三菱 パジェロは日本を代表するクロカンSUVの一車種で、昔から男性を中心に高級車としても愛されてきた車です。
そんなパジェロですが、故障しやすいのかどうかについてはあまり話に上らないのですが、いざ購入しようと考えると気になりますよね。
今回はパジェロの故障率についてご説明します。
パジェロの故障率
パジェロは1982年からモデルが続く車種で、三菱自動車では自社生産のセダンの高級車が絶えて久しいので、現在国内ではパジェロがフラッグシップモデルという位置付けになっています。(一時期OEM車のプラウディアは存在)
当初はオフロード走行に焦点を当てた車であり、耐久性の高いラダーフレーム式のクロスカントリーSUVでした。
しかし次第に高級車としてのクオリティや乗り心地なども重視されるようになり、3代目からはラダーフレームとモノコックボディを融合した「ラダーフレーム・ビルトイン・モノコックボディ」となってより乗用車としての快適性があがりました。
現行車は4代目ですが、モデルは2006年から継続しているのですでに12年が経過した車種となっており、かなり熟成された車となっています。
しかし2018年2月には2つあるモデルのうち5人乗りの「ショートボディ」は生産終了となり、現在は7人乗りの「ロングボディ」のみ生産が続いています。
ではそんなパジェロの故障率をデータをもとに確認してみることにしましょう。
三菱の信頼性はそこそこのランク
パジェロだけではありませんが、車種ごとの故障率のデータというものはメーカーの最重要秘匿情報となっており、私たち一般人では見ることはおろか調べることもできません。
そこで参考にできるのがメーカーとは独自に車の信頼性調査を行っている民間調査会社のデータであり、こちらであれば長年公開されていて見ることができます。
そのなかのひとつに米国J.D.パワー社が調査している「自動車耐久品質調査」があり、この調査では実際の自動車のユーザーから聞き取り調査したデータをもとにメーカーごとの信頼性ランキングとなっています。
日本市場での最新データは2017年版ですので、パジェロ単体のデータではありませんがこのデータを参考に三菱の信頼性の高さをみてみましょう。
2017年 日本自動車耐久品質調査
ランキング | メーカー | スコア |
1 | トヨタ | 59 |
2 | レクサス | 63 |
3 | ホンダ | 74 |
業界平均 | 74 | |
4 | メルセデス・ ベンツ | 75 |
5 | スズキ | 79 |
6 | 三菱 | 80 |
6 | 日産 | 80 |
8 | ダイハツ | 82 |
8 | スバル | 82 |
10 | MINI | 88 |
11 | マツダ | 93 |
このランキングで三菱自動車は6位にランクインしており、日産自動車と同率でした。
トップは日本最大のメーカートヨタで、故障の少なさを表すスコアも59ポイントと低いのですが、三菱はそれに比べれば故障の多いメーカーということになります。
しかし3位のホンダから三菱までは6ポイント差しかないことから、日本車メーカーの信頼性としては三菱は中堅どころといえるでしょう。
メーカーごとの故障率については、以下の記事で詳しく解説しています。こちらもあわせて参考にしてみてください。
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!日産車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ホンダは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!現行パジェロの不具合は出尽くしている
現行車と呼ばれる車たちはもっとも最新の車であると同時に、初期不良も出やすい車といえます。
初期不良は設計時に潰し込めなかった不具合のことであり、それは生産中もだんだん改良されて信頼性は少しずつ上がっていくものなのです。
その点パジェロは登場から12年経過していることもあり、初期不良はすべて出尽くしているといえますし、改良もほぼ終了しているでしょう。
また10年以上経過しているということは部品の経年劣化による不具合についてもいろいろ出てきているので、そちらについての改良も可能な限り完了しています。
部品の経年劣化によるトラブルは乗り続けていれば必ず起こるものですが、それ以外で設計による問題点についてはパジェロはかなりの信頼性を獲得してきている車なのです。
中古のパジェロの故障しやすさ
パジェロは中古車でもかなりの台数が残っている車であり、初代から数えると結構古い車もあります。
オフロード車なので主要な部分の耐久性は高くなっており、基本的に中古車であってもメンテナンスをしっかり行えば乗り続けることのできる車です。
現行のパジェロにしても初期型は年式10年を越える車となっており、中古車の判断基準のひとつである年式10年以内、もしくは走行距離100,000km以内のボーダーラインにかかる車も増えてきています。(走行距離の寿命の詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!このボーダーラインはやはり部品の経年劣化がこのぐらいで起こりやすくなるという目安であり、古い車はそれなりにトラブルが増えてきているということです。
ただし部品交換で対応できるトラブルがほとんどで、まだ生産も続いていることから部品はしっかり残っているので安心です。
