トヨタFJクルーザーはポップで独特な見た目と本格的なオフロード性能で、登場するや世界中から反響が寄せられた車です。
FJクルーザーはアウトドア向きのSUVなのですが、アウトドアのひとつであるキャンプでは使いやすい車なのでしょうか。
今回はFJクルーザーがキャンプに向いているかどうかをご説明しましょう。
FJクルーザーがキャンプに向いている理由
FJクルーザーはちょっと面白い生い立ちを持つ車で、最初は北米のモーターショーに発表されたコンセプトカーでした。
コンセプトカーなので市販化は考えられておらず、昔のランドクルーザーFJ40をレトロフィーチャーしたデザインはトヨタにしては奇抜でポップだったので、これが人気が出た理由でしょう。
コンセプトが発表されたのが2004年、北米で販売が開始されたのが2006年ですが、当初は北米専用車で日本では正規販売はされていませんでした。(個人輸入はありましたが)
しかし日本でアウトドアの人気が再興しSUVに人気が出たことから、2010年になってようやく日本でも発売されたのです。
もとからの人気もありFJクルーザーは一定の人気があり、特にこの車がマッチするアウトドアスポーツやキャンプが趣味という人に購入されています。
FJクルーザーは見た目からしてキャンプにピッタリの車で、この車を買う理由がキャンプにある人も多いです。
ではFJクルーザーのキャンプに向いている点をご紹介していきます。
アウトドアにマッチする独特なデザイン
トヨタ車と聞くと誰もが万人受けするデザインを思い浮かべるでしょうが、FJクルーザーは全く正反対の性格を持つデザインの車です。
丸目のヘッドライトやプラスチック風の丸みを帯びたボディラインなどがポップな印象を際立たせており、キャンプ場では一際目を惹くアウトドア向けのデザインです。
FJクルーザーのデザインコンセプトはランドクルーザーFJ40から来ており、丸目のヘッドライトやフロントグリルのデザインなどはFJ40に良く似ています。(ランドクルーザーのデザインの詳細は以下の記事をご参照ください。)
【画像】ランクル(ランドクルーザー)はかっこいいのか?デザインについて徹底分析!しかし車全体はうまく曲面を活かしてポップで親しみやすいものとなっており、女性や子供にも幅広く愛される車に仕上がっています。
またボディカラーにも明るいカラーが多数用意されており、ブルーやオレンジのパステルカラーからベージュなどのアースカラーまでキャンプ場に合いそうな色ばっかりです。
デザインとカラーで非常に親しみやすい車になっており、見るだけでも運転していてもとっても楽しい車です。
キャンプ場にFJクルーザーのような車があるとキャンプをする本人達はもちろんのこと、周りの人たちも楽しい気分にさせてくれるので、この車は間違いなくキャンプに最高の車のひとつなのです。
本格的なオフロードの走破性
FJクルーザーはデザインを見るとクロスオーバーSUVのように見えますが、実際には本格的なオフロード性をもったクロカンSUVです。
この車はキャンプ場はもとより周囲のアウトドアフィールドで本領を発揮する車なのです。
FJクルーザーは設計のベースにクロカンSUVのランドクルーザープラドを使っており、ランクル譲りのラダーフレームがFJクルーザーの走破性を支えています。(ランクルの走破性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
【画像】ランクル(ランドクルーザー)はかっこいいのか?デザインについて徹底分析!耐久性と頑丈さを備えたラダーフレームの存在がオフロード走行の可否を決めると言っても良く、都会派のクロスオーバーSUVとの大きな差となっています。
大径タイヤと230mmというランクル以上の最低地上高を確保した設計は、障害物のある悪路や岩場でもしっかりとした走破性を発揮します。
またエンジンには276馬力、38.8kgf·mのトルクを持つV6 4.0Lの大排気量エンジンを搭載し、駆動系にはパートタイム式4WDを採用しています。
トランスミッションは副変速機付きで低速方向に幅広いギア選択が可能です。
さすがにデフロックは標準装備されていませんが、トラクションコントロールを応用した電子制御で4輪のトルクの制御をしておりデフロックの代わりになります。
