BMWといえばほとんどの人が知っている高級輸入車で、ベンツと並んでセレブリティカーの代名詞とも言える存在です。
そんなプレミアムなBMWですが、昔から故障も少なくないといわれているのですが、実際の故障率というのはどのぐらいなのでしょうか。
今回はBMWの故障率についてご説明しましょう。
BMWの故障率
BMWは1916年創業の歴史の古い自動車メーカーで、日本での自動車製造より前から開発を行っています。
日本にも戦後のわりと早い時期から輸入が始められ、国産車に高級車と呼べる車がなかった当時から裕福な層には人気の車でした。
技術力に定評のあるドイツの製品でしたので、高級さとともに質実剛健な面も評価が高かったのです。
しかし日本メーカーの自動車が信頼性の面で大きく発展していくと、海外での実績も相まって日本車は世界随一の信頼性を持つ車という肩書きを得て、今現在に至るまでその評価は変わっていません。
そして輸入車は日本メーカーの車と比べると故障が多いとされており、こと信頼性を重視するならBMWよりレクサスがよいと言われているほどです。
では実際BMWと日本車の間には、どのぐらいの故障率の差があるのでしょうか。
BMWの故障率調査
車の故障率は自動車メーカー各社が自社の故障件数をカウントして把握していますが、そのデータは社外秘であり決して一般に公開されることはありません。
しかしメーカーのデータとは別に、民間の調査会社や保険会社などが独自に車の故障率調査を行っており、これらのデータは一般公開されているものもあります。
今回はその中から、米国 J.D.パワー社が調査した自動車耐久品質調査という調査を参考にしてみたいと思います。
この調査では、各国で販売されている自動車メーカーごとの故障件数をカウントしており、実際の車のユーザーから新車購入3年~5年以内に起こったトラブル件数を聞き取り調査しています。
この調査は毎年行われており、件数の少ない信頼性の高いメーカーからランキングとなっています。
2017年 日本自動車耐久品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | トヨタ | 59 |
2 | レクサス | 63 |
3 | ホンダ | 74 |
業界平均 | 74 | |
4 | メルセデス・ ベンツ | 75 |
5 | スズキ | 79 |
6 | 三菱 | 80 |
6 | 日産 | 80 |
8 | ダイハツ | 82 |
8 | スバル | 82 |
10 | MINI | 88 |
11 | マツダ | 93 |
12 | BMW | 106 |
13 | フォルクス ワーゲン | 124 |
2017年の日本市場での調査結果を見てみると、BMWはランキングでは12位となっており、全13メーカー中ワースト2位と低い結果です。
13メーカー以外にも日本に入ってきている輸入車はありますが、販売台数が少ないためランキング外となっています。
上位を見てみると、やはり日本最大手のトヨタおよびレクサスがワンツーを獲得し、ホンダがそれに続くという形です。(故障率の詳細は以下の記事をご参照ください。)
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!レクサスは故障しない?逆に多い?故障率を徹底解明!ホンダは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!また驚くべきは同じドイツメーカーのメルセデス・ベンツが4位に入っており、前年度までのランキングよりかなりランクアップしており、信頼性が上がっていることがわかります。
BMWはそれらのメーカーとスコアで1.5倍近い差があり、どの日本車メーカーよりも故障が多いことがわかりました。
また10位のMINIは現在はBMW製なのですが、そちらのほうがランキングが高いのも興味深いですね。
ベンツの故障率は以下の記事で詳しく解説しています。興味のある方はこちらもあわせてご参照ください。
壊れやすい?ベンツは故障が多いのか故障率の実態とは?!BMWはなぜ故障が多い?
