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クラウンは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!

日本人のための上級セダンといえば、誰もが思い浮かべるのはトヨタ「クラウン」でしょう。

海外向けの高級車が多い現代において、これほどまでに国内仕様にこだわられた車は、ある意味珍しいです。

「日本人向けと豪語するからには、ちゃんと北国にも対応しているんでしょ?」という疑問を持つ方も多いはず…。

そこで今回は、クラウンは雪道において「どれくらい走れる車なのか?」を色々な角度から分析してみました。

ライバル車とも比較をしてみたので、合わせご覧ください。

クラウンは雪道での走行性能はそれなりに優秀

クラウン フロントから

FRのイメージが強いクラウンですが、2.5Lのハイブリッドモデルには4WDもちゃんとラインナップされています。そのため、世間の印象ほど雪道に弱くはないんです。

ただ「雪に強いか?」と聞かれると、微妙なところ…。それでは、公式諸元の具体的な数値を参考にしながら、詳しく解説していきたいと思います。

項目3.5L ハイブリッド2.5L ハイブリッド2.0L ガソリンターボ
種類V型6気筒DOHC+モーター2.5L 直列4気筒DOHC+モーター直列4気筒DOHC ICターボ
排気量3,456cc2,487cc1,988cc
最高出力エンジン:299PS/6,600rpm
モーター:180PS
エンジン:184PS/6,000rpm
モーター:143PS
245PS/5,200-5,800rpm
最大トルクエンジン:36.3kgf・m/5,100rpm
モーター:30.6kgf・m
エンジン:22.5kgf・m/3,800-5,400rpm
モーター:30.6kgf・m
35.7kgf・m/1,650-4,400rpm
車重1,860-1,900kg1,730-1,890kg1,690-1,730kg
全長×全幅×全高4,910×1,800×1,455(1,465)mm
最低地上高130mm130/135mm130mm
駆動方式FRFR/4WDFR

※直列4、V型6気筒、DOHCエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。

BMW 直4エンジン直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!フェアレディZ V6 エンジンV6エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!エンジンDOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!

走行性能の評価

まず気になるのは「雪の上を進むことができるのか?」ということ。

路面が凍結しているときは発進が困難ですし、轍(わだち)が酷いときは足をとられてしまいます。

積雪が多いときは、雪に埋もれて動けなくなることだって…。ただ走るだけでも、雪道にはさまざまな障害があるのです…。

雪道でも安全に走れる車とは、どんな能力が求められるのでしょうか? チェックポイントとして、以下3点を挙げてみました。

  • 駆動方式
  • 最低地上高の高さ
  • トルクの大きさ

雪道を楽に走れる「最低地上高」は、一般的に「150mm」以上といわれています。クラウンはセダンとして標準的な高さですが、雪道を走るには少し注意がいりますね。

この1点を除けば、走行性能に関しては問題ありません。

まず「駆動方式」ですが、雪道においては当然4WDが有利です。クラウンはFRベースであるものの、電子制御によって前後のトルク配分を適切にコントロールするので、雪の上でも安心して走ることができます。

次に「トルク性能」ですが、雪道では低速からトルクが出せると有利。これはアイスバーンよりも、積雪路で効果を発揮します。

クラウンは、モーターによって低速域からトルクを発揮できるので、積雪路でもバッチリです。

ただし、スタック(雪にハマること)したとき、モーターが駆動しないケースがあるので、雪から抜け出す際は骨が折れるかも…。

念のため、「牽引ロープ」「スコップ」「スタックラダー」などを準備しておきましょう。

まとめると、障害物などに注意は必要ですが、パワーと駆動が効くので、クラウンは雪の上でもしっかり走れる車といえます。

コーナリング性能の評価

クラウン 運転

雪道では「コーナリング性能」も大切です。

北海道の峠道なんかでは、路肩に突っ込んでいる事故現場をたびたび目にしますよね。1箇所のコーナーで、軽自動車が4、5台横転している状況も珍しくありません…。

クラウンは安定して曲がれる車なのでしょうか?この2点を評価してみましょう。

  • 車重の軽さ
  • 重心の低さ

コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。

このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。

ようするに、車体がコーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。コンパクトカーと大型SUVとでは、重量がぜんぜん違いますよね?

