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ディーゼルエンジンがかからない原因まとめ!対処法・対策まで解説!

自動車用エンジンの一つにディーゼルエンジンがあり、近年クリーンディーゼルエンジンとして国内でも普及が進んでいます。

ですがそんなディーゼルエンジンはガソリンエンジンと違う特徴があり、状況によってはエンジンがかかりにくい場合があります。

今回はそんなディーゼルエンジンがかからない、もしくはかかりにくい原因についてご説明します。

ディーゼルエンジンがかからない原因

車 故障

ディーゼルエンジンはガソリンエンジンと比較するとその燃焼方法および燃料に違いがあり、その特徴ゆえにエンジンスタートが出来ない、もしくは時間がかかる場合があります。

ディーゼルエンジンの構造については以下の記事で詳しくご説明しているので簡略化しますが、ディーゼルエンジンは燃焼方法に「圧縮着火」という方法を用いており、圧縮によって燃料の温度を上昇させることで燃料を自己着火させて点火します。

エンジンディーゼルエンジンとは?仕組み/構造を簡単にわかりやすく解説!

そのためディーゼルエンジンの燃焼には燃料の温度が重要です。またディーゼルエンジンの燃料である軽油はこの自己着火に適した燃料で、ガソリンではディーゼルエンジンの燃焼には適していません。

これらを踏まえてディーゼルエンジンのエンジンスタートが難しくなる原因をご説明します。

空気温度が低い

ディーゼルエンジンのエンジンスタートに時間がかかったり、またエンジンがかからない原因として多いのは、吸い込む空気の温度が低い場合です。

ディーゼルエンジンの燃焼には温度が重要と説明しましたが、ディーゼルエンジンは車の外から空気を吸い込みエンジン内部に送り込みます。

また燃料である軽油は燃料タンクから配管を通じてエンジンに送られており、タンクや配管は外気にさらされますので、基本的にエンジンスタート時の燃料温度は気温と同じになります。

ガソリン(クリーン)ディーゼルの燃料は軽油?灯油やガソリンを給油しても走れる?
ポイント

この際、冬の気温が低い時期になると、吸入する空気も冷えていますし、燃料の温度も冷えています。またエンジン本体も完全に冷え切っていますので、軽油の自己着火には全体的な環境が低温度で不利になっています。

そのため始動時には自己着火に満たない場合には着火しませんし、着火したとしても燃焼は不安定となります。

こういった問題点はディーゼルエンジンではあらかじめ考えられており、寒冷地を走行する仕向地のディーゼルエンジン車には「グロープラグ」という部品が取り付けられています。

これはエンジンのシリンダーブロックに取り付けられており、バッテリーの電気で高温になる電熱線で構成されています。

寒冷地での冷間始動時にはグロープラグであらかじめエンジン本体を温め、エンジンの始動性を改善する効果があります。

国内メーカーや欧州メーカーは寒冷地が必ずありますので、最新のディーゼルエンジン車は基本的にはグロープラグによって、ある程度冷間始動性は改善できるようになっているはずです。

燃料の凍結

もうひとつ寒冷地におけるディーゼルエンジンの問題は、燃料である軽油が凍結することです。

軽油はその成分からほかの自動車用燃料に比べて凍結温度が比較的高いという特徴があり、0℃前後で凍結してしまいます。

MEMO

一般的にガソリンスタンドで販売されている軽油は1号軽油や2号軽油と呼ばれるものですが、1号軽油は-2.5℃で、2号軽油は-7.5℃で凍結してしまいます。

東北や北陸、北海道などでは、冬季に気温がこれ以下になることも珍しくなく、ディーゼルエンジン車はこういった寒冷地では燃料が凍ってしまうのです。

当然燃料が凍ってしまえばエンジン始動などできるはずはありませんし、エンジンだけではなく燃料タンクの中の燃料や配管の中の燃料なども凍っています。

始動させるためには凍結した燃料をなんとか解凍しなくてはならず、専用のヒーターを作動させたり、お湯をかけて燃料を溶かしたりしなければなりません。

ポイント

これを防止する方法はたった一つで、寒冷地で販売されている凍結防止剤を含んだ軽油を給油することです。

3号軽油では凍結点が-20℃、特3号軽油なら-30℃まで凍結を防ぐことができ、これらは寒冷地のガソリンスタンドでしか販売されません。

そのためスキーや旅行などでディーゼルエンジン車で寒冷地に行く場合には、現地で寒冷地用の燃料を満タン給油することが対策となります。

もし使い切れなかった普通の軽油がタンクに残っていて、寒冷地用の軽油と混ざった場合には、燃料の凍結点はもう少し上がってしまいます。割合にもよりますが、できるだけ現地で多くの燃料を給油したほうが良いですね。

燃料ラインへの空気噛み

ディーゼルエンジンは燃料系の構造がガソリンエンジンと一部違っており、燃料配管や燃料ホースなどの一部に空気が混入するとそれだけでエンジンに燃料が送られなくなってしまいます。それが元でエンジンが始動しない、といった事態が起こります。

ガソリンエンジンは燃料タンク内にポンプがあり、エンジンまでつながる燃料ラインには圧力がかかっています。(構造の詳細は以下の記事をご参照ください。)

ガソリンエンジンガソリンエンジンのメリット3つとデメリット5つ!仕組みと将来性の特徴を解説!

