トヨタ プリウスはモーターとエンジンを併用したハイブリッドカーの先駆けですが、プリウスが他の車よりかなり静かなのをご存知ですか?
今回はプリウスの静粛性についてご説明しましょう。
プリウスの静粛性
プリウスのハイブリッドシステムは通常ではモーターとエンジンを併用しながら走行しますが、条件次第ではモーターだけの走行になることがあります。
またEVモードといって任意にモーターだけの走行に切り替えることもできます。(EVモードの詳細は以下の記事をご参照ください。)
プリウスのEVモードとは?使い方から速度まで徹底解剖します!モーターとエンジンの併用の場合の静粛性は基本的に普通の車と変わりませんが、モーターだけの走行だと大幅に静粛性があがります。
そんなプリウスの持つ各機能が静粛性にどんな影響をしているのかをご説明しましょう。
ハイブリッドシステムの静粛性
プリウスのハイブリッドシステムは前述した通りモーターとエンジンを併用したり、またモーター専用に切り替えることができます。
モーターのみの走行となる場合は基本的には車の発進時で、その後速度をあげなければ数百メートル程度はモーター走行が続きます。
このモーター走行時にはエンジンはかかっていないので、車には付きもののエンジン音が全くありません。
モーターにも一種独特な駆動音がしますが、モーターの音はかなりの高周波なので課長域を超える場合が多く、あまり聞こえません。
またハイブリッドシステムのインバーターという部品も高周波を出しますが、車内に乗っている限りはほぼ聞こえてこないので、車が走っているのに音がほとんどしないという不思議な状態になるのです。
モーターの静粛性はすさまじく、車が動く時の音で聞こえてくるのは後述するロードノイズがほとんどです。
モーター走行はバッテリー残量が減ると解除されますので、使えるのはせいぜい1kmまでです。
しかし自宅の周りや夜間の住宅地を走る分には十分であり、周りに迷惑をかけることなく走行できるほどの静粛性がプリウスにはあります。
エンジンルームの静粛性
プリウスがモーター走行した時に高い静粛性を発揮するのは初代から一貫していましたが、いっぽうでエンジンがかかったあとの音は結構不評でした。
それがプリウスが代を重ねていくごとに改善されており、最新型ではエンジン音も劇的に少なくなっています。
エンジンの音を遮音するにはいくつか方法がありますが、一番効果があるのは車体に防音や遮音機能を付けることです。
新型プリウスではこういった車体側での音対策もしっかり取られているので、車内に聞こえてくるエンジン音もかなり少なくなっています。
ハイブリッドカーといっても走行の大半はエンジンがかかっていますので、エンジン音の対策は相変わらず重要なのです。
なお実際の静粛性については以下の記事でも触れているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
新型プリウス(50系後期)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!遮音ガラスの採用
プリウスには全車ではありませんが上級グレードに遮音フロントガラスが新装備されており、外から入ってくる音や、空気中を伝わってくるエンジン音などに対して遮音効果があります。
プリウスには大きく分けて3つグレードがあり、値段の順にE、S、Aとなっています。
このうち遮音フロントガラスが標準装備されているのはAのみで、次の4グレードに採用されています。
- A プレミアム “ツーリングセレクション”
- A プレミアム
- A “ツーリングセレクション”
- A
フロントガラスは車の中でも最も面積のある窓ですので、コストのかかる遮音フロントガラスは上級グレードのみの装備です。
これの効果は比べてみると一目瞭然で、それまで静かだと思っていたエンジン音が遮音フロントガラスにすることで一層静かになります。
遮音性のみで上級グレードを選ぶことは少ないと思いますが、上級グレードは価格に見あった性能を持っていることは間違いないでしょう。
なお正しいやり方で値引き交渉をすれば数十万円は安くなるので、上級グレードも余裕を持って購入できますよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!歩いていても気づかないプリウス
プリウスがモーターのみで走行している時には、車内はもちろんのこと車外に出る音も非常に静かです。
そのためかプリウスが住宅地などを走っているときに、後ろから近づかれるとなかなか気づけないことがあります。
普通は車が近づいてくるとエンジン音などで「車が来たな」と気づくのですが、プリウスの場合かなり接近した状態でなければ音が聞こえてきません。
しかもその音もモーターなどのキーンという音なので、そのことを知らないひとはとても車が近づいてきているなどわからないことでしょう。
佐藤茂道(著者)
私も何度か後ろから接近するプリウスに気づくのが遅れたことがあります。
結構接近してから耳慣れない高周波が聞こえてくるので振り返ってみると、かなり近いところにプリウスがいたのです。
一応プリウスには車両接近通報装置という独特な音を出すスピーカーのようなものが付いているのですが、これを使っている場合でさえかなりの静かさなのです。
音自体もモーター音を聞き取りやすくしたようなものですが、高周波であることには変わりないので車の音だとわからないこともあります。
また高周波は耳の聞こえにくくなったお年寄りなどには聞き取りにくい音ですので、プリウスドライバーの人は高齢者に後方から近づくときにはいつも以上に注意する必要があります。
そうしなければ不慮の事故につながりかねません。
静かすぎて聞こえるロードノイズ
ここまではどちらかというと「静かになる」ことを説明しましたが、その「静かになること」が逆に音を生むことにもつながります。
普段車を運転している時に聞こえてくる音はエンジン音がほとんどで、車が道路を走っている時のタイヤの転がる音などは気になりません。
ロードノイズが聞こえてしまう
しかしプリウスというハイブリッドカーでエンジン音が聞こえなくなると、次に聞こえてくるのはこのロードノイズです。
ロードノイズで聞こえる音はさまざまですが、主にはタイヤが道路上をグリップしながら進んでいる音や、道の段差や砂利などで発生する音などです。
普通の車では全く聞こえなかったロードノイズですが、ハイブリッドカーに乗って初めて結構大きい音だったことに気づく人がほとんどでしょう。(私もそうでした)
プリウスの静粛性が逆に音を生むことになるは皮肉ですが、少し影響があります。
ロードノイズの対処法
なおこのロードノイズはある程度改善することが可能で、その方法はタイヤを交換することです。
プリウスに標準装備されているタイヤは結構固くロードノイズの出やすいものなので、ロードノイズを吸収する特性があるタイヤに変えればかなり減ります。
タイヤを新たに4本買うので結構出費がありますが、ロードノイズはタイヤ以外では対策しにくいものですので、ロードノイズが気になる人はやってみる価値があるでしょう。
ほかのロードノイズ対策は以下の記事で紹介しているので、詳しいところまで知りたい方は下記の記事もご参考にしてみてください。
プリウスの静粛性の評価
プリウスの静粛性についてはTwitterなどにもさまざまな意見が上がっており評価されています。
今回はその中からいくつかツイートをご紹介しましょう。
後ろからくるプリウスに気づかない
プリウスのタクシーに後ろからクラクション鳴らされたのは腹が立ったわ。イヤホンもしてないし走行音が静かだから分かるわけないだろうが!
