ロータリーエンジンは世界でマツダしか本格的な実用化ができなかったエンジンで、その独特な走行感覚は多くの人をいまだに惹き付けています。
しかしロータリーエンジンの車を維持していくのにはメンテナンスが重要で、とくにエンジンオイル交換を欠かせてはいけません。
今回はそんなロータリーエンジンのオイル交換についてご説明します。
ロータリーエンジンのエンジンオイルの交換方法
ロータリーエンジンは一般的なレシプロエンジンよりもコンパクトで高出力を出すエンジンで、同じ排気量で比べるとロータリーエンジンのほうが1.5倍程度の出力が出せるエンジンです。
ロータリーエンジンとは?仕組みのメリット5つとデメリット6つを解説!レシプロエンジンとは?種類は?仕組みや構造まですべて解説!これはエンジンの構造がレシプロエンジンと大きく違うからで、出力軸一回転辺りにエンジン内部で起こる爆発回数がロータリーエンジンのほうが倍あるためです。
そのため小さい排気量で構造もシンプルなエンジンなのですが、シンプルであるためにある箇所に大きな負担がかかるエンジンでもあり、そこへのエンジンオイルの潤滑がとても重要です。
ロータリーエンジンのシール潤滑
ロータリーエンジンでもっとも重要な部品はアペックスシールと呼ばれるシール部品で、エンジン外周のハウジングと内部で回転するローターの間をシールしています。
ロータリーエンジンはハウジングとローターの間で燃焼室を形成しますので、3つに別れた部屋それぞれを気密するためのシールが不可欠で、アペックスシールは気密を保ちながら爆発の圧力や高熱にさらされる部品です。
アペックスシールはロータリーエンジンの開発のまさに肝とも言える箇所で、世界の名だたるメーカーが技術的にクリアできず、唯一マツダが解決策を見いだして量産化できました。
常に金属のハウジングに接しながら高速回転するので材質や形状などが非常に難しい部品で、当初はゴムとアルミの部品でしたが現在では鉄製の金属部品になっています。
アペックスシールはハウジングに常に接触しているのでその間の潤滑は非常に重要で、エンジンオイルの潤滑がなければアペックスシールの消耗が増えたりハウジングに深い傷がついたりします。
またエンジンオイルの油膜によって密閉度をあげる効果やハウジングとローターの冷却効果もあり、ロータリーエンジンを正常に動かすのにエンジンオイルの働きはレシプロエンジン以上に重要となります。
さらにローターの回りにはアペックスシール以外にもシールがあり、ローターの横をシールするサイドシール、アペックスシールとサイドシールの間を塞ぐコーナーシールもあり、同様に潤滑が重要な部位です。
しかし燃焼室であるハウジングにオイルを噴射しているので燃料とともにエンジンオイルの一部は燃焼しており、レシプロエンジンよりオイルの消費が激しいという特徴があります。
こういった理由からロータリーエンジンのエンジンオイルは非常に重要で、なおかつエンジンオイル交換を頻繁に行うことでエンジンの調子を維持することができるのです。
ロータリーエンジンのオイル交換頻度
ロータリーエンジンはオイル消費量が多いのですごい短いインターバルで交換しないといけないと思いがちですが、実際にはレシプロエンジンとそこまで変わらず、エンジンによって5,000km~10,000kmでの交換がメーカーから推奨されています。
ターボエンジンなどでは5,000kmごとに交換していればまず間違いはないでしょう。
ターボ車のエンジンオイルの交換時期は?おすすめのオイルはこれ!ですがオイル量が減ること以外にオイルの性能が劣化する問題があり、エンジンを激しく使う走り方をするならばもっと短いインターバルで交換するほうがもちろんベストです。
エンジンを大事にする人には3,000kmごとに交換している場合もありますね。
エンジンオイルは新しければ新しいほどよいので、こまめに交換しているエンジンはアペックスシールの保ちも良く耐久性をあげることにも一役買っています。
ロータリーエンジンのオイル交換手順
ロータリーエンジンはレシプロエンジンと大きく構造が違うエンジンですが、エンジンオイル交換については手順や道具などはレシプロエンジンと変わりません。
エンジン下部のオイルパンからオイルを抜き、新品のエンジンオイルの規定量をエンジン上部のフィラーキャップから入れるだけです。
個人でも十分できる作業なので、オイル交換ぐらいはできるとよいですね。
