ポルシェはドイツの有名なスポーツカーメーカーで、高級車でありながら走りの追求に特化しているのが特徴です。
輸入車はよく故障しやすいといわれるのですが、そのあたりポルシェはどうなのでしょうか。
今回はポルシェの故障率についてご説明します。
ポルシェの故障率
ポルシェは1931年創業の歴史の深いメーカーで、ドイツの自動車業界では少し特殊なメーカーです。
ドイツ車は質実剛健な作りが特徴でセダン系の高級車が多いのですが、ポルシェは一貫してスポーツカーを作り続けており、スポーツカーがメインのメーカーなのです。
近年はSUVやセダン系の車種も増えてきましたが、どの車種もスポーティーなモデルでさすがポルシェと思わせるものばかりです。
スポーツカーというと故障やトラブルが多いイメージがありますが、ポルシェはさすが工業で名高いドイツ車だけあって信頼性は高いメーカーです。
それを証明できるものにメーカーごとの故障率のランキングがあり、近年はポルシェはかなり上位にランキングするメーカーになっています。
ポルシェの故障率ランキング
車の故障率というのは自動車メーカーが調査してデータをもっているのですが、それはすべて社外秘となっているので一般には公開されていません。
しかしメーカー以外の民間調査会社が独自に調査している信頼性のデータがあり、ランキング形式で公表しています。
米国のJ.D. パワー車が調査している自動車耐久品質調査にポルシェがランキングしているので、今回はそのデータを参考に見てみましょう。
なおこの調査は米国市場での調査ですが、日本市場ではポルシェは台数が少なく調査対象に入らないのです。
この調査では実際の車のユーザーに故障率の件数を聞き取り調査したもので、新車購入後3年~5年の間に起こったトラブル件数をメーカーごとにカウントしています。
2018年 米国自動車耐久品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | レクサス | 99 |
2 | ポルシェ | 100 |
3 | ビュイック | 116 |
4 | インフィニティ | 120 |
5 | キア | 122 |
6 | シボレー | 124 |
6 | ヒュンダイ | 124 |
8 | BMW | 127 |
8 | トヨタ | 127 |
10 | リンカーン | 133 |
10 | 日産 | 133 |
業界平均 | 142 |
参考:J.D. Power 2018 U.S. Vehicle Dependability Study J.D. Power
ポルシェはこのランキングで堂々の2位を獲得しており、かなり故障率の低いメーカーであることがわかります。
この調査では長らくレクサスがトップを取り続けているのですが、ポルシェはここ数年で急激にランキングが上がり、スコアでもレクサスに並ぶメーカーとなっています。
米国市場と日本市場では環境が違うのでこの調査がそのまま日本での故障率にはならないのですが、それでもポルシェの信頼性の高さは日本メーカーに匹敵するのは間違いありません。
なお上記の表に出ているメーカーの故障率は、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご参照ください。
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!レクサスは故障しない?逆に多い?故障率を徹底解明!日本は車には厳しい環境
米国は基本的に温暖で乾燥している環境ですが、日本は季節によっては高温多湿の環境で、車などの工業製品にとっては厳しい環境です。
ポルシェも当然その影響を受けるので米国よりはトラブルが増える傾向にありますが、日本車は日本の環境で鍛えられているのでとくに信頼性は高いのです。
日本市場でのポルシェの故障率は公表されていませんが、それでも輸入車のなかではかなり故障が少ないようで、ポルシェが壊れやすいという話はあまり聞きません。
同じドイツ車のベンツやBMWですら故障はそれなりに多いと言われており、走行距離が50,000kmを超えた辺りからトラブルが増えるのに対し、ポルシェは70,000kmぐらいまでノートラブルなことも珍しくないようです。
日本車もほぼ同等の走行距離ぐらいでトラブルが出始めることを考えると、ポルシェの信頼性は日本でも結構高いレベルにあることがわかります。
