ここ数年で、どんどんハイブリッドカーが浸透してきましたね。
一口に「ハイブリッド」といってもアクティブなSUVから、リーズナブルなコンパクトモデル、そして上質なセダンモデルなど、その種類は多岐にわたります。
今回のテーマである「アコードハイブリッド」は上級セダンの一種で、ミドルクラスながら優れた加速性能を持っていると噂されているモデルなのです。
「高級感」「低燃費」「走行性能」、まさに3拍子そろったモデルということで、車好きとしては分析しないわけにはいきませんね。
というわけでさまざまな情報をもとに、アコードハイブリッドの「加速性能」について解説したいと思います。
アコードハイブリッドの加速性能
2016年マイナーチェンジを経たアコードハイブリッドですが、車としての完成度の高さが話題になっています。
とりわけ加速性能については、試乗してきた人たちの間で噂が広まり、急速にオーナーが増えているのだとか…。
というわけで、アコードハイブリッドの加速性能について、その「実力」と「速さの秘密」について解説していきましょう。
0-100km/h加速からわかるアコードハイブリッドの性能
まずは、「どれくらい速いのか?」紹介したいと思います。加速性能を見るのに参考になるのが、発進から100km/h加速に達する時間、で通称「0-100加速タイム」です。
一気に100km/hまで加速する機会なんて、実際にはほとんどありませんが、性能の指標としては有効といえるでしょう。
しかし、最近ではメーカーが公称することは珍しく、アコードハイブリッドもタイムは公称されていませんでした。そこで、オーナーさん達の口コミを参考にしたいと思います。
アコードハイブリッドの0-100km/h加速は7.6sでアテンザXD(8.4s)より速いし、実燃費も20km/l前後だからマジおすすめできる
— Shifton (@shifton) 2015年5月1日
調べてみると、7秒前半という意見が多数を占めました。一番速かったのは「7.2秒」というタイムです。
これって、もはやスポーツカーにも手が届きそうなタイムですよね…? 2.0Lのミドルクラスセダンとしては、かなりの加速力です…。
エンジン性能をチェック
「なんで加速が速いのか?」気になりますよね。
そこで、まずはエンジンの性能を見ていただきましょう。ここに速さの秘密の一端が隠れているのです。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,993cc |
最高出力 | エンジン:145PS/6,200rpm システム:215PS |
最大トルク | エンジン:17.8kgf・m/4000rpm モーター:32.1kgf・m |
※水冷、直列4気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!エンジン諸元を見慣れている人はピンとくると思いますが、トルクが大きいですよね?
エンジンは2.0Lらしい数値ですが、電気モーターの発揮するトルクが30kgf・mを超えています。
NAのガソリンエンジンに例えると、3.0~3.5Lくらいの大排気量エンジンに匹敵する数値ですよ、これは。
また、システムのトータル出力も215PSと高く、出力・トルクのバランスの優れていますね。これなら加速の速さも納得です。
高出力の秘密は「SPORT HYBRID i-MMD」
エンジンについてもう少し技術的な話をしましょう。
加速性能に関しては、「SPORT HYBRID i-MMD」というパワーユニットが大きく貢献しています。
これは、車両状況を正確に判断し、状況に応じてモーターとエンジンの駆動バランスを調節するホンダの独自技術のことです。
このi-MMDによって、システム全体では最大40kgf・mを超えるトルクを発揮し、出力は200PSをも超えます。
モーターにより踏み出しから一気に高トルクを発揮し、中速域では高出力のエンジンも加わり、中間加速もバッチリ。
完全にエンジンに切り替わった後は、ホンダの得意とする高回転域で勝負できるので、スキはありません。
このように、広い領域で大きな動力を発揮するので、「V6エンジンを積んでいるのか?」と錯覚してしまうほどの加速を披露するのです。(V6エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!車体のつくりこみも抜かりない
走行性能は、エンジンだけで生み出せるものではありません。
エンジンが最重要ではありますが、「パワーを受け止められるボディ」があってこそ、それは発揮されるのです。
加えて、優れた加速性能を得るには、高剛性を備えつつも「軽量なボディ」出なくてはいけません。
アコードハイブリッドはそのどちらも満たしているのです。
車重は1,580~1,610kgと、ミドルクラスセダンとしては標準的な重量ですが、出力・トルクの数値からすれば、軽量な部類に入ります。
出力・トルクが負担する重量を表す指標、いわゆる「パワーウェイトレシオ(以下、PWR)」「トルクウェイトレシオ(以下、TWR)」が優れているということ。
ちなみに数値で表すと、アコードハイブリッドは以下の通りです。
- PWR:7.4~7.5kg/PS
- TWR:49.8~50.1kg/kgf・m
