スズキ「エスクード」と聞いて、どんな車かパッとイメージできる人は、そう多いんじゃないでしょうか?
なんとなくマイナーなイメージがありますが、実は30年のキャリアを誇る「知る人ぞ知るベテランSUV」なんですよ。
今、スズキといったら「ジムニー」「アルト」「スイフト」「ハスラー」といった印象ですが、エスクードもかなり走れるモデルなのです。
というわけで今回は、スズキのコンパクトSUV「エスクード」について、雪道走行の性能を分析してみました。
ライバル車とも比較してみたので、購入について悩んでいる方はぜひ参考にしてくださいね。
エスクードは雪道での走行はどうなのか?
雪道での走行性能を評価するには、いくつかのパートについて考えるとわかりやすいです。
公称性能を参考にしながら、「走行性能」「コーナリング性能」「ブレーキ性能」の3項目について評価してみましょう。
まずは、エスクードの諸元をご覧ください。
項目 | 1.4Lターボ | 1.6L |
種類 | 水冷直列4気筒直噴ターボ | 水冷直列4気筒 |
排気量 | 1,371cc | 1,586cc |
最高出力 | 136PS/5,500rpm | 117PS/6,000rpm |
最大トルク | 21.4kgf・m/2,100-4,000rpm | 15.4kgf・m/4,400rpm |
車重 | 1,220kg | 1,210kg |
全長×全幅×全高 | 4,175×1,775×1,610mm | 4,175×1,775×1,610mm |
最低地上高 | 185mm | 185mm |
駆動方式 | フルタイム4WD | フルタイム4WD |
※直列4気筒、直噴、水冷、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!直噴エンジンとは?メリット3つとデメリット4つ!不具合と耐久性が欠点?!水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!走行性能の評価
路面がツルツルな日は、信号で発進できず、立ち往生してしまうことが多々あります。
交差点はアイスバーンになりやすいため、とくにスリップしやすいポイントですからね。他にも登坂や駐車場など、走りにくい場所は日常のいたる所に潜んでいます。
エスクードは安心して走れるのでしょうか?雪道走行には、こんなものが求められます。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- トルクの大きさ
まず「駆動方式」ですが、雪道ではいうまでもなく4WDが有効です。
エスクードにはオンロード、スノー・ラフロードを自在に走る、スズキ独自の四輪制御システムが採用されているので、優れた走破性を実現しています。
次にチェックするのは「最低地上高」です。一般的には150mm以上が、雪道でも楽に走れるラインといわれています。エスクードは余裕の185mmなので、雪道でも安心して運転できますね。
雪道では「トルク性能」も大事。これは氷上というよりも、雪が深い状況で求められます。
エスクードはダイナミックな「1.4Lターボ」、スムーズ&パワフルな「1.6L自然吸気」という2種類のエンジンを用意。ターボモデルなら雪道でもパワフルに走れることでしょう。(エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!まとめると、エスクードは雪道でも抜群の走行性能を発揮できるということですね。車両の走行状態をトータルに制御する、先進の4WD性能を実現しているので、安定性はピカイチ。
「SNOWモード」に入れれば、積雪やアイスバーンに合わせて後輪へのトルク配分を変化させ、よりグリップ重視で走行することが可能です。
コーナリング性能の評価
次に重要なのは、「安定しながら旋回できるか?」という点です。本来なら、大雪の日はコーナーの多い道を避けるのがベストですが、そうも言ってられないのが現状。
むしろウィンタースポーツや旅行といった目的で、冬だからこそ峠道を走ることも多いでしょう。
雪道で使うなら、コーナーでしっかり踏ん張れる車を選びたいところです。諸元から判断するなら、この2項目を見てください。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
多くの人が、経験的にコーナリングでも4WDが有利だと感じていることでしょう。でも実際には、駆動方式による差はそう大きくありません。
このように感じるのは、高剛性&高重量なボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。
ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。軽自動車と大型車で走り比べたら、よくわかりますよ。
しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。
「重心の高さ」もひとつのポイントで、コーナーにおいては低いほど有利です。重心が高いとモーメントが働き、横転しやすくなりますからね。スペース系の軽自動車は背が高くて足が弱いので、峠のコーナーは要注意というわけ。
エスクードはというと、このクラスのSUVのなかでも小柄で、なおかつ軽量なので、コーナリング性能も信頼できるレベルといえるでしょう。
ブレーキ性能の評価
