トヨタ GRヤリスはコンパクトカーのスポーツモデルで、小さな車ながら本格的な走りを味わえる車です。
今回はこのGRヤリスの後部座席についてご紹介します。
GRヤリスの後部座席の2列目・セカンドシート
参考:toyota.jp
GRヤリスはトヨタのコンパクトカーであるヤリスをベースにしたスポーツモデルで、ラリーカーの系譜を持つ本格的なスポーツカーでもあります。
ヤリスはトヨタのコンパクトカーの中でもかなり小型の車ですが、GRヤリスはヤリスをベースに2ドア化した独自のデザインをまとい、走行性能なども大幅に変更されています。
ではまずGRヤリスの大まかなサイズ感をご紹介しましょう。
スペック | GRヤリス | |
乗車定員 | 4名 | |
全長 | 3,995mm | |
全幅 | 1,805mm | |
全高 | 1,455mm | |
室内長 | 1,880mm | |
室内幅 | 1,430mm | |
室内高 | 1,175mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
後席寸法 | 高さ | 約900mm |
幅 | 約1,200mm | |
奥行き | 約800mm |
GRヤリスはヤリスをベースにした車なので車の大まかなデザインや車の全長はほぼ変わらないのですが、GRヤリスは全幅が大幅にワイドになっておりスポーツカーらしい安定感のあるフォルムとなっています。
また全高も少し低くなって低重心の安定したフォルムになっており、小さい車ながらスポーツカーとしての存在感は十分です。
車内のレイアウトもヤリスとはさまざまな装備が変更されており、フロントシートがスポーツカーらしいセミバケットシートになるとともに後部座席はヤリスより人数が1人少ない2人掛けのシートに変更されています。
ではGRヤリスの後部座席をもう少し詳しく見ていきましょう。
GRヤリスの広さ・居住性
参考:toyota.jp
GRヤリスの後部座席はベースのヤリスが3名掛けのベンチシートであったのに対し、2名掛けのベンチシートへと変更されています。
GRヤリスではスポーツカーモデルということでなによりドライバーを重視して設計されている車で、運転席や助手席周りの質感や装備が充実していますが、後部座席については補助シート的な役割が強く2名掛けでも十分ということです。
GRヤリスではベースのヤリスと違って3ドアタイプのハッチバックカーとなり後部ドアがありませんので、後部座席への乗り込みは運転席や助手席側のドアから乗り込んで前席を倒して体を滑り込ませることになります。
乗り込みはベースのヤリスよりも大幅に窮屈で大変になりますが、2ドアレイアウトはスポーツカーらしいフォルムには必要なものです。
GRヤリスの後部座席の横幅は1,200mm程度とベースのヤリスと大差はありませんが、2名掛けでセンターに人が座れないので逆にフル乗車時でも横には窮屈さは感じなくて済みます。
一方で前後のスペースや上下のスペースについては狭めであり、後部座席に座った際の前席シートとの間のニースペースは拳1個がぎりぎり入るか入らないかといった狭めのスペースです。
昔のスポーツカーのように本当に座れないほどのサイズ感ではありませんが、運転席や助手席が大きなサイズとなったことでヤリスよりも窮屈さや圧迫感は感じてしまうでしょう。
また頭上空間もシートに座ったときに天井にギリギリとなってしまうことが多く、身長が高い方は天井にこすってしまう場合もあるでしょう。
ただし頭上空間についてはベースのヤリスからある問題点であり、ヤリスのルーフデザインが後部座席の上辺りで低くなっているのでそれに伴ってGRヤリスも天井が低いのです。
それでもGRヤリスの後部座席はスポーツモデルとしてはまだ実用的なシートであり、乗用車としてもある程度は活用できます。
GRヤリスのチャイルドシートの搭載性
GRヤリスはスポーツカーということであまりファミリーカー的な運用はされませんが、それでもチャイルドシートへの対応がされているのは嬉しい点です。
チャイルドシートは子供専用の小型のシートなのですが、車の通常のシートは子供には大きすぎて安定して支えることができないので、通常のシートの上に載せる形で利用するシートとなっています。
