「キドニーグリル」が印象的なBMWは、シャープで洗練されたルックスがかっこいいブランドですよね。
欧州らしく、スポーティな感触が楽しめる走行性能も、非常に魅力的です。
しかしながら、FRというイメージから「雪道は走れないんじゃないの?」と感じる方々が多い様子…。
というわけで今回は、ドイツ御三家でお馴染みのBMWについて、メーカーとして「どれくらい雪道性能が高いのか?」に着目して解説していきたいと思います。
Twitterの投稿や、車種ごとの性能、そして他メーカーとの比較なども調べ上げたので、ぜひ最後までご覧になってくださいね。
BMWの雪道走行性能
具体的な解説の前に、BMWに対する世間のイメージを見てみたいと思います。いくつか気になる投稿を見つけたので、参考までにご覧ください。
BMWに乗ってるとFRで雪道は危なくないのかなんてよく聞かれるけど、国産車で滑って操縦不能になったことも動かなくなったこともあるけどBMWでは無いんだよね。
しっかり制御されている横滑り防止装置と50:50の前後バランスのお陰なのかな。— ゆう (@unit_kabutan) 2018年8月22日
FRのラインナップが多いことから、BMWのモデルは雪道に弱いイメージがあるようです。雪国のBMオーナーさんは、たびたび感想を聞かれるようですね。
こちらの方はその回答として、「BMWでは操縦不能になったことがない」とのこと。FRにも関わらず、これは素晴らしいですね。
BMってなんか普通のセダンじゃないと、見栄張って乗ってるように見えちゃうのがちょっとアレなんですよね、、
ただBMWはFRでも車重バランスが良くて雪道でも強いですからね
まあ海外ブランド乗るならひとつ前の型のチャージャー乗りたいですけど!— くそめんへらばぶばぶちゃんさんしゃいん (@niwatorisena) 2018年12月3日
こちらのオーナーさんは、BMWの車重バランスについて高評価しています。
欧州車全般にいえることですが、国産メーカーよりもスポーツ志向が高いことから、重量バランスが非常に優れているのです。つまりタイヤの接地感が抜群に良いので、雪道でもコントロールしやすいんですよ。
モデルによって異なりますが、FRモデルでも、多少の雪道ならクリアできます。
BMWって雪道強いっていう噂は事実だった。
ATだからってのもあるけど圧雪路面でも普通に運転できるから驚きよ!!
滑っても、滑る時の感覚が分かりやすいから対応しやすいと思った…シャーベット貴様は許さん
(コワカッタ)— に6611 Taku (@AsaTakuro) 2018年12月16日
こちらの投稿者さんは、「318i」の古いモデルに乗っているようですね。購入当初は、想像以上に雪道を走れることに驚いた様子。なにせ、雪に強いイメージはありませんからね。
過去のモデルも雪道をそこそこ走れますが、電子制御がより進歩した現行モデルは、さらに性能が仕上げられています。あらゆる部分で雪への対応力を感じるはず。
BMWの雪道走行性能の理由
それでは、BMWの雪道性能について解説をしていきましょう。モデルによってエンジン性能やボディ性能が異なるため、ここでは駆動方式という点に注目してみたいと思います。
4WDシステム「XDrive」の性能
BMWの最新モデルには、「XDrive」という4WDシステムが採用されています。このXDriveの評判はまずまずで、「日本の雪道でもけっこう走れる」と評価は比較的高めです。
以前採用されていた4WDシステムは、センターデフ(前後車軸をつなぐパーツ)に遊星ギアという機構が使われていました。これは、前後輪が38:68の比率で基本駆動するフルタイム4WDなのですが、デフロック機構をもたないゆえ「空転に弱かったこと」、そして「凝ったつくり」であることが問題点でした。
こういった経緯から最新のXDriveシステムでは、センターデフをもたない、よりシンプルな仕組みの4WD機構が採用されています。フルタイム4WDでなく「アクティブ・オンデマンド方式」という、いわゆるスタンバイ式に分類されるものですが、雪道への対応力はかなり高いですよ。
簡単な仕組みとしては、センターデフの代わりに「電子制御カップリング」を用いることで、油圧と電子制御で前後トルクを分配するというもの。基本的な設計思想は国産車に多く見られる4WDに近く、とくにマツダの「i-ACTIVE AWD」とは非常に似ています。
ただし、FFベースのi-ACTIVE AWDに対し、XDriveはFRベースという点が異なりますね。つまりBMWのモデルは、通常時は後輪駆動で走行し、タイヤのスリップを検知したときに前輪も駆動させるシステムなのです。
国産車と比較すると、走破性というよりもスポーツ走行に強い印象ではありますが、オーナーさんの口コミにあったとおり、日本の雪でもちゃんと走れますよ。実際、北海道でも冬にBMWを見かけますしね。
「DSC」による優れた安定性
DSC (Dynamic Stability Control)とは、いわゆる横滑り防止装置のこと。ベンツではESP(Electronic Stability Program)、トヨタでは「VSC (Vehicle Stability Control)」などと呼ばれますが、基本的には同じようなものです。
「FRベースだから、雪道で左右に振られるんじゃないか?」と心配する方もいるかと思いますが、BMWは横滑りを自動制御するシステムが高性能なんですよ。
簡単な仕組みは、各部分に設置されたセンサーがスリップを検知すると、タイヤで独立したブレーキをかけたり、エンジン出力を調整するなどして、挙動を抑え込むような感じです。
例えば、左コーナーで曲がり切れないときは、左前輪にブレーキをかけることで挙動を制御します。