雪道でもっとも怖いのは、「ブレーキを踏んでも止まれないこと」です。周りに車がいなければいいですが、混雑時にやってしまったら一大事ですよね…。
もちろん搭載されているブレーキシステムや、タイヤ性能も重要ではありますが、諸元のこんな項目から読み取ることができます。
- 車重の軽さ
- 駆動方式
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。
イメージとしては重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。
しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。
これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。
コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。
少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。
エスクードは1,220kgと軽量なので、ブレーキ性能も問題ありません。4WDということで、エンジンブレーキが4輪に働くこともメリットですね。
もしエスクードを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!エスクードの雪道走行での評価
エスクードの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?Twitterから感想をいくつかピックアップしてみました。
エスクード TA01W
長所
雪道砂利道なんのその
普段はFRで燃費もそこそこ
おじさまが興味を示す短所
軽トラに負ける加速力
小回りの効かない四駆
車検証がグローブボックスに入らない pic.twitter.com/SXM2LjCfHM— きらてぐら (@tennis30556) 2018年5月23日
エスクードの長所と短所を挙げているツイートです。こちらの投稿では、長所として雪道や砂利道での走破力が挙げられていますね。
過去のモデルはFRベースでしたが、現行モデルはFFベースの4WD機構が採用されています。
同社「SX4」と共通の設計で、走破性に長けた「ラダーフレーム構造」というつくりがベースです。ここが他のクロスオーバーSUVとは異なるポイント。
反対に加速性能や、その他細かい点が短所として挙げられていますが、雪道で走行する分にはメリットのほうが多いでしょう。
ですよね~。私はエスクードで河原を走ったり、雪道を走ったりと、怖いものなしでしたね。毛布も食料も積んでいたので災害時にも対応できるような仕様でした。パートタイム四駆が最強だと確信して、今車を持っていない私w やっぱりおかしいw
— ケニアうどん/幌筵泊地 (@rk965) 2018年1月23日
エスクードはラダーフレーム構造によって、河原なども走破する能力をもっています。本格的なクロカンとしても使用できるのですから、市街地レベルの積雪なら意にも介しません。
こちらの投稿にあるように、災害時に備えて毛布や食料を積んでおくもの有効な使い方ですよね。
@speak5825 エクストレイルやエスクード乗ってたけどさ、そういう意味の事故はやらなかったけどね。
4WDという過信から事故になる奴が多いと思う。
スタッドは、雪道に強いが、凍りに弱いんだよね。— 美息@なっとうPUG (@kussaiyatu) 2015年12月12日
しかし、こんな強力な車でもあっても事故が起きる可能性は当然あります。
理由は様々ですが、こちらの投稿では「4WDという過信」をひとつの要因として挙げていますね。私もこの意見に賛成です。
車の性能はもちろん重要ですが、それ以上に大切なのが「タイヤの状態」や「ドライバーの意識」です。どれだけ高性能な車に乗っていても、けっして油断は禁物。
その実、過信せずに運転していたこちらの投稿者さんは、エスクードでの事故経験はないと語っていますからね。
なお上記のツイートにあるエクストレイルの雪道性能は、以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
エクストレイルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!エスクードの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「ライバル車と比較すると、どうなのか?」ということ。
というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのはトヨタ「C-HR」、ホンダ「ヴェゼル」、スバル「XV」の3台です。
比較しやすいように価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみに、エスクードは259万円(1.4Lモデル)、234万円(1.6Lモデル)となっています。
トヨタ C-HR
トヨタのコンパクトSUVといえば、現在販売されているのは「C-HR」ですね。ラインナップは1.2Lターボと1.8Lハイブリッドの2種類で、1.2LモデルにはFFと4WDが用意されています。
エスクードより少し上の、229~293万円という価格で販売されています。雪道の性能について比較してみると、どちらが優れているのでしょう?
