クラウンといえば、「いつかはクラウン」のキャッチフレーズを連想します。エントリーグレードでも新車価格は約400万円。まさに高級セダンの代名詞ともいえるクルマです。
エンジンも燃費よりパワーといった特性。オーナーに「高級車に乗っている」満足感を与えることに重きを置いて設計されています。
そんな高級セダンのクラウン。使用するガソリンは当然ハイオクかと思いきや、実はレギュラー仕様のグレードも存在します。
この記事ではハイオク仕様とレギュラー仕様のグレードの違いについて、詳しく解説していこうと思います。
※クラウンを高級車として書きましたが、本当に高級車かどうかという議論は以下の記事でしています。興味があればこちらもご覧ください。
クラウンは高級車じゃない?大衆車?世間のイメージを元に解説!クラウンのハイオク仕様は3.5Lと2.0Lターボのみ
クラウンのハイオク仕様は現行型も一世代前のモデルも、3.5Lと2.0Lターボのみとなっています。
2018年発売新型クラウンの仕様
新型クラウンではグレードごとに以下の表の通りの使用燃料となっています。
グレード | 使用燃料 | ||
2.0L ターボガソリン車 | 2WD | B | ハイオク |
S | |||
S“C package” | |||
G | |||
RS-B | |||
RS | |||
RS Advance | |||
2.5L ハイブリッド車 | 4WD | S Four | レギュラー |
S Four“C package” | |||
G Four | |||
G-Executive Four | |||
RS Four | |||
RS Advance Four | |||
2.5L ハイブリッド車 | 2WD | S | レギュラー |
S“C package” | |||
G | |||
RS | |||
RS Advance | |||
3.5L ハイブリッド車 | 2WD | S | ハイオク |
G-Executive | |||
RS Advance |
冒頭で説明した通り2.5Lエンジンは全てレギュラー仕様となり、それ以外の2.0L ターボガソリン車と3.5L ハイブリッド車がハイオク仕様となっています。
14代目クラウンの仕様
まだそれなりに需要のある一世代前の14代目のクラウンについても、参考としてガソリン仕様を解説していきます。
14代目のクラウンは現行型のクラウンと異なり、以下の3種類の名称があります。
- マジェスタ
- アスリート
- ロイヤル
この三車種があるので、車種別に、さらにグレード別に使用するガソリンをご紹介していきます。一目で比較できるように一覧表にまとめたのでご覧ください。
グレード名 | マジェスタ | アスリート | ロイヤル |
3.5Lガソリン | 無 | ハイオク | 無 |
3.5Lハイブリッド | ハイオク | 無 | |
2.5Lハイブリッド | レギュラー | ||
2.5Lガソリン | 無 | レギュラー | |
2.0Lガソリン+ターボ | 無 | ハイオク | 無 |
表を見て分かるように、2.5Lエンジンは全てレギュラー仕様となります。
なおマジェスタの2.5Lハイブリッド車、アスリートの2.5Lガソリン車は4WDのみの設定となり、ロイヤルは2.5Lエンジンのみの設定です。
車種によって少し設定エンジンが違いますので、上記の表を参考にしてください。
ちなみに高級車のレクサスもクラウンと同様に車種によってガソリンの種類は違います。詳細は以下の記事で解説しているので、興味のある方はこちらもご参照ください。
レクサスのガソリンの種類はハイオク?レギュラー仕様?どっちなのか解説!ハイオク仕様にレギュラーガソリンを入れるのはNG
ガソリン価格は日々変動しますが、レギュラーとハイオクの1L当たりの価格差は、おおよそ10円前後です。
しかしその価格差をケチって、ハイオク仕様のエンジンにレギュラーを入れるのは、おすすめしません。理由は以下の通りです。
オクタン価が違い、エンジンへのダメージが大きい
通称ハイオクと呼ばれていますが、ハイ・オクタン=オクタン価が高いガソリンの略称です。オクタン価の違いは、以下の表をご覧ください。
ガソリン種別 | オクタン価 |
レギュラー | 90~91 |
ハイオク | 98~100 |
オクタン価が高いと発火点が高くなるので、プラグ点火前の圧縮による発火(異常燃焼=ノッキング)を起こしにくくなります。
つまりハイオク仕様のエンジンは、レギュラー仕様のエンジンに比べて圧縮比が高めに設定されているということです。
圧縮比が高ければ、エンジンパワーも高くなりますので、高出力エンジンにハイオク仕様が多いのはそのためです。
ではハイオク仕様のエンジンにレギュラーを入れた場合どうなるのか? 当然発火点が低くなるので、プラグ点火前に発火する異常燃焼(ノッキング)を起こし、エンジンに深刻なダメージを与えます。
最悪の場合は、エンジンのオーバーホールや載せ替えという事態になりかねません。
さらにレギュラーはハイオクに比べ燃焼効率も悪いので、燃え残りのカーボンが燃焼室に固着してしまい、エンジン不調や燃費の悪化を引き起こします。
点火時期が違い、エンジンのパワー・燃費がダウン
オクタン価の違いによるもう一つの違いは、プラグの点火時期です。
発火点の高いハイオク仕様のエンジンの場合、点火時期も早めに設定されています。これは点火~爆発までのタイムラグがレギュラー仕様より大きいからです。
ハイオク仕様にレギュラーを入れた場合、点火〜爆発のタイムラグが少なくなり、圧縮上死点=最大圧縮の前に爆発してしまうので、エンジンパワーや燃費はダウンします。
しかし現代のクルマのエンジンは、全てコンピューター制御されてますので、点火時期も自動制御してくれます(ノッキングセンサー)。
先述したようなエンジン故障のリスクはかなり低減されますが、完璧に防いでくれる訳ではありませんので過信は禁物です。
ハイオクには洗浄成分が含まれている
さらに、ハイオクにはさまざまな添加剤が混ざっており、エンジンの洗浄効果のあるものも含まれています。
エンジン内部の汚れ方は、ハイオク・レギュラーに大差はありませんので、価格分の付加価値だと解釈してください。
ハイオク仕様にレギュラーはデメリットしか無い
ハイオク仕様のエンジンに、レギュラーを入れても、デメリットしか無いことが分かります。強いて言うのであれば、給油時のガソリン単価が安い、といったところでしょう。
しかし最終的には
- 燃費の悪化による給油回数の増加
- エンジン不調による修理費
- パワー不足による不満
が勝るのは間違いありません。以上の点から、ハイオク仕様のエンジンには、キチンとハイオクを入れてあげましょう。
もしクラウンの購入を考えているなら、値引き交渉の正しいやり方を覚えておくといいですよ。
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ハイオクとレギュラー仕様車のガソリン代の違い
前章でも触れましたが、ガソリン単価で比較した場合、1L当たり10円ほどハイオクが高いです。実際にこの価格差はどれくらいの影響が出るのでしょうか?