なおベンツとBMWの故障率は以下の記事で解説しているので、こちらも目を通してみてください。
壊れやすい?ベンツは故障が多いのか故障率の実態とは?!BMWは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!中古のポルシェの故障しやすさ
ポルシェは新車だけでなく中古車市場でもかなり人気の車で、それは輸入車なのにトラブルが少ないことも要因のひとつです。
輸入車のリセールバリューは一般的に低い
それを証明するひとつのデータが車のリセールバリューで、これは新車購入から3年後に車を売った時に、新車価格の何%の価値が残っているかというものです。
人気が高い車、故障が少ない車ほど車の価値が下がらないのでリセールバリューは高く、逆に故障の多い車は数年でもガクッと価値が下がります。
一般的には国産車で50%~70%が平均ですが、輸入車では50%を切ることも珍しくなく、ベンツやBMWなどでもそれは変わりません。詳細は以下の記事をご覧ください。
ベンツの中古車はなぜ安い?安価な理由はこの3つだ!ポルシェのリセールバリューはかなり高い
しかし日本でのポルシェのリセールバリューは車種によって差はありますがおおむね60%~70%と高く、輸入車としては破格の数値です。
これもポルシェの信頼性の高さの現れのひとつで、中古車といえど年式や走行距離が古くない車なら故障は少ない車といえるでしょう。
そのため中古車市場でもポルシェは高止まりが続いていますので、もし異様に安いポルシェが出てきた場合には要注意とも言えます。
走行距離が多いのか、なにかトラブルを抱えているのかはわかりませんが、ポルシェは中古車といえども値崩れしない車のはずですので、なにか理由があるはずです。詳細は以下の記事をご覧ください。
ポルシェの中古車はなぜ安い?安価な理由はこの3つだ!中古の輸入車は故障が多くて手を出すべきでない車が多いですが、ポルシェは価格が高い分そのあたりはしっかりしていますので、非常に価値観の高い中古車なのです。
ポルシェオーナーの評判
ポルシェといえど故障やトラブルは皆無ではなくいろいろ故障がある場合もあります。
その実態はやはり実際にのっているオーナーさんの声がもっとも参考になりますので、Twitterからいくつか意見を集めてみたいと思います。
ポルシェは沖縄でもトラブル知らず
BMWのM乗り経験から・・・内地でMを乗り、E92M3と共にココ沖縄へ移住。その際、同時にポルシェ911(こちらは家内車)も沖縄へ。高温多湿の沖縄じゃ、Mエンジンは悲鳴を上げ、故障しまくりました。月1回ペースで不調による入庫の繰り返し。でもって耐久レースで鍛えられたポルシェは故障知らず。
— 月光花 (@gekkou_ka) November 8, 2017
この方はご夫婦でBMWとポルシェをお持ちで沖縄に移住されたようなのですが、日本でももっとも高温多湿な環境である沖縄ではBMWはトラブル続きだったようです。
しかしポルシェはその環境でも故障知らずで、同じドイツ車といっても信頼性には大きな差があることの証明ですね。
なおドイツ車と日本車という大きな括りでの違いは、以下の記事で詳しく解説しています。あわせてご覧ください。
比較してみた!ドイツ車と日本車の決定的な違い5つ!乗り方によってもトラブルは変わる
@fatetharlaowns すえ切りはポルシェに限らずあまりしない方がいいかと( ̄∀ ̄;)
個人的に気をつけてるのは暖機を確実にやる事ですね、ポルシェの場合エンジンが冷えてる状態で走ると負担がかかってそれを繰り返すと故障を早めるとショップから聞いてます。
— 水銀刀@ポルシェピピック (@suiginto_ism) August 22, 2015
ポルシェの信頼性が高いのは確かなのですが、そこはスポーツカーですので国産車より乗り方に気を付ける点もあるようです。
暖気運転は車の初動で推奨されていますが日本車に乗っていたらほとんどやっている人はいないのではないでしょうか。
それでも日本車は故障しにくいのですが、ポルシェではきちんと暖気運転したほうが長くよい状態で保てるようです。
このあたりをしっかり行えるかどうかで、故障の頻度も減ってくるのでしょうね。って
996は故障が多い?