オプション装備ではリアデフロックがありますので、よりヘビーデューティな使い方をするのであればこちらが必要です。
FJクルーザーの走破性は国産クロカンの中でもトップクラスのレベルにあり、どんなに厳しいフィールドであってもFJクルーザーならつれていってくれます。
ポップなデザインの中身は本格的なSUVというギャップもこの車の魅力となっているのです。
インテリアは撥水仕様でお手入れが楽
FJクルーザーはインテリアもアウトドアに使いやすい設計となっており、ラゲッジのフロアやシートなどが水を弾く撥水素材になっています。
車にアウトドア用品を積む場合、行きは別によいのですが帰るときにはそれらが土や泥、水などで汚れていたりします。
普通のインテリアではカーペットやシートを汚してしまう可能性が高いのですが、FJクルーザーではたとえ汚れても拭けば簡単にきれいにすることができるのです。
ラゲッジのフロアには凹凸加工の滑り止めが施された樹脂製フロアが採用されており、荷物をしっかり支えると共に濡れても問題ないものです。
スキーやスノボー、また夏の川遊び、釣りなどでも威力を発揮します。
またシートの表皮には撥水しながらも水蒸気は透過する素材を使っているため、蒸れにくく座り心地にも配慮してあります。
キャンプだけでも汚れ物を載せるときに重宝する装備ですが、加えてアウトドアスポーツをする人にはFJクルーザーはもってこいですね。
観音開きは荷下ろしが楽チン
FJクルーザーの特徴のひとつに左右のドアが観音開き構造である点があり、開口部が広くなるので車の左右からの荷物の上げ下ろしが楽チンです。
一般的な乗用車では運転席と後席のドアの間にはBピラーと呼ばれる柱があり、あまり長い荷物はそこから積むことができません。
しかし観音開きではBピラーはなく、後席のドアは後ろに開くようになるので、運転席から後席までの広い空間を開けることができます。
テントなどの長い荷物も横からアクセスして載せ下ろしが可能ですので、荷物をぎゅうぎゅうに積み込んだとしても下ろすのは楽になるでしょう。
後席のドアを開けるには被さっている運転席側のドアを先に開けておく必要があり不便な点はありますが、観音開きはなんといっても珍しく面白い装備なので、FJクルーザーを初めて見た人は驚くこと間違いなしです。
もしFJクルーザーの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!FJクルーザーがキャンプに向いていない点
FJクルーザーはデザイン的にも性能的にもキャンプにピッタリの車に見えますが、いくつかデメリットもあり、その筆頭はあまり広くない荷室にあります。
それ以外にもいくつかデメリットがありますのであわせてご説明します。
荷室がちょっと狭い
FJクルーザーの泣き所のひとつとしては同クラスのSUVに対して荷室が狭いことで、これはクロカン性能を優先した結果でもあります。
次の表に国産の代表的なクロスオーバーSUVの荷室サイズをまとめましたが、FJクルーザーは比較してみるとやはり狭めであることがわかります。
部位 | トヨタ FJクルーザー | マツダ CX-5 | トヨタ ハリアー | 日産 エクストレイル | |
荷室幅 | 1,085mm | 1,040mm | 1,130mm | 1,010mm | |
荷室高 | 878mm | 820mm | 765mm | 790mm | |
荷室長 | 2列目最後端 | 925mm | 940mm | 1,000 mm | 840mm |
2列目格納 | 1,505mm | 1,830mm | 1,900mm | 1,780mm |
※ちなみにエクストレイルとCX-5はキャンプに最適な車です。詳細は以下の記事をご参照ください。
マツダCX-5がキャンプに最適な理由6つ日産 エクストレイルがキャンプに最適な理由4つこうして見てみると、車が大きいため荷室幅と荷室高さは確保できていますが、なにより荷室長が競合車に対して短いです。
特に同じトヨタのハリアーが後席使用時で1mの、後席を倒して1.9mの荷室長を確保できているのを考えると、FJクルーザーは多少手狭といえます。
とはいえ3人分ぐらいまでなら必要十分なキャンプ用品を積み込むキャパシティはありますので、FJクルーザー1台でキャンプをこなすのは不可能ではありません。