チャイルドシートには乳幼児用や幼児用、学童用など年齢や体の大きさに合わせてさまざまなサイズがありますが、搭載位置としては事故のときにより影響の少ない後部座席に固定することが多いです。
またチャイルドシートの固定にはシートに備え付けのシートベルトを使うのが一般的なのですが、近年は「ISOFIX」と呼ばれるチャイルドシート専用の固定構造が設けられており、これに対応した車とチャイルドシートであればより安定して固定できます。
GRヤリスは一見するとチャイルドシートなど考えられていないようなスポーツカーではありますが、実は後部座席の左右座席にISOFIXの固定金具が設けられており対応するチャイルドシートを固定することが可能です。
ISOFIXの金具は後部座席の座面と背もたれの間ぐらいに隠れるように装備されており、さらにチャイルドシートの上側を固定する「トップテザーアンカー」も装備されていますのでチャイルドシートの固定にはかなり確実な固定が可能となっています。
とはいってもGRヤリスの後部座席はスペース自体がそこまで広くなく、チャイルドシート自体が搭載できるかどうかはチャイルドシート自体のサイズにかかっています。
さらに一般的なヤリスであれば後部座席の左右のドアからチャイルドシートを載せおろししたり同じ方法で子供さんをチャイルドシートに乗せるのですが、2ドアであるGRヤリスでは前席のシートを倒した狭い隙間からチャイルドシート積み込んだり子供を載せなくてはならず、そういった使い勝手も悪いです。
しかしスポーツカーであるGRヤリスにISOFIX対応のチャイルドシート用構造が付いているのは大きな魅力であり、うまく使えれば便利な1台となるでしょう。
GRヤリスの座り心地
GRヤリスの後部座席は座り心地としては標準的なコンパクトカーと大差はありませんが、スポーツカーとしてみると少し不便な点はあります。
まずGRヤリスの後部座席ではヘッドレストが標準装備されているのは嬉しい点であり、左右の2席それぞれに大型ヘッドレストがあります。
ヘッドレストは通常は乗員が頭を乗せておくクッション的な役割が主ですが、事故の際など万が一のときには乗員の頭をしっかり前後で支えることでむち打ちを防いでくれる重要な装備です。
近年のコンパクトカーとしてはヘッドレストがあるのはそこまで珍しくはありませんが、スポーツカーでは後部座席が補助シート的な役割が強くヘッドレストが簡易的な場合も多いので、GRヤリスでは安心感があります。
一応ヘッドレストの上下への調整機能もあってとても便利なのですが、GRヤリスのヘッドレストの上辺りは一気に天井が低くなっている箇所なので実際的に調整できる長さは短くあまり意味はありませんね。
一方でシートの硬さや座り心地などはコンパクトカーとして標準的なものですが、座り心地は固めなので長距離走行時などにはちょっと疲れやすいシートです。
後部座席は周辺にあまりゆとりのあるサイズではありませんので、できるだけ普段使いメインで考えたほうが良いでしょう。
またGRヤリスの後部座席は全体的にフラットな形状であまりホールド性が高くないデザインなのですが、GRヤリスの本領発揮であるスポーツ走行をする際などは体が動きやすく後部座席は結構大変でしょう。
運転席や助手席はスポーツカーらしいホールド性の高いセミバケットシートでそのあたりが気にならないので、スポーツ走行をする際にはあまり後部座席には乗らないほうが懸命でしょう。
GRヤリスの後部座席の装備
GRヤリスの後部座席は装備がかなり簡便で便利な装備などはあまりなく、ただ座るだけの座席となっています。
GRヤリスのベースとなったヤリスでは後部座席周りの装備は結構充実しており、左右のドアがあるのでドアポケットの収納やシートバックポケットの収納、ドリンクホルダーなどが装備されており、シンプルながら機能性の高いデザインでした。
しかしGRヤリスではボディの仕様から大きく変更されていることもあり、後部座席にはドアポケットがなく収納は前席シート裏のシートバックポケットだけです。
一応後部座席のセンター部分には座面に少しくぼみがあって小物入れにはなっていますが、あまり機能的でないので使うことは稀でしょう。
座席の左右の車体部分は少し凹んでアームレストのようになっているので腕を支えることはできますが、ドリンクホルダーなどは装備されていませんので利便性はいまいちです。
一方でシートベルトについては後部座席の左右どちらにも3点式シートベルトが装備されており、安全性という面では十分な機能があります。