なんか996のエンジンでググると、他のどのポルシェよりも故障が多い、ベアリングが死ぬ、オイル吸い上げられない等の話がゴロゴロ出てきて・・・どうも作ってる側も糞エンジンなのに気がついてたんだろうなw
— SUDO@大和さん可愛い (@sudo_simoigusa) December 22, 2017
これについてはのちほどご説明しますが、996はポルシェのフラッグシップモデル「911」の5代目モデルです。(996型911などと呼びます。)
この車は2000年ごろの車種ですが、このころエンジンの信頼性はまだ高くなくいくつか故障しやすい部位がありました。
現在では構造が変わって故障は減りましたが、中古車市場にはこの型のポルシェも数多くありますので注意は必要です。
もしポルシェの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!
ポルシェの故障事例
ポルシェは輸入車としてはかなり故障しにくい信頼性のある車ですが、それでも故障は起こりますし、故障しやすい部位というものもあります。
いくつかポルシェの故障事例をご紹介しましょう。
インターミディエイトシャフトの故障
これはポルシェの故障事例としては有名なもので、前述した996型911の主要なトラブルで、次期型の997型の最初期まで採用されていました。
インターミディエイトシャフトのトラブルは重大
インターミディエイトシャフトとはクランクシャフトから動力をタイミングチェーンに伝える中間シャフトで、タイミングチェーンはカムシャフトやウォーターポンプなどを駆動しているので非常に重要な動力伝達用のシャフトです。
エンジンのコアともいえるこのインターミディエイトシャフトですが、走行距離が増えてくるとシャフトを支えているベアリングが破損してシャフトが折れたりタイミングチェーンの時期がずれたりしますので、エンジン本体に致命的な破損をもたらします。
最悪の場合エンジンブローに至ることもあり、非常にリスクの高いトラブルといえます。
この問題はポルシェからもサービスキャンペーンという形で補償がなされた過去があり、それほどまでに重大なトラブルだったことがわかります。(実際には故障率は2%程度だったそうですが)
トラブルの原因はベアリングの耐久力不足で、日本市場の過酷な環境でドイツ本国よりも負荷が大きかったことが問題だったようです。
997型の中期から対策品のベアリングが織り込まれて問題は解決し、またそれまでトラブルの可能性のある車もサービスキャンペーンで対応がすんでいます。
しかし対象は正規輸入車に限られており、中古車で正規輸入車ではなかった車だった場合にはいまでもこのトラブルが起こる可能性はあります。
トラブルの再発も
またサービスキャンペーンを受けた車でも、トラブルが再発する可能性はあるようです。
もしこのトラブルが発生してしまったエンジンはベアリング交換では対策できず、エンジンのさまざまな部品に破損が及んでいるので基本はエンジンの載せ換えとなり、費用は2,000,000円以上というとんでもないものです。
中古で996型などを購入してインターミディエイトシャフトのトラブルにあった人などは、ディーラーやポルシェ本社との交渉の末に費用の一部をポルシェ負担とした例もありますが、確実にそうはならないのでこの型の911には依然リスクがあると考えておくべきでしょう。
なお997型以降の911からはインターミディエイトシャフトが廃止されて構造が大きく変わりましたので、それ以降の911ではこのトラブルは発生しません。
カルダンシャフトの故障
カルダンシャフトとは4WDの車種でトランスファーとリアデファレンシャルを繋ぐプロペラシャフトの一種類です。
カルダンシャフトには振動吸収のためにゴムマウントが採用されているのですが、長い期間走っているとゴムが劣化して、最終的にはゴムが切れてシャフトが落下します。
このトラブルはSUVである4WDのポルシェ カイエンに発生しやすいトラブルです。(カイエンの故障の詳細は、以下の記事をご参照ください。)