しかしそこにアウトドアスポーツの道具などが入ってくると、なかなか厳しい場面も出てくるでしょう。
そういった時には屋根の上にルーフキャリアやルーフコンテナを装着することで、さらなる荷室の拡大をするのが良いです。
取り回しの大変なボディサイズ
FJクルーザーはサイズ的にはミドルサイズSUVのカテゴリにはいる車ですが、少々車両幅が大きいことと最小回転半径が大きいことで、小回りが効かず取り回しの難しい車になってしまっています。
部位 | FJクルーザー | マツダ CX-5 | トヨタ ハリアー | 日産 エクストレイル |
全長 | 4,635mm | 4,545mm | 4,720mm | 4,690mm |
全幅 | 1,905mm | 1,840mm | 1,835mm | 1,820mm |
全高 | 1,840mm | 1,690mm | 1,690mm | 1,740mm |
ホイール ベース | 2,690mm | 2,700mm | 2,660mm | 2,705mm |
最低地上高 | 230mm | 210mm | 195mm | 205mm |
最小回転 半径 | 6.2m | 5.5m | 5.6m | 5.6m |
こちらでも国産SUV3車種と比較してみますが、全長はそこまで大きすぎるということはないのですが、全幅がとにかく大きく1.9mを越えるサイズがあります。
また全高も高く、トールサイズミニバンと同じぐらいのサイズです。
全幅が大きくて狭い道などは苦手としており、普段使いでもそうですが林道やキャンプ場でも幅の大きさは不利な点です。
また最小回転半径が6.2mもあり、とにかく小回りが利かない車です。他の車が5m台なのですが、幅の大きさとクロカンSUVとしての設計が影響しています。
幅も大きく小回りがきかないので、FJクルーザーはかなり運転が大変な車といえます。
ひとつよい点としてはFJクルーザーはボンネットはそこまで長くなく、またスクエアボディで見切りがよいので一度車に慣れれば車両感覚は掴みやすいです。
FJクルーザーに初めて乗った人は運転感覚の違いに戸惑うでしょうが、その大変さもFJクルーザーのような特別な車ならしかたないでしょう。
後席はリクライニングがなくて辛い
FJクルーザーの後席はシートアレンジで前側には折り畳むことができますが、なんと後ろ側へのリクライニングはほとんど効かず、後席の居住性はあまり良くありません。
米国のSUVではリクライニングが少ないというのは珍しくなく、当初北米専用車として作られたFJクルーザーでは仕方ない部分もあります。
多少はリクライニングできるものの、楽な体制にしたり横になったりという使い方はできませんので、あらかじめ座る人は何らか疲れにくい対策をとっておいたほうがいいでしょう。
キャンプ場ではあまり関係ないですが、キャンプ場までいくのに長距離移動をすることが多いので、疲れにくいシートは重要なのです。
車中泊はちょっと厳しい
FJクルーザーのラゲッジは後席を倒すとフラットになるのですが、荷室長が1.5m程度しかないので車中泊は厳しいです。
最近はキャンプでも車のなかで宿泊する車中泊が大人気ですが、FJクルーザーはそういう用途を全く想定していない車ですので車中泊ができないのは仕方ありません。
一応マットを敷いてフルフラットにした上で足を曲げながら寝れば車中泊にならないこともないですが、そんな体制ではとてもぐっすりとは寝れませんよね。
ちなみに車中泊もできて走破性も高いキャンプに向いた車は、たとえばデリカD:5などです。詳細は以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもご参照ください。
デリカD:5がキャンプに最適な理由8つ燃費がかなり悪い
FJクルーザーはエンジンが4.0Lと大きく、また車両重量が1.9tもある重量級なので、燃費が結構悪いです。
キャンプ場までいくのにかかる燃料代が増える結果となり、経済性という点からは不利な車です。
このクラスの国産SUVのカタログ燃費は軒並み10km/L~13km/L程度はあり、排気量の小さなエンジンと軽量ボディが採用されています。
FJクルーザーはそれとは全く真逆の車になっており、カタログ燃費で8.4km/Lとかなり悪い数値です。
また実燃費では7km/L程度まで下がってしまい、大型ミニバンクラスの燃費になってしまいます。