しかし、雪道のコーナーでは単純に「重ければ有利」とはいえません。摩擦が極端に少ないため、コーナリングフォースがグリップを超えやすいんです。

簡単にいえば、重いほどスリップしやすいということ。

注意

クラウンは1.8tという立派なボディですから、コーナーではかなり不利といえますね。軽量モデルと同じ感覚で走ったら、スリップは免れないでしょう。

ただし、コーナーにおいては重心が低いほうが横転はしにくいです。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが利きませんからね。背が高くて足が弱い車は、峠のコーナーは要注意ですよ。

その点、クラウンは重心が低いので、横転の心配はなさそうです。

したがって、重量があるので少しアンダーステア(ふくらむ)気味になり、コーナーで安心な車とはいえませんね。ですが、スピードを抑えれば曲がれる車なので、丁寧に走れば大丈夫でしょう。

なお実際のコーナリングの感じは以下の試乗記事でも解説しているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。

クラウン フロントから新型クラウン(ハイブリッド/ターボ)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!

ブレーキ性能の評価

「雪道においてもっとも不安なことは?」

こう聞くと、ほとんどの人が「ブレーキ性能」と答えるでしょう。発進の失敗などと違って、命の危険がありますからね。実際、雪国の事故の内訳は、ほとんどがスリップによるものですからね…。

ブレーキシステムの制動力や、タイヤの性能も重要ではありますが、ブレーキ性能を考える際はここもチェックしておきたいです。

  • 車重の軽さ
  • 駆動方式

通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。

なんとなく、重い車のほうが止まりにくい気がしますよね?たしかに重い物を静止させるには、大きなエネルギーを必要とします。

しかし、大きな荷重が加わる分、タイヤのグリップ力も増えるんです。重い車はタイヤサイズが大きいですし、そもそもブレーキシステムが強力だったりしますしね。

つまり、車重はブレーキの制動距離に対して、大きく影響していないということ。

これに関しては、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」からも判断することができます。

参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報

しかし、これはあくまでもドライ路面における話。雪が積もった道路では適用されません…。

コーナリングの話と同じ理屈で、雪の上では推進力がグリップを超えやすいんです。


少し長い話になりましたが、ようするに「軽い車のほうが止まりやすい」ということ。上級セダンゆえブレーキシステムは優れていますが、雪の上ではなかなか止まれないでしょう…。

ですが4WDということで、2WDよりもエンジンブレーキの効きが優れています。FFやFRのエンジンブレーキは2輪だけが制動するので、雪上ではスリップする恐れがありますからね。

したがって、クラウンは制動距離に少し不安があるので、ブレーキでちょっと注意が必要です。

エンジンブレーキは比較的効きます。停車前は慎重に減速して、スリップの危険をできるだけ減らしましょう。

MEMO

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クラウンでの雪道走行での評価

クラウンの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?Twitterから感想をいくつかピックアップしてみました。

4WDモデルの「Four」は90年代から用意されていたものの、雪道に対する信頼度は高くありませんでした。

そのため、クラウンといえば「雪が降ったら乗れない車」という認識があたりまえでした…。

ところが、最近のクラウンは4WDにも力が入れられているんです。2014年からハイブリッドモデルにも4WDグレードが設定され始め、雪道を走るCMが当時話題を呼びました。

冬に怖いのは積雪だけではありません。その後の雨や風で、路面が凍結することがもっとも怖いんです。そのため、雪国を走るクラウンはほとんどが4WDです。

たとえば、パトカーに採用される車両なんかがそうですね。セダンタイプで見かけるのはクラウンやレガシィが多いですが、採用されるのはもちろん4WDモデル。(レガシィの雪道性能は以下の記事をご参照ください。)

スバル レガシィB4レガシィB4は雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!

