スズキ スペーシアベースはスペーシアの派生モデルで、ラゲッジスペースの使い勝手を向上させた車となっています。
今回はスペーシアベースのラゲッジスペースについてご紹介します。
スペーシアベースの荷室・トランクの容量・寸法
スズキ スペーシアベースは同社の売れ筋軽自動車であるスペーシアの派生車種として登場した車です。
スズキ スペーシアは軽自動車の中でも車高が高いスーパーハイトワゴンで、その車高の高さを活かした車内スペースの広さが特徴です。
スペーシアは特に座席の足下空間など居住性を高めるレイアウトが取られているのですが、一方で全長の短い軽自動車なのでシートの後ろにあるラゲッジスペースは全体的に狭いものになってしまいます。
そこでスペーシアベースはスペーシアをベースとしてラゲッジスペースの拡大及び機能追加を行なった車種であり、よりスペーシアの積載性を重視する方におすすめの車種となっています。
ではスペーシアベースの大まかなサイズ感とラゲッジスペースのサイズや容量についてご紹介しましょう。
スペック | スペーシアベース | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,395mm | |
全幅 | 1,475mm | |
全高 | 1,785mm〜1,800mm | |
室内長 | 約1,800mm | |
室内幅 | 1,345mm | |
室内高 | 1,410mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 1,115mm |
幅 | 890mm(タイヤハウス間) 1,245mm(サイドトリム間) | |
奥行き | セカンドシート展開時:735mm セカンドシート収納時:1,375mm(フロントシート背面〜テールゲート) 助手席シート収納時:2,030mm | |
ラゲッジ容量 | セカンドシート展開時:約281L(セカンドシート後端) | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約1,200mm | |
奥行き | 約700mm |
スペーシアベースは外観サイズについてはスペーシアと同等となっており、軽自動車規格にあわせた全長及び全幅に1,800mm近い高い車高を持っています。
ボディに対する車内スペースのデザインも大まかには同一なのですが、大きな変更点としてまずセカンドシートがより簡便なベンチシート式となっており、サイズ的に前後サイズが狭くなっています。
そのおかげでセカンドシートより後ろのラゲッジスペースは奥行きが広がっており、スペーシアに対してセカンドシートの居住性をラゲッジスペースに振り分けた形となります。
そのためスペーシアベースの標準的なラゲッジスペースはセカンドシート展開時でも奥行きが735mm確保されており、容量も281Lとコンパクトカーに匹敵するサイズなのはコンセプトどおりといえるでしょう。
またスペーシアは直線的な箱型バンなので車内のスペース効率がよく、ラゲッジスペースの横幅や高さも広々としていますので軽自動車の中では高い積載性を発揮します。
スペーシアベースは車のカテゴリーとしては軽商用車という扱いですが、仕様やデザインなどは乗用車として見ても遜色ないものなのでどちらの用途にも活用できるでしょう。
ではこのスペーシアベースのラゲッジスペースについて詳しく見ていきましょう。
スペーシアベースの荷室・トランク・荷物収納スペースの良い点
スペーシアベースのラゲッジスペースには次のような便利な点があり、使い勝手の良いものとなっています。
固定式セカンドシートにより実用的な広さの標準ラゲッジスペース
スペーシアベースはスペーシアに対してセカンドシートの仕様が大きく変わっており、このことによって標準ラゲッジスペースが広くなっています。
スペーシアは軽自動車としてはセカンドシートの仕様がかなり豪華な車種で、セカンドシートが前後にスライドできることで座席の足下空間やラゲッジスペースの奥行きを広げることができました。
またシートアレンジでシートの収納なども可能であり、座席自体の座り心地も良好なのでシート自体で占めるスペースが多くなっています。
これに対してスペーシアベースではラゲッジスペースを拡大するためにセカンドシートを簡易的なベンチシートに変更しており、足下空間が若干狭くなった上に前後スライド機能もないため非常にシンプルな仕様となりました。
この変更によってセカンドシートのスペースが小さくなったため、それより後部の標準ラゲッジスペースの奥行きがかなり広くなっています。
またスペーシアから受け継いだラゲッジスペースの上下の高さが広いので、なんと大型のゴルフバッグは立てたまま積込むことが可能です。
