「ハイエースを買おうと思ってるんだけど、ちょっと迷ってるんだよね」
「ハイエースの長所と短所について、評価がどうなってるかくわしく知りたい!」
車を購入するとき、長所と短所をよく調べてから購入したいですよね。
購入後に致命的な欠点に気づくと、ショックはかなり大きいです。
トヨタ・ハイエースにはどんな長所があって、どんな短所があるんでしょうか?
実際に試乗してきた経験から、ハイエースの魅力と欠点について、写真つきで辛口評価・レビューします。
なお試乗は「メガウェブ」というトヨタの大型ショールームにて行いました。詳細は以下の記事で解説しているので、トヨタ車を試乗したい方や展示を見たい方はこちらも参考にしてみてください。
メガウェブライドワンの試乗レポート!駐車場や料金を調査してきました!ハイエースの魅力・長所
それでは魅力・長所から解説していきます。
車内空間が広い
ハイエースのウリは、なんといってもその車内空間の広さです。ここからはハイエースの車内空間について解説していきます。
大人3人でもゆったりすわれるセカンドシート
さすが、セカンドシートは広々としていて、ヒザが前のシートにぶつかりません。ベンチシートなので席の幅にも余裕があります。
ハイエースには「ワゴン」と「バン」があり、ワゴンは10人乗りですが、バンは5人乗りです(グレードによって3人乗りや9人乗り仕様もあり)。
写真に写っているのはバンのほうで、セカンドシートには3人乗る計算になります。この広さなら大人3人でも充分すわれそうですね。
ただ、アームレストがないので、席を区切ることができず、3人すわる場合は自分のスペースを確保するのに苦労するかもしれません。
自転車や原付も積める大きな荷室
ハイエースワゴンはセカンドシートの後ろにあと2列の座席がありますが、ハイエースバンはこのように後ろが荷室になっています。
広さ的には自転車や原付を積むことも可能。大人が5人乗れるだけのスペースですから、大きな荷物を車内に積むのにこれほど適した車はないでしょう。(詳細は以下の記事をご参照ください。)
ハイエースがトランポに最適な理由4つ!使い心地まで解説!車中泊する場合は別売りのベッドキットを購入して、荷室で寝るのがメジャーです。
ハイエースはキャンピングカーのベース車としてもよく使われるぐらい、車中泊にピッタリの車なので、荷室を荷物置き場ではなくベッドルームに変えるのもアリ。
子育てに使う場合でも、この広い荷室は遊び場として子どもが喜びそうですね。ハイエースワゴンなら10人乗れるので、子どもがある程度大きくなって友達を乗せることになっても充分活躍します。
身長177cmの私の身体と比べてみると、その広さがよくわかるかと思います。バックドアが大きいので、積み下ろしも楽ですね。
バックドアの内側にはヒモがついていて、閉めるときはこのヒモを引っ張ります。
ボタンを押すだけで自動開閉してくれる高級車とくらべてしまうと、ずいぶんアナログな感じですが、わかりやすい位置にわかりやすくついていて良いですね。
自分の身長より高くても、このように開け閉めはかんたんです。
コンセントにつなげば家電が使える
ハイエースの荷室にはAC100Vコンセントがついており、消費電力100W以下の電気製品であれば車内で使用可能です。
100W以下というと、たとえば以下のようなものが使えます。
- スマホやゲーム機の充電(2.5W~15W)
- 電気毛布(50W~90W)
- 扇風機(50W~60W)
- ノートパソコン(50W~120W)
- マッサージ機(10W~90W)
- 電気シェーバー(10W)
スマホやゲーム機の充電であれば余裕でできますが、ノートパソコンは機種によっては100Wを超える場合があるので、自分の持っているノートパソコンの消費電力をあらかじめ確認しておきましょう。
電気シェーバーや電気毛布は主に車中泊する場合に使うものなので、ドライブするだけだったらあまり使う機会はないかもしれませんね。
マッサージ機は機種によって消費電力が大きく変わります。基本的にはハンド用のほうが消費電力が小さく、フット用のほうが大きいです。
このように車中泊する場合に電気製品が使えるのも、ハイエースの魅力・長所のひとつですね。
なおハイエースの内装については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像/写真】ハイエース バンの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!アイドリングストップ機能がついていない
