「ミライを買おうと思ってるんだけど、ちょっと迷ってるんだよね」
「ミライの長所と短所について、評価がどうなってるかくわしく知りたい!」
車を購入するとき、長所と短所をよく調べてから購入したいですよね。
購入後に致命的な欠点に気づくと、ショックはかなり大きいです。
トヨタ・ミライにはどんな長所があって、どんな短所があるんでしょうか?
実際に試乗してきた経験から、ミライの魅力と欠点について、写真つきで辛口評価・レビューします。
なお試乗は「メガウェブ」というトヨタの大型ショールームにて行いました。詳細は以下の記事で解説しているので、トヨタ車を試乗したい方や展示を見たい方はこちらも参考にしてみてください。
メガウェブライドワンの試乗レポート!駐車場や料金を調査してきました!ミライの魅力・長所
それでは魅力・長所から解説していきます。
特別な車なのに風変わり過ぎない外装デザイン
ミライの外装は、燃料電池自動車だからといって奇をてらったデザインではなく、街中で乗っていても悪目立ちしません。
シャープなヘッドライトと丸みを帯びた形は、厳つすぎずおとなしすぎず、バランスが取れています。
可愛い系というよりはかっこいい系で、男性が乗っても女性が乗ってもおかしくないデザインです。
写真のボディーカラーは、ツートーンホワイトパールクリスタルシャイン。カラーバリエーションは6色から選べますが、どのカラーをえらんでもこの写真に写っている黒い部分はかならず黒になります。
この白と黒を合わせたカラーを見て、私はシャチをイメージしました。個人的にはツートーンピュアブルーメタリック(明るい青)のほうがミライのイメージに合っていると思います。
特別な車なのに風変わりすぎない。そんな外装デザインがミライの魅力・長所のひとつです。
後部座席が快適
ミライの後部座席は快適です。乗客が快適に乗っていられる要因を2つ解説します。
シートヒーターが後部座席にもついている
ミライは、後部座席もふくめたすべての席にシートヒーターがついています。
一度体験してみるとわかりますが、真冬の車内でも5分もしないうちに「暑い」と感じるぐらい暖かくなる、最高の暖房機能です。
シートヒーターは、車種によってはそもそもついていないか、あっても運転席と助手席にしかついていないのがほとんど。後部座席にまでついているのは、高級車ならではの嬉しい配慮です。
なおミライの内装については以下の記事でさらに詳しくまとめています。詳細まで知りたい方はこちらもご参照ください。
【画像/写真】MIRAI(ミライ)の内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!あえて4人乗り仕様にしていて後部座席が狭くない
ミライの乗車定員は4人。5人乗りでもおかしくない車体の大きさをしていますが、あえて後部座席のまんなかにアームレストを設置することで座席を区切り、1人あたりのスペースを確保しています。
前部座席を身長177cmの私にちょうどいい位置にした状態で後部座席にすわっても、ヒザが前にぶつからず、上半身を動かすだけの余裕もあります。天井はとくに低くなく、上下からの圧迫感もありません。
写真のように運転席とその後ろに成人男性がすわる状況ではなく、前か後ろのどちらかに女性や子供が乗る場合はさらに広くなります。
ちなみにアームレストは動かせないので、後部座席に寝転がることはできず、車中泊には向いていません。
子育てに使う場合は子ども2人までしか乗れず、ある程度大きくなって友達を乗せて出かけるには難しいです。
ミライならではの機能
ここからはふつうの車と違う、ミライならではの機能について解説します。
車の電気を車外の電気製品に供給できる
ミライには、充電した電気を車外の電気製品に供給できる機能がついています。
給電方法は2つ。別売りの外部給電器を使うDC給電と、車内のコンセントに直接電気製品を差すAC給電です。
DC給電は住宅やテレビ・エアコンといった大規模な電気供給が可能なため、災害に遭って停電してしまった場合でも、ふだん通りの生活を送れます。
AC給電で使えるのは、パソコンや電気ストーブといった1,500W以下の電気製品です。写真に写っているのが、トランクルーム内にあるAC給電用のコンセントです。供給可能な電力量は60kWhで、最大9kWの電力供給ができます。