スペーシアでは奥行きが不足していて積み込みづらかったゴルフバッグやスーツケースなどを立てたまま満足に積み込めるようになっており、積載性の面で利便性は大幅に向上しています。
車いすやベビーカーなども折り畳んであれば立てたままで積み込めるので、無理な体勢を取る必要がなくて安定して積み込めるでしょう。
後述するようにセカンドシートとしての快適性などは低下しているものの、ラゲッジスペースの使い勝手を優先する方には魅力的なレイアウトに仕上がっているでしょう。
シートアレンジでさまざまな使い方が出来るレイアウト
スペーシアベースではシートアレンジも色々なモードを取ることができ、より積載性を高めることが出来ます。
スペーシアベースは商用モデルではありますが一般的な乗用車のようなシートアレンジが可能で、まずセカンドシートの収納が出来ます。
セカンドシートは背もたれを前に倒した状態でシート全体を床下に収納することができ、このモードであればセカンドシートの面と標準ラゲッジスペースの面が繋がります。
その奥行きはフロントシートの背面からテールゲートまでで1,375mmもの広さが確保できるため、より大きな荷物や大量の荷物も積み込めます。
さらにスペーシアベースの室内高の高さがあると自転車も立てたまま積込むことが可能で、奥行きが広がったことで自転車を1台〜2台しっかり積み込めます。
なおシートアレンジ時にはセカンドシートと標準ラゲッジスペースの間には僅かな隙間ができるのですが、この部分を覆ってフラットな面を作り出す「フルフラットカバー」があり、これは標準ラゲッジスペースの床下から取り出して装着することが出来ます。
そしてさらにラゲッジスペースの奥行きがほしいときには助手席側シートの収納も可能で、助手席シートは座面と背もたれをそれぞれ分割しながら収納する「ダブルフォールディングシート」になっています。
上面もある程度はセカンドシート以降の面とフラットに近くなっていますので、奥行き2,000mm超えの広々としたスペースに長い荷物や木材などを積み込めます。
スペーシアベースは商用車として設計された車なのでこういった点の使い勝手もしっかり確保されており、商用ユースからプライベートユースまでさまざまなシーンをシートアレンジによって対応できる車となっています。
この積載性があればスペーシアベース1台でも旅行などに満足に行くことができ、フロントシートの2席であれば長距離乗車でも快適に過ごせるので少人数での移動に向いているでしょう。
フルフラット化で積載性を優先したラゲッジスペースデザイン
スペーシアベースのラゲッジスペースは全体的にフラットなデザインとなっており、スペーシアよりもさらに積載性を向上させています。
スペーシアベースのもととなったスペーシアも軽自動車にしてはシートアレンジが優秀であり、セカンドシートを床下収納できるため段差が少ないフラットモードを作り出すことができます。
ですがスペーシアベースはさらにフルフラットに限りなく近いラゲッジスペースを実現しており、セカンドシートを床下収納すればほぼ段差のないフラットスペースとなります。
これを実現している理由は簡易的になったベンチシートにあり、シートの背もたれや座面の厚みが薄くなったことで収納時に張り出すことがなくなり、標準ラゲッジスペースの床面と高さ的にはフラットになっています。
ただしセカンドシートと標準ラゲッジスペースの間にはわずかながら隙間が空くのですが、ここには備え付けのフルフラットカバーで覆えるので、荷物が落ちてしまうような隙間もないラゲッジスペースが実現しています。
普段から人数を載せないのであればフルフラットモードを基本としても良いぐらいで、必要な際にベンチシートを引き出して使うほうが便利でしょう。
ラゲッジスペースの床面がフラットであれば大きな荷物や重量物を積込むときにも前後の移動が楽ですし、自転車の積み込みにもタイヤで転がして移動が出来るため非常に使い勝手の良いラゲッジスペースに仕上がっています。
またスペーシアから受け継いだ点としてラゲッジスペースの床面の地上からの高さが低い点があり、540mmという地上高は軽自動車の中でも最小クラスです。
床面位置が低ければ荷物を持ち上げる高さが低くなりますので、荷物の上げ下ろしもしやすく負担が少ないラゲッジスペースとなっています。
防水フロアでキャンプやアウトドアには最適
スペーシアベースのラゲッジスペースは全体的に防水仕様となっており、さまざまなシーンで便利に活用できます。
スペーシアベースのもととなったスペーシアではラゲッジスペースの床面は全体的にカーペット生地となっており、柔らかい素材で傷つきなどには良いものの濡れたものや泥で汚れたものなどを積み込みづらいという点がありました。
