トヨタが販売する主力車種である中型ミニバン3兄弟。
その中で高級部門を担当しているのがエスクァイアです。
高級感のあるエクステリアとインテリアが特徴のエスクァイアは、ノア・ヴォクシーより上級で3ナンバーの車のようなイメージがあります。
しかし実際には街なかを走っているエスクァイアは5ナンバーの車を多く見ます。
そのなかに稀に3ナンバーのエスクァイアがいたりします。
5ナンバーと3ナンバーのエスクワイアは一体何が違うのでしょうか。
それはエスクァイアの構造と持ち主の3ナンバーへのこだわりがちがったのです。
エスクァイアは基本は5ナンバー
エスクァイアはその上級なイメージから3ナンバーではないのかと思われがちですが、結論からお話するとエスクァイアは5ナンバーの車なのです。
これは5ナンバーサイズである以下の2つの条件を満たしているからなのです。
車両のサイズが5ナンバー枠で収まっている
エスクァイアを始め、同サイズのノア・ヴォクシーの一般グレードは基本的には5ナンバーサイズで収まっています。(ノア、ヴォクシーの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ノアの3ナンバーと5ナンバーの違いとは。どっちにすればいい?ヴォクシーの5ナンバーと3ナンバーの違い!税金の事情まで詳しく解説!5ナンバーのサイズとは小型自動車枠であり、車幅1,700mm以下、全長4,700mm以下、全高2,000mm以下という基準があります。
それらをひとつでも超えると3ナンバーとなり普通乗用車ということになります。
近年はやっている小型SUVのC-HRなどは、コンパクトなサイズに見えますが全幅が1,795mmと5ナンバー枠の1,700mmを大きく超えているため3ナンバーなのです。(C-HRの詳細は以下の記事をご参照ください。)
C-HR(ターボ/ハイブリッド)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!ちなみにエスクァイアは小型ミニバンという性質上、車内が大きく広いのを売りにするために全幅1,695mm、全高1,825mm、全長4,695mmとなっており、小型車の枠のなかで、精一杯広げたサイズとなっています。
排気量が2000cc以下
実は排気量にも決まりがあります。小型車である5ナンバーの排気量は、ガソリン車の場合2,000cc以下でなくてはなりません。
エスクァイアのガソリン車は1,986ccと小型車枠の限界まで排気量があり、ハイブリッドは1,797ccとちょっと抑えめになっています。そのため5ナンバーに収まる仕様になっています。
そのためちょっと特殊な例えですが、日産のNV350キャラバンワゴンは全幅1,695mm、全長4,695mm、全高1,990mmという小型車枠に入りますが、排気量が2,488ccのガソリン車のため3ナンバーの車となります。
ちなみにディーゼル車の場合は、この排気量制限はありません。(ディーゼルの詳細は以下の記事をご参照ください。)
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い3つ!比較すると熱効率や寿命が全然違う?!つまりナンバーの違いは高級感や走行性能といった分類ではなく、サイズや排気量で決まっているのです。
上記2つの条件で小型枠に収まっているためエスクァイアは5ナンバーの車種となります。
エスクァイアの3ナンバーが作られない理由
兄弟車のノア・ヴォクシーはエスクァイアとまったく同じサイズのミニバンなのに3ナンバーのグレードがあります。
なぜエスクァイアにはそのような設定はないのでしょうか?
そこにはトヨタのイメージ戦略と、併売車種との差別化、販売戦略がありました。
もともとの5ナンバーで高級感を出す
トヨタのミニバン3兄弟は基本設計が5ナンバーの車です。しかしノア・ヴォクシーはけっこう息の長い車種で、幅広い年齢層から支持のある車です。(ヴォクシーがどんな車かは以下の記事で紹介しています。)
ヴォクシーの試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!そのため、落ち着いたスタイルから迫力のあるエアロスタイルまで幅広い人気があり、3ナンバーのミニバンというイメージをもつひとも多いと思います。
そんななかエスクァイアは比較的最近発売された車種です。メーカーとしては、もともとの5ナンバーのサイズで落ち着いた高級感のあるミニバンを作りたいというトヨタ独自の考えがあったのです。
そのためにもエスクァイアは5ナンバーの高級ミニバンというイメージを作らなくてはいけませんでした。
しかしエアロパーツをつけることで、どうしても迫力という面が出てしまい、高級で落ち着いた雰囲気が少なからずなくなってしまいます。
もちろん迫力が悪いわけではなく、エアロが欲しかったり他のエスクァイアユーザーと差別化したい場合は専用のスポイラーが設定されているため、それをつけることで自分好みの車に仕上げることができるようになっています。
販売会社の他車の存在
エスクァイアが販売されているトヨタのチャンネルにはトヨタ・トヨペット店があります。(トヨペットをご存知でない方は、以下の記事もご参照ください。)
トヨタと「ネッツ」「トヨペット」「カローラ」の違いとは?わかりやすく解説!そこには現在すでに廃盤となっているアイシスという車高の低いミニバンがありました。アイシスは当時すでにモデル末期であったためにトヨタはアイシスユーザーの代替需要をエスクァイアに取り込もうとしていました。
そのためにはアイシスユーザーにとって3ナンバーサイズの車は、大きく乗りにくいというイメージが多く有るため、エスクァイアに3ナンバーのイメージを付けてしまうと代替需要を呼び込むのが難しくなります。そのため5ナンバー仕様で売り出したのです。
その他にもエスティマユーザーからのダウンサイジングの代替えにも対応するためにも5ナンバーというイメージは必須であったと思われます。
上級車との差別化
昔は3ナンバーの車には高級車が多かったり税金が高いなど、高級なイメージがありました。
それが税制が変わりコンパクトな3ナンバーの車種が増えた現在でも、そういうイメージをもっている人が多くいます。
エスクァイアの販売会社にはエスクァイアの上級ミニバンであるアルファード/ヴェルファイアがあります。(ヴェルファイアがどんな車かは以下の記事で紹介しています。)
ヴェルファイアの試乗レビュー・感想!乗り心地はいかに?!エスクァイアが3ナンバーなってしまうことで、3ナンバー=上級車と思っている人たちのアルファード/ヴェルファイアのイメージが下がってしまいます。
それを避けるためにも明確な差別化をつけるために、小型で5ナンバーのエスクァイアと上級で3ナンバーのアルファード/ヴェルファイアという売り分けをしているのではないかとわたしは考えています。
しっかりとイメージを作り上げて販売戦略を展開していくところが、さすがは販売のトヨタといえるところでしょう。
今後の展開
ノア・ヴォクシーは販売車種の中にエアロタイプがついた3ナンバーのグレードがあります。
これらも最初のうちは通常グレードにスポイラーを後付する仕組みから始まり、結果的に通常販売のラインナップに加わりました。
そのため今後の販売の展開次第では、それと同様にエアロタイプの3ナンバーの迫力のあるエスクァイアが販売される可能性はあります。
もしエスクァイアの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!エスクァイアの5ナンバーと3ナンバーの違い
ここまでエスクァイアは5ナンバーの車だという説明をしてきました。
しかし街なかを見てみると稀に3ナンバーのエスクァイアが走っていたりします。なにがちがうのでしょうか?