アメ車として設計されたFJクルーザーで、設計自体も10年以上前の車なので燃費が悪いのはある意味当然ですが、現代の車としてはなかなか厳しい燃費の値ですね。
FJクルーザーの評判
FJクルーザーのキャンプでの評判はTwitterに沢山投稿されていますので、今回はその中から3件ほどご紹介していきます。
FJクルーザーは奥さんにも好評
妻はFJクルーザーが結構気に入ってる様子。スポーツカーとRV願ってもない組み合わせだなぁ。子供が大きくなってキャンプとか行くようになると絵になるよね。
— hirokku23 (@hirozn6) April 13, 2015
FJクルーザーのポップなデザインは男性だけでなく女性にもウケがよく、この方の奥さんも気に入っておられるようですね。
FJクルーザーのような性能を持つクロカンSUVはどうしても男性向けの硬派なデザインの車が多く女性にはイマイチということも多いですが、この車ならどんな人にも好意的に受け入れられます。
しかもスポーツカーのようなかっこよさも併せ持っていて本当に最高のデザインですよね。
FJクルーザーのデメリットも結構多い
キャンプなどのアウトドアをやる、という荷台サイズ的な用途と価格を考えると、エクストレイルみたいなのかミニバンしかなかった。FJクルーザーはカッコいいけど燃費が悪いし価格は高いし、何よりドアが、前座席を開かないと後部座席が開かない、という構造なのがアウトだった。
— こゆるぎ岬 (@o_thiassos) January 23, 2014
FJクルーザーは本当にかっこよく、一目見て欲しくなってしまう車ですが、実用性の点を考えるとちょっと不便です。
燃費の悪さもそうですが、観音開きドアの開閉方法が煩雑で面倒というのも大きなデメリットになっています。
開口部が大きくて荷物の出し入れは楽なのですが、後席ドアだけ開けられないのは不便ですね。
頼りになる走破性
FJクルーザーでオフロードデビューしたけど、ハマりそうだわw pic.twitter.com/5az0ij7kds
— うえだたつろー (@tatsu0567) June 21, 2016
FJクルーザーでオフロード走行をした際の写真のようですが、かなりの悪路や登り坂であるにもかかわらずしっかりした走破性を発揮しています。
FJクルーザーはデザインだけではとてもこんなところを走れるように見えませんが、実際に体験してみると本当の実力を感じられますので、一度体験してみるのをおすすめします。
オフロードコースで車をレンタルできるところもあるようですよ。
FJクルーザーの生産終了について
ここまでご説明してきたようにFJクルーザーはキャンプには最適な車のひとつですが、残念ながら国内仕様は生産終了がすでに決まっています。
生産終了は2018年1月31日を予定されており、それ以降は在庫販売のみとなります。
FJクルーザーの生産開始は2006年で12年もの長い期間生産された珍しい車なのでいつ生産終了してもおかしくなかったのですが、ついにその時期が来たのです。
生産中止となれば新車の在庫もどんどんなくなっていきますので、購入を考えている方は早めにされたほうがよいでしょう。
在庫がなくなればその後は中古車となりますが、台数自体はかなり出ているので選択肢は広い車です。
ポートメッセなごやで開催の、名古屋モーターショーを観に行き、トヨタのブースでは、Tjクルーザーが展示されていました。間もなくFJクルーザーが生産中止になるので、後継車っぽい印象だけど、角張った武骨なデザインがアウトドアなイメージで、ぜひ、発売して欲しいです。 pic.twitter.com/WudUFNYGog
— TOM-H (@tomgold127) November 30, 2017
なおこのツイートにあるように、FJクルーザーの後継となりそうなコンセプトカーがトヨタから発表されていますので、もしかしたらこういったデザインで新型FJクルーザーが登場してくるかもしれませんね。
非常に人気の高かった車ですので、今後も十分期待できる車です。
他にもキャンプに向いた車を紹介した記事がございますので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ラングラーがキャンプに最適な理由7つトヨタ ランクル(ランドクルーザー)がキャンプに最適な理由4つ