スーパーカーの独特なシルエットは、男なら一度は憧れますよね?
大排気量エンジンをミッドシップにレイアウトしたスタイリング、高回転まで一気に吹け上るサウンドが印象的。
これに近い雰囲気を楽しめるとしてニースが高まっているのが、ホンダの販売する軽オープンスポーツ「S660」です。
通勤からクルージング、そしてサーキット走行まで幅広く楽しめるモデルとして、その走行性能には注目が集まっています。
今回はこのS660について、加速性能という点について詳しく解説していきたいと思います。
エンジン性能や0-100km/h加速タイムを元に、ライバル車とも比較してみましたので、ぜひ参考にしてみてください。
S660の加速性能
小型エンジンをミッドシップにレイアウトすることで、走行性能にこだわり抜かれたS660。
軽自動車でありながら、その動きは格上のスポーツカーにも劣りません。そして加速性能も、軽自動車としてはトップクラスの水準に達しているんですよ。
というわけで、まずはこちらの諸元表をご覧いただきましょう。
項目 | 諸元 | |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC12バルブターボ | 水冷直列3気筒DOHC12バルブターボ |
排気量 | 658cc | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,000rpm | 64PS/6,000rpm |
最大トルク | 10kgf・m/2,600rpm | 10kgf・m/2,600rpm |
車両重量 | 830kg | 830kg |
PWR | 12.97kg/PS | 12.97kg/PS |
TWR | 83kg/kgf・m | 78.3kg/kgf・m |
0-100km/h | 11.3秒 | 9.8秒 |
※水冷、直列3気筒、DOHC、エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
水冷エンジンのメリット5つ!バイクだけでなく車にも搭載されてる?!直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!補足させていただくと、「エンジン種類~車重」の項目は公式カタログから引用し、「PWR・TWR」は平均重量から算出しました。「0-100km/h加速」のタイムは、オーナーさんの口コミを元にしています。
0-100km/h加速タイムをチェック
はじめに0-100km/h加速のタイムに注目してみたいと思います。S660にはCVTと6MTの2種類が用意されていますが、それぞれの加速タイムは「11.3秒」「9.8秒」となっていますね。
似たようなエンジン性能でも、回転を引っ張れる6MTのほうが加速性能は当然上手です。
このタイムですが、軽自動車としてはかなり速い水準なんですよね。なにせ、10秒を切る軽自動車というのはなかなかありませんから。1.5~2.0Lクラスの乗用車と同等の加速性能と考えても遜色ないです。
ピンとこない方のため、こちらに加速性能が高い軽自動車を一覧にしてみました。よかったら参考までにご覧ください。
車種 | 0-100km/h加速タイム |
ハスラー | 12秒 |
N-ONE | 12秒前半 |
ワゴンR スティングレー | 12秒前半 |
N-BOX | 13秒 |
タント | 13秒前半 |
デイズ ルークス | 14秒 |
エンジンの性能をチェック
それでは性能的な部分を見ていきたいと思います。S660といえば、「ビート」のレイアウトを受け継いだミッドシップカーとしてお馴染みですが、積んでいるエンジンはどれだけの性能を秘めているのでしょうか。
高回転ながら低回転域のトルクも確保
S660のエンジンはビートやS2000と同様で、最大許容回転数が7,000rpmとなっており、いうまでもなく「高回転型」です。
NAモデルゆえ仕方ありませんが、ビートやS2000では「低回転域のトルクが細い」ということが度々指摘されていました。
NAエンジン(自然吸気エンジン)とは?メリット5つ!音が最強の魅力?!ところがターボを搭載したS660は、「10.6kgf・m」というトルクを発揮するんです。それも2,600rpmという低回転域で使えるので、従来の高回転エンジンよりも骨太な印象を受けます。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!ビートのトルク性能は「6.1kgf・m/7,000rpm」、S2000の場合は「22.5kgf・m/6,500-7,500rpm」でしたから、性質がまったく異なることが一目瞭然。元ビートオ―ナーだった方々は、S660への乗り換えで一様に驚いていますね。
5,000rpmシフトがポテンシャルを引き出せる
ここで気になるのは、「高回転域ではトルク不足になってしまうのでないか?」ということ。いくら7,000rpmまで回せるとはいっても、上の領域でパワー不足に陥るのはもったいないですよね。
そこで、S660のエンジン性能曲線をチェックしてみたところ、たしかに5,000rpmからトルクが落ち込む仕様になっているようです。
ですが、7,000rpm時でも7kgf・m弱のトルクを発揮できるようなので、ビートよりもパワフルであることがわかりました。
よって、レブリミットまで回してもビートよりは速いと思われますが、5,000rpmでシフトすることがもっとも性能を引き出せる走り方となるでしょう。やはり加速を楽しむなら、CVTではなく6MTの選択がマストですね。
ボディの性能をチェック
エンジン性能がわかったところで、続いてボディのつくりにも目を通していきましょう。
S660といえば、「軽量性&旋回性」というイメージがありますから、ここに着目してみたいと思います。
軽自動車としてもトップクラスの軽量性
車重830kgのS660は、もちろん軽自動車としても軽い部類に入ります。エンジン性能も優秀なわけですから、トップクラスの加速を発揮するのもうなずけますよね。