実はエスクァイアは新車登録時に3ナンバー登録することも可能なのです。
ノア・ヴォクシーとの違い
新車を陸運局に登録するときにはメーカーから出ている書類をもとにナンバー登録を行い、車の持ち込みを免除されています。
ノア・ヴォクシーのエアロタイプはメーカー出荷時からエアロスタイルで配車されているので、そのサイズでナンバー登録が行われます。
その場合書類上もエアロの分サイズが大きくなり全長が4,715mm、全幅が1,730mmとなるため3ナンバー登録になります。
しかし5ナンバーサイズのモデルしかないエスクァイアはエアロパーツをつけたとしても、書類上は5ナンバーで登録してからエアロの取り付けになるためサイズ変更をなさない限りそのままでいきます。
そのため、中古車を買う場合などエアロパーツがついているエスクァイアを購入した場合は、登録の際に陸運局に持ち込みとなり3ナンバーへの変更が必要になる場合があります。
持ち込み登録
先程持ち込みした場合3ナンバーになるとの話しをしましたが、エスクァイアはエアロパーツをつけてからナンバーの登録をすると実は3ナンバーサイズになってしまいます。
一般的な車の場合、オーバーフェンダーなど片側10mmまでの追加は見逃してもらえます。
しかしエスクァイアのエアロは、サイドスカートの装着により両端で30mmほど出てしまう大きさであり、その他にもフロントスポイラーなども5ナンバーギリギリで設計されているため、装着すると5ナンバーサイズをオーバーしてしまいます。
持ち込み登録をした場合はほぼ、3ナンバーに構造変更という形になります。
それを利用して3ナンバーにこだわっているエスクァイアユーザーは、新車発注の際にフルエアロを装着し、持ち込み登録を頼むことによって3ナンバーのエスクァイアを作っているわけです。
車検時の問題
ここで一つの問題があります。それに気づいた方は車に詳しい方だと思います。
持ち込み登録で構造変更が可能だということをご説明しましたが、ということは5ナンバー登録の状態でエアロを付けて行動を走行した場合、違法改造になってしまうのではないでしょうか?
これはかなり黒に近いグレーです。こればかりは試してみないとわかりませんが、基本的にはエスクァイアはエアロが付いた時点で5ナンバーサイズをオーバーしてしまうため、構造変更が必要になる場合が多いです。
エスクァイアはエアロを付けることで5ナンバー枠を超えてしまうため、その状態で陸運局への持ち込み登録を行うことで3ナンバーにすることができたのです。
これがエスクァイアの3ナンバーと5ナンバーとの違いでした。
3ナンバー登録による問題
3ナンバー5ナンバーの違いはわかりましたが、実は3ナンバーにするには2つの問題点があります。
それは大切な自動車保険と購入時の費用でした。
任意保険上の問題
自動車の任意保険は事故が起こった場合に賠償をしてくれる保険です。その仕組み上構造変更されている車はどうしても改造車とみなされやすく、通常通りの保険に加入させてくれない場合があります。
エスクァイアもエアロの装着によって構造変更がなされた場合、改造車とみなされてしまい任意保険の加入が難しくなる事例が実際に出ています。
もし3ナンバーのエスクァイアにしたいと思っている場合は、保険会社にも相談の上構造変更をなされたほうが良いでしょう。
別途持ち込み費用がかかることも
新車登録をする際にはディーラーは書類だけでナンバー登録をすることが可能だというお話をしました。
しかし3ナンバー登録をする際には陸運局に持ち込んで登録する必要があるため、ディーラーによっては別途費用がかかってくる可能性があります。
エスクァイアを3ナンバー登録したい方は、商談の際にしっかり確認しておく必要があります。
3ナンバーのエスクァイアは高級感にこだわりのある証拠
エスクァイアは基本的には小型サイズの高級5ナンバーミニバンです。
しかし新車時にエアロを付けて持ち込み登録をすることで3ナンバーのミニバンにすることができます。
3ナンバーにすることで特別感を出すこともできますし、自分の満足感を満たすこともできるでしょう。
その際には事前に任意保険や登録費用など、しっかりと確認しておいてください。
なおほかのトヨタのミニバンについては以下の記事でも取り上げています。興味のある方はこちらもご参照ください。
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