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カングーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

カングーはフルゴネットと呼ばれるボンネットのあるタイプの小型バン。フランスをはじめとする欧州ではポピュラーなタイプの商用車です。

カングーの初代モデルが登場したのが1997年、後継モデルは2007年に登場。いずれも欧州では商用、乗用ともに人気が高く、その使い勝手の良さとアウトドアなどにも活用できる点が評価されています。

日本ではカングーのような車が珍しかったこともあり、ほぼすべてのカングーは乗用車バージョンとなっています。

販売割合も日本でのルノーの年間販売台数の35%をカングーが占めており、特別バージョンも発売されるなど日本でも根強い人気をもつ車です。

そんな人気の高いカングーですが、一方で輸入車ということで故障の心配もありますよね。輸入車がはじめてという方は特に不安になりますよね。

そこで、この記事ではそんなカングーの故障率について解説していきます。

カングーの故障率

ルノー カングー

それでは早速カングーの故障率を見ていきましょう。

ルノー車はあまり故障率がよくない?

さて車の故障率とよく言葉では言われますが、その車種の故障件数がどれぐらいで、割合がどのぐらいなのか、というデータについては実は一般公開されておらず、自動車メーカーの極秘情報であり外には一切出てきません。

そのため具体的な故障率を調べることは不可能なのですが、メーカーとは別に民間の調査会社が独自に故障率調査を行っており、こちらがメーカーごとの故障率を調べる上で参考になります。

米国のJ.D.パワー社が毎年公開している「自動車耐久品質調査」では、各国市場で販売している主要メーカーの故障率を調査してランキング化しており、車種単体ではないのですがメーカーの実力がどのぐらいなのかを計ることができます。

ただ日本市場ではルノーは販売台数が少なくてランキング外となっていますので、ルノーの主戦場であるドイツ市場での調査結果を参考にします。

2017年 ドイツ自動車耐久品質調査

ランキングメーカー名スコア
1キア99
2ヒュンダイ105
3トヨタ109
4三菱113
5シュコダ114
6プジョー125
7日産129
7オペル129
9ホンダ132
10フォード137
11セアト138
12ルノー139
13フォルクス
ワーゲン
146
業界平均151
22シトロエン195

参考:J.D. Power 2017 Germany Vehicle Dependability Study

ルノーはこのランキングでは12位。トヨタ、日産、ホンダなどの日本メーカーと比べるとあまり高くはありません。

日本車の信頼性の高さは世界的にも評価が高く、トヨタなどは日本の同調査でずっと1位を取るほどの故障率の少なさを誇ります。

そのためルノーは日本車メーカーに比べると故障率は比較的高くなるということでしょう。

ルノーとしての故障率、日本車メーカーの故障率は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。

ルノーのトゥインゴルノーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!プリウス エンブレムトヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ホンダのロゴホンダは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

ルノーには日産部品が使われている

先程の調査でもルノーは日本メーカーに比べれば故障率は高いものの、日本で輸入車の主流であるドイツメーカーと比べるとランキングは高く信頼性が高いことがわかります。

それには理由があり、ルノーは現在日本メーカーの日産自動車と提携してグループを結成しており、ルノー車の部品には日本メーカーの信頼性の高い設計や部品が流用されています。

そのため欧州車の中ではルノーの信頼性は高いレベルにあるのです。

カングーには日産のエンジンこそ搭載されていないものの、その基本的な設計段階で信頼性の高い設計が織り込まれており、提携前と後では大きく故障率がさがったようです。

ただルノーと日産の提携は2000年のことであり、初代カングー1には織り込まれておらず、信頼性が高くなるのははカングー2からとなるでしょう。

日産の故障率は以下の記事で細かく解説しています。あわせてご参照ください。

日産ロゴ日産車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

中古のカングーの故障しやすさ

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欧州車全般にいえることですが、輸入車は日本車の信頼性設計の考え方と少々違っている面があり、部品交換で対処できるトラブルはあまり故障と見なされません。

日本車はなにがなんでもトラブルは故障となってしまうので耐久性が高く作られているのですが、カングーでは消耗品などはわりと早めに交換する必要が出てきます。

ルノーの車は年式で5年以上、走行距離50,000kmを越える辺りからいろいろな部品の交換が必要となっており、ガスケットなどのシール部品などが該当します。

カングーのエンジンはルノーエンジンなので、同様の対応が必要でしょう。

この点は中古のカングーで注意するべき点であり、年式の古い中古車も多いことから整備費用が結構かかる車もあるということです。

また初代カングー1などは年式で10年を超えている車ばかりですし走行距離もそれなりに多く、100,000km突破している車も少なくありません。(走行距離の寿命の詳細は以下の記事をご参照ください。)

車のメーター中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!