スポーツカーでは後部座席のシートベルトが簡易的な2点式な場合もありますが、3点式シートベルトであれば事故の際にはしっかり体全体を支えてくれて安心です。
また走行中も体を支えるのである程度揺れなどには強くなりますので、スポーツカーとしてみると嬉しい装備といえます。
とはいえGRヤリスの後部座席は全体的に近年の車にありそうな最低限の便利装備といったようなものはなく、シンプルに座るだけの座席となっているので補助シート的な役割になっています。
GRヤリスのリクライニング・シートアレンジ
GRヤリスの後部座席ではリクライニングなどの機能は利用できませんが、シートアレンジ機能はあるのでラゲッジスペースの拡大が可能です。
GRヤリスの後部座席では一般的なコンパクトカーでもほとんど同様ですが、背もたれを前後に調整するリクライニング機能やシート自体を前後に移動させるスライド機能はありません。
背もたれの角度が固定なので標準では結構角度が直角に近くなっており、居住性の面ではあまりうれしいものではありません。
とはいっても元々シートのスペースが狭く、また後部座席の後ろには小さなラゲッジスペースを挟んですぐテールゲートになるような小型の車なので、リクライニングやスライドができたとしてもあまり意味はなかったでしょう。
一方でGRヤリスの後部座席は背もたれを前側に完全に倒すことでシートアレンジができるようになっており、ラゲッジスペースを大きく拡大できます。
GRヤリスの通常時のラゲッジスペースは結構狭く大きな荷物は乗せられないのですが、後部座席を倒してラゲッジスペースとつなげることで大幅な容量拡大ができます。
GRヤリスでは後部座席を使わないシーンも多いので普段から倒しっぱなしでもよく、普段使いを考えれば大きな荷物が乗るほうが良いでしょう。
また後部座席は左右分割式のシートとなっているので左右どちらかだけを倒して片方は座席として残すことができるので、使い勝手は良好です。
GRヤリスの後部座席の評価・口コミ
GRヤリスの後部座席についてはtwitterでもいろいろな投稿があるのですが、その中かからいくつかご紹介しましょう。
grヤリス、後部座席狭いけど普通のクーペと違って全く座れないわけではなく、暗くて良い感じに狭くて、プライベートが守られてる感があって、少し休むには丁度いい好きな場所!笑 pic.twitter.com/jAuh5TrMVJ
— あきも (@lovesunameri) February 19, 2021
こちらの方はGRヤリスの後部座席を実際に試していらっしゃいますが、一応しっかり座ることができて休むにはちょうどいいと肯定的な意見となっています。
スポーツカーでは後部座席はあっても実質的にほとんど座れないような場合もあるのですが、それらと比べればGRヤリスは十分実用的といえます。
GRヤリスの後部座席、コペ林ですら頭天井に当たったwww
サッシュレスドアなんやね(´ω`) pic.twitter.com/cDzeWUL2KV— コペ林@DL☆TDFモノノフBRZ (@masa80_L880K) October 17, 2020
こちらの方もGRヤリスの後部座席を試していらっしゃいますが、どうやら後部座席に座ると天井に頭があたってしまうようです。
GRヤリスの天井の低さはそのエクステリアデザインから来ており空力的にメリットもあるのですが、実際に座って頭が当たるとかなり不便ですので身長によって座れる座席がきまってきてしまいます。
総評
GRヤリスはコンパクトカーの小さなボディにスポーツカーの本格的な走行性能を併せ持ち、ドライバーにとっては非常に運転が楽しく素晴らしい車となります。
ただし後部座席についてはスポーツカーの常ともいえる全体的な狭さがあり、ベースであるヤリスを考えているとかなり不便に感じるでしょう。
ですがスポーツカーの後部座席としてみればむしろそこそこの実用性があるレベルであり、スポーツカーが好きな方からしたらメリットに感じるかもしれませんね。
一方でそれ以上にGRヤリスは車としての価格がかなり高くてベースのヤリスの数倍にもなりますので、ファミリーカーなどの実用的な車として考えると価格の割にこの後部座席の利便性では微妙な点が多いのも確かです。
GRヤリスはそういった点を含めて本当にスポーツカーが好きな方が乗る車となっています。