この数値は軽量性を表しているので、スポーツカーなどは低い値となっています。
ちなみに、現行モデルで近い数値の車は、このような顔ぶれです。
- ホンダ シビック セダン
- トヨタ マークX 250G
- ボルボ S80 3.2 SE AWD
- マセラティ ギブリ Diesel
- ベンツ CLA250 4MATIC C117
- ジャガー XJ Luxury
- レクサス LS500h
※上記にあるマークXの加速性能については、以下の記事でも詳しく解説しています。詳細が気になる方はこちらもご参照ください。
マークXは速いのか?加速性能から0-100km/h加速タイムまで解説!アコードハイブリッドの実際の加速感
数字や理屈だけではなく、実際のオーナーさんの投稿をご覧いただきましょう。
TwitterやYouTubeからいくつかピックアップしてみたので、紹介したいと思います。
Twitterで見るオーナーの感想を引用
ホンダの営業に言われたので拡散しておきますが、アコードハイブリッドのできは異次元です。セダン欲しい人はとりあえず試乗してみてください。乗りだし400万であの車格の準電気自動車が買えるってホンダ正気か?って営業に言ってしまいました。なんだあれ、あの加速反則だろ。でリッター30??
— pc4beginner (@pc4beginner) 2013年7月16日
かなり攻めていますが、熱のこもった投稿ですね。
どうやらホンダのディーラーマンさえも、アコードハイブリッドの仕上がりを「異次元」と称しているいるようです。
燃費よし、質感よし、価格よし。そして、反則級の加速性能を持っているんですから、異次元というのも納得。
ホンダの車を30年以上に亘って買い替えながら乗り続けている。シビック、アコード、インスパイア、レジェンドと各種乗って来たが、昨日試乗したハイブリッドのアコードの乗り心地の良さにはビックリした。ハイブリッドは他社もあんなに静かで加速が良いのだろうか?燃費30km、魅力的な車だ!
— 三潴末雄 (@mizumaart) 2013年10月15日
こちらの投稿主さんは、なんと30年にわたりホンダ車を乗り継いでいるそう。それほどの歴をもつユーザーが、試乗で驚いているのですから、アコードハイブリッドの完成度は本物という他ありません。
あまりのでき栄えゆえに、今どきのハイブリッドカーがすべて「このレベルのクオリティなのか?」と疑ってしまうほど…。
たしかにハイブリッドカーの性能は日々進歩してはいますが、アコードハイブリッドは明らかに上位に入るモデルです。とりわけ加速性能については、抜きんでています。
しかも2000ccだから維持費も昔のアブソに比べて安め……!!ただ踏み込んだ時に速いんだけど2000ccのエンジンが頑張ってるなって音は感じましたね!でも普通に街乗りしてるだけなら静かでストレスない加速でよかった!!(アコードハイブリッドの感想)
— またび~ (@matabiiiii) 2016年6月5日
アコードといえば、先代モデルは「2.4L」「3.0L」「3.5L」などの大排気量が特徴的でした。今では立派な上級セダンシリーズですからね。
しかし、2.0Lエンジンで大排気量並みの走行性能が得られるのなら、その方がうれしいですよね? 燃費がいいですし、コストも少なくて済みます。
強いてデメリットを挙げるなら、こちらのツイートのようにエンジンに「頑張ってる感」がでてしまうことでしょうか。
実際にそこまで回すことはごく稀ですから、普通の街乗りなら十分過ぎるほどのスペックです。
YouTubeより加速の動画を引用
こちらはYouTubeより引用した0-100km/h加速の動画です。
メーターの動きだけで加速力のすさまじさがわかりますね。発進から淀みなく一気に上まで回り、あっという間に10km/hへ達しています。
これで実燃費20km/Lをゆうに超えるのですから、恐ろしい車です。
もしアコードハイブリッドを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!アコードハイブリッドの加速性能とほかの車を比較
同クラスのセダンと比較してみると、加速性能の高さがよくわかります。
今回は日産「ティアナ」、マツダ「アテンザ ディーゼル」、トヨタ「カムリ」の3車種を比較対象にしてみましょう。
はじめに言っておくと、これら3車種は各メーカーの人気モデルですから、車としてのスぺックは高めです。
日産 ティアナ
まずは、日産のミドルクラスセダンである「ティアナ」です。ティアナの諸元はこちらをご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHC |
排気量 | 2,488cc |
最高出力 | 173PS/6,000rpm |
最大トルク | 23.9kgf・m/4,000rpm |
車両重量 | 1,470~1,480kg |
PWR | 8.50~8.55kg/PS |
TWR | 61.51~61.92kg/kgf・m |
0-100km/h加速タイム | 9.3秒 |
ティアナのラインナップは「2.5L ガソリン」仕様のみということで、アコードハイブリッドよりも排気量は大きいです。
出力・トルク共は低いですが、その分車重が軽いので、PWRは「8.5kg/PS」、TWRは「61.51kg/kgf・m」と優れた数値を誇ります。