日本車でもそれぐらいの古さでは寿命と言われるほどトラブルの増える状態の車なので、カングー1の中古車は維持費が結構かかるでしょう。

基本的には劣化している部品を交換すれば車は走るようになりますが、一度修理しても別のところが故障するということもよくあります。

カングーは日本でも結構歴史の長い車になってしまっており、台数が少ないからこそ状態をしっかり見極めて購入しましょう。

あとは中古車の選び方の一般的なポイントを抑えて買うようにしましょう。中古車の一般的な選び方が分からない方は、こちらの記事もご覧ください。

中古車選び初心者が絶対意識すべき中古車の選び方の5つのポイント・コツ!

カングーオーナーの評判

カングーは乗っている人が少なくて故障の実態はあまり良く知られていませんが、Twitterには実際のユーザーさんが投稿した故障についてのツイートが結構ありますので、そちらを参考にしてみましょう。

新車でも結構トラブルがある

この方は新車で購入されたということでカングー2でしょうが、購入後10日でエンジントラブルというのはちょっと日本車では考えられませんね。

それ以外にもいろいろトラブルがたて続いており、残念ながら完成度のあまり高くない1台だったようです。

最新のカングー2にしても基本設計は2007年レベルであり、ルノーの最新車種と比べると信頼性はかなり開きがあります。

デザインが素敵なだけに非常に残念ですね。

エアコンのトラブルが多い

ツイッターの意見を見ていると、故障する箇所で多いのはエアコン関係です

この方のカングーはエアコンの温度調整がきかないということなので、センサーなどの電気系統の故障でしょうか。

のちほど詳しくご説明しますが、エアコンは輸入車の泣き所にひとつであり、カングーもそれはかわらないようです。

以下の記事でも解説していますが、ベンツやBMWなどと一緒ということですね。

漆黒に光り輝くベンツ壊れやすい?ベンツは故障が多いのか故障率の実態とは?!BMW Z4次期型のホイールBMWは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

故障しない個体もある

この方のカングーは110,000kmも走行した車にもかかわらず、今回がはじめての故障ということで、故障の少ないカングーの個体もあるようです。

カングーの故障が多いのは確かなのですが、乗り方や頻繁なメンテナンスなどでも故障は減らすことが可能で、そういった積み重ねがこの方の故障のないカングーに結び付いたのでしょう。

MEMO

もしカングーの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。

このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 裏技を知って後悔する人たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!

カングーの故障事例

カングーの故障事例はいろいろあるのですが、その中からよく起こるエアコン関係のトラブルと、カングー1および2のトランスミッションのトラブルについてご説明しましょう。

エアコン関係のトラブル

カングーのトラブルでよく聞くエアコンですが、エアコンと一口にいっても結構さまざまな部品が組み合わされており、いろいろなトラブルが発生します。

もっともオーソドックスでなおかつメンテナンスが必ず必要な部分として、エアコンのコンプレッサーがあります。

エンジンの動力を使ってベルト駆動で高速回転するコンプレッサーは負荷の高い部品で、走行距離が多くコンプレッサーの使用頻度が増えると、回転部分のベアリングが劣化して異音や異常振動の原因となります。

また電気系統の故障も少なくなく、制御ができなくなるなどはこういった故障です。

コンプレッサーの故障には部品交換で対処が必要ですが、費用的にカングーのコンプレッサーは高額で100,000円前後の費用が必要です。

最近のルノー車には日産のエンジンが搭載されていてコンプレッサーも共用できて安くできたりするのですが、基本設計の古いカングーではそうもいきません。

また他にはエアコンブロアと呼ばれる車室内の送風機部分の故障があり、モーターの動作不良やセンサーの故障など電気系統の故障がメインです。

こちらは部品単体の交換で対処ができる場合が多いのですが、費用的にはやはり結構かかり、一ヶ所でも数万円はかかります。

ほかにもエアコンパイプからの冷媒漏れやエアコンコンデンサーの故障など機械的なトラブルもありますが、こちらは電気系統に比べれば発生頻度は高くありません。

いずれにしてもエアコンのトラブルは結構な高額修理が発生する部位であり、走行距離が増えてきたら気になってくる箇所です。

カングー1および2:AL4トランスミッションの故障

カングー1はMT、AT両方の仕様が日本に導入されましたが、トラブルが多かったのはATのAL4トランスミッションという4速ATで、特に日本ではかなりの頻度で故障が発生します。