一方でスペーシアベースではラゲッジスペースの床面などが樹脂パネルで覆われていることで防水性があり、水で濡れたり土が付いたりしてもすぐに掃除すればきれいになります。
またシート表皮なども撥水素材となっているため、シートアレンジ後でも防水性はキープされており荷物を積み込むシーンでは便利です。
ラゲッジスペースに防水性があると雨の日などに荷物を積み込むときにスムーズに積み込めますし、自転車などを積み込むときにもタイヤの汚れをそこまで気にしなくてよいのが便利です。
またスペーシアベースはその積載性からキャンプやアウトドアでも活躍する車ですが、ラゲッジスペースに防水性があると濡れてしまったテントなどのキャンプ用品や、水場で遊んだ後のレジャー用品などを積み込んでも大丈夫となります。
防水性のないラゲッジスペースではあらかじめ防水シートを敷いたりしなければならないのですが、スペーシアベースはある程度ラフな使い方が可能な点が大きなメリットといえるでしょう。
マルチボードによってさまざまなモードが展開できる
スペーシアベースにはこの車専用の装備として「マルチボード」という装備があり、マルチボードの装着位置などでさまざまなモードが利用できます。
スペーシアベースのマルチボードは手で簡単に取り外したり移動したり出来る樹脂製ボードで、スペーシアベースの各所にマルチボード専用の取り付け部分がそなわっています。
ラゲッジスペースの左右の壁には何列ものレールがあるのですが、マルチボードはこのレールに載せることで上、中、下段の3段階の位置で固定することが出来ます。
上段にすればちょうどラゲッジスペースを上下2分するような位置になり、中段、下段はそれぞれマルチボードの上下の空間をシーンによって組み替える使い方ができます。
また上段位置にマルチボードを設置した上でセカンドシートの背もたれのみを収納すると、セカンドシートがベンチ代わりになってマルチボードをテーブルにするようなモードも使え、車内が作業スペースになったりとユニークな使い方も出来ます。
またマルチボードはラゲッジスペースの中間位置に立てるようにして使うことができ、ラゲッジスペースを前後に分割して荷物を載せたり、ペットを載せるためのセパレートスペースに活用したり出来ます。
その他下段位置に装着するとフロントシートを最大までリクライニングした際の上面位置と合うようになっており、車内に前後に長いシートスペースを確保して車中泊などに利用できます。
このマルチボードという装備はスペーシアにもなかった機能で、ラゲッジスペースを優先した設計のスペーシアベースならではの便利機能といえるでしょう。
ラゲッジの使い勝手を向上させる機能が充実
スペーシアベースにはマルチボード以外にもラゲッジスペース周りの装備が多く、かなり利便性の高い機能が多いです。
まずラゲッジスペースおよびセカンドシートの左右の脇には「リアクォーターポケット」と呼ばれる大型の収納があり、スペーシアベースの側面の広い面を活用しているのでさまざまなものを収納できます。
それだけではなくスペーシアベースのセカンドシートを取り外した状態でリアクォーターポケットに格納することも出来、ラゲッジスペースで意外に邪魔になるシートベルトがコンパクトにまとめられるのも便利です。
さらにリアクォーターポケットにはネットをひっかけておくフックがそなわっており、ここにネットをつければ壁面にシッカリ荷物を固定しておけます。
またリアクォーターポケットの下側には汎用的な固定器具として使える「マルチユーティリティナット」が合計10箇所そなわっています。
このナットにオプション装備のフック類を取り付けたり、社外品のラゲッジバーなどを取り付けたりすれば、スペーシアベースのラゲッジスペースで荷物を固定したりさまざまなカスタマイズが可能です。
カー用品でなくても汎用的なナットなので個人でDIYでカスタムするときにも重宝し、好みのカスタマイズパーツを取り付けるベースにすると良いでしょう。
これに加えて便利機能としてスペーシアベースのリアには照明がそなわっており、夜間でも手元などを照らしてくれるため使いやすいです。
中にはカスタマイズとして照明をLED化する方などもおられ、前述のマルチボードのテーブルモードを使うときなどには照明が明るいほうがよかったりします。
さらには電源を取り出せるアクセサリーソケットも側面にそなわっており、こちらもマルチボードが上段の際に最も使いやすい位置にあるので、テーブル上の電気製品を稼働させられるのが便利です。
ラゲッジスペースに関する装備は軽自動車とは思えないほどの充実ぶりを見せており、また専用装備のマルチボードにあわせた設計となっているのも面白いですね。
スペーシアベースの荷室・トランク・荷物収納スペースの悪い点
