日産のフラッグシップセダンといえば、「フーガ」でしょう。
現行モデルは2代目にあたりますが、「セドリック」や「グロリア」の後を引き継ぎ、今や「シーマ」のポジションをも兼任している存在です。
しかし、最近の自動車業界はコストカットが理由で、人気車種のデザインがメーカー内で似たり寄ったり。
正直「フーガ」と「スカイライン」と見分けがつかない方も多いと思います。
インフィニティのエンブレムを装着している車もあり、困惑してしまいますよね…。
そこで今回は、フーガについて現行モデルのY51型はもちろん、先代のY50型も含めた「年式ごとの違い」を解説したいと思います。
Y50フーガの前期と後期の共通点
まずはY50フーガについて、マイナーチェンジ前後の共通点について解説していきましょう。
フーガは2007年にマイナーチェンジを迎えたので、2004-2007年は「前期型」、2007-2009年が「後期型」となります。
共通点① コンセプト
フーガは登場したのは2004年10月のことです。当時の日産は、最上級セダンとして「シーマ」、上級セダンとして「セドリック」「グロリア」を販売しておりました。
しかし業績の関係もあってラインナップを縮小する必要があり、セドリックとグロリアは製造終了へ…。
その後継車として生まれたのが、フーガというわけです。
名前の由来は、音楽の形式である「フーガ(Fuga)」からきています。コンセプトモデル時は「風雅」というネームで発表されたこともあります。
長くなりましたが、フーガは名前からも連想するように、「ラグジュアリ」と「ダイナミック」をコンセプトとしたモデルなのです。
伝統的な高級車の質感を残しつつ、高い走行性能と快適性を念頭に開発されました。
この考えはマイナーチェンジを経ても変わらず、前期型・後期型の両方に通ずるものがあります。
共通点② 大まかなデザイン
マイナーチェンジでまず注目されるのが「エクステリア」ですが、Y50フーガの外観は、それほど大きな変更点はありません。
細かな部分は異なるものの、パッと見ただけでは区別がつかないでしょう。特徴的なものとしてはこんなポイントがあります。
- 上品な「ダブルアーチグリル」
- 威圧感のある「L字型テールランプ」
- ボリューム感のあるボディ形状
グリルとテールは日産の上級車種に採用されていますが、フーガの最大の特徴は、ボリューミーな車体です。
車高型が高く、ホイールベースが長いため、室内空間はクラス最大。
なお現行車のフーガのデザインは以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
【画像】フーガはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!Y50フーガの前期と後期の違い
それでは、マイナーチェンジ前後による、Y50フーガの違いを解説していきたいと思います。
違い① 搭載エンジン
Y50型では、搭載しているエンジンが前期型と後期型で異なります。似たような形式のエンジンなのですが、後期型では燃費・環境性能を高めたエンジンを採用。
さらに、V8エンジンを搭載した4.5Lモデルもラインナップに追加されました。
項目 | 諸元 | |
エンジン型式 | VQ25DE(NEO) | VQ35DE(NEO) |
最高出力 | 210PS/6,000rpm | 280PS/6,200rpm |
最大トルク | 27.0kg・m/4,400rpm | 37.0kg・m/4,800rpm |
種類 | 水冷V型6気筒DOHC | 水冷V型6気筒DOHC |
排気量 | 2,495cc | 3,498cc |
燃費 | 11.2km/L | 9.2km/L |
※水冷、V型6気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!項目 | 諸元 | ||
エンジン型式 | VQ25HR | VQ35HR | VK45DE(NEO) |
最高出力 | 223PS/6,800rpm | 313PS/6,800rpm | 333PS/6,400rpm |
最大トルク | 26.8kg・m/ 4,800rpm | 36.5kg・m/ 4,800rpm | 46.0kg・m/ 4,000rpm |
種類 | V型6気筒DOHC | V型6気筒DOHC | 水冷V型8気筒DOHC |
排気量 | 2,495cc | 3,498cc | 4,494cc |
燃費 | 11.2km/L | 9.3km/L | 8.1km/L |
※V型8気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