これは左前輪が踏ん張ることで、コーナリングフォース(遠心力)によって右前輪に乗った荷重を軽減する狙いがあるのです。結果として左右のトルクバランスが保たれ、スムーズに曲がれるようになるんですね。
DSCはコーナー旋回中だけでなく、直進時の横振りにも対応できるので、雪道でも安心して走ることができますよ。
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続いては、BMWの人気モデルについて具体的に見ていきたいと思います。FRモデルが多いBMWですが、今回はXDriveがラインナップされたモデルを選んでみました。
2シリーズ
項目 | 218i | 218d |
種類 | 直列3気筒DOHCターボ | 直列4気筒DOHCターボ(ディーゼル) |
排気量 | 1,498cc | 1,995cc |
最高出力 | 140PS/4,600rpm | 150PS/4,000rpm |
最大トルク | 22.4kgf・m/1,480-4,200rpm | 33.7kgf・m/1,750-2,750rpm |
車重 | 1,460kg | 1,500kg |
全長×全幅×全高 | 4,375×1,800×1,550mm | 4,375×1,800×1,550mm |
最低地上高 | 165mm | 165mm |
駆動方式 | FF | FF/4WD |
※直列3気筒、4気筒、ディーゼルターボ、の詳細は以下の記事をご参照ください。
直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ディーゼルターボとは?速いのがメリットで寿命がデメリット?搭載車種も紹介2014年に登場した「2シリーズ」は、FFベースの機構が新鮮なコンパクトモデルです。コンパクトながら、国産車よりもスポーティな走りを楽しめると人気。たくましさと美しさを備えたワイドシルエットもかっこいいですよね。
2シリーズには1.5Lモデル「218i」、1.5Lハイブリッド「225xe」、2.0Lモデル「220i」、そして2.0Lディーゼルモデルの「218d」の4種類が用意されています。今回は、とくに人気の218iと218dの公式諸元を引用してみました。
4WDがラインナップされているのは、225xeと218dの2種類ですね。諸元のとおり、218iには4WDが用意されていません。
さきほど、「XDriveはFRベースの4WD」といいましたが、2シリーズなどのコンパクトモデルは、FFベースに設計されています。つまり、マツダの機構と似たようなものと思って、差し支えありません。
ディーゼルモデルはさすがにトルクが大きく、深い雪道でもしっかり走れそうな予感。最低地上高も165mmと高く、車重もそこまで重くはないので、普段使いに活躍しそうです。
あまり知られていませんが、2シリーズには7人乗りのボディタイプも用意されているので、日本で乗るならかなりおすすめのモデルといえるでしょう。アクティブに使いたい人にはもってこいですね。
5シリーズ セダン
項目 | 523d | 540i |
種類 | 直列4気筒DOHCターボ(ディーゼル) | 直列6気筒DOHCターボ |
排気量 | 1,995cc | 2,997cc |
最高出力 | 190PS/4,000rpm | 340PS/5,500rpm |
最大トルク | 40.8kgf・m/1,750-2,500rpm | 45.9kgf・m/1,380-5,200rpm |
車重 | 1,700kg | 1,810kg |
全長×全幅×全高 | 4,945×1,870×1,480mm | 4,945×1,870×1,480mm |
最低地上高 | 145mm | 145mm |
駆動方式 | FR | FR/4WD |
※直列6気筒、ターボ、の詳細は以下の記事をご参照ください。
直列6気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!スポーティで躍動的な走りを楽しめるBMWのセダンシリーズですが、そのなかでも廉価なモデルが「5シリーズ」です。上位モデルと比較するとクラスは低く感じられますが、十分ラグジュアリな一台。
2.0Lディーゼルモデルの「523d」、2.0Lハイブリッドモデルの「530e」、3.0Lモデルの「540i」など、かなり多くのバリエーションを用意していることからも、力の入れ具合がうかがえますね。今回は、523dと540iの公式諸元を引用してみました。
2シリーズはラインナップは豊富ですが、4WDシステムは540iにのみ設定されています。523dも対応できますが、ベストなのはやはり540iでしょう。
こちらは、先ほど解説したFRベースのXDriveシステムによる四輪駆動ですね。3.0Lターボだけあり、トルクは45.9kgf・mという強力さ。加えて、セダンとしては高めな最低地上高を備えているので、雪道でも思ったほどストレスは感じないかと。
その分、車重はかなり重めなので、ブレーキングやコーナーリングは慎重さが必要です。また、トルクの大きいことから、アクセルワークもおろそかにはできません。
こういったポイントを押さえておけば、セダンとしてはかなり雪道で使えるモデルですよ。
X6
項目 | XDrive 35i | XDrive 50i |
種類 | 直列6気筒DOHCターボ | V型8気筒DOHCツインターボ |
排気量 | 2,979cc | 4,394cc |
最高出力 | 306PS/5,800rpm | 450PS/5,500rpm |
最大トルク | 40.8kgf・m/1,200-5,000rpm | 66.3kgf・m/2,000-4,500rpm |
車重 | 2,140kg | 2,270kg |
全長×全幅×全高 | 4,925×1,990×1,700mm | 4,925×1,990×1,700mm |