ですがディーゼルエンジンの場合にはエンジン側に燃料ポンプが付いており、燃料タンクからエンジンまでの燃料ラインの間に空気が噛んでしまうとそれだけで燃料をエンジンに送れなくなります。

量産車の完成車であればこういった問題はありませんが、例えば燃料ラインの一部に亀裂があったり、修理の際などに燃料ラインに空気が入った状態になると、エンジンの始動に大きな問題が起こります。

ですがディーゼルエンジンにはこれに対応する構造もあり、燃料フィルターに付属している手動ポンプを使用します。

主にエンジンルームに設置されている燃料フィルターですが、その上部には上下に押すことでポンプとなる部品が付いており、手で何度も押すことで燃料ラインの空気を吸出し、空気噛みを解消することができるのです。

こういった対処は基本的にはディーラーや自動車修理工場などで行う対処方法ですが、ディーゼルエンジンの維持には覚えておいたほうがよいことであり、オーナーがディーゼルエンジン車に乗る上では理解しておいたほうが良いでしょう。

バッテリーあがり

バッテリーの劣化によるバッテリーあがりはエンジンの始動不可の原因としても多いものですが、ディーゼルエンジンでも始動にはバッテリーが必要であり、エンジン始動不可の要因としてはよくあるものです。

エンジンの始動時には結構バッテリーの電力を使う場面が多く、エンジンスターターの始動には欠かせません。

エンジンスターターはモーターでクランクシャフトを回転させてエンジンを始動させるもので、バッテリーの電圧が低下している状態では始動がうまく行かない場合があります。

またバッテリーが完全にあがった場合には、エンジンのコンピューター類やセンサー、電子制御関係も使えないので、バッテリーが正常でないとエンジンは始動もしなければ正常稼動もできません。

バッテリーの劣化はおおよそ2年〜3年程度で起こるもので、そのたびにバッテリーの交換が必要となります。また寒冷地ではとくに冬季にバッテリー電圧が低下するため、バッテリーの劣化による影響は大きくなります。

朝起きて昨日かかっていた車のエンジンが今日かからない、などといった場合にはバッテリーの劣化を疑うことです。

部品故障

ここから先はエンジン部品の故障によってディーゼルエンジンが始動しない、といった要件ですが、ガソリンエンジンでもそうですが部品が故障すれば当然ながらエンジンは不調となります。

次にご紹介するのはディーゼルエンジンで特に起こりやすい故障で、おもに走行距離の多いエンジンで発生するものです。

燃料ポンプの故障

最新のクリーンディーゼルエンジンは燃料である軽油をシリンダー内に高圧で噴射しており、その圧力は専用の高圧燃料ポンプによって作り出されています。

パジェロ エンジンクリーンディーゼルエンジンとは?メリット2つとデメリット3つ!仕組み/構造の特徴まで解説!

クリーンディーゼルエンジンの高圧燃料系には20気圧近い高い圧力がかかっており、ガソリンエンジンの比ではありません。それだけの圧力を生み出すポンプですので部品は非常に頑丈で、また故障しにくくなっています。

注意

ですが走行距離が増えて経年劣化が進めば負荷の高い部位から故障していくのは仕方ないことであり、クリーンディーゼルエンジンは走行距離100,000km前後で燃料ポンプが比較的故障しやすいのです。

燃料ポンプが故障すれば当然ながらエンジンに燃料が送られなくなるか、送る圧力が低下してしまいますので、エンジンが始動しなかったり、エンジンの正常な動作を妨げます。

こうなると対処は燃料ポンプの交換のみで、費用的にも100,000円以上かかる結構な高額修理です。

ただし燃料ポンプの故障は走行距離が少ない内はそんなに起こるものではないので、普通に乗っている分にはそこまで遭遇することはないでしょう。

スタータモーターの故障

もうひとつの故障しやすい部品としてあげられるのがスタータモーターで、ディーゼルエンジンはガソリンエンジンよりもピストンやクランクシャフトなどが重たく、始動時にスタータモーターにかかる負荷が高くなります。

注意

こちらも走行距離100,000km前後で経年劣化が進んだ場合に故障の可能性があり、始動時に必ず使うスターターですので当然ながら始動できません。

スタータモーターで故障しやすいのはエンジンと接続しているギアの部分で、経年劣化が進むとギアの破損によって始動ができなくなる場合が多いです。またモーターの電気系統に故障が及ぶ場合もあり、いずれにしても対処はスタータモーターの交換以外にはありません。