素晴らしいことに、ハイエースにはアイドリングストップ機能がついていません。
アイドリングストップ機能とは、ブレーキを踏んで停車した際にエンジンが自動的に停止し、ブレーキを離すと再始動する機能です。
トヨタの最近のガソリンエンジン車にはかならずといっていいほどついていますが、運転していて違和感がすごいので、これが無いのは大きな魅力・長所のひとつです。
安全機能としてToyota Safety Senseがついている
ハイエースには安全機能として、Toyota Safety Senseがついています。具体的には以下の機能です。
- プリクラッシュセーフティ
- レーンディパーチャーアラート
- オートマチックハイビーム
プリクラッシュセーフティとは、前方の車両や歩行者・自転車を検知して、衝突しそうになったときに自動的にブレーキが作動する機能です。ブレーキを自分で踏んだ場合は強力なブレーキアシストが作動します。
レーンディパーチャーアラートとは、車線をはみ出してしまいそうなときに警告を鳴らしてくれる機能です。
オートマチックハイビームとは、対向車のライトを検知して、ハイビームとロービームを自動的に切り替えてくれる機能です。ハイビームの切り忘れが防げます。
とくにプリクラッシュセーフティはあまり世話になりたくない機能ですが、ついていることで安心して運転できますね。
価格が車の質に見合っている
ハイエースの価格は、車自体の質を考えればそれほど高くありません。下の表に各グレードの価格をまとめたので、見てください。
車名 | グレード | エンジン | 駆動 | 価格 |
ハイエースワゴン | グランドキャビン | 2,700ガソリン | 2WD | 3,606,120円 |
4WD | 3,910,680円 | |||
GL | 2,700ガソリン | 2WD | 3,048,840円 | |
4WD | 3,352,320円 | |||
DX | 2,700ガソリン | 2WD | 2,814,480円 | |
4WD | 3,119,040円 | |||
ハイエースバン | スーパーGL 2/5人乗り(標準ボディ・標準ルーフ) | 2,800ディーゼル | 2WD | 3,562,920円 |
2,000ガソリン | 2WD | 2,974,320円 | ||
2,800ディーゼル | 4WD | 3,867,480円 | ||
スーパーGL 2/5人乗り(ワイドボディ・ミドルルーフ) | 2,800ディーゼル | 2WD | 3,704,400円 | |
2,700ガソリン | 2WD | 3,234,600円 | ||
2,700ガソリン | 4WD | 3,529,440円 | ||
特別仕様車 スーパーGL“DARK PRIME” 2/5人乗り(標準ボディ・標準ルーフ) | 2,800ディーゼル | 2WD | 3,728,160円 | |
2,000ガソリン | 2WD | 3,139,560円 | ||
2,800ディーゼル | 4WD | 4,032,720円 | ||
特別仕様車 スーパーGL“DARK PRIME” 2/5人乗り(ワイドボディ・ミドルルーフ) | 2,800ディーゼル | 2WD | 3,869,640円 | |
2,700ガソリン | 2WD | 3,400,920円 | ||
2,700ガソリン | 4WD | 3,694,680円 | ||
特別仕様車 スーパーGL “50TH ANNIVERSARY LIMITED”(標準ボディ・標準ルーフ) | 2,800ディーゼル | 2WD | 3,828,600円 | |
2,000ガソリン | 2WD | 3,240,000円 | ||
2,800ディーゼル | 4WD | 4,133,160円 | ||
特別仕様車 スーパーGL “50TH ANNIVERSARY LIMITED”(ワイドボディ・ミドルルーフ) | 2,800ディーゼル | 2WD | 3,970,080円 | |
2,700ガソリン | 2WD | 3,501,360円 | ||
2,700ガソリン | 4WD | 3,795,120円 | ||
DX/DX “GLパッケージ” 3/6/9人乗り | 3,373,920円 | |||
DX/DX “GLパッケージ” 3/6人乗り | 2,507,760円 | |||