しかし、アコードハイブリッドと比較するとやや物足りませんね。加速性能に関していえば、圧倒的にアコードハイブリッドの方が優れています。
マツダ アテンザ ディーゼル
続いて比較対象となるのは、マツダのフラッグシップセダンである「アテンザ」のディーゼルモデルです。諸元はこちらをご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ ディーゼルターボ |
排気量 | 2,188cc |
最高出力 | 190PS/4,500rpm |
最大トルク | 45.9kgf・m/2,000rpm |
車両重量 | 1,610~1,670kg |
PWR | 8.47~8.7kg/PS |
TWR | 35.07~36.38kg/kgf・m |
0-100km/h加速タイム | 8.6秒 |
※ディーゼルターボの詳細は以下の記事をご参照ください。
ディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介ディーゼルエンジンらしく、最大で「45.9kgf・m」というスポーツカー顔負けのトルクを発揮します。それも2000rpmから効いてくるので、発進直後はかなりパワフル。
PWRは「8.47kg/PS」、TWRは「35.07kg/kgf・m」ということでアコードハイブリッドと、かなりいい勝負の数値ですね。
ただし、0-100km/hの加速タイムはアコードに軍配が上がります。これはディーゼルゆえに中~高速域が弱点なので、中間加速でもたつくことが原因。50km/hから先の領域でアコードハイブリッドが差をつけるでしょう。
よって、坂道発進・発進加速はアテンザの方が上手ですが、トータル的な加速性能はアコードの方が優れているといえます。
なおアテンザについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アテンザの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?アテンザの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!トヨタ カムリ
最後に比較するのは、トヨタのプレミアムセダン「カムリ」です。例のごとく、まずは諸元をご覧いただきましょう。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒+モーター |
排気量 | 2487cc |
最高出力 | エンジン:178PS/5,700rpm システム:211PS |
最大トルク | エンジン:22.5kgf・m/3,600~5,200rpm モーター:20.6kgf・m |
車両重量 | 1,570~1,600kg |
PWR | 7.44~7.5kg/PS |
TWR | 73.02~74.41kg/kgf・m |
0-100km/h加速タイム | 6秒後半~7秒 |
カムリは「2.5L ハイブリッド」モデルのみのラインナップとなっています。
そのスペックは、システム最高出力「211PS」に達するものの、その他はアコードハイブリッドに劣る数値です。PWR・TWRに関しても、アコードを上回るということはありません。
しかし、0-100km/h加速は7秒前後という、アコードをしのぐタイムを誇るのです。これはエンジンの性能に要因があると考えられます。
カムリの「A25A-FXS型」エンジンは排気量2.5Lに、最大トルク「22.5kgf・m」と、アコードを超える数値。
加えて、トルクバンドが3,600~5,200rpmと、わずかにアコードよりも低速域に設定されています。
つまり、アコードハイブリッドよりも大きなトルクを発揮するポイントが、中速域に存在するということです。
0-100km/hの加速はカムリが勝りますが、トータルで考えると、同程度の加速性能と考えられます。
なおカムリについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
カムリの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!カムリの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!アコードハイブリッドは異次元のクオリティ
というわけで、アコードハイブリッドにの加速性能について、さまざまな角度から解説をしてみました。
ここまで読んでもらえたら、かなりハイスペックなモデルというのがよくわかりますよね?
トップクラスの加速に加えて、燃費性能や質感も高いのであれば、「異次元のクオリティ」とディーラーマンに例えられても不思議ではありません。
現行のセダンとしては、かなりおすすめしたい車です。
なお加速性能については以下の記事でほかの車種も取り上げています。興味がある方は、こちらもあわせて参考にしてみてください。
アテンザの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?アクアの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?