ジープという社名は同社が最初期に生産していた軍用4WD車の愛称が発祥。ジープは同時に車名も表しています。現在ではジープは社名のみでモデルはそれぞれ固有の名称を持っています。
もともとが頑丈で耐久性のある軍用車を開発していたこともあり、ジープのオフロードでの走破性は最高クラスの性能。
また軍用ジープから続く武骨で力強いデザインもかなり人気が高く、男性だけでなく女性にもジープを愛好している人はたくさんいます。
とくに最近はアウトドアブームの人気でジープも台数が増えており、街中でも結構見かけるようになりましたね。
輸入車は故障しやすいイメージがあったりしますが、そんな人気のジープは故障しやすいのでしょうか? この記事ではジープの故障率について解説していきます。
なお以下の記事では、ジープの個別の車種ごとに解説しています。すでに車種に目星がついてる方はこちらを参考にしてみてください。
グランドチェロキーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ラングラーは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!ジープは頑丈だが故障率は高め
早速ジープの故障率を見ていきましょう。
ジープの故障率
車の故障率というものはどこのメーカーでも社外秘のデータとなっており、ネットでメーカーの故障率を調べても見つかるものではありません。
しかしメーカー以外の民間調査会社や保険会社などが独自の調査をいくつも行っており、その中に故障率や信頼性の調査がありますのでこれが参考になります。
ジープはアメリカのメーカーですので、アメリカの調査会社であるJ.D.パワー社が発表している自動車耐久品質調査を見てみましょう。
この調査では各国市場での実際のオーナーたちから故障件数を聞き取りしてメーカーごとのランキングとしており、新車購入から3年~5年の間に故障が少ないメーカー、多いメーカーがわかります。
今回は米国市場での調査結果を見ていますが、日本市場ではジープは販売台数が少なくて対象外となっているためです。
ランキング | メーカー | スコア |
1 | レクサス | 99 |
2 | ポルシェ | 100 |
3 | ビュイック | 116 |
4 | インフィニティ | 120 |
5 | キア | 122 |
6 | シボレー | 124 |
6 | ヒュンダイ | 124 |
8 | BMW | 127 |
8 | トヨタ | 127 |
10 | リンカーン | 133 |
10 | 日産 | 133 |
業界平均 | 142 | |
28 | ジープ | 188 |
参考:J.D. Power 2018 U.S. Vehicle Dependability Study
米国市場での調査は総勢31メーカーでのランキングですが、ジープはワースト4の28位。故障は比較的多いメーカーだということがわかります。
上位勢には日本メーカー、韓国メーカーなど信頼性に定評のあるメーカーに加えて、近年信頼性の増してきた米国メーカーもいくつか含まれていますが、ジープはそれと比べるとかなり低い位置です。
また故障の少なさを表すスコアも上位勢は100ポイント前後ですが、ジープは約2倍に近い188もあり、上位勢の1.5倍~2.0倍の故障率となっています。
前年度の調査でもジープはワースト2でしたので、慢性的に故障率は高いのです。
なお日本メーカーの故障率は以下の記事でも解説しているので、興味のある方はこちらも目を通してみてください。
トヨタは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!日産車は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!しかし耐久性もあって頑丈なジープがどうして故障が多いのでしょうか?
車の耐久性と故障率は違う
ジープはオフロードをしっかり走るために、
- 頑丈なラダーフレーム
- 走破性の高いサスペンション構造
- しっかりしたトルクを発生させるエンジン
- 4WDシステム
などが大きな特徴です。
これらのお陰で岩場や森林、雪道などを走れる性能があり、また多少の破損があっても走行できる冗長性もあわせもっています。
しかし普通自動車より耐久性の高いジープですが、車の故障率というのはそれとは別の設計用件。
一時の負荷が高い状況よりも、長距離、または長期間で故障しない設計や、材料選定が重要となるのです。
その点は日本メーカーが得意としている面で、世界的にも高温多湿で過酷な環境である日本で耐えうる車を作ってきた経験によるといえるでしょう。
ジープも車の頑丈さでは素晴らしいものがあるものの、耐久性、信頼性の面では決して優れているわけではないのです。
中古のジープの故障しやすさ
ジープは日本での年間の販売台数が10,000台に満たないのですが、根強い人気とアメ車らしいデザインから中古車市場でも結構みかけるようになりました。
ジープはモデルによっては値崩れしにくいことでも有名な車で、輸入車にありがちな買取価格の大幅な低下が起きにくいメーカーです。
