能も重要ではありますが、他にもこんなものが関連しています。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
イメージとしては重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。
つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。
コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。
その点、アルファード/ヴェルファイアは2t超という、国産モデルでも屈指の高重量を誇るわけですから、スリップには要注意。
強力なブレーキシステムが採用されていますが、雪道のブレーキングにおいては最新の注意を払う必要があります。
もしアルファード/ヴェルファイアを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!アルファード/ヴェルファイアの雪道走行での評価
アルファード/ヴェルファイアの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?Twitterから感想をいくつかピックアップしてみました。
今月発表の新型アルファードってリアサスがWウィッシュボーンになるのか!! 今どきの車にしてはカネかけてるなぁ まぁ重心がクソ高いしボディもユルユルだから、豪華なサスを奢っても操安性も乗り心地も大して変わらないし、たとえ変化していても大半の乗り手は気が付かないだろうけどな…
— とんかつ (@12V5A) 2015年1月10日
アルファード/ヴェルファイアをはじめ、ミニバンの弱点は「重量」と「車高」です。
重心が高いのでコーナーではモーメントが強く働き、横転のリスクが懸念されます。乗り心地を重視してサスペンションがソフトに設計されていますしね。
コーナーでのスピードには十分注意したほうがいいでしょう。
ゆるい雪の上に乗ったらスタックしました。
知恵が足りません
アルファードのおじさんありがとう pic.twitter.com/qPEcDo55L7— Ⓜ️kazÜma (@J_b_k_m) 2018年1月16日
その分、アルファード/ヴェルファイアはパワーはあるので、スタックなどには強いです。多少の積雪ではハマりません。
こちらの投稿にあるように、どちらかといえばスタックした車を助ける側に回ることが多いでしょう。牽引ロープやスタックラダーを常備しておくといいかもしれませんね。
そう言えば2週間前ぐらいにアルファード納車しました😘
旭川の雪に負けそうだけど乗りこなしますわ🤘 pic.twitter.com/VpnpMektT2— 西戸 一希 (@ka10zu26ki1) 2017年12月26日
実際、北海道でもアルファード/ヴェルファイアはよく見かけます。私が北海道に住んでいたころ、スキー場の駐車場にアルファードやヴェルファイアがたくさん停まっていたのをよく覚えています。
旭川といえば、全国でも屈指の積雪量を誇る地域ですが、こちらの投稿者さんはアルファード/ヴェルファイアを愛車に選んでいますね。
雪道の走行性能を吟味した結果、アルファード/ヴェルファイアなら問題ないと判断したのでしょう。
アルファード/ヴェルファイアについては以下の記事で口コミ・評判をまとめているので、もっと詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
アルファードの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!アルファード/ヴェルファイアの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較すると、どうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはホンダ「ステップワゴン SPADA」、日産「エルグランド」、三菱「デリカ D:5」の3台です。
比較しやすいように価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみに、アルファード/ヴェルファイアの販売価格は335~461万円(2.5Lガソリン)、463~738万円(3.5Lガソリン)、436~750万円(2.5Lハイブリッド)となっています。
ホンダ ステップワゴン SPADA
ホンダのミニバンといえば、みなさんご存知「ステップワゴン」です。
上位モデルの「SPADA」はガソリンとハイブリッドの2種類がラインナップされており、販売価格は228~367万円となっています。
アルファード/ヴェルファイアよりも小さな車格ですが、国産3大メーカーのモデルですから、ぜひチェックしておきたいところ。雪道性能についてはどちらが上手でしょうか?
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 150PS/5,500rpm |
最大トルク | 20.7kgf・m/1,600-5,000rpm |
車重 | 1,680-1,750kg |
全長×全幅×全高 | 4,760×16951,855mm |
最低地上高 | 150/155mm |
駆動方式 | FF/4WD |
※水冷、DOHCエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!排気量に差があるため、トルク性能はアルファードが勝っていますが、その分車重はステップワゴンのほうが軽いですね。最低地上高はアルファードのほうが若干高いです。
このことから、発進性能・直進性能はアルファード/ヴェルファイア、コーナリング性能・ブレーキ性能はステップワゴンに適性があると考えられます。
おそらくアルファード/ヴェルファイアのほうが、スタックや悪路には耐性があるでしょう。
ステップワゴンの雪道性能は、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもご参照ください。
ステップワゴンは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!日産 エルグランド
日産の上級ミニバン「エルグランド」は416~565万円ということで、価格帯がもっともアルファード/ヴェルファイアに近いモデルです。
ラインナップは2.5Lガソリン、3.5Lガソリンモデルの2種類で、それぞれFFと4WDモデルが用意されています。
項目 | 諸元 |
種類 | V型6気筒DOHC |
排気量 | 3,498cc |
最高出力 | 280PS/6,400rpm |
最大トルク | 35.1kgf・m/4,400rpm |
車重 | 2,000-2,050kg |
全長×全幅×全高 | 4,975×1,850×1,815mm |
最低地上高 | 150mm |
駆動方式 | FF/4WD |
アルファード/ヴェルファイアに対抗するモデルとして登場しただけあり、かなり近いスペックをもつエルグランド。
トルク性能・車重はほとんど同じくらいの性能です。最低地上高については、1cmほどアルファードのほうが低いですね。
駆動方式も4WDが設定されていますから、雪道性能については同じレベルでしょう。強いていうなら、アルファード/ヴェルファイアのほうが積雪には強く、エルグランドのほうがコーナーでは安定するかと。
エルグランドについては以下の記事で口コミ・評判をまとめているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
エルグランドの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!三菱 デリカ D:5
上質さよりも活発さに特化したミニバンといえば、三菱「デリカ D:5」ですね。キャラクターは異なりますが、アルファード/ヴェルファイアと比べておきたい一台。
販売価格は、ステップワゴンに近い240~373万円です。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHCディーゼルターボ |
排気量 | 2,267cc |
最高出力 | 148PS/3,500rpm |
最大トルク | 36.7kgf・m/1,500-2,750rpm |
車重 | 1,880-1,910kg |
全長×全幅×全高 | 4,790×1,795×1,870mm |
最低地上高 | 210mm |
駆動方式 | 4WD |
※ディーゼルターボの詳細は以下の記事をご参照ください。
ディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介ディーゼルエンジンだけあってトルク性能はアルファードにも劣らない力強さをもつデリカ。
それでいて車体が100kg以上軽く、最低地上高では5cmもアドバンテージがあります。
SUVのような悪路走破を考えられているので、雪道にはめっぽう強いのです。そのためデリカは、あらゆるシチュエーションにおいて、アルファードを上回る雪道性能を発揮します。
デリカD:5の雪道性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方は、こちらもご参照ください。
デリカD:5は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!アルファード/ヴェルファイアの雪道走行の性能はそれなりに優秀
というわけで、アルファード/ヴェルファイアの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、『雪道もそれなりに走れる、上級ミニバン』といった感じですね。高級モデルだけあり基本性能は高いので、多少の雪道なら問題なく走ることができるでしょう。
雪道に対してベストな選択とは言い難いですが、冬に乗る車としては問題ありませんね。
アルファード/ヴェルファイアについては以下の記事でも取り上げています。興味のある方は、こちらもあわせてご参照ください。
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