それより以前の世代のパジェロについては確実に10年以上経過しているので故障はやはり多くなっていると言えますので、維持費がかかる傾向にあることは覚えておきましょう。
あとは基本的に中古車の選び方の一般的なポイントを抑えておけば、過度に心配する必要はありません。中古車の一般的な選び方が分からない方は、こちらの記事もご覧ください。
初心者が絶対意識すべき中古車の選び方の5つのポイント・コツ!パジェロオーナーの評判
パジェロの故障に関する実態がTwitterには多数投稿されており、なかなか参考になりますので3件ほどご紹介しましょう。
パジェロは12年故障なし
僕のパジェロは、既に12年半経過していますが、一度の故障もありません。その間にセカンドカーのドイツ車は何台もダウンしてます。 / コスパ最高? 10年間以上所有され続ける車種トップ10 (ライフハッカー…https://t.co/3XrNGWbIw6 #NewsPicks
— 安東泰志 (@nhcjpn) December 23, 2016
この方のパジェロは12年乗り続けていらっしゃるにも関わらず故障はなかったとのことです。
たぶんメンテナンスや部品の定期交換などをしっかり行われた結果だと思いますが、基本的な耐久性は高いのがパジェロです。
ターボのトラブルにはご用心
@OGK517LnP そうだな、ターボはエンジンオイルで潤滑しているんだけど、故障してオイルが燃焼室に回ってしまうから煙がモクモクになるんだよ。そのタービン(ターボ)を交換するのに、車種によってだけど、パジェロあたりで10数万円かかる😫
— Masahiro (@cw40pd6t) April 7, 2016
パジェロのディーゼルエンジンには長年ターボエンジンが採用されてきましたが、ターボ付きのエンジンはオイル交換を短いインターバルでしっかりかえておかないと、タービンブローからの廃車となる可能性があります。(エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!この方のパジェロもタービンブローで廃車されたことがあるそうですが、もしターボ交換だけで対処できるなら100,000円程度の修理費用ですむようです。
ディーゼルエンジンは交換部品が高い
故障診断の結果、インジェクション周りが逝きそうとのこと。修理費約33万円(30万越キタ━(゚∀゚)━!
確か・・・V46Wパジェロの時も12万Km越えてから高圧ポンプと低圧ポンプ両方交換したっけな。
恐るべしM菱タイマー((( ;゚Д゚)))ガクガクブルブル
— kiki (@kiki_saru2go) July 24, 2016
この方のパジェロはディーゼルエンジン仕様のようで燃料系統の部品の故障で交換されたようです。
しかしディーゼルエンジンの部品、とくに燃料系は部品代が非常に高額で、長年乗っていると維持費がかかる部位です。
ディーゼルエンジンはオフロードを走るパジェロにはもってこいのエンジンですが、中古で購入するときには維持費のことも考えておかないと思わぬ高額出費が起こります。
もしパジェロの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!パジェロの故障事例
パジェロの故障事例の多くはエンジンとくにディーゼルエンジン系統にありますので、それに関するものをいくつかご紹介します。
またパワーステアリングのポンプも案外故障しやすい部位ですので合わせてご紹介します。
ディーゼルエンジンは負荷の大きいエンジン
パジェロにはガソリンエンジンもありますが、圧倒的に人気なのはトルクフルでSUVらしい走りの味わえるディーゼルエンジンです。
現在のディーゼルエンジンはクリーンディーゼルエンジンと呼ばれるもので、一昔前までの黒煙を吐くような環境に悪いエンジンではなく、黒煙など出ない環境性能を追求したエンジンに進化しています。
しかしそれを実現するためにはガソリンエンジン以上に複雑な機構が必要となっており、古くなってくるといろいろなトラブルが出てくるのです。
高圧燃料系統のトラブル
パジェロのディーゼルエンジンで起こりやすいトラブルの最たるものは高圧燃料系の部品です。
クリーンディーゼルエンジンでは燃料である軽油の噴射制御が何より大事で、それを実現するために20気圧もの高圧で燃料を噴射するシステムとなっています。
これほどの高圧に耐えるためにディーゼルエンジンの燃料系統は非常に頑丈に設計されているのですが、経年劣化が進むとさすがにトラブルが増えてきます。
この高圧を作り出しているのはディーゼルエンジン専用の高圧燃料ポンプでエンジンの動力で稼働しているのですが、20気圧もの圧力を産み出すポンプですので故障も多い部品です。
ポンプ内部のインペラ部分や動力を取り出すギア部分などが破損したりするのですが、修理には高圧燃料ポンプ自体の交換が必要です。
かなり大きな部品ですので費用は100,000円〜200,000円ぐらいは必要となります。
また他にも高圧燃料をエンジン内部に噴射するインジェクターも比較的故障しやすく、こちらはインジェクター自体の破損や電子部品の故障などで稼働しなくなります。
パジェロのディーゼルエンジンは4気筒なので各気筒に一つづつインジェクターがありますが、どこかひとつだけ故障しても警告灯がつくので一ヶ所だけなら数万円の修理費用となります。
しかし一本インジェクターが故障すると残りの3本も遅かれ早かれ故障する可能性が高いので、基本は4本全部の交換を推奨されています。