しかし中古車の故障に関しては走行距離の多さ、年式の古さによってトラブルが増えていき、おおよそ走行距離50,000kmを超えた車は買取価格がガクッと下がる傾向にあります。(走行距離の寿命の詳細は以下の記事をご参照ください。)
中古車は走行距離が何万キロまで安心して乗れる?答えはこれだ!そういうジープを手にいれると購入時は安くてよかったものの、のちほど修理に多額の費用がかかる可能性も出てきます。
ジープの状態のよい車は中古車市場でもひっぱりだこですが、そこから外れたようなある種お買い得な中古車には注意が必要でしょう。
ジープオーナーの故障に対する評判
ジープの故障については実際に所有しているオーナーさんの評判を聞くのがもっとも参考になります。
Twitterにそういったオーナーさんの意見がいくつも投稿されていますので、参考に何件かご紹介しましょう。
ジープは維持費に泣く
車検が17万とか以前に、昔JEEPチョロQ乗ってた時は普通に故障頻発で修理代に15万とか30万とかで泣いてた記憶ある
— めたるか (@METALLUCA666) January 31, 2018
この方はジープのたぶんチェロキーに乗られていたんだと思いますが、故障が頻発し費用も高くて大変な思いをされたようですね。
輸入車は車検代などが高いことで有名ですが、それ以外にも修理やメンテナンスには国産車の倍以上の費用がかかることも珍しくありません。
それでいて部品の取り寄せに時間がかかったりとなにかと維持が大変なのです。
佐藤茂道(著者)
それでも乗り続けたいと思わせる魅力がジープにはありますが、中古の軽自動車が買えるほどの修理費はちょっと考えちゃいますよね。
中古でも故障続発
8月末まで乗ってたジープKJチェロキーレネゲード。5年落ち中古を5年間乗ってたけど、故障が多くて泣く泣く手放した。ジープラングラーTJ改造の軍用車、AILストーム MK. 2っぼくて好き。売ったの惜しいわー。 pic.twitter.com/bh3AYtIlUD
— イキリ・アヒル (@67MajorMinor) January 26, 2017
この方は中古でジープを購入されたようですが、あまりの故障の多さに手放さざるを得なくなったそうです。
5年落ちということは年間走行距離が10,000kmと考えると、50,000kmに近かったのかもしれませんね。
国産車は70,000km~100,000kmまでノートラブルということも珍しくありませんが、輸入車は50,000kmが故障が増えてくるひとつの節目のようです。
ジープ以外の輸入車の故障については、以下の記事でも書いています。興味があればこちらもご覧ください。
壊れやすい?ベンツは故障が多いのか故障率の実態とは?!フォルクスワーゲンは故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!3ヶ月で手放すことに
知り合いがラングラーのジープ買った。
三ヶ月ほどで電子制御系があぼーん。クレーム不可で修理費30万。
速攻手放した。
電気系の故障が一番嫌い。
機械としての愛が一気に醒める。
だそう。ちなみにミニクーパー(旧)の
エンジン自力で載せ替える人です。— うおくい (@UOKUI) March 17, 2017
ご友人がジープ ラングラーを買った直後に電気系等のトラブルで修理が必要となり手放されたそうです。
新車か中古車かはわかりませんが、電気系等は輸入車の泣き所とはいえ、3ヶ月は早すぎますね。
一見質実剛健そうなジープでも最近は電子制御系の部品が非常に多くなり、その面でのトラブルが増加しています。
国産車ではかなり走行距離が延びてからでなくてはこういったトラブルは起きにくいのですが、日本の環境になれていない車だと電子部品は弱いです。
もしジープの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
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ジープの故障事例と修理費用
ジープの故障事例は調べるといろいろ出てくるのですが、やはり電気系等の故障が多く見られます。
ただ電気系等といってもさまざまな部位があるのですが、その中からいくつかご紹介します。また電気系等以外に発生しやすい故障もご紹介しましょう。
突然のバッテリー上がり
バッテリーの劣化自体は故障ではなくメンテナンスの範疇なのですが、ジープでは結構突然にバッテリー寿命がくる事例があります。昨日までエンジンがかかっていたのに次の日にはバッテリーが上がっている事例もあるのです。
バッテリーは3年ごとぐらいに交換が必要なのですが、その間に充電と放電の連続で少しずつ劣化が進みます。
劣化が進んでいくとバッテリー電圧が下がって交換時期がわかるのですが、たいていは定期メンテナンスの際にチェックにひっかかるものです。
国産車では劣化してから交換までそれなりに期間があるのですが、ジープは電力消費が多いのかはわかりませんが、急にバッテリー上がりまでいってしまうようですね。