BMWが国産車より比較的故障が多いのはデータからわかりましたが、なぜこんなに差があるのかというと、故障についての考え方がBMWと日本車では結構違うからなのです。
私たちが普段接している日本車たちは、新車はもちろん中古車でも故障が少ない車が多いですよね。
その故障が少ないというのも、日常的にあまり点検やメンテナンスしなくてもずっと車が動き続けている状態が一般的です。
しかしBMWではそういう車の使い方はそもそも想定しておらず、点検やメンテナンスをしっかり行って、劣化した部品は積極的に交換して車を維持していこうという考え方なのです。
BMWに限らず日本車以外の外車は同じような考え方が一般的であり、日本車があまりにも故障に対する考え方が厳しいのです。
そのためBMWでメンテナンスが必要となり警告灯が点灯したりすると私たち日本人は驚いて故障と思ってしまうのですが、実際には部品交換をすれば直るものがほとんどです。
しかし日本車の基準で考えてしまうと故障が多いと思われてしまうのもしかたないのかもしれません。
日本車では10年100,000kmが寿命といわれていてそれまでトラブルがないこともありますが、BMWでは5年50,000kmを超えた辺りから部品交換も含めたトラブルが発生してきますので、メンテナンスは頻繁に行う必要が出てきますね。(走行距離の寿命の詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!中古のBMWの故障しやすさ
BMWは中古車市場にもかなりの台数が供給されておりBMWの人気の高さを表しているのですが、中古車ということでトラブルは増加傾向にあります。
さきほどご説明した5年50,000kmがひとつの区切りとなっており、その区切りを前後して中古車価格もかなり変動します。
BMWが日本車より故障が多いとはいっても走行距離が少ないときにはそこまでトラブルは多くありません。
しかし50,000kmを超えて中古車価格が下がったBMWはお買い得に見えるのですが、その分リスクもあるということです。(安い理由の詳細は以下の記事をご参照ください。)
外車の中古車はなぜ安い?5つの意外な理由とは?!安いBMWを購入してよい買い物をしたと思っても、その後部品交換や修理で維持費がかかってしまって結局高くついてしまうのも珍しいことではありません。
BMWオーナーの評判
BMWの故障についての実態は、実際にBMWに乗っているオーナーさんの声が一番参考になります。
Twitterにはそういった評判が多数投稿されていますので、いくつかご紹介しましょう。
コンピューター自体の故障
BMWのE型の車はあるあるの故障です。ABSやDTCはコントロールユニットで制御してますがその内部の故障です、コントロールユニット自体がエンジンルーム内にあるので熱で膨張したりを繰り返してるので中の基盤のハンダが外れ、接触不良となり、警告灯が付いたり消えたりするようになります。
— マオキ(o^^o) (@maoki_BMWE90) January 27, 2018
E型とはおもに2005年~2012年の間に販売された3シリーズのことをいい、日本でも大人気でかなりの台数が販売されたモデルです。
しかしそのモデルには固有のトラブルがあるようで、日本車ではあまり考えられないものです。
これについてはのちほどご説明しましょう。
BMWはメンテナンス性はよい
このあと、ブレーキパッドとローター外して、プラスチックハンマーでガンガンやって、もっかい組み付けたら、異音がしなくなりました。以前、自力でローター交換したときに、どうも組付けが悪かったみたいです。BMWは、何だかんだで故障するけど、メンテナンスが以外に簡単なので、何とか乗れてます。
— とほほのメタボ (@upuptohoho) March 4, 2018
頻繁なメンテナンスが必要なBMWですが、その分メンテナンス作業がしやすく作られているようで、その辺りはさすがドイツ車ですね。
この方は自分で車をメンテナンスされる方のようでブレーキパッドの交換をされたのですが、実体験だけに説得力がありますね。
知識があれば自分でメンテナンスできて維持費もかなり抑えられるでしょう。
中古車はやはりトラブル多し
納車して気づいたBMWくんの故障事例
ハザードスイッチ故障、電装系若干死亡
ハブベアリング死亡
たまーに空気が抜けるような音がする
エンジン警告灯、EML警告灯点灯
30km、3千回転までしか回らない
MTモードで操作しても自然とギアが下がる
それなのにミッション蛍光灯点灯せず— CV(堀越泰賀) (@hori_tai_g_3229) January 14, 2018
この方はBMWの3シリーズを中古で購入されたようなのですが、15年近く前のBMWのようでトラブルはかなり多いようですね。
これだけのトラブルは車の主要部分にいろいろ寿命が来ているせいであり、一度大幅な修理とメンテナンスが必要な状態なのです。
当然費用はかなりかかりますし、ともすれば車の購入金額を上回ってしまうのです。
BMWの中古車を購入した時のリスクのひとつですね。
もしBMWの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!BMWの故障事例
さきほどのツイートにもいくつかありましたが、BMWの実際の故障事例をいくつかご紹介しましょう。
ABS、DCT、DSCユニットの故障
さきほどのツイートにあったE型のコンピュータートラブルですが、これらのユニットが故障すると警告灯が点灯し、修理が必要となります。
それぞれのユニットの名称と簡単な機能は次の通りです。
- ABS(アンチロック・ブレーキング・システム):ブレーキロック防止