これについては、「PWR(パワーウェイトレシオ)」「TWR(トルクウェイトレシオ)」という指標からも見て取れます。
PWR・TWRとは出力・トルクに対するボディ重量を示すもので、「数字が小さいほど加速が速い」と考えるとわかりやすいでしょう。瞬間的な加速力は、とくにTWRが優れているほど強力になります。
S660は「12.9kg/PS」「78.3kg/kgf・m」という数値ですね。排気量やエンジン出力が限られる軽自動車としては、これは極めて優秀なスペックで、実際に乗ってみると想像以上の加速感を感じるはずです。
さきほどの軽モデルのPWR・TWRを一覧にしてみたので、確かめてみてください。
車種 | PWR | TWR |
ハスラー | 13.59[kg/PS] | 89.69[kg/kgf・m] |
N-ONE | 16.15[kg/PS] | 85.84[kg/kgf・m] |
ワゴンR スティングレー | 13.28[kg/PS] | 85.0[kg/kgf・m] |
N-BOX | 15.63[kg/PS] | 94.34[kg/kgf・m] |
タント | 14.84[kg/PS] | 101.1[kg/kgf・m] |
デイズ ルークス | 14.84[kg/PS] | 95.0[kg/kgf・m] |
ミッドシップによる優れた走行性能
S660といえば、国産車でもレアな「MR」であることが特徴的ですよね。エンジンを座席後ろに配した「ミッドシップレイアウト」が優れた重量配分を生むことで、リアタイヤが強くグリップできるほか、スムーズな旋回を可能にします。
またMRに加えて、自動ブレーキによりハンドリングを支援する「アジャイルハンドリングシステム」が搭載されているため、旋回中の挙動が非常に安定しているんです。ライントレースが容易なので、コーナーでも気持ちよく加速できますよ。
MRは悪路でスピンしやすいことが難点ですが、加速性能を含め、トータルの走行性能が軽自動車とは思えないレベルに仕上げられています。
もしS660を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!S660の実際の加速感
数字だけではいまいちピンと来ないと思うので、TwitterやYouTubeも参考にしてみましょう。オーナーさんの投稿をいくつかピックアップしてみたので、実際の加速感をご覧ください。
Twitterでも高評価な意見が多数
ホンダ #S660 試乗インプレです。「ず~っと乗っていたい!」「法定速度内でも楽しすぎる!」「わざと赤信号に引っ掛かって発進加速したくなる!」「エンジンやMTのフィールは、まるでNSXみたい!」 #tein #honda pic.twitter.com/XH47fCsqz8
— TEIN, inc. 株式会社テイン (@TEIN_INC) 2015年4月14日
「ずっと乗っていたい」「法定速度でも楽しい」これはスポーツ色を旨とする車として、最大の賛辞ですよね。
S660はスペックに見られる数値よりも、こういった体感的な部分が魅力的です。まさしく「人馬一体の走り」を実現した一台といえるでしょう。
1週間ぶりにエスロクに乗って
代車の軽で本当に物足りなくストレスがすごく溜まってた事もあってか
改めて軽に思えない車だなと思った
アクセルを踏んだ時の加速感
ブレーキの効きやコーナーを曲がる楽しさ
不満も確かにあるけど
やっぱりエスロクが良いと改めて思えた事がすごく嬉しい— 3代目RAATA σσ¬ (@raata_S660) 2017年11月4日
こちらの投稿者さんは、代車からS660に戻ったときに加速感を強く実感したようです。普通車ならまだしも、借りたのが軽自動車ならなおさらそう感じますよね。
出力やトルク性能は他の軽自動車とそう大差ありませんが、リニアなレスポンスやスポーツ仕様の足回りのおかげで、実際に運転してみると軽自動車とは思えません。
軽とは思えない外装、内装、コーナリング、加速性能、6速MT、タイヤはネオバ。しっかりスポーツカーしてます!走りの楽しさを感じる車なので興味ある人もない人も是非一度試乗してみてほしいです。 #S660 #愛車紹介 pic.twitter.com/bAqb9sAyy0
— おつぽん@車系YouTuber🚘 (@otupon1) 2016年3月25日
S660はエクステリア・インテリアの仕上がりも高く評価されています。小柄ながら、洗練されたシャープなデザインは、さながら「NSXのコンパクト版」。ミッドシップレイアウトによって、外観だけでなく、走りもプレミアムスポーツカーを思わせます。
こちらのオーナーさんも、「車に興味のない人も、ぜひ一度試乗してほしい」と太鼓判を押していますね。
なおNSXについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ホンダNSXの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?You Tubeで加速感をチェック
それでは、S660の加速の一部始終を、実際にご覧いただきたいと思います。6MTとCVTの2種類を用意したので、ぜひチェックしてみてください。
まずは、6MTモデルの加速をメーター撮影した動画です。動画開始50秒ほどから0-100km/h加速が始まります。計測したところ、タイムは「9.82秒」という結果になりました。
高回転型ということですが、低~中速域の加速が非常にスピーディですよね。ターボを搭載することで、ビートより低回転域のトルクがアップしているため、元ビートオーナーさんは驚くと思いますよ。
こちらはCVTモデルの加速動画になります。6MTと同じく、メーター撮影で0-100km/h加速を計測していますね。
0-100km/hのタイムは「11.39秒」という結果になりました。やはり6MTに比べると、時間がかかっています。トランスミッションひとつで、ここまで性能が変わるのですね。
S660の加速性能を他の車と比較