数値をいわれてもあまりピンと来ないかもしれませんが、4人家庭の1日の電気使用量平均は11kWh~23kWh程度なので、満充電であれば2日~4日ぐらい過ごせます。
1回3分の水素燃料補給で650km走れる
ミライは1回の燃料補給で5kgの水素を充填でき、650km程度の走行が可能です。
燃料代は水素1kgで1,100円なので、空の状態から満タンにすると5,500円。レギュラーガソリンより少し安い金額で済みます。
5,500円をリッター150円のレギュラーガソリンに換算すると、36.66L分ですから、燃費は17.7km/L程度。燃費のそこそこ良いガソリンエンジン車並みです。ちなみに燃料補給にかかる時間は約3分と、ガソリンより少し遅い程度です。
「水素でつくった電気で走る」と聞くと不安になるかもしれませんが、燃費や燃料補給にかかる時間はガソリンエンジン車と大して変わりません。
ふつうの車と同じ感覚で乗れるのも、ミライの魅力・長所のひとつです。
車体は大きくても運転しやすい
ミライの車体は車内空間に余裕があるぶん、やや大きめです。具体的には以下のサイズになっています。
- 全長4,890mm
- 全幅1,815mm
- 全高1,535mm
試乗の申し込みをしたときに、受付のひとから「ミライは車幅がかなり大きいですけど、運転は大丈夫ですか?」と質問されました。
たしかにこうして全長や全幅の数値を見ると大きいですが、試乗していて「幅が広い」とはまったく感じませんでした。
全長も、試乗したあとで数値を見てはじめて気づいた程度なので、運転になれていればなんとも思わないと思います。
全高もコンパクトカーと変わらない程度で、極端に高すぎたり低すぎたりして困ることはありません。乗り降りもしやすいです。
なお実際に試乗した感想は以下の記事でまとめているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
トヨタMIRAI(ミライ)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!オプションでT-Connectが利用できる
ミライはディーラーオプションのカーナビをつけると、T-Connectというサービスが利用できます。具体的には以下のサービスです。
- オペレーターサービス
- マイカーSecurity
- マップオンデマンド
オペレーターサービスでは、「この時間に営業しているレストラン」や「夜間・休日診療をやっている病院」といった、今すぐ知りたい情報をオペレーターが代わりに調べて目的地設定してくれます。
24時間365日営業しており、自分で検索している余裕がないときに調べる手間が省けます。
マイカーSecurityとは、ドアロックや窓の閉め忘れをメールで通知してくれたり、車上荒らしに遭った場合にメールや電話で知らせてくれる機能です(※事前にメールアドレス登録が必要)。
盗難に遭った車の位置追跡をして、エンジン停止を確認し次第、警備員を現場に派遣することもできます。
マップオンデマンドとは、カーナビ購入から3年間無料で地図更新できるサービスです。カーナビ画面に表示されたボタンを押すだけで、いつでも最新の地図に更新できます。
これらのサービスが利用できるのも、ミライの魅力・長所のひとつです。
安全機能が充実している
ミライは安全機能が充実しています。たとえば以下のような機能がついています。
- レーンディパーチャーアラート
- プリクラッシュセーフティシステム
- ブラインドスポットモニター
- ドライブスタートコントロール
- レーダークルーズコントロール
レーンディパーチャーアラートとは、ウィンカーを出さずに車線をはみ出してしまいそうなときに警告を鳴らしてくれる機能です。
プリクラッシュセーフティとは、前方の車両や歩行者・自転車を検知して、衝突しそうになったときに自動的にブレーキが作動する機能です。ブレーキを自分で踏んだ場合は警告のみになります。
ブラインドスポットモニターとは、隣の車線を走る車が死角に入ると、サイドミラーにLEDで表示して存在を知らせてくれる機能です。
ドライブスタートコントロールとは、シフト操作時に急発進・急加速を抑える機能です。たとえば車庫入れでぶつけてしまった場合に、あわててアクセルを踏んだまま「R」から「D」に切り換えても、急発進するのを防いでくれます。