スペーシアベースはラゲッジスペースが優先された設計で利便性が高いのですが、次のような点は若干不便さを感じる部分です。
ラゲッジスペースを優先したためセカンドシートが簡易的
スペーシアベースはセカンドシートがスペーシアから変更されているのですが、そのセカンドシートは座り心地などがイマイチな部分が多いです。
これはラゲッジスペースの使い勝手などには直接影響しないのですが、むしろラゲッジスペースを優先したためにセカンドシートの性能が犠牲になっている部分があります。
スペーシアベースではラゲッジスペースのシートアレンジなどに重点が置かれており、セカンドシートを収納するとかなりコンパクトに収まります。
コンパクトにするためにはシート自体の厚みや凹凸などを減らさなければならず、座る座席としては平坦でホールド性のないまさにベンチと言ったような座席です。
このベンチシートでも近距離であればなんとか座り続けることができるのですが、長距離移動となるとシートの固さなどから結構辛いものがあります。
スペーシアではセカンドシートの快適性や居住性はしっかり確保されていて長距離旅行なども十分行えるのですが、スペーシアベースでは4人フル乗車での長距離移動は後席の方にかなり負担があるでしょう。
軽自動車という性格上全長には制限があるのは仕方なく、ラゲッジスペースを広くしたら居住スペースが狭くなってしまいますので、スペーシアベースという車は基本的に2名乗車がメインでありセカンドシートは補助座席として考えておいたほうがよいでしょう。
車中泊モードは凹凸が大きく快適性が低い
スペーシアベースはマルチボードを下段位置にすることで車中泊が出来るモードとなるのですが、車中泊のためのスペースとしては若干不便さもあります。
スペーシアベースのマルチボードを下段位置にしてフロントシートを後ろに倒すと車の車内全体が繋がり、このスペースを使うとしっかり足を伸ばして寝るだけのサイズはあります。
スズキの解説による使い方ではマルチボードの耐荷重から2名までは車中泊が可能となっており、あらかじめ車中泊を考慮した設計となっていることがわかります。
ですが快適に寝るためには多少シート上面の凹凸が気になる部分であり、そのままの状態では快適に寝ることができません。
シート上面に凹凸があると身体が固定されてしまうので快適に跳ねれませんし、フラットとはいっても足下と頭の高さには多少の差もあります。
そのため快適に寝るためには車中泊マットなどを敷く必要がありますが、スペーシアベースのオプションのマットでも凹凸の完全な解消にはなりません。
社外品には厚みのあるマットレスなどもありますので、スペーシアベースで車中泊を行う際にはこういったものを用意すると良いでしょう。
スペーシアベースの荷室・トランク・荷物収納スペースの口コミ・評判
スペーシアベースのラゲッジスペースについてはtwitterにもいろいろな投稿があり、その中からいくつかご紹介します。
スペーシアベースの実車を見てカスタムと遜色ない外観と使い勝手の良さそうな荷室に通勤で使う2ndカーに最高なのでは👼
自動車税も安いし✨
後ろのシートはベンチと変わらないので長距離で人を乗せたら拷問かも🙊
ハイオクのリッター10㌔の1stカー買ったら真剣に検討しよ🚘— 将 (@fun_to_drive333) September 13, 2022
この方はスペーシアベースの実車の試乗をされたようで、さまざまな面にメリットを感じていらっしゃいます。
ラゲッジスペースの広さもセカンドカーにはピッタリとおっしゃっており、商用車扱いなので経済性もあるのが良いですね。
スペーシアベースに乗り換えて初のキャンプ。
車中泊を想定しないなら荷室仕切りモードがキャンプには使いやすいね👌
収納ボックスがジャスト縦に入って良い感じ。 pic.twitter.com/QZPLf9wJiX— gude-yasu凍男 (@GudeYasu) December 10, 2022
こちらの方はスペーシアベースでキャンプに行かれているのですが、その積載性の高さをしっかり活かしていらっしゃいます。
またマルチボードの仕切りもうまく使えているようで、工夫次第でさまざまな使い方が出来るのは面白いですね。
総評
スズキ スペーシアベースは軽自動車の商用車ではありますが、乗用車としてもしっかり活用できるラゲッジスペースの広い車です。
スペーシアをベースとしているので乗用車らしい性能を持ち、さらにラゲッジスペースの使い勝手に焦点を充てられているので、商用ユースからプライベートユースまで幅広く活用できるでしょう。
また商用車なので税金が安いというメリットもあり、シートの仕様などで快適な乗用車とはならないものの積載性を重視する方にはおすすめです。