DX/DX “GLパッケージ” 3/6人乗り・ジャストロー | 2,469,960円 | |||
DX/DX “GLパッケージ” 2/5人乗り・スーパーロングバン | 3,114,720円 | |||
DX 3人乗り | 3,222,720円 | |||
DX 3人乗り(ルートバン) | 2,285,280円 |
ハイエースワゴン・バン合わせて12グレード用意されており、さらにグレードによってはそれぞれ4WD仕様やディーゼルエンジン仕様・ワイドボディ仕様といった別バージョンがあります。
ディーゼルエンジンとは?仕組み/構造を簡単にわかりやすく解説!私が試乗したのはハイエースワゴンのGL、車内空間の解説をしたのはハイエースバンのスーパーGL 5人乗り仕様です。
実際に試乗してみた感じとしては、ひとが大人数で「移動」するための車だと思えば、3,048,840円という価格は妥当だと思いました。
乗り心地についてはこのあと解説しますが、ハイエースは運転者以外は快適に乗っていられる車ですね。
中古車市場では2,600,000円~4,000,000円程度が価格相場になっていて、100,000kmを超えるような過走行車でもよければ1,600,000円程度で購入できます。
長年愛されている人気車だけあって中古車もピンからキリまで数多くあり、価格の選択肢が多いのもハイエースの魅力・長所のひとつです。
もしハイエースを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ハイエースの欠点・短所
つづいて、ハイエースの欠点・短所について解説していきます。
業務用の車っぽい外装
ハイエースの外装は、男性ウケしそうなゴツゴツしたデザインです。乗用車というよりは業務用の車って感じですね。
かっこいい系かかわいい系かでいうと完全にかっこいい系で、これを運転したがる女性は少数派でしょう。女性が乗りこなしてたらそれはそれで魅力的ですけどね。
ボディーカラーはグレーメタリック。このカラーも業務用の車っぽい感じをより決定づけていますね。
長年親しまれているデザインですが、個人的には欠点・短所のひとつかなと思います。
運転がしにくい
ハイエースは運転がしにくいです。私が試乗して感じたことを解説します。
車体が大きすぎる
まず、運転しにくい理由のひとつは車体の大きさ。具体的には以下のサイズになっています。
- 全長4,840mm(グレードによっては5,380mm)
- 全幅1,880mm
- 全高2,105mm(グレードによっては2,285mm)
乗る前はその車高の高さに圧倒されますが、乗ってみていちばん感じたのは高さではなく、車幅の広さです。
運転席から左にものすごく巨大なスペースが広がっていて、左に曲がるカーブではかなりの緊張感が生まれます。
右に曲がるカーブではそんなに怖くありませんでした。
「車高が高くて上から道路を見下ろす形になるから、車体の大きさは気にならないんじゃないか」と思っていましたが、まったくそんなことはなく、充分その大きさを体感できました。
乗り心地が全体的に重い
加速は良くもなく悪くもなく、ふつうです。車体が大きいだけに重さを感じますが、パワーがあるためか、加速を遅いと感じることはありませんでした。
ものすごく重い車体を、力任せに引っ張っているような感覚。
ステアリングも重いですが、気になるほどではありません。運転している感覚が全体的に重いので、それに合った重さになっていて違和感を感じないんです。
カーブを曲がるときは緊張感があり、ステアリングの重さを気にしている余裕がないというのもあります。どちらにしろ良い理由ではないですね。
後部座席のヘッドレストで真後ろの交通状況がまったく見えない
10人乗りのハイエースワゴンには、後部座席が3列あります。
運転席からルームミラーで後ろを見ると、ヘッドレストがたくさん映っている状態になっていて、真後ろの交通状況がまったく見えません。
後部座席に1人しか乗っていない状況でもぜんぜん見えなかったので、もし10人もひとが乗っていたら、もう真後ろの交通状況を確認するのはあきらめるレベルです。
多少の振動・騒音はあるけど見た目のイメージほどじゃない
静粛性も特別うるさくはないですが静かでもなく、エンジン音はふつうにしますし、振動もあります。でこぼこ道を走ったときもガタガタと音がして、多少の突き上げも感じます。
ただ、これらは不快になるほどではなく、「あえていうなら多少は振動・騒音を感じる」という程度。見た目のイメージほどうるさくはありません。