- DTC(ダイナミック・トラクション・コントロール):スリップ、空転防止
- DSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール):スピン、横滑り防止
警告灯が点灯したということはこれらの機能が失われたことを意味しており、車の安全運行が妨げられているのですぐにメンテナンスが必要なのです。
修理自体はユニットの部品交換で対応するしかないのですが、部品代が結構高く、ひとつのユニットの故障でも100,000円〜200,000円の出費は避けられません。
そもそもなぜコンピューター系が故障するかといえば内部の基盤などの信頼性が劣っている証拠であり、日本車より電装品の信頼性が低いことがわかります。
日本車でも故障することはあるものの、ひとつの車種で頻発することはあまりありません。
修理費用もBMWの半分以下ですし、いかに輸入車の部品が高いかわかるでしょう。
またこの型の3シリーズは中古車市場にもかなりの台数が存在しており、最終型でも5年以上経過していることからトラブルの発生確率は高くなっているでしょう。
中古車を選ぶ際にはなかなかこのトラブルは見つけづらく、購入後にすこししてから警告灯が点灯、修理に多額の費用が必要なことがわかるのです。
この型の3シリーズはスポーティでかっこいいのでほしい人も多いのですが、思わぬところで足を掬われる可能性が高いのに気を付けましょう。
オイル漏れや冷却水漏れ
BMW全般として多いトラブルにはエンジンなどからのオイル漏れ、冷却水漏れなどがあげられます。
オイルや冷却水などの液体類はエンジンやトランスミッション、または油圧系統などのさまざまなものに使われていますが、液体ですので漏れないようにシール部品が多用されています。
またゴムホースなどが使われている場所もありますね。
これらの部品は新車のときにはしっかりとしたシール性を確保してあるのですが、経年劣化でシール部品やゴムが劣化してくるとそこから少しずつ液体が漏れ出します。
初期のうちはほとんど問題ないのですが、そのまま放置していくと漏れる量はどんどん増えていくので漏れが見つかった時点で部品交換で対応する必要があります。
交換費用はそれぞれの部品次第でかわってくるのですが、数万円レベルのものから十数万円程度かかる箇所もあります。
高額だからと漏れをそのままにしておくと、最終的にはオイルがなくなったり冷却水が減少したりして、エンジンブローやさまざまな部品の破損にも繋がります。
日本車でもオイル漏れや冷却水漏れは起こるのですが、BMWは走行距離がそこまで多くないうちから発生するようです。
定期点検の際にこれらは見つかるので、BMW的な考え方では部品交換をすれば全く問題ないトラブルといえるものです。
とはいえ日本車の感覚で考えるとトラブルが多い車に見えてしまうのでしょうね。
パワーウインドウレギュレーターの故障
この部分は輸入車全般に弱い箇所なのですが、BMWでも例に漏れず弱点となっています。
パワーウインドウレギュレーターはパワーウインドウの最重要部品で、窓ガラスを上下させる部品です。
モーターや金属部品、プラスチックなどで構成されているのですが、部品の劣化や疲労によって故障することがあり、故障すると当然のことながらパワーウインドウが動きません。
最悪の場合窓ガラスが下りたままで開きっぱなしになってしまい、防犯上まったく役に立たなくなってしまいます。
とくに多いのが樹脂部品の劣化による破損で、日本車に使われている樹脂よりも経年劣化に弱いようでやはり50,000km走行ぐらいからトラブルが増え始めます。
修理にはパワーウインドウレギュレーター全体の交換となり、200,000円近い修理費と、部品の取り寄せで結構な期間車を預けることになります。
また電装品のトラブルでモーターが動かなくなることもあるのですが、この場合も修理は同様です。
このトラブルもある日突然起こるものであり中古車を購入する際にはなかなか見つかりにくいものです。
しかし発生確率は高いトラブルなので、中古でBMWを購入するときにはあらかじめ覚悟しておいた方がよいでしょう。
ここまで故障事例について紹介してきましたが、故障しないためにはやはりメンテナンスが一番大事です。詳細は以下の記事で解説しているので、詳しいところまで知りたい方はこちらもご参照ください。
BMWにはどんなメンテナンスが必要?費用はこんなにかかります!BMWは買っても大丈夫か?
BMWは高級車にふさわしいクオリティとスペックを併せ持つ車で、日本車では得られない価値観をもたらしてくれるすばらしい車です。
新車で購入した場合には信頼性はまだ高く、故障もトラブルもそこまで発生しません。
日本車と同レベルの信頼性はしっかり確保していると言えるでしょう。
しかし走行距離や年式が多いBMWはやはりトラブルが増えてくるもので、新車で長く乗る場合や中古車でBMWを買う際には注意が必要です。
BMWの故障の考え方で言えば、トラブルとはいっても修理すれば大丈夫なものが多いのですが、当然ながら維持費はそれなりにかかります。
BMWを新車で購入できる層の経済力ならしっかり維持できる費用ですが、中古車で購入した場合にはそれに見合う収入がなければかなり厳しいことになるでしょう。
輸入車が故障しやすいというのはある意味当然でBMWも同様なのですが、とにかく必要なのは維持費を支払える経済力ですね。
BMWをこれから買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
BMWのオーナーになるには年収はどれだけ必要か計算してみた!BMWの決定的な特徴7つ!長所から欠点まですべて解説します!