プリウスよりも一回り大柄なボディが使いやすい「プリウスα」。
ハイブリッドのワゴンとして人気ですが、意外にもラインナップはFFだけなんですよね。
FF車について気になることといえば、「雪が降ったとき対応できるの?」ということ。
最近では、都心でもいきなり雪が降ったりしますから、ぜひとも知っておきたいポイントです。
というわけで今回は、プリウスαの雪道走行について、さまざまな角度から徹底分析してみました。
ライバル車とも比較してみたので、購入について悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
プリウスαは雪道での走行はどうなのか
単刀直入にいうと、「プリウスαは雪道に強い車」とはいえません。やはりラインナップがFFモデルだけなのが大きな要因ですね。
ただし、「強い車」とまではいえませんが、あまりハードな状況でなければ走ることは十分可能です。こちら、公式ページから引用した諸元表になります。
項目 | 諸元 |
種類 | 直列4気筒+モーター |
排気量 | 1,797cc |
最高出力 | エンジン:99PS/5,200rpm モーター:82PS |
最大トルク | エンジン:14.5kgf・m/4,000rpm モーター:21.1kgf・m |
車重 | 1,450-1,480kg |
全長×全幅×全高 | 4,645×1,775×1,575mm |
最低地上高 | 145mm |
駆動方式 | FF |
※直列4気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!この諸元表を元にして、雪道に対するプリウスαの「発進」「安定」「コーナリング」「ブレーキ」という4つの性能を評価していきたいと思います。
発進性能の評価
雪国でよく見る光景といえば、「信号発進でなかなか進めない状況」ではないでしょうか?
交差点はアイスバーンになりやすいため、スリップポイントの一つですよね。他にも登坂や駐車場など、発進しにくい場所は日常のいたる所に潜んでいます。
発進に求められる性能にはこんなものがあります。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- 車重の重さ
- トルクの大きさ
これら4点の中で、プリウスαは「駆動方式」について不利です。
先ほど触れたとおり、ラインナップがFFだけですからね。真冬の雨やアイスバーンにおいて、発進に不便さを感じることが多いでしょう。
ただし、ほかの3点については悪くありません。
雪道では最低地上高150mmが「楽に走れるライン」といわれているので、145mmのプリウスαは及第点といったところ。車体が低いと腹下が接触してしまうので、発進が難しくなります。
「車重」については、ある程度の車重があったほうが発進やすくなります。タイヤに荷重がかかる分だけグリップ力が上がりますからね。プリウスαは標準的な車重なので大丈夫でしょう。
最後に「トルク性能」について。プリウスαは、モーターによって「20kgf・m」のトルクを発揮できるため、雪でもしっかり進めます。
ただし、スタックしたときにモーターが回らないケースがあるので、ここは注意が必要です。
まとめると、「深い積雪」「雨天時」「アイスバーン」には要注意ですが、よほど酷い状況でなければ問題なく発進できるでしょう。
安定性能の評価
雪道での巡航では、普通の路面よりも気を遣うポイントが多いです。轍(わだち)や雪の塊、横滑りなど、数々の弊害がある中で「安定性を保てるか?」も重要なポイント。
「安定性能」には発進性能と同じく、この4点が求められます。
- 駆動方式
- 最低地上高の高さ
- 車重の重さ
- トルクの大きさ
FFであることが弱点といえますが、安定性能に関してはそれほど問題はありませんね。
プリウスαには「横滑り防止機能」が標準装備されているので、「ABS(ブレーキのロックを防ぐ)」と「TRC(空転を防ぐ)」を併用して、スリップを防いでくれます。
まとめると、発進さえできれば、雪道でも安定感を保って巡航できるかと思います。
コーナリング性能の評価
コーナーでの旋回性能も非常に重要です。路肩に突っ込んでいる事故現場を、たびたび目にしますよね。こうはなりたくありません…
コーナーリング性能には、このような要件が求められます。
- 車重の軽さ
- 重心の低さ
コーナリングでも4WDが有利な気がしますが、実際にはそう大差ありません。
このように感じるのは、強くて重いボディを持つ四駆車のほうが、路面を強くグリップできるため。コーナリングフォース(遠心力)に負けないからなのです。
しかし、摩擦が極端に減る雪道では、軽いボデイのほうが有利とされています。プリウスαはというと、標準的な重量なので問題ありませんね。