加速感についてご覧いただいたところで、続きましてライバルと呼ばれる国産車と、その実力を比較してみたいと思います。
今回比較してみるのは同クラスのダイハツ「コペン」、スズキ「アルト ワークス」、格上ですが同じくオープンスポーツのマツダ「ロードスター」の3台です。
0-100km/h加速のタイムや、TWRなどに注目しながらご覧ください。
ダイハツ コペン
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC12バルブICターボ |
排気量 | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,400rpm |
最大トルク | 9.4kgf・m/3,200rpm |
車両重量 | 870kg |
PWR | 13.59kg/PS |
TWR | 92.55kg/kgf・m |
0-100km/h | 13秒 |
レイアウトがFFではあるものの、「軽スポーツ」「オープンカー」「ターボモデル」と、非常に近い性質をもつ「コペン」は、S660の最大のライバル車といえるでしょう。
ところが、0-100km/h加速タイムで見比べると、S660のほうが圧倒的に速いんですよね。むしろ、コペンは軽自動車のなかでも特別速いわけではありません。というわけで加速性能については、S660のほうが上回っていると考えられるでしょう。
その要因は、トルク性能にあると考えられます。同じターボモデルでも「9.4kgf・m/3,200rpm」と、数値が低く、発揮する回転領域も上です。これでは発進で出遅れますよね。
なおコペンについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
コペンの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?コペンは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しましたスズキ アルト ワークス
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC12バルブICターボ |
排気量 | 658cc |
最高出力 | 64PS/6,000rpm |
最大トルク | 10.3kgf・m/3,000rpm |
車両重量 | 670kg |
PWR | 10.47kg/PS |
TWR | 65.05kg/kgf・m |
0-100km/h | 10.33秒 |
続いて比較するのは、スズキの軽スポーツモデル「アルトワークス」です。車雑誌でも、走行性能に関してたびたびコラムが組まれている人気モデル。加速性能については、軽スポーツのなかでS660と双璧をなす存在といえます。
まず、0-100km/h加速を見てみると、わずかにS660のほうが上回っているように見えますが、ほぼ同等の数値です。
「アルトワークスのほうが速い」とういう意見する方もいくるくらいなので、わずかにアルトワークスのほうが上手かもしれません。
その要因は、アルトワークス最大の武器「軽量性」にあります。エンジン性能に関してはどちらも同じくらいですが、ボディは200kg近くアルトワークスのほうが軽いですよね。670kgという軽自動車でもトップクラスの軽さを誇ります。
よって、タイムは同じくらいですが、直線的な加速についてはアルトワークスのほうが有利といえるでしょう。コーナーなども含めた、総合的な走行性能は、ミッドシップのS660のほうが有利といえます。
マツダ ロードスター
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 132PS/7,000rpm |
最大トルク | 15.5kgf・m/4,500rpm |
車両重量 | 990kg |
PWR | 7.5kg/PS |
TWR | 63.87kg/kgf・m |
0-100km/h | 6.94秒 |
最後に比較するのは、マツダのコンパクトスポーツ「ロードスター」です。コンパクトとはいっても、S660より格上の「1.5L」。ですが、同じく後輪駆動のオープンスポーツということで、ぜひ比較してみたいところ。
0-100km/h加速ですが、やはりロードスターのほうがずっと速いですね。タイムにして3秒近い差があるため、直線的な加速はロードスターが圧倒的に上といえます。
これは、PWR・TWRで見るととても顕著に表れていますよ。S660は「12.97kg/PS、78.3kg/kgf・m」に対して、ロードスターは「7.5kg/PS、63.87kg/kgf・m」という数値で、かなりの差があります。低速域でもそうですが、とく中~高速域にかけての加速に大きな差があるでしょう。
なおロードスターについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
ロードスターの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?ロードスターを買って後悔している人はいるか?実態を調査してみた!S660は軽自動でトップクラスの加速性能
というわけで、S660の加速性能についての解説は以上になります。
色々な角度から見てみましたが、S660の加速性能の高さは疑う余地がありませんね。軽自動車であるにもかかわらず、ミドルクラスのファミリーカーと同等の加速性能といっても過言ではありません。
ロードスターなど、さすがに1.5L以上の格上モデルと比べると、劣ってしまいますが、十分優れたモデルといえるでしょう。
なお加速性能については以下の記事で別の車種を取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
S2000の加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?シビック タイプRの加速性能を解説!0-100km/h加速タイムはどのくらい?