— たけ@#! (@tkchman_333) 2017年8月24日
タクシーのプリウスが接近してきたときにクラクションを鳴らされたそうで、突然クラクションを鳴らされるといい気持ちはしませんよね。
しかし見方を変えると、タクシーのドライバーさんはプリウスの静かさを知っているのであらかじめ危険を知らせるために鳴らしたのかもしれません。
一般車以上に事故には敏感なタクシーですので、予防措置的なクラクションは十分ありえます。
それにしても車両接近通報装置の音がもっとわかりやすければ、クラクションなんて鳴らす必要もないのですが。
初めて出会うプリウスにびっくり
プリウス静かすぎない?
ガソリン入れに行ったら 前に停車してたプリウスが音もなく走ってビックリした
プリウスあんなに静かなのに 何でこんな小さい掃除機こんなにうっさいの?ヽ(`Д´)ノプンプン— みゆき (@122760_miyuki) 2017年8月24日
モーター走行しているプリウスが音もなく走っているのに驚いていらっしゃいますが、その気持ちはよくわかります。
普段車に乗っている人ほどびっくりすると思いますが、車というものは乗っているとあまり音が気にならないものです。
その自分の車の感覚があるので、プリウスが静かに走行しているのを見ると余計に不思議な感じがします。
プリウスに乗っている人は静粛性に慣れているのでロードノイズなどが気になりますが、プリウスの静粛性は本当にすごいものです。
ちなみにプリウスはこれだけの静粛性がありながら、そこそこの加速性能があり走りも快適にできます。詳細は以下の記事で解説しているので、こちらも参考にしてみてください。
プリウスの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ロードノイズはやっぱりタイヤが原因?
Nさんの愛車が初代アリオンから30プリウスに。別府往復してきたけどプリウスにしちゃロードノイズが酷いなと思ったらタイヤがトヨタのあれか…。ムーヴも買った時履いてたけど、あれうるさいんだよなぁ。まあホイール変えるって言ってたから静かになるでしょう。
— せっつぁん (@mj_setzer) 2017年1月21日
プリウスの標準タイヤはやはりロードノイズが大きく、あまり評価は良くないようです。
プリウスのタイヤは低燃費タイヤというもので、燃費が特に重視される最近の車に採用が進んでいます。
しかしその反面ロードノイズは大きくなる傾向にあるので、ハイブリッドではそれが際立ってしまう結果になっています。
なかなか低燃費タイヤでロードノイズも静かにするのは難しいので、ほんのわずかな燃費の低下を受け入れるならタイヤ交換は十分メリットがあります。
なおプリウスの燃費については、以下の記事で詳細を解説しています。気になる方はこちらの記事もあわせて参考にしてみてください。
プリウスの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!プリウスの高周波はちょっと…
以前の家では夫婦で使うのでプリウスとで2台持っていた。プリウスはすでに売却したが、燃費は十分最高かもしれない。ただ高周波が出てるせいか30分以上の運転で自分の場合少し頭痛がしてくる。ただのガソリン車の運転でこのようなことはない
— リアルフリー (@yuzFreeter) 2015年11月28日
一般的に高周波はある周波数以上は聞こえないことになっているのですが、人によってはその高周波で体調が悪くなることがあるようです。
こちらの方は普通のガソリン車と比較されているので、ほぼ間違いなくプリウスが頭痛の原因のようです。
モーターやインバーターが発する高周波は、EV走行時はもとよりエンジンとモーターの併用時でも常に出ていますので、プリウスに乗る限りは高周波を聞き続けることになります。
苦手な人は長く乗っていられませんので、プリウスの思わぬ落とし穴の一つと言えるでしょう。
プリウスの口コミ・評判については、以下の記事でも解説しています。もっと詳しく知りたい方は、こちらもあわせてご参照ください。
プリウスの口コミ/評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!