V8エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!前期型と後期型では、エンジン性能が若干異なります。前期型と比較すると後期型は出力が高く、トルクが小さいですね。
カタログ値で見ると燃費性能はわずかな差ですが、実燃費では後期型の方が1km/Lほど優れているといいます。
違い② 装備やグレード展開
マイナーチェンジでの変化は装備内容にも現れています。細かいものは多々ありますが、代表例を挙げるならこの2つでしょう。
- HDDナビの標準装備
- クルーズコントロールの強化
前期型ではDVD方式のナビゲーションシステムがオプション設定となっていましたが、後期型ではHDD方式のナビが全グレードで標準装備となりました。
また、前期型では「低速追従式」クルーズコントロール機能がオプション設定されていましたが、後期型ではこれが「ナビ協調機能付全速追従式」に強化されています。
違い③ ディティールの意匠
Y50フーガは、外観よりも中身の方が強化された車ですが、外観も細かい部分は変更されています。ここでは、マニアのみぞ知るディーティールの違いについて解説しましょう。
- バンパー、グリルの小さな意匠変更
- サイドモールのデザイン変更
- サイドウィンカーの位置変更
- XVグレードの廃止
- 新デザインに18インチアルミホイールを装備
バンパーはフロント・リア両方とも、少しだけ手が加えてありますが、マニアックと言えるレベルの違いです。形状の変化によって、後期型の方が全長が少し長いですね。
前期・後期を見分けるには、サイドモールが最もわかりやすいポイントとなるでしょう。
前期型はボディ同色で控えめなデザインですが、後期型はシルバーのメッキが施されているので、非常に目立ちます。
グリル形状やホイールデザインも刷新され、後期型の方がどことなくラグジュアリな印象です。
Y50フーガは前期と後期のどっち買えばいいか
「エンジン性能」「快適性能」「デザイン性」という点から、Y50フーガは後期型がおすすめといえるでしょう。
上級セダンに乗るなら、質感や装備は優れている方が断然良いです。
もしフーガを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!Y51フーガの前期と後期の共通点
続いて、現行モデルである「Y51型」フーガについて解説していきましょう。
2009年11月にフルモデルチェンジが施行され、Y50型からY51型へと生まれ変わりました。
「ラグジュアリ&スポーティ」という先代Y50型の特徴を踏襲しながらも、車としての「美しさ」を追求したモデルです。
2015年にマイナーチェンジを経て、前期型から後期型へと移行しました。例のごとく、前期型と後期型の共通点から見ていきたいと思います。
共通点① 搭載エンジン
Y50フーガはマイナーチェンジでエンジンの内容が少し変更されましたが、Y51フーガは前期・後期で共通のエンジンを採用しています。
項目 | 諸元 | ||
エンジン型式 | VQ25HR | VQ37VHR | VQ35HR |
最高出力 | 225PS/6400rpm | 333PS/7000rpm | 306PS/6800rpm |
最大トルク | 26.3kg・m/ 4800rpm | 37.0kg・m/ 5200rpm | 35.7kg・m/ 5000rpm |
種類 | V型6気筒DOHC | V型6気筒DOHC | V型6気筒DOHC+モーター |
排気量 | 2495cc | 3696cc | 3498cc |
燃費 | 11.2km/L | 9.4km/L | 18.0km/L |
※V型6気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
V6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!見てわかる通り、これはY50フーガと同じ形式のエンジンですね。
- 3.5L→3.7Lへ排気量を増加
- 4.5Lモデルの廃止
- ハイブリッドモデルの追加
先代と異なる点といえば、このようなものが挙げられます。
Y51型フーガはフルモデルチェンジ当初、V型6気筒の「 2.5L」と「3.7L」の2種類のガソリンモデルを用意。
翌年の2010年には3.5Lエンジンを搭載するハイブリッドモデルが追加されました。
この「フーガハイブリッド」は日産のFR乗用車としては初のハイブリッドカーとなります。
共通点② デザインコンセプト