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒DOHCICターボ |
排気量 | 1,196cc |
最高出力 | 116PS/5,200~5,600rpm |
最大トルク | 18.9kgf・m/1,500~4,000rpm |
車重 | 1,470kg |
全長×全幅×全高 | 4,360×1,795×1,550mm |
最低地上高 | 155mm |
駆動方式 | 4WD |
ざっと見た感じで、トルク性能・車重・最低地上高においてエスクードのほうが上回っていることがわかります。
加えて、エスクードの優れた4輪駆動システムも考慮すると、雪道では断然エスクードが上手といえるでしょう。
C-HRは、あくまでもプリウスをベースにしたSUVモデルですから、走破性というよりも環境性能に寄っています。コンセプトの方向性が違うということですね。
なおC-HRについては試乗記事もございますので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
C-HR(ターボ/ハイブリッド)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!ホンダ ヴェゼル
ホンダから販売される人気モデル「ヴェゼル」とも比較してみましょう。
ヴェゼルには1.5Lハイブリッド、1.5Lガソリンの2種をラインナップしており、それぞれFFと4WDが用意されています。
価格帯はXVに近い197~293万円というライン。コンパクトSUVとしては後輩にあたりますが、今では強力なライバルです。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 132PS/6,600rpm |
最大トルク | 15.9kgf・m/4,600rpm |
車重 | 1,180-1,270kg |
全長×全幅×全高 | 4,330×1,770×1,605mm |
最低地上高 | 185mm |
駆動方式 | FF/4WD |
トルク性能・車重・最低地上高において、ちょうど同じくらいの性能を有していますね。モデルによって多少の前後はあるものの、ほぼ同じスペックだと考えられます。
しかし、ハードな雪道を走るなら、スタックに強いエスクードのほうが使えるでしょう。ターボモデルならトルクも力強いですし、低速からパワーを発揮できますから。
タウンユースなら燃費性のいいヴェゼル、アクティブに乗るなら力強いエスクードといったところでしょうか。(燃費の詳細は以下の記事をご参照ください。)
ヴェゼルの燃費は悪い?街乗りや高速の実燃費は?改善し向上させる方法まで解説!ヴェゼルの雪道性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ヴェゼルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スバル XV
最後に比較するのは4WDにめっぽう強いスバルより、コンパクトモデルの「XV」です。
ラインナップは1.6Lガソリン、2.0Lガソリン、2.0Lハイブリッドの3種類ということで、いま力が入っているモデル。当然、用意されているのは4WDモデルのみです。
キャラクターが似ており、価格帯も214~283万円ということで、エスクード最大のライバルといえます。
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC |
排気量 | 1,995cc |
最高出力 | 154PS/6,000rpm |
最大トルク | 20.0kgf・m/4,000rpm |
車重 | 1,420-1,440kg |
全長×全幅×全高 | 4,465×1,800×1,550mm |
最低地上高 | 200mm |
駆動方式 | 4WD |
※水平対向4気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!こちらは2.0Lガソリンモデルの諸元です。トルク性能は同等ですが、車重ならエスクードのほうが200kgほど軽量ですね。
反対に最低地上高はXVが上手です。駆動機構に関しては、両社アクティブさを得意とするメーカーだけあり、かなり高いレベル。
車高と優れたバランスをもつXVは、ハードな雪道に対して強力です。
軽量性を考慮すると、ブレーキの効くエスクードのほうが街乗りには強いでしょう。街で乗ることがメインなら、エスクードのほうが使えるかもしれませんね。
XVの雪道性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
スバルXVは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!エスクードは雪道走行する車としては買いか?
というわけで、エスクードの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、『タウンユースにもアクティビティにも適した、使いやすいモデル』といった感じですね。コンパクトSUVのなかでも、非常にバランスのとれた優良モデルなのです。
したがって、エスクードは雪道走行するのにおすすめの一台といえます。
なお雪道性能については、以下の記事でほかの車種を取り上げています。興味のある方はこちらもご参照いただき、エスクードと比較検討してみてください。
マツダCX-5は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!フォレスターは雪道に最強?雪道走行の性能について徹底分析しました!