しかし費用的には100,000円以上の費用となってしまうので、高額修理となるのは確実です。
ディーゼルエンジンの燃料系統は非常に重要なシステムで複雑なのですが、年式が増えたり走行距離が多くなってくるとどうしても故障が増えますので維持費はある段階で一気にあがってしまうのです。
ディーゼルエンジンについては以下の記事でさらに詳しく解説しています。あわせて参考にしてみてください。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い3つ!比較すると熱効率や寿命が全然違う?!ターボの焼き付き
これは前述のツイートにあったトラブルですが、ディーゼルエンジンには付き物のターボチャージャーの焼き付きによるトラブルがおこることがあります。
ターボは排気ガスのエネルギーを使って吸気を圧縮するシステムの部品で、ディーゼルエンジンのパワー不足を補ったりするのには必須となっています。
しかし排気ガスが常に流れているので非常に高温になる部品ですので、タービンの回転部分は焼き付かないように潤滑と冷却が非常に重要な部品となっています。
潤滑と冷却はエンジンオイルを流して循環させることで行っていますので、エンジンオイルの量が減ったり古くなって粘度が高くなったりすると、ターボの冷却がうまくいかなくなって焼き付いてしまい、ターボはおしゃかになってしまうのです。
こうなるとターボの交換が必要となっていき、100,000円以上の修理費の必要な高額修理部品となります。
また焼き付いた結果タービンブレードなどが破損してその破片がエキゾースト部品を破損させる2次被害も起こりうる可能性があり、そうなるともっと高額修理になります。
ターボの破損を防ぐためにはとにかくエンジンオイルの交換をしっかり行うことで、メーカーでも推奨されているように5,000kmごとのエンジンオイル交換が重要です。
気になるのであればもっと短いインターバルで交換してもとくに悪いことはありません。
エンジンオイルの交換については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。
ターボ車のエンジンオイルの交換時期は?おすすめのオイルはこれ!DPFのフィルター詰まり
クリーンディーゼルエンジンには欠かせない排気系のデバイスにDPF(Diesel Particulate Filter)がありますが、このフィルターがつまるトラブルが起こります。
DPFはディーゼルエンジンの黒煙の原因である粒状黒鉛(PM)を捕集して車の外に排出しないようにするシステムで、PMをフィルターで集めておいてある程度たまったところで燃焼させて処理する部品です。
通常の走行状態であればエンジンがPMの溜まり具合を自動的に判断して処理を行うのですが、PMの発生しやすい運転条件が続いてしまうとフィルターにPMが貯まりすぎることもあります。
ストップアンドゴーの多い走り方や、一回十分程度の走行を続ける、長い渋滞につかまるなどの状態だとPMはフィルターに多くたまります。
この状態が続くと警告灯が点灯してDPFのPMをディーラーなどで処理してもらう必要があり、そのままでは走行できなくなってしまいます。
PMの処理にはDPFをはずして内部を洗浄する必要があり、数万円程度の整備費用です。
部品交換の必要はあまりありませんが、DPFが破損している場合もありますのでその場合は100,000円以上の交換費用が発生します。
クリーンディーゼルエンジンにはDPFは必須の部品で故障すると黒い煙を吐き続ける車となってしまいます。
それをできるだけふせぐためには車の走らせ方をディーゼルエンジンにあったものにすることがよいでしょう。
パワステポンプの故障
パジェロの経年劣化による故障が起こりやすい箇所のひとつにパワーステアリングのポンプがあり、これが故障すると走行中であろうと突然ハンドルが重たくなります。
パワーステアリングはその名のとおりハンドルの補助をするための油圧装置で、車重の重たいパジェロでは必須の装備と言えます。
しかし走行距離が100,000kmぐらいまで増えてくるとパワステに油圧を供給しているパワステポンプなどにトラブルが増えてくる傾向にあり、負荷の大きい部品ですのでトラブルの発生確率は高い部品となっています。
修理にはパワステポンプの交換が必要ですが、これも結構大きな部品で100,000円近い修理費用のかかるものとなっています。
しかしパワステなしでは現在の車はどれもまともに走らせることなんて不可能ですので、故障したらすぐに修理が必要です。
また故障すると自走してディーラーなどに持ち込むことはできないので、引き取り二期てもらわなければならないでしょう。
パワステポンプの故障は長く乗り続けているとどうしても出やすくなる故障ですので、ある意味仕方ないともいえます。
パジェロは買っても大丈夫か?
パジェロは主要部品が非常に頑丈で、車の状態がよいときには大きな故障はほとんどない安心できる車です。
電気系統など細かい部分は弱いところもありますが、メンテナンス次第で長く乗り続けられる車なのは間違いありません。
しかし経年劣化が進んでくるとディーゼルエンジンなどで高額修理が発生することがありますので、中古車を選ぶときには見極めが重要となる車でしょう。
これからパジェロを買おうと思っている方は、以下の記事もぜひあわせてご覧ください。購入の参考になりますよ。
パジェロ(パジェロロング)がキャンプに最適な理由4つパジェロミニの走破性を徹底解剖!オフロード・クロカン性能はいかに?!