最低地上高 | 210mm | 210mm |
駆動方式 | フルタイム4WD | フルタイム4WD |
※V型8気筒、ツインターボ、の詳細は以下の記事をご参照ください。
V8エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ツインターボエンジンとは?仕組みは?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!世界的なSUV人気から、ラインナップを強化しているBMW。そんな流れのなか、2008年に登場したモデルが「X6」です。
SUVながら、スポーティさを前面に押し出したスタイリングが人気で、2代目となる現行モデルはその雰囲気がより高められました。
ラインナップは3.0Lモデルの「XDrive 35i」、4.4Lモデルの「XDrive 50i」の2種類で、モデルネームからわかるとおり、すべて4WDとなっています。
特筆すべきは、V8ツインターボエンジンから繰り出される66.3kgf・mもの強大なトルクですね。スポーツカー顔負けのトルクに加えて、210mmという最低地上高を備えているので、深い積雪でもゴリゴリ進めそうな予感がします。
車重は2.2tとかなり重たいですが、5シリーズセダンと同様、ブレーキやコーナーに気を付ければ、日常生活でかなり活躍するモデルといえるでしょう。強いていうなら燃費が少し気になるところでしょうか。
BMWと他のメーカーの雪道走行性能を比較
BMWの雪道性能についてはだいたいわかりましたが、他社と比較すると実際どうなんでしょうか?
というわけで、最後にドイツ御三家ブランドの「メルセデスベンツ」「BMW」、そして雪道に定評のある国産ブランド「スバル」と比べてみたいと思います。
メルセデスベンツ
スポーティなBMWに対し、重厚な車づくりで知られるベンツ。堅牢なボディと、プレミアムカーのイメージを裏切らない走行性能が魅力的なブランドです。
ベンツは4WDシステムに、フルタイム式の「4MATIC」という機構を採用しています。遊星ギアをセンターデフに用いており、デフロック機能をもつ「電子制御LSD」を搭載していることから、FRベースではあるものの非常に優れたシステムと評判です。
ただし、XDriveもトルク配分の素早さに定評があるため、4MATICとは大きな性能差はありません。
そのため、雪道性能はBMWと同等の水準といわれることが多く、日本の雪国でも同じくらい見かけますしね。
なおベンツの雪道性能については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ベンツは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!アウディ
ドイツ御三家ブランドとしては、BMW・ベンツに埋もれているイメージのアウディ。しかし、数年前からメキメキと人気を増やしているブランドでもあります。その理由のひとつとされるのが、日本特有の湿った雪にも対応できる「優れた走行安定性」です。
アウディは、4WDシステムに「Quattro」という独自の機構を採用しています。XDriveと同じく電子制御カップリングを用いた機構なのですが、FRではなく、FFベースのつくりになっていることが大きな違いでしょう。
雪道ではエンジン側に駆動を置くFFのほうが、FRよりも優れているというは周知のこと。加えて、QuattroはAWD(常時全輪駆動)とも呼ばれ、名前のとおり常に四輪が常時駆動する仕組みになっています。
FFながら、エンジンを縦置きにしてまで重量バランスにこだわっており、かなり優れたグリップを発揮。こういった事情から、雪道ではBMWよりもアウディのほうが強いという意見が多いようですね。
なおアウディの雪道性能については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
アウディは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!スバル
最後に比較するのは、日本を代表する雪道ブランドのスバルです。国内では言わずと知れた「4WDメーカー」ですが、BMWと比較するとどうでしょうか?
まず、スバルの4WD方式ですが、「シンメトリカルAWD」というアウディ同様バランスに優れたシステムを採用しています。FFベースながら、エンジンを縦置きにしている点もアウディに似ていますね。
水平対向エンジンは左右前後へのバランスに優れているので、4WDとの相性が抜群で、四輪の接地感が非常に高いです。こういった点から、スバルのほうが優秀な4WDシステムを搭載していると考えられますね。
なおスバルの雪道性能については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
スバルが雪道に強い理由3つ!雪道走行性能が最強の車種はこれだ!BMWは日常使用程度なら雪道走行は可能
というわけで、BMWの雪道性能についての解説は以上になります。
スバルやアウディと比較すると若干劣りますが、日常使用なら十分な性能といっていいでしょう。他の国産ブランドとは同レベルのシステムだと思いますよ。
個人的には、雪道での普段使いを考えるなら2シリーズなどのコンパクトモデル、アクティブに楽しみたいならX6などのSUV、優雅にクルージングを楽しむなら5シリーズなどのセダンがおすすめですね。
なおBMWについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
BMWの決定的な特徴7つ!長所から欠点まですべて解説します!BMWが高い理由2つ!価格が高額な車種ランキングとともに解説!