スキーなどの冬のスポーツやレジャーを楽しめるのは、雪国でも標高の高いエリアですが、気になるのはそこへ向かう車の雪道走行です。
とくに、友だちや家族を乗せて荷物も多めの場合、ミニバンタイプは購入候補車の最有力ですね。
とくに、7~8人乗車可能で、雪道に強いとされる4WDシステムを搭載した三菱デリカD:5は、雪道走行の有力候補と考えている人も多いでしょう。
しかし、肝心の雪道走行はいかがなものでしょうか? この記事ではそのデリカD:5の雪道の走行性能について解説していきます。
デリカD:5はオフロード志向で雪道も走行可能
今人気の高いミニバンの中で、際立つ性能と個性を持つのがデリカD:5です。デリカD:5のもっともユニークなポイントは、ミニバンとしては特殊なオフロード志向にあります。
オフロード志向ですので、基本は雪道でも大きな走行性能を発揮するわけです。
デリカD:5は、初代デリカのデビューが1969年と、50年近い歴史があります。
1982年に登場した2代目デリカから、日本初のワンボックス型4WDワゴンがラインナップに加わりました。
2代目デリカは、三菱の本格4WD車パジェロの先祖にあたるフォルテのシャシーに、ワンボックスボディを架装して登場しました。
それ以来、4代目に至るまで、パジェロのシャシーにワンボックス型ボディを架装するのがデリカの伝統となりました。
つまり、本格派四輪駆動車のシャシーに、3列シートのボディを備えたミニバン型4WDというのがデリカのコンセプトといえます。この4WDというのが雪道走行に力を発揮するのです。
基本的な走破性は以下の記事で解説しているので、こちらもあわせて参考にしてみてください。
デリカD:5の走破性を徹底解剖!オフロード・クロカン性能はいかに?!デリカD:5のAWCが雪道走行を可能にさせる
もう少し具体的にデリカD:5の雪道走行性能ついて迫っていきましょう。
デリカD:5は4WDであると書きましたが、デリカD:5の4WDは少し特殊です。4WDの方式は「AWC(All Wheel Control)=オールホイールコントロール」と呼ばれ、4つのタイヤの能力をバランスよく最大限に発揮させるシステムとなっています。
4つのタイヤを使うことで、どんな路面状況でも高い操縦性と安定感を維持でき、雪道などを含む過酷なオフロード走行ができるのです。
タイヤのグリップ力が極端に低下する雪道走行では、特に本領発揮する4WD方式といえます。
デリカD:5のAWCは以下の3つの機能から成り立っています。
- 4輪駆動/制動力配分コントロール
- 電子制御4WD
- ASC(スタビリティコントロール/トラクションコントロール機能)
- 4輪スリップコントロール
- ABS(EBD・ブレーキアシスト付)
- 4輪接地荷重コントロール
- 高剛性ボディ
この3つの機能の中で、それぞれの特徴的なポイントについて詳しくお話ししましょう。
電子制御されている4WD
デリカD:5の電子制御4WDは3つのモードに切り替え可能で、路面状況が刻々と変化する雪道走行で活躍します。
- 2WDモード
2WDモードは、通常走行で使用します。高速走行や一般路で2WDモードを使用することで、燃費を抑えることができます。 - 4WDオート
路面や走行状況に応じて、前後のタイヤへの駆動力を自動的かつ適切に配分して走行するモードです。濡れた路面や強風の高速道路など、走行状況が急変する場合でも安心して走行できます。 - 4WDロック
雪道やダートなどの悪路走行や、急な登坂路の滑りやすい路面で、強力なトラクションが得られ、優れた走破性を発揮する走行モードです。
デリカD:5の電子制御4WDの優れている点は、3つのモードがダイヤル式のドライブモードセレクターで、走行中でも簡単に切り替えられることです。
雪道の状況にあわせて切り替えれば、より雪道を走行しやすくなります。
雪道走行を最適にアシストするASCシステム
ASCとはアクティブ・スタビリティ・コントロールの略で、車体の不安定な動きやタイヤのスリップを防ぎ、安定した走行をもたらすシステムです。
タイヤのスリップを防ぐので、雪道でも役に立ちます。ASCは、デリカD:5の全車に標準装備されています。ASCには以下の2つの機能があります。
- スタビリティコントロール機能
雪道で車体の横滑りなど不安定な動きをセンサーで感知すると、4輪のブレーキ、エンジン、4WDシステムを自動的にコントロールし、車体の安定を保つ機能です。 - トラクションコントロール機能
スリップしやすい雪道で発進する際に、駆動輪のスリップをセンサーが感知するとスリップしたタイヤにブレーキをかけ、エンジンやトランスミッションを自動的にコントロールしスムーズに発進できるようにする機能です。
デリカD:5の4WD車は、低速時からトラクションコントロール制御されるため、雪道走行で安全に発進できるのです。
EBD・ブレーキアシスト付きのABS
ABS(アンチ・ロック・ブレーキシステム)は、ほとんどの車に装着されていますが、デリカD:5にはさらにEBD(電子制御制動力配分装置)も装備されています。
これは、乗員や荷物の積載量に応じたブレーキ制動力を確保するシステムです。
