フォルクスワーゲン(以下VW)はドイツのみならず世界一の自動車メーカーの一つですが、VWは大衆車のイメージが強く高級車はいまひとつでした。
しかしそれも新型車「アルテオン」の登場で一変するかもしれません。
今回は東京モーターショーで登場したVW アルテオンについてご紹介しましょう。
アルテオンってどんな車?
アルテオンはVWの新たなフラッグシップモデルで、2017年の東京モーターショーで日本初公開されました。
アルテオンはVW初の高級車
これまでは大型セダンのパサートがフラッグシップモデルでしたが、アルテオンがそれより上の高級セダンとして登場したのです。
パサートはトランクをもつオーソドックスな4ドアセダンでしたが、アルテオンはクーペとセダンが融合したファストバックセダンというタイプです。
このカテゴリーには欧州の高級自動車メーカーがこぞって参戦しており、VWはアルテオンでその市場に真っ向勝負を挑むつもりのようです。
ライバルとなるのは、例えば以下のような、そうそうたる面々が揃っています。
- ポルシェ パナメーラ
- BMW 6シリーズグランツーリスモ
- アウディA7ファストバック
- メルセデス・ベンツ CLSクーペ
これまでVWにはこのカテゴリーの車種はなくアルテオンで初めて参戦するのです。
当然VWの気合いの入れ方は尋常ではなく、モーターショーでも最大の目玉でした。
そんなアルテオンの特徴を説明する前に、スペックなどをご紹介しておきましょう。
アルテオンの基本スペック
アルテオンはスタイル重視のクーペスタイルですが、4ドア+ハッチバックの5ドアタイプのクーペです。
そのため乗車定員は5名ときっちりセダンとしての役割も果たせるようになっており、クーペとセダンの良いとこ取りを狙っています。
ボディタイプ | 5ドアクーペ |
乗車定員 | 5名 |
エンジン | 2.0L 直列4気筒DOHCインタークーラーターボ |
最高出力 | 206kW(280PS)/5600-6500rpm |
最大トルク | 350Nm(35.7kg-m)/1700-5600rpm |
変速機 | 7速DCT |
全長 | 4,865mm |
全幅 | 1,875mm |
全高 | 1,435mm |
車両重量 | 1,700kg |
駆動方式 | 4WD |
※直列4気筒、DOHC、インタークーラーターボ、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!インタークーラーターボとは?仕組み/構造は?ターボチャージャーとの違いまで解説!エンジンの排気量は2.0Lとかなり小型のエンジンですが、280馬力でトルクが35.7kgと、かなりトルクフルな走りが期待できます。
最近のスポーツカーに多いハイブリッドカーでもなく、純粋なガソリンエンジンのスポーツカーに仕上がっています。
サイズは全幅がスポーツカーらしく幅広で安定感があり、さらに全高もクーペらしく抑え気味で非常にスポーティーな印象が際立っています。
日本仕様は馬力の高い280馬力仕様で4WD仕様のみですが、世界ではもう少しスペックダウンした2WD仕様です。
重量が1,700kgとかなり重ためなので、馬力の低いモデルでは少々辛そうですが、日本仕様はそんなことに悩まされず済みますね。
では次はアルテオンの特徴をご説明していきましょう。
アルテオンの特徴とは
アルテオンはこれまでVWの車にはなかった特徴や魅力をたくさん備えており、VWとは思えない車に仕上がっています。
スタイリッシュなエクステリアデザイン
アルテオンの最大の特徴で最大の魅力なのは、なんといってもスタイリッシュなデザインでしょう。
ハッチバッククーペの王道をいくシンプルなデザインでありながら、どの角度から見ても破綻しないバランスの良さを兼ね備えています。
余計な張り出しやマッシブなスタイリングを一切排除しており、流麗で上質です。
大径の20インチタイヤもうまくデザインにマッチしており、ここまで上手にまとまったデザインの車は珍しいです。
切れ長のヘッドライトやシャープなグリルと相まって、率直にいってカッコいい車に仕上がっていると言えるでしょう。
ハッチバックで容量の大きなトランク
ハッチバッククーペの特徴のひとつに大きなテールゲートがあり、普通のセダンタイプの車に比べると圧倒的なトランクルームの容量が確保されています。
近年ハッチバッククーペが人気なのはこの使い勝手の良さがあり、クーペタイプでありながらSUVに匹敵する荷室が使えるとなれば言うことはありませんよね。
その中でもアルテオンの荷室は結構大きく、ゴルフバックで言えば4個程度は楽に乗るほどです。
車の利便性とスポーツカーはなかなか両立できなかった部分なのですが、アルテオンはその当たり上手にバランスがとれています。
もしアルテオンを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!超速で変速できる7速DSG
アルテオンの変速機はゴルフ-R譲りのDSGであり、マニュアルはもちろん従来のオートマを遥かに凌駕する速度で変速できるスポーティなものが搭載されています。