バッテリーは輸入車の純正バッテリーだと50,000円以上かかることもあるのですが、基本的にバッテリーは容量とサイズがあっていれば純正品を使う必要はありません。
自動車用品店などで手にはいるバッテリーで大丈夫です。ジープは結構大きなバッテリーですが、50,000円までかかることはないでしょう。
とはいえバッテリー上がりした際には他の車の助けがなくては自走できなくなってしまうので、車にはブースターケーブルを積んでおくのがよいでしょう。
またガソリンスタンドなどで積極的にバッテリーのチェックをしてもらって、バッテリー劣化を早めに発見するようにしましょう。
電気系等部品の故障
何度か話題に上がっている電気系等の故障はいろいろな部品に電子制御が組み込まれていることからトラブルの箇所が多いものです。
電気系等の故障でよくあるのはオルタネータの故障ですが、これについては比較的故障の発生率は多くなく、走行距離が50,000km~70,000kmぐらいまでは持つようです。
しかし前日リコールが発生したことからもトラブルが少ないとは言いがたいでしょう。
またエアコン関連のトラブルも多く、
- エアコンコンプレッサーの故障
- ブロア系の故障
- エアコン冷媒漏れ
などさまざまな部位に故障が発生します。
修理費用はそれぞれですが、100,000円前後は覚悟しておかなければなりません。
そのほかに例をあげると、
- カーナビ故障
- センサー故障
- 各種スイッチ類の故障
など、さまざまな部品に故障の事例があります。すべてがすべて起こるわけではありませんが、ある日突然機能が使えなくなることも珍しいことではありません。
修理費用も部位ごとにさまざまなのですが、国産車の故障よりは高額であり倍ぐらい維持費がかかるのがジープです。
ブレーキ系統の不具合多数
ジープのブレーキにはいろいろと不具合事例が多く、決して車が止まらないというわけではないのですが、細かい不具合が多発します。
ブレーキの不安が多い
よく不具合としてあげられているのはブレーキを踏んだときにハンドルが振動するという不具合。車は制動するものの不安が多いというものです。
これはブレーキマスターシリンダの動きが悪くなったり、ブレーキパッドの接触などいろいろな要因があるようです。
佐藤茂道(著者)
一概に故障とは言えないのですが、ブレーキで不安があるのは怖いものですね。
ディーラー等で点検修理してもらえば直ることは多いです。
ほかにはブレーキの鳴きがひどいという不具合もあり、ジープ レネゲイドでよく聞かれる不具合です。
これはどうもこの車種固有の設計的な問題があるようで、ディーラーで購入する際にブレーキ鳴きがある車だと説明されることもあるようです。
ブレーキパッドに面取りをするとよくなることもあるようですが、根本的な改善方法はないようですね。
ABSの不具合
またABSの警告灯が点灯することも多いようで、点灯したからといってブレーキが効かなくなるわけではないのですが、センサーの不具合などでABSは働かないようです。
これはABSの部品交換で済むことが多くそこまで費用はかかりません。
ただABSユニット全体の交換となると100,000円以上かかる高額修理となります。
ジープのブレーキは車の制動はしっかりできるものの、細かい部分で不具合が多く不安が付きまといます。
国産車であればこういった細かい不具合はかなり解消されているのですが、ジープの作り込みが甘い点といえるでしょう。
ジープラングラーは雨漏りする
これはラングラーに限った話ですが、雨漏りの事例もあります。特に何もしなくても雨漏りする事例もあるくらいなので、故障とは違うかもしれません。
ただこれから購入を考えている方は十分に注意しましょう。雨漏りについては詳細は以下の記事で解説しています。詳しく知りたい方は下記の記事をご覧ください。
ラングラーは雨漏りするかオーナーの声を調査!対策はないのか?!ジープは買っても大丈夫か?
ジープのオフロード性能は素晴らしく、またデザインも以下の記事でも書いていますが、日本車にはない独特の力強さがあって魅力に溢れた車です。
【画像】ジープはかっこいいのか?デザインについて徹底分析!アウトドアなどではジープのスタイルは非常にマッチして、素晴らしい満足感を得られるのは間違いないでしょう。またオフロード走行もできる車としてさまざまな場所に車で行けるのもよい点。
しかしそういった車としての魅力が多い反面で、故障は多く維持費は多くかかりがちになります。
ジープは輸入車としては購入しやすい価格帯なのでステップアップとして購入する場合も多いのですが、どうしても維持費には目がいかないことがあります。
佐藤茂道(著者)
購入する際にはしっかり維持費については覚悟しておかなくてはなりませんよ。
また新車であれば比較的トラブルも少ないものの中古車ともなれば故障の頻度は上がります。
ジープの中古車を買おうという際には走行距離や年式を気を付けるのはもちろん、購入後に何かしらトラブルが発生するのを見越して修理費を貯めておくのが懸命ですね。
ジープについては以下の記事もございますので、ジープに興味がある方はぜひ一緒にご覧ください。
ラングラーがキャンプに最適な理由7つジープはどこの国の車?国産車との違いはこの3つだ!