雪国のパトカーとしても使われるということは、裏を返せば、それだけ「雪道性能が信頼されている」ということ。雪道に強い車でないと、警察官も仕事になりません。

なかにはFRのクラウンに乗る人もいますが、もちろん雪道では苦戦します。

エンジン・ボディが同じでも、駆動方式が異なるだけで、ここまで性能に差が出るんです。やはり雪国においては、4WDが必須条件といえるでしょう。

クラウンの雪道性能をほかの車と比較

ここで気になるのは、「ライバル車と比較すると、どうなのか?」ということ。

というわけで、同クラスのモデルと雪道性能を具体的に比べてみましょう。今回、比較対象に選んだのは日産「フーガ」、メルセデス・ベンツ「Cクラス」の2台です。

価格も載せておきましたので、よかったら参考にしてみてください。ちなみに、クラウンは3.5Lハイブリッドで623~719万円、2.5Lハイブリッドで498~632万円、2.0Lガソリンターボで460~560万円となっています。

日産 フーガ

日産 フーガ

日産から販売される「フーガ」は、クラウンとよく比較されるモデルのひとつですね。

販売価格は470~601万円となっており、クラウンとちょうど同価格帯です。4WDで駆動する「370GT FOUR」と雪道性能を比較してみましょう。

項目諸元
種類3.7L ガソリン
排気量3,696cc
最高出力333PS/7,000rpm
最大トルク37.0kgf・m/5,200rpm
車重1,800kg
全長×全幅×全高4,980×1,845×1,515mm
最低地上高145mm
駆動方式4WD

まず4WD機構についてですが、どちらも評判は上々のようで、ここでは差は感じられませんね。両車とも、なかなか好評です。

次に、最低地上高を見比べてみましょう。これは1.5cm車高が高いフーガのほうが、雪道では有利に働きますね。わずかな差ですが、フーガは車体下へのダメージが少なく済みそう。

最後に車重ですが、これはほとんど同じくらいですね。強いて言うなら、エンジンが重いフーガのほがフロントヘビーということ。

つまり、発進ならフロントヘビーでトルクが大きいフーガ、コーナーやブレーキでは前後重量で優れるクラウンが強いということになりますね。

雪道性能に関しては、ほとんど同レベルですが、安全性を求めるならクラウンの方が優れているでしょう。発進性能や安定性で見るなら、フーガという選択もアリですね。

メルセデス・ベンツ Cクラス

メルセデス・ベンツ Cクラス

ドイツ御三家のなかでも格式高いメルセデス・ベンツ。クラウンと車格が近いのは、小型セダンモデルの「Cクラス」ですね。

排気量が一回り小さいものの、販売価格は530~720万円ということで、クラウンよりも若干高額な設定です。

4WDモデルの「4MATICアバンギャルド」と雪道性能について比較してみます。

項目諸元
種類2.0L ガソリン
排気量1,991cc
最高出力184PS/5,500rpm
最大トルク30.6kgf・m/1,200-4,000rpm
車重1,570kg
全長×全幅×全高4,715×1,810×1,445mm
最低地上高120mm
駆動方式4WD

まず駆動方式ですが、フーガ同様、Cクラスも評判はなかなかです。さすがは、世界のベンツといったところ。

次に最低地上高ですが、Cクラスはドイツ車らしくかなり低いです。

ドイツ御三家のセダンモデルは、みな120cm程度と車高が低く、走行性能にスポーティさを感じます。ゆえに、雪道では少し気を使うかもしれません…。

いっぽうで、排気量の関係からか、車重に関してはクラウンよりも200kgほど軽いため、コーナーやブレーキではCクラスのほうがよさそう。

したがって、若干気を使う必要はありますが、Cクラスのほうが雪道では安定して走れるということですね。

ベンツの価格については以下の記事で詳細に取り上げているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。

ベンツ AMG GTベンツは新車/中古でいくらで買えるか?全車種の価格を車検費用とともに解説!

クラウンは雪道を十分走れる買いの車

というわけで、クラウンの雪道走行についての解説は以上になります。

まとめると、『FRベースの上級セダンではあるが、ハードな雪道でなければ十分走れる車』といった感じですね。

実際、北海道でもタクシーとして走っていますしね。冬に乗る車としてはベストな選択とは言い切れませんが、日常レベルの雪道なら問題なく走れるので、選択肢としてはアリではないでしょうか。

クラウンについては以下の記事でも取り上げているので、購入を考えている方はこちらも参考にしてみてください。購入の参考になりますよ。

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