また、コーナーにおいては重心が低いほうが安心です。重心が高いと、コーナー旋回中に踏ん張りが利かず、横転してしまうことがあります。真冬の峠道では、軽自動車の横転事故が多いですよね。
重心の正確な高さは特定できませんが、全高・最低地上高などから、「プリウスαの重心は特別高くない」と判断できます。
したがって、コーナリング性能についても、それほど問題ないと考えられます。速度に気を付ければ安定して走れる車といえるでしょう。
ブレーキ性能の評価
最後に解説するのが「ブレーキ性能」。雪道性能において、もっとも重要なポイントです。冬の事故といえば、原因のほとんどがスリップですからね。
ブレーキシステムの制動力も重要ですが、ブレーキ性能には以下のようなものも関連しています。
- 駆動方式
- 車重の軽さ
通常、車重と制動距離の間には大きな差がありません。これは、国土交通省が実施した「ブレーキ性能試験」から判断することができます。
ようするに、「重い車は止まりにくいものの、タイヤのグリップも効きやすい」ということですね。
参考 ブレーキ性能試験結果一覧自動車総合安全情報しかし、雪の上においては、重い車のほうが制動距離が長くなる傾向にあります。極端に摩擦が少ないので、通常の路面とはブレーキの効き方が異なるのです。
標準的な重量のプリウスαなら、その点は心配いりませんね。
「ブレーキと駆動方式は関係ないでしょ?」
たしかに、フットブレーキとは直接関係ありません。ブレーキは4輪すべて制動するので、FFも4WDも同じこと。
ですが雪の路面では、ブレーキングポイント前にあらかじめ減速しておくことが肝心なのです。そういった意味では、エンジン出力をより伝達できる4WDがベストな選択といえます。
まとめると、FFのプリウスαはブレーキ性能において少し不安がありますね。雪道で運転するのであれば、常に注意が必要です。
もしプリウスαを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!プリウスαでの雪道走行での評価は?
各シチュエーションごとに評価してみましたが、総合的に見て「FFであることが弱点」といえますね。これを除けば、当たり障りのないボディ形状なので、比較的優秀な部類なのですが…。
プリウスαの雪道走行については、みなさんどう思っているのでしょうか?
雪道経験のある方々の感想をいくつかピックアップしてみました。
プリウスα冬道不安だから悩むなー
— かずきち (@Egoist_envy) 2015年8月28日
今日は駐車場でスタックしていたプリウスαを救助しました。FF車で前向きにあの雪の中に突っ込んじゃあダメでしょ(^_^;)
— ゆたた (@yqp00162) 2017年12月17日
駐車場でスタック…よくある光景ですよね…。FFのファミリーカーや軽自動車によく見られます。
降雪量が多い日は、短時間の駐車で車が埋もれてしまうケースもしばしば。プリウスαのみならず、FF車は注意が必要です。
「牽引ロープ」「スコップ」「スタックラダー」などを備えておきましょう。
雪道でノーマルFFプリウスαはやめましょう。ゆっくりいったのに止まらなくて次の角で曲がりました。
— S.KOIKE (@RX400h_No77) 2016年1月29日
交差点直前はブレーキングによって踏み固められるので、アイスバーンが形成されやすいポイント。停車時はもちろん、右左折時にもスリップする恐れがあります。
交差点に近づいたらアクセルオフで減速しますが、FF車は4WDほどスピードを殺せません。なのでスーッと流れて、止まれないことも多々ありますね。
そんなときは焦らず対応しましょう。
俺の前に強引に割り込もうとしたプリウスαが雪で滑ってそのまま俺の前を横切って田んぼに落ちたの最高に笑った
— ARG@ラーメン禁 (@ARG_SKP) 2016年1月24日
安定性は悪くないプリウスαですが、雪道で強引に車線変更をしたら、簡単にスリップしてしまいます。けっして雪道に強い車ではありませんからね…。
プリウスα以外にもいえることですが、先進技術を過信せず、丁寧に運転することが大切です。
プリウスαの雪道性能をほかの車と比較
ここで気になるのは、「同クラスで比較すると、どうなのか?」ということ。各メーカーのライバル車の性能を、プリウスαと比べてみましょう。
今回比較対象に選んだのはホンダ「ジェイド ハイブリッド」、日産「ノート e-power」、スバル「レヴォーグ」の3台です。
ホンダ ジェイド HYBRID
ホンダのステーションワゴンで現在人気なのが「ジェイド」です。ハイブリッドモデルもラインナップしており、プリウスαにとっては最大のライバル車でしょう。