オートマやCVTも自動変速機ですが、これらはトルクコンバーターでの滑りなどで効率が悪く、その結果出力や燃費が悪化してしまいます。
その点DSGは機構はマニュアルなので効率がよく、自動変速機なのに燃費も良好です。
そして何より変速のスピードがかなり早く、変速するのに要する時間はわずか0.03秒~0.05秒という圧倒的なものです。
ドライバーが変速するより当然早く、またクラッチミートも確実ですので非常にスポーティな走行が可能となります。
VWではDSGの採用をかなり進めており、アルテオンに搭載されたものもベースはゴルフですが、むしろスポーツカー向けのシステムといえるのです。
パサート譲りの上質なインテリア
アルテオンのベースとなったパサートはVWとしては最高の高級車で、内装も豪華でした。
アルテオンはその上質さをしっかり受け継いでおり、VWのフラッグシップとしての資格を持っています。
クーペスタイルとはいえ内装は高級車としての品格を備えており、特に後席にラグジュアリーな装備を集中しています。
また前席はラグジュアリー的ではなくどちらかというとスポーティなホールド性のあるシートとなっており、クーペとセダンがインテリアでもうまく融合しています。
ダッシュボード周りも日本の高級車のようなゴテゴテした豪華さではなく、シンプルでありながら存在感のあるデザインで、オプションで選べる木目パネルが良いアクセントになります。
ハッチバッククーペスタイルなので後席の天井が寝ていますが、思ったより窮屈感はなく余裕のあるヘッドクリアランスがあります。
VWのフラッグシップにふさわしいインテリアと装備をしっかり備えている車です。
なおフォルクスワーゲンが高級車かどうかという話は以下の記事で取り上げています。興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
フォルクスワーゲンは高級車じゃない?大衆車?ドイツでの位置づけまで解説!最新の安全装備
アルテオンにはVW最新の衝突安全装備が標準装備されており、安全面でも最高のクオリティを誇っています。
アルテオンに装備されているシステムは「プロアクティブ・オキュパント・プロテクション」という名称で、さまざまなシステムが組み合わされています。
主に次のようなシステムが含まれており、自動ブレーキや歩行者保護ボンネットなど最新システムは一通り揃っています。
- デイタイムランニングライト
- パークディスタンスコントロール(フロント/リヤ、前進/後退時衝突軽減ブレーキ機能付)
- リヤトラフィックアラート(後退時警告・衝突軽減ブレーキ機能)
- プロアクティブ・オキュパント・プロテクション
- エマージェンシーストップシグナル/アクティブボンネット
- アダプティブクルーズコントロール“ACC” (全車速追従機能付) / レーンキープアシストシステム“Lane Assist” / 渋滞時追従支援システム“Traffic Assist” / レーンチェンジアシストシステム“Side Assist Plus”
通常これだけのシステムはオプション装備になることが多いのですが、さすがフラッグシップというべきか標準装備になっており、全方位でしっかりしたクオリティの車に仕上がっています。
アルテオンの弱点
アルテオンはVW最高の車として素晴らしい完成度を誇っていますが、いくつか弱点もあります。
取り回ししづらい大きなボディ
アルテオンはVW最大サイズの車でパサートよりも全長、全幅で大きくなっているため、車の取り回しが多少大変です。
大きさとしてはベンツEクラスと同程度、国産車ではレクサスLSや日産GTRなどと同じぐらいです。(LSの詳細は以下の記事をご参照ください。)
レクサスLSの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!どの車も日本の狭い道では多少使いづらいところがあり、アルテオンも同じ弱点を持っていると言えるでしょう。
これまでVWはコンパクトなモデルが多く日本にマッチした車でしたが、アルテオンはさすがにその枠にはおさまりきらないようです。
乗り心地の固さ
アルテオンはラグジュアリーカーの側面があるとはいえ、どちらかと言えばスポーツカー向けのセッティングがされており、多少乗り心地が固い点があります。
サスペンションのセッティングやシートの固さなどもありますが、タイヤが19インチと大径なのが乗り心地を硬めにしている要因です。
ドイツ車はVWに限らずそうですがわりと低速での乗り心地は固めであり、高速走行するにしたがって本領を発揮するようにセッティングされているのです。
アウトバーンがあるドイツではそのセッティングの方が良いのでしょうが、低速走行がメインの日本では多少使いづらい点もあるでしょう。
なおフォルクスワーゲン車については以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
VWポロのフルモデルチェンジ!新型の内装や画像を公開【東京モーターショー2017】フォルクスワーゲンは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!