スタータモーターの交換には30,000円〜50,000円程度の修理費用がかかりますが、交換しなければそのエンジンは自力で動かすことは不可能ですので仕方ありません。

こちらも走行距離が少ないうちは気にすることは少ないのですが、走行距離が増えてきたら要注意でしょう。

なおディーゼルエンジンの寿命については以下の記事で詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

エンジンディーゼルエンジンの寿命/耐久性は走行距離や年数だとどれくらい?
MEMO

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ディーゼルエンジンがかからないのを予防する対策

メンテナンス

ここまでディーゼルエンジンが始動しない、もしくは始動しにくい場合の原因や対処をご説明してきましたが、そういった事態に陥らないようにするにはどうしたらよいのでしょうか。

いくつか要因ごとにわけてご説明します。

寒冷地対策

まずディーゼルエンジンの始動で日常的に気をつけるべきなのは軽油の寒冷地対策と言えるでしょう。

気温が寒い場合や、そもそも寒冷地で使用することを想定している場合などは、購入する際に車の仕様を「寒冷地仕様車」にすることをおすすめします。

ポイント

ディーゼルエンジンの場合は寒冷地仕様でなくても始動を助けるグロープラグは搭載されていますが、それ以外にも各種ヒーター類や寒冷地向けの冷却水、大型バッテリーなど、仕向地に合った装備が多数付いている車です。

発電能力なども多少強化してあり、ワイパーなどもモーターが強化されます。エンジン始動はもちろんのこと、その他の性能についても寒冷地仕様のほうがふさわしいのはいうまでもありません。

また前述したとおり給油する軽油についても、寒冷地用の軽油にするのは当然の対処です。日本ではまだまだディーゼルエンジンや軽油に対する理解が浅く、燃料の凍結によるトラブルはあとを絶ちません。

暖かい地域から寒冷地に行く場合にも、あらかじめ燃料の消費量を調整しておき、現地でできるだけ多くの寒冷地用軽油を入れるようにしましょう。

始動性の悪化や燃料の凍結などを見るとディーゼルエンジンは寒冷地用には向いていないと思われるかもしれませんが、きちんと対処さえすれば全く問題なく使用できます。

定期的なメンテナンス

燃料フィルターの点検やバッテリーの点検などは個人でも十分可能な範囲のメンテナンスであり、エンジン始動が悪いと思ったらまずは自分で点検して見るようにしましょう。

燃料フィルターはポンプを数度動かしてみれば始動性が変わるかどうかチェックできますし、もしそれで変わるようなら燃料ラインに空気が混入していたということになります。

修理時などに混入した場合や、燃料ラインのどこかが破損したことが考えられますので、一度始動性がよくなっても、その後にディーラーなどでチェックしてもらったほうが良いでしょう。

バッテリーの場合には劣化のインジケーターが付いているもありますが、基本的には2年程度経過していたら交換したほうが良いでしょう。バッテリーの劣化は急に進行しますので、問題が見つかったら交換の時期と言えます。

またガソリンスタンドなどで無料の点検をしてくれる所もありますので、給油の際に一緒に電圧をチェックしてもらうとよりわかりやすいです。

エンジンが始動しない、始動しにくいといった事態が起こると原因がわからない場合も多いですが、チェックできるところはチェックしておくと事態の進行を止めることが出来ます。

なおディーゼルエンジンのメンテナンスについては以下の記事で詳しく解説しているので、詳細まで知りたい方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

メンテナンス(クリーン)ディーゼルのメンテナンスのポイント5つ!費用や水抜き、アドブルーまで解説!

劣化した部品の事前交換

燃料ポンプやスタータモーターなど経年劣化で破損するような部品に対しては、破損する前にあらかじめ交換してしまうのが最良のほうほうです。

一度これらの部品が故障してしまうと車を走らせることができませんので、外出先などでトラブルに見舞われたら非常に大変です。

ディーラーや修理工場まで別の手段で運搬する必要があり、また自宅から遠くなってしまう場合もあるでしょう。

ポイント

そうならないためには部品の劣化をあらかじめ見越して部品交換しておくのが安心で、その見極めをするのは走行距離が80,000km〜100,000kmの間に達したときです。

おおよその部品は100,000kmを耐久値として設計されていますので、80,000kmぐらいで交換すれば故障する確率はぐっとさがります。

また毎年行う車の定期点検時などにも、ディーラーや修理工場などから部品交換についての案内がありますので、適切だと思ったら事前交換しておくのが良いです。

これらの対処は走行距離が増えた車にのみ行うものですので、新車購入から数年で手放す人や、中古車でも走行距離が短い車には余り関係はありません。

ですが1台の車を長い距離乗り続けるのであれば、あらかじめ考慮しておくとよいでしょう。

なおディーゼルエンジンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。

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