雪道での走行性能について、さっそく比較してみたいと思います。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列4気筒DOHC16バルブ+モーター |
排気量 | 1,496cc |
最高出力 | 131PS/6,600rpm 29.5PS |
最大トルク | 15.8kgf・m/4,600rpm 16.3kgf・m |
車重 | 1,530kg |
全長×全幅×全高 | 4,660×1,775×1,540mm |
最低地上高 | 140mm |
駆動方式 | FF |
※直列4気筒、DOHCエンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!DOHCエンジンとは?仕組み/構造は?ツインカムとの違いとは?!ジェイドも駆動方式がFFのみですが、トルク性能・最低地上高・車重に差があるため、「発進性能」「安定性能」「ブレーキ性能」はプリウスαのほうが上でしょう。
総合的に考えるとプリウスαのほうが雪道には強いですね。
日産 ノート e-power
日産でライバルになりうるのは、「ノート」でしょう。まずは、諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水冷直列3気筒DOHC+モーター |
排気量 | 1,198cc |
最高出力 | ガソリン:9PS/6,000rpm モーター:109PS |
最大トルク | ガソリン:10.8kgf・m/4,400rpm モーター:25.9kgf・m |
車重 | 1,300kg |
全長×全幅×全高 | 4,130×1,695×1,525mm |
最低地上高 | 130mm |
駆動方式 | FF/パートタイム4WD |
※直列3気筒エンジンの詳細は以下の記事をご参照ください。
直列3気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!ノートはFFモデルの他に、FFベースのパートタイム4WDをラインナップしています。ゆえに、雪道ではノートのほうが使えるでしょう。
他の部分について見ても、トルクが大きくボディも軽量であることから、プリウスαよりも雪道に適しています。強いて言うなら、ノートはセダン並みの車高が気になりますね。
スバル レヴォーグ 2.0Lモデル
スバルで比較するなら、「レヴォーグ」が代表格でしょう。1.6Lと2.0Lの2種のモデルを構えますが、今回は価格の近い2.0Lを選びました。
まずは、諸元をご覧ください。
項目 | 諸元 |
種類 | 水平対向4気筒DOHC16バルブターボ |
排気量 | 1,998cc |
最高出力 | 300PS/5,600rpm |
最大トルク | 40.8kgf・m/2,000-4,800rpm |
車重 | 1,540-1,570kg |
全長×全幅×全高 | 4,690×1,780×1,500mm |
最低地上高 | 140mm |
駆動方式 | フルタイム4WD |
※水平対向4気筒の詳細は以下の記事をご参照ください。
水平対向4気筒エンジンの特徴!どんな音?搭載車を日本車/外車の車種からそれぞれ紹介!スバルの真骨頂といえば、お馴染みの「フルタイム4WD」ですね。機械的機構により、全輪が常時駆動するので、雪道では最強のステーションワゴンといえます。
車高が気になるものの、強大なトルクと低重心によって、雪道での信頼度はかなり高いです。今回比較した4車種のなかでは、最も雪道に強いモデルでしょう。
レヴォーグの雪道性能については以下の記事でも詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
レヴォーグは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!プリウスαは雪道走行する車としては買いか?
というわけで、プリウスαの雪道走行についての解説は以上になります。
まとめると、「簡単な雪なら走れるけど、しっかり雪が降ったときは外出しないほうがいい車」ということですね。
不安はありますが、北海道でも走っているのを見かけますし、性能的に走れないことはありません。しかし、できるだけ使用頻度を抑えたほうがいいでしょう。
したがって、冬に乗る車として選ぶなら「ベストな選択」とは言い難いですね…。
プリウスαについては以下の記事でも取り上げているので、興味のある方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プリウスαは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!プリウスαはスライドドアがついてる?今後つく予定は?