レーダークルーズコントロールとは、先行車を検知して、適切な車間距離をたもちながら一定の速度で追従する機能です。
どれも世話になりたくない機能ですが、ついていることで安心して運転できます。
乗っているひとが少ないから「時代を先取りしている気分」になれる
ミライは、街中で見かけることの少ない、レアな車です。
燃料電池自動車は20年後30年後には当たり前になっているかもしれません。しかし、現在はまだまだ少数派。
パワーボム(著者)
「なったからどうした」といってしまえばそれまでですが、後悔しない車えらびには、こういう精神的な部分も重要です。
どんなに性能の良い車でも、乗っている本人がダサいと思っていたら、長く乗り続けるのは難しいですよね。
他人よりも一歩先に進んだ車に乗っている。そんな優越感を感じられるのが、ミライの魅力・長所のひとつです。
もしミライを買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!ミライの欠点・短所
つづいて、ミライの欠点・短所について解説していきます。
水素燃料を補給できる場所が少なすぎる
ミライの燃料補給をするには、水素ステーションに行かなければいけません。
水素ステーションは2018年10月現在、全国に95ヶ所しかなく、そのなかで稼働しているのは56ヶ所のみ。
これはちょっと少なすぎます。出かけ先で燃料がのこり少なくなってしまった場合、すぐに行ける距離に水素ステーションがある可能性は限りなく低いです。
これから増えていくことは間違いないでしょうが、現実的に安心して乗れるようになるには、まだまだ何年もかかります。
トヨタの営業マンも「まだ購入する時期ではないと思います」といっていましたから、時代が追いつくまで待ってから購入検討するべきです。
あまり魅力的ではない運転席まわり
後部座席の快適さを魅力・長所のひとつとして挙げましたが、運転席まわりはイマイチです。ここからは運転席まわりの欠点・短所を挙げていきます。
シフトレバーが小さすぎて操作しにくい
ミライのシフトレバーは、手のひらでつかんでガコガコと切り替えるふつうのレバーではなく、指先で持ってちょこっと切り替えるタイプのレバーです。
ふつうの車と同じ感覚で操作しようとするとつかみにくく、また切り替えた感触もあまりないので、ほんとうに切り替わったのかどうか一瞬不安になります。
トヨタはこれを気に入っているようで、現在いろんな車種に搭載されていますが、非常に使いにくいです。
メーターがデジタルで運転席と助手席のまんなかに設置されている
ミライのメーターはデジタルメーターで、運転席と助手席の間のまんなかに設置されています。
個人的に、車のメーターは運転席の前にアナログメーターを設置したほうがかっこいいと思うので、このメーターデザインと位置はあんまり良いとは思えません。
まんなかにあることで助手席からもよく見えますが、助手席からメーターが見えることに意味があるのか不明です。
ただ、エネルギーの使用状況が図で示されているのは、「燃料電池自動車に乗っているんだなぁ」となんとなく実感できて良いと思います。
ミライのイメージには合っているけど、車のメーターとしてはかっこよくない。そんな感じです。
運転席の足元が少し狭い
ミライの運転席は、足元がやや狭く感じます。原因は、左脚のすぐ左側が壁のようになっていて、そこに脚が当たるので圧迫感があるんです。
この写真では暗くてわかりにくいですが、センターコンソール(運転席と助手席を隔てる部分)から下に向かってつづく壁の部分に左脚が当たっていて、左側が行き止まりのような感覚になっています。
上半身は狭くないので、この壁がなければ、運転席全体の印象はもっと広い印象になっていたと思います。ここも欠点・短所のひとつです。
なおミライの内装については以下の記事でさらに詳しくまとめています。詳細まで知りたい方はこちらもご参照ください。
【画像/写真】MIRAI(ミライ)の内装/インテリア!運転席周りや後部座席から荷室/トランクまで紹介!なんとなく重く感じる乗り心地
ミライに試乗した感想としては、「なんか重い」。重く感じる要因について解説します。
加速が重い