この数値を元に、レギュラー140円/Lとしてガソリン代(ランニングコスト)を計算してみたいと思います。
※ここではよりグレードの多様な14代目のクラウンのデータをもとに計算をしていますが、新型クラウンでも価格差の影響は変わりません。
エンジン別の燃費と燃料タンク容量
ガソリン代のランニングコストを計算する前に、まずはエンジン別の燃費と燃料タンク容量を比較してみましょう。
グレード名 | JC08モード燃費 (km/L) | 燃料タンク容量 (L) |
3.5Lガソリン | 9.6 | 71 |
3.5Lハイブリッド | 18.2 | 65 |
2.5Lハイブリッド (4WD) | 23.2(21.0) | 65(65) |
2.5Lガソリン (4WD) | 11.4(10.2) | 71(71) |
2.0Lガソリン +ターボ | 13.4 | 65 |
※ターボの詳細は以下の記事をご参照ください。
ターボエンジンとは?仕組み/構造は?メリット2つとデメリット4つ!月・年ごとのガソリン代の計算結果
ハイブリッド車はハイオク仕様車とのランニングコストを比較するには燃費が良すぎるので(笑)、2.5Lガソリン車の2WDと車両価格の近い2.0Lガソリン+ターボ車を比較してみましょう。
まずは走行距離1,000km/月として月当たりの給油量を計算します。
グレード名 | 給油量計算式 | 給油量 |
2.5Lガソリン (レギュラー) | 1,000km÷11.4km/L | 約87.7L |
2.0Lガソリン +ターボ(ハイオク) | 1,000km÷13.4km/L | 約74.6L |
続いて以下の表は、走行距離1,000km/月で計算した月毎と年毎、及びその差額をまとめたものです。(レギュラー140円/L・ハイオク150円/L)
グレード名 | ガソリン代/月 (年) | 差額 |
2.5Lガソリン (レギュラー) | 12,228円 (146,736円) | 1,038円/月 |
2.0Lガソリン +ターボ(ハイオク) | 11,190円 (134,280円) | 12,456円/年 |
意外なことに、ハイオク仕様の方が燃費が良い分、ガソリン代は安く済むというのが分かりました。こうなるともうレギュラーを入れる意味なんて、ほとんど皆無です(笑)。
参考:3.5Lガソリン(ハイオク)の場合
参考までに、3.5Lガソリン(ハイオク)の場合は以下の通りです。
項目名 | 内容 |
給油量計算式 | 1,000km÷9.6km/L |
給油量 | 約104L |
ガソリン代/月 (年) | 15,600円 (187,200円) |
2.5Lガソリン・ レギュラー仕様との差額 | 3,372円 (40,464円) |
年間で見るとかなりの差になりますが、月単位ですと微々たる差です。この程度の価格差を気にするのでしたら、まず初めから3.5Lを買わないでしょう(笑)
クラウンに限らずエンジン仕様通りのガソリンを入れましょう
新型のクラウンは2.5Lエンジンは全てレギュラー仕様。それ以外の2.0L ターボガソリン車と3.5L ハイブリッド車がハイオク仕様となっています。
一世代前の14代目のマジェスタ・アスリート・ロイヤルの3種類があり、それぞれに特徴があります。
この中でもハイオク仕様があるのはマジェスタとアスリート。さらにその中でも3.5Lガソリン・3.5Lハイブリッド・2.0Lガソリン+ターボのみです。
さらに言えば3.5Lハイブリッドはマジェスタのみ、3.5Lガソリン・2.0Lガソリン+ターボはアスリートのみの設定です。箇条書きでまとめると以下の通り。
- マジェスタ 3.5Lハイブリッド のみハイオク
- アスリート 3.5Lガソリン・2.0Lガソリン+ターボ のみハイオク
- ロイヤルは全てレギュラー
購入時には希望車種のガソリン仕様を把握したうえで検討するがおすすめです。
なおハイオク仕様車にはハイオクを入れることを強く推奨します。理由は以下の通り。
- エンジンへのダメージがある
- エンジンのパワー・燃費のダウン
- ハイオクには洗浄成分あり
- レギュラーを入れても経済的効果は低い
どうしてもレギュラー仕様が良い場合、選択肢はハイオク仕様よりも多いので、迷わず2.5Lガソリン車かハイブリッド車にしましょう。
せっかく買ったクルマ。大事に長く乗るためにも仕様に合ったガソリンを使用してくださいね。
これからクラウンを買おうと思っている方は、クラウンの具体的な特徴についての記事もあるので、そちらもぜひご覧ください。購入の参考になりますよ。
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