交換時の注意点もレシプロエンジンと変わりませんが、おおよそ次の3点ですね。
- エンジンが動いたあとだとオイルが熱いので注意する
- ドレンボルトのシールを新品に交換する
- ドレンボルトの締め付けは規定トルクで行う
またオイル交換2回につき1度、オイルフィルターも交換しましょう。
オイルフィルターの位置はエンジンによって違いますが、基本的に交換しやすい位置にありますので作業は簡単です。
交換時には専用のオイルフィルターレンチを用意しましょう。
なおオイル交換したあとの古いオイルの処理は専用の吸収ボックスなどを使う必要があり、決して下水などに流しては行けません。
処理が面倒な方はガソリンスタンドや自動車用品点などにお願いするのが楽ですね。
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ロータリーエンジンのエンジンオイルの選び方
ロータリーエンジンのエンジンオイルは特殊なものが必要で、ロータリーエンジン専用となっているオイルを使わなければなりません。
エンジンオイルはその用途や必要とされる性能によってさまざなな種類があり、潤滑作用の高いオイル、高温や低温でも使えるオイルなど成分がずいぶん違います。
またオイルの粘度によっても種類や用途が違っており、一般的に柔らかいオイルは一般車向け、固いオイルは高性能車向けです。
さらには鉱物油か合成油かという点もあり、エンジンオイル選びは難しい点があります。
ロータリーエンジンの場合はまずはロータリーエンジン用となっている専用のオイルを選ぶ必要があり、決してレシプロエンジン用のオイルを使ってはいけません。
マツダディーラーでもエンジンオイルを販売していますが成分はレシプロエンジン用と変わらないものなので、ロータリーエンジンが生産終了となっている現在では社外品を選ぶのがよいでしょう。
鉱物油か合成油のどちらがよいかは賛否両論別れるところであり専門家でも意見が別れますが、普通に走行する場合においてはどちらでもあまり問題はないでしょう。(最高速度や出力を出す場合は別)
粘度については少し固めがよいようで、市販されているオイルは10W-40や0W-30となっています。
では次は現在市販されているロータリーエンジン用オイルをご紹介しましょう。
ロータリーエンジンのエンジンオイルのおすすめ
ではロータリーエンジン用のエンジンオイルをいくつかご紹介しましょう。
注意する点としては自然吸気のロータリーエンジン車であるRX-8と、ターボ車であるRX-7などでは純正オイルが違う点です。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!まず最初のオイルはマツダ純正のエンジンオイルで、RX-8専用となっています。
このシンセレネシスはマツダのロータリーエンジン用オイルの集大成といえるもので、それまで鉱物油を使っていたところを合成油で成分調整が施されています。
RX-8で普段乗りするのであれば、価格も比較的安いこのオイルで十分でしょう。
RX-7はターボエンジンなのでエンジンオイルはターボの冷却にも使われるので、自然吸気のRX-8とは求められる性能が違っています。
RX-7の最終型が出たのももう16年前である意味需要の少ないオイルですので、純正とはいっても価格は少々高めです。
しかしマツダのスポーツ部門であったマツダスピードの名前は伊達ではなく、一般使用からサーキット走行まで対応できる高性能オイルです。
なおこのオイルをRX-8に使うのもやめておいたほうがよいでしょう。
RE雨宮は長年ロータリーエンジンのチューニングカーを専門にしているチューニングメーカーで、ロータリーエンジンでレースにも参加するなど非常に技術力の高いメーカーです。
そんなRE雨宮から発売されているロータリーエンジン用オイルがSUPER-Gで、純正オイルより高性能で耐久性も高いエンジンオイルです。
このオイルはRX-7にもRX-8にも使えるようですが、基本的にはターボ車によいようです。
これとは別にRE雨宮からは自然吸気(NA)用のエンジンオイルも発売されており、RX-8ならこちらがよいでしょう。
なおロータリーエンジンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ロータリーエンジンは耐久性が低く壊れやすい?寿命について解説!ロータリーエンジンの燃費が悪い理由2つ!改善し向上させる方法あり?!