加速は、エコモードで走行しているとかなり悪いです。アクセルをグッと力強く踏み込まないと、スピードがなかなか出ません。
パワーモードに切り替えると多少良くなりましたが、それでもどこか手ごたえがない感じがのこります。
ミライは静粛性が優秀で、乗っていて振動がぜんぜんないので、アクセルを踏んでも手ごたえがないのは、もしかしたら振動が伝わってこないからそう感じるだけかもしれません。
それでも体感としては、「パワーモードにしてようやく話になるレベル」でした。エコモードでは振動うんぬんではなくほんとうに悪いです。この加速の悪さが、乗り心地を重くしている要因のひとつです。
ステアリングが重い
ミライのステアリングは重いです。これまでいろんな車を運転してきましたが、ステアリングを重いと感じたのはミライがはじめてでした。
もちろんトヨタがつくっているちゃんとした車なので、運転に支障が出るレベルではありません。
車両総重量が2,070kgとかなり重い(重く感じなかったプリウスPHVは1,750kg)ので、車自体の重さが運転の体感に影響しているのかもしれません。
ステアリングが重いことは致命的な欠点ではないですが、乗り心地の重さに少なからず影響しているため、欠点・短所のひとつとして挙げます。
なお実際に試乗した感想は以下の記事でまとめているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもご参照ください。
トヨタMIRAI(ミライ)の試乗レビュー!乗り心地の感想・インプレッション!価格が高い
ミライは7,236,000円と、価格が高いです。グレードはMIRAIひとつだけで、優遇額が2,252,900円あります。
優遇額とは自動車重量税100%・自動車取得税100%・自動車税75%の3つの減税と、CEV補助金(クリーンエネルギー自動車導入事業費補助金)としてもらえる2,020,000円を合計した金額です。
優遇額もかなりの金額ですが、それでもこの価格は高すぎると思います。
ちなみに中古車市場では3,000,000円~4,500,000円で出回っています。新車価格の半額程度なので、意外とねらい目です。
ただ、出回っている数自体が少なく、購入したい地域や条件に合った中古車がなかなか見つかりにくいかもしれません。
欲しいと思っても手を出しにくい価格設定も、ミライの欠点・短所のひとつです。
総評:わざわざ選ぶ必要はない車
ミライの長所・短所を見てきた総評としては、「わざわざ選ぶ必要はない車」だと思います。
水素ステーションの少ない現状では、出かけ先で燃料切れになってしまうリスクが高いです。近所でしか乗らないにしても、家のそばに水素ステーションがなければ、毎回遠くまで燃料補給に行かなければいけません。
試乗した感じだと、「地球環境にやさしい」ということ以外はガソリンエンジン車やハイブリッドカーより優れている点は見当たらず、それだったらふつうの車を買ったほうが安いしリスクも低いです。
結論として、ミライがおすすめ出来るひとと出来ないひとは、以下のようなひとです。
- 地球環境保護に関心が高い
- 「時代を先取りした気分」を味わいたい
- 車を災害時の非常用電源として利用したい
- 静粛性の優秀な車が欲しい
- 家の近所に水素ステーションがない
- 車で遠出することが多い
- 地球環境保護にとくに関心がない
- 加速の速い車が欲しい
4つずつ条件を挙げましたが、おすすめ出来るひとの条件4つすべてに当てはまり、なおかつおすすめ出来ないひとの条件に1つも当てはまらない場合に購入しましょう。
とくにおすすめ出来ないひとの条件に1つでも当てはまっていると、購入後に後悔することになってしまうので注意してください。
ここまで書いてきましたが、水素ステーションが近所にあるかどうかはトヨタの公式サイトを見ればわかるので、購入前にかならず確認してくださいね。
参考 水素ステーション一覧トヨタ 公式サイトこの記事を読んだことで、ミライを購入するかどうかの判断材料のひとつになれることを願っています。
なおほかの車種についても辛口レビューを書いているので、車の購入を検討されている方はこちらもあわせて参考にしてみてください。
プリウスPHVの辛口レビュー/評価!欠点/短所と魅力/長所をすべて暴露!アクアの辛口レビュー/評価!欠点/短所と魅力/長所をすべて暴露!