先代Y50型では、ダイナミックで重厚な印象のエクステリアが特徴的でしたが、Y51は所々に曲面デザインを採用し、流線的な「美しさ」を取り入れました。
さらに、先代モデルは「車高が高く、幅が少し狭い」という意見が多かったようで、フルモデルチェンジにともなって「ロー&ワイド」なボディへとシェイプされることに。
より一層、スポーティな印象のエクステリアへと生まれ変わったのです。
インテリアについてもエクステリア同様で、流線形がモチーフのデザインを採用。先代モデルとほとんど同じつくりではありますが、パネルが「ピアノ調」から「木目調」へと変更され、高級感が強調されています。
居住性もかなり高いです。フロントシートの「ヒッピングポイント」の見直しにより、先代モデルよりもドライビングポジションが快適に。
加えて、有効室内長はクラストップの広さで、特に後部座席は1クラス上のセダンをも凌ぐ広さ確保しています。
なお現行車のフーガのデザインは以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
【画像】フーガはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!Y51フーガの前期と後期の違い
Y51フーガは先代Y50型とは正反対で、マイナーチェンジによってエクステリアを大胆に刷新しました。
前期型と後期型で異なる点について、一つ一つ解説していきましょう。
違い① エンブレム
まず、パッと見て違いがわかるのがエンブレムによる違いです。
前期型は「NISSAN」の文字があしらわれた、一般的な日産エンブレムを採用。一方、後期型では「INFINITI」表記のエンブレムを採用しています。
現行スカイラインにも「INFINITI」エンブレムが採用されていますが、インフィニティではなく、あくまでも日産ブランドです。これには多くの人が戸惑ったはず。
さらに、後期型ではリアガーニッシュの日産エンブレムも廃止。もともとエンブレムが装着されていた場所には、「FUGA」というネームロゴが施されています。
つまり、フロント・リアのどちらにも「NISSAN」の刻印がないということ。
「NISSAN」仕様なら前期型、「INFINITI」仕様なら後期型ということになります。
知らない人が見たら、インフィニティ・ブランドと勘違いしてしまうかも…。
違い② フロントマスク
- フロントグリルをウェーブメッシュパターン化
- LEDポジショニングランプ内蔵のヘッドライトを採用
- ラッドライト形状の変更
- バンパー形状の変更
フロントで変更点があるのは上記の4点です。わかりやすいのはグリルとヘッドライトですね。
前期型はシンプルなメッシュグリルを採用していましたが、後期型では曲面を強調したデザインへと変更。よりボリューム感のある顔つきになりました。
さらに、ヘッドライトがエッジの効いたデザインに変更され、「ロー&ワイド」感も強調。一説によると、コストカットのため現行スカイラインと同じ形式のものに変更されたのだと…。
ヘッドライト上部にはベンツを思わせるLEDポジションランプが配され、夜間に遠目で見たら、輸入車のような佇まいをしています。
違い③ リアビュー
- テールランプの形状変更
- トランクパネルの形状変更
- バンパー下部にリフレクターの追加
ヘッドライトの変更にともない、テールランプの形状にも手が加えられました。
前期型ではテールランプ下部が直線的なデザインでしたが、後期型は内側へ収縮するような形状へと変更。
ヘッドライト同様、LEDが採用されているので、後姿もまるで外車のようです。
テールランプの変更にともない、トランクの形状も若干変わっています。
形状が変わったことでテールランプの反射範囲が減ったため、バンパーの下部には新たにリフレクターが装着されました。これはマイナーチェンジでよくあることですね。
「エンブレム」「テールランプ」「リフレクター」…リアビューからでも、前期・後期の見分けが簡単にできますね。
Y51フーガは前期と後期のどっち買えばいいか
現行Y51フーガも、購入するなら後期型の方がおすすめです。
基本的に車は、マイナーチェンジによって性能が強化され、デザインも良くなる傾向にあります。
Y50型同様、Y51型も後期型の方が優れているので、現行モデル(後期型)を新車購入することが理想ですね。
日産車については以下の記事でも取り上げているので、詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
日産車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!日産車の決定的な特徴5つ!魅力から欠点まですべて解説します!