カイエンは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!走行しているとある日床下から異音や異常振動が発生し、放置しているとそのうち激しい音がしてシャフトの脱落が起こります。
こうなると自走は不可能で、レッカーなどを呼ばなければなりません。
修理にはゴムマウントの交換、もしくはシャフトもあわせて交換することになり、費用的には200,000円前後の修理費用となるようです。
また同様のトラブルは4WD仕様がある911でも発生する可能性があり、997型911などで発生例があります。
このトラブルは経年劣化が主要な原因なので、新車登録から8年~10年経過したポルシェには注意が必要です。
もし点検時にゴムマウントの亀裂などが見つかったら、マウント切れを起こす前に交換しておくと費用的に安く済むでしょう。
4WDのポルシェを中古車で購入する場合はとくに注意するべき点ですね。
冷却水漏れトラブル
エンジンの信頼性も高いポルシェですが、その一方で冷却水漏れのトラブルは割と多く発生しているようです。
冷却水漏れは国産車でも度々おこるもので、主に冷却水をシールしているガスケットなどの経年劣化が原因です。
初期に発見された場合には漏れは少なく大きなトラブルとはなりませんが、放置しておくと冷却水が少なくなるまで漏れ続け、最悪エンジン冷却ができなくなりエンジンブローに繋がります。
冷却水漏れは定期点検時にたいてい発見できますから、見つかったらすぐに修理しましょう。
ガスケット交換などは修理費用もそこまで高くはなく、数万円程度の修理費用です。
早期発見すれば非常に軽度で済むトラブルですので、定期点検はしっかり行いましょう。
パワーウインドウの故障
パワーウインドウの故障は輸入車にありがちなトラブルですが、ポルシェでも年式が古いと発生するようです。
パワーウインドウの故障はだいたいが窓ガラスが下がったまま上がらなくなるのですが、これは窓ガラスを上下させるパワーウインドウレギュレーターの破損によって起こります。
おもにプラスチックの部分が壊れることが多いのですが、これも経年劣化でプラスチックが弱くなったことで起こります。
おおよそ10年以上経過した車に起こりやすいトラブルですね。
窓ガラスが下がったままだと防犯上まずいので早期に修理が必要となります。
修理にはパワーウインドウレギュレーターの交換が必要で、150,000円〜200,000円ぐらいが費用の相場でしょう。
経年劣化によって起こるトラブルは国産車でもよく起こるものでポルシェだけが起こりやすいわけではありませんが、やはり中古のポルシェを買う際には注意しておくべき点です。
それと故障しないようなメンテナンスもしっかりしておくようにしましょう。メンテナンスの詳細は以下の記事で解説しています。
ポルシェにはどんなメンテナンスが必要?費用はこんなにかかります!ポルシェは買っても大丈夫か?
ここまでご説明したように、ポルシェは輸入車としては珍しく、信頼性が高く故障の少ない素晴らしい車です。
車種ごとの弱点はあるものの、総合的な信頼性は国産車に匹敵するものがあるといってもよいでしょう。
それはリセールバリューの高さが証明していますし、新車でポルシェを買うと次に乗り換える際に買い取りが高く、費用面でも非常に有利な輸入車といえます。
とはいえそもそもが高価ですし、新車で購入できる人は限られています。
中古車も人気が高いのであまり値崩れしないのもポルシェの特徴ですが、年式が古くなってくると経年劣化でのトラブルは当然増えていきますので、たまたま安いポルシェを見つけたときには注意しておきましょう。
これからポルシェを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひご覧ください。購入の参考になりますよ。
ポルシェはどこの国の車?国産車との違いはこの4つだ!ポルシェの魅力とは?5つの良さをわかりやすく解説!