なおハイエースを試乗した感想については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ハイエースの試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!シンプル過ぎる内装デザイン
ハイエースの内装は、飾り気のない、シンプルなデザイン。
内装色はダークグレーで、文字通り暗い灰色一色でドアトリムやシート・ダッシュボードが統一されています。
ハイエースの内装色は、ダークグレーの1色のみ。ほかの車種だと数色あるうちからえらぶ楽しみがあるので、ここは少し寂しいところ。
確かにたくさんあっても結局えらぶのは一色しかないわけですから、これでも乗るのに支障は出ません。しかし、せっかく購入するならそういう楽しみも欲しいですよね。
内装デザインもシンプルさが魅力ではありますが、おしゃれ感や高級感を求めるユーザーにとっては物足りなく感じるでしょう。
シフトレバーは、木目調になっているクラウンアスリートなんかと比べると、おしゃれな感じや高級感はありません。
【画像/写真】クラウンアスリートの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!エアコン操作パネルも、どこかレトロなルックスですね。
ハンドル周りにはふつうは色々と操作スイッチがついているものですが、ハイエースにはミラー調節スイッチぐらいしかついていません。
メーターはとうぜんアナログメーターです。個人的にデジタルメーターはあまりかっこいいと思えないので、ここはゆいいつ嬉しいポイント。
運転席周りの内装を紹介してきましたが、このようなシンプルすぎるデザインは、欠点・短所のひとつだと思います。
なおハイエースの内装については以下の記事でさらに詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
【画像/写真】ハイエース バンの内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!燃費が悪い
ハイエースは、燃費がかなり悪いです。私が試乗したガソリンエンジンモデルの燃費は、メーカー発表で9.7km/lで、15分程度の試乗をしたときの実燃費は3.5km/lでした。
これはお世辞にも低燃費とはいえない数値。燃費重視で車を購入するなら、ハイエースはえらばないほうがいいです。
総評:大人数で「移動」するための車
ハイエースの長所・短所を見てきた総評をズバリいえば、「大人数で『移動』するための車」。
ゴツゴツした外装デザインやシンプルな内装は、好きなひとにとっては魅力・長所でもありますが、私としてはもう少し高級感があったほうが好きですね。
運転のしにくさも致命的で、あの大きなボディーはせまい住宅街を走らなければいけないときはマイナスポイントにしかならないでしょう。
パワーボム(著者)
後方視界が悪いというのは運転するうえで危険でもあり、乗っていてすごく疲れる車でした。ただ、後部座席に乗るひとにとっては、あの広い車内空間は非常に快適だと思います。とくに車中泊にはピッタリで、購入後に自分好みにカスタマイズする楽しみがありますよ。
結論として、ハイエースをおすすめできるひととできないひとは、以下のようなひとです。
- 子どもを数人連れて出かけたい
- 自分好みのベッドで車中泊したい
- 大人6人以上でドライブしたい(ハイエースワゴンの場合)
- 大きな荷物をたくさん積める車がいい
- 小回りの利く運転しやすい車が欲しい
- 静かで快適なドライブがしたい
- 燃費の良さを重要視する
- 内装に高級感を求める
4つずつ条件を挙げましたが、とくに重要なのは「おすすめできないひとの条件に1つも当てはまっていないこと」です。1つでも当てはまっていると、購入後に後悔することになってしまうので注意してください。
ここまで書いてきましたが、ほかのミニバンと違ってシートがフラットモードにできないので、車中泊のために購入するならベッドキットはかならず必要になります。
この記事を読んだことで、ハイエースを購入するかどうかの判断材料のひとつになれれば幸いです。
なおハイエースについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
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