カングーではカングー1のAT全車に、カングー2でもマイナーチェンジで後述するEDCが登場するまではAL4が採用されていました。

AL4は2000年頃のフランス車にこぞって採用されたATで、フランス政府主導のもとでほぼすべてのフランスメーカーの共同開発トランスミッションでした。

欧州ではそこまでトラブルはなかったのですが、日本の高温多湿でストップアンドゴーの多い環境に持ち込むとトラブル多発、いっきにフランス車のウィークポイントとなってしまいました。

AL4のトラブルはいわゆるギア抜けという症状で、走行中に突然ギアの変速が効かなくなり、ある一定(AL4の場合は3速が多い)のギアで固定されてしまうことです。

走行中に起きるので車の加速がいきなりできなくなり、スピードも場合によってはがくっと下がることになりますので、高速道路走行中などに起こると結構危険です。

原因は変速を制御する油圧回路のソレノイドバルブで、精密部品であるソレノイドバルブにAT内部で発生したスラッジや金属粉などが詰まることにより発生します。

日本車のATにも同様のシステムは採用されていますがAL4ほどの故障発生頻度は起こっておらず、AL4に設計的な問題点があるということでしょう。

修理にはソレノイドバルブの交換が必要となりますが、結構部品の分解なども発生して費用は100,000円以上かかることもあります。

また最悪の場合はトランスミッションの載せかえが必要となり、この場合は200,000円〜400,000円もの高額修理になります。

トラブルの発生を防ぐ手段としてATF(オートマチックフル―ド)の交換を頻繁に行う対策があり、ソレノイドバルブに詰まるスラッジや金属粉をしっかり取り除くと少しはよいようです。

しかしそれでも発生確率は以前高いままで、カングー1の中古車でATを購入したらメンテナンスを頻繁にするのは当然としても、いつ故障してもおかしくないことはかわらないのです。

完全に回避するためにはMTのカングーを選ぶのがベストであり、経年劣化で他のトラブルはあるかもしれませんが、少なくともAL4で引き起こされるトラブルとは無縁でいられるでしょう。

カングー2:DCT(EDC)の故障

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現行のカングー2のATにはAL4は使われていませんが、その代わり欧州で主流となっているDCT(ルノー名称EDC)が採用されました。

しかしこのDCTもAL4ほどではないにしても走行距離がふえてくるとトラブルが増える傾向にあります。

DCTとはデュアル・クラッチ・トランスミッションの略で、ルノーではEDC(エフィシェント・デュアル・クラッチ)と呼んでいます。

このミッションはマニュアルトランスミッションをベースにして変速機構の部分を自動化したもので、複数のクラッチを活用することで常に最適なギアを選択するシステムです。

マニュアルトランスミッションの燃費の良さを自動変速で扱えるとして、欧州車を中心に採用が広がっています。

しかしこのミッションも日本の道路環境には弱く、ストップアンドゴーを繰り返すような状況では頻繁にクラッチを使用してギアの変速が発生します。

その結果欧州の道路状況以上のペースでクラッチの劣化が進み、早い時期でのクラッチ交換が必要となるのです。

ドイツのフォルクスワーゲンの輸入車にこぞって採用されましたが、非常にクラッチのトラブルが多くて問題となっていました。(詳細は以下の記事で解説。)

アルテオンのフロントフォルクスワーゲンは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!

カングー2に採用されたのはマイナーチェンジを受けた2016年からであり、まだまだ走行距離は少ない車がほとんどでしょう。

しかしDCTは根本的に日本の道路状況にマッチしておらず、今後トラブルが増える可能性が高いので注意が必要です。

カングーは買っても大丈夫か?

カングーは故障の多さという観点からいうと日本車より結構トラブルの多い車で、維持費もそれなりに必要となってきます。

基本設計自体が古いのでルノーの現行車レベルの信頼性には届いていませんし、部品も割高です。

しかしカングーには日本車にはない魅力がたっぷり詰まっており、そのデザインとユーティリティだけでも十分な価値があります。

以下の記事でも解説していますが、特にユーティリティについてはキャンプやトランポにも最適なくらいの広さがあり、間違いなく素晴らしいです。

カングーの後部座席ルノーカングーがキャンプに最適な理由5つルノー カングーカングーがトランポにも使える理由4つ!使い心地まで解説!

維持費は必要ですが、それを払うだけの価値のある車であることは確かでしょう。

カングーについてもっと詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。

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