友だちを大勢乗せて雪道走行するときでも、頼りになる機能です。
雪道走行で接地力を高める高剛性ボディ
一般的なミニバンは箱型ボディとスライドドアのため剛性は高くありません。
しかし、デリカD:5はリブボーンフレームと呼ばれるヒトの肋骨のような環状骨格構造で、高いボディ剛性を実現しています。
さらに、ボディの下にX字型の補強を施されていて、より剛性が高くなっています。剛性が高ければ、ボディが堅牢でゆがまずタイヤの接地力を高まり、雪道でもより安定性が高くなるわけです。
頑丈な車体は、万が一の事故の際にも乗員保護に役立ちます。
雪道はやはりデリカD:5でも普通の道より事故率は上がるので、いざという時に助かるでしょう。
もしデリカD:5を買おうと考えているなら、あわせて正しい値引き交渉のやり方も覚えておくといいですよ。
このやり方を知らないと最大60万円以上も損しますよ。詳しく知りたい方は、下記の『たった1分で車を60万円値引きできる裏技』のページをご覧ください。 たった1分で車を60万円値引きできる裏技!安く購入する秘密のテクニックとは?!雪道走行で頼りになる余裕の最低地上高
ここまでは4WDの方式について解説してきましたが、デリカD:5は最低地上高の観点からも雪道に強いです。
デリカD:5の最低地上高は本格派クロカン4WD並
車両スペックを見てみましょう。サンプルグレードは、ディーゼルエンジン搭載のDパワーパッケージです。
項目 | スペック |
全長×全幅×全高(mm) | 4790×1795×1870 |
ホイールベース(mm) | 2850 |
最低地上高(mm) | 210 |
車両重量(kg) | 1890(8人乗り) |
最小回転半径(m) | 5.6 |
車内の広さにゆとりのあるデリカD:5の車両データには、雪道走行で役立つスペックが隠されています。それは、210mmの最低地上高です。
この210mmというデリカD:5の最低地上高は、悪路走行のスペシャリストといえる本格派のクロカン4WDに匹敵するスペックなのです。
悪路走破性に定評ある最新型のジムニーの最低地上高は205mmと、デリカD:5のほうが優れています。
デリカD:5の全長は4.8m弱、全幅も1.8m弱という大きなボディは、8名乗車でもゆったりした広さがあります。
5名乗車でスノボに行く場合でも、ラゲッジに5人分の荷物が楽に収まります。キャンプにも最適な車です。(キャンプへの適性の詳細は以下の記事をご参照ください。)
デリカD:5がキャンプに最適な理由8つ亀の子になりたくなければ最低地上高は重視
なぜ最低地上高を重視するのか、それは私の雪道経験からも言えます。
私は、フルタイム4WDのワゴンに乗っていますが、最低地上高は150mmと通常のミニバンと同レベルです。このワゴンがフルタイム4WDなのに、スキー場から帰る際、前日降った大雪で駐車場から出られなくなりました。
駐車場前の国道は除雪されていたため、強引に車を前進させたのが運のツキ。出口の吹きだまりに乗り上げた、いわゆる「亀の子状態」です。その横を、最低地上高200mmの先代ジムニーがすり抜け、国道に出て行きました。
私のワゴンは14インチ、ジムニーは16インチとタイヤ径の差もありますが、ボディをこすらずに雪を踏み越えて行けたのは最低地上高の高さゆえです。
もちろん過信は禁物ですが、最低地上高210mmのデリカD:5なら雪道走行の安心感は申し分ないといえます。
なお先ほどあげたジムニーの雪道性能の詳細は以下の記事で解説しています。興味のある方はこちらも目を通してみてください。
ジムニーは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!デリカD:5の雪道走行はオーナーにどう評価されている?
では、実際にデリカD:5のオーナーさんは、愛車の雪道走行をどのように評価しているのでしょうか?
ツイッターにアップされているオーナーさんの感想をいくつか紹介します。
安心の4WDロックモード
デリカD5の、雪道走行。なんちゃって4WDだった前の車とは違い、結構安定している。でも、雪の量が少ないので、そんな気がすると言うレベル。でも4WDロック中のコーナリングのスムーズさはさすが! pic.twitter.com/e4ROa6Qw
— KUMA. (@KUMA_outdoor) 2013年2月10日
「なんちゃって4WD」などと前の車をディスっていらっしゃいますが、今時のフルタイム4WDの雪道走行はあなどれません。
しかし、本格派4WD車に匹敵する4WDロック機構を搭載したデリカD:5の雪道走行性能との比較は気の毒というもの、ということですね。雪道走行したうえで、素直に感じた安心感の表れといえます。
雪道限界性能はプライスレス
昨日の実績。雪道走行距離約100km。スタックした車の処理5台。脱輪した車の処理1台。立ち往生渋滞はまった時間約4時間。デリカD5の雪道限界性能を体験した価値、プライスレス!d=(^o^)=b
— Tawashi@18のみん森が待ち遠しい (@Tawashi_Lagoon) 2014年2月16日
雪道走行のベテランのようですね。雪道で脱輪した車のレスキューは、救助アイテムも必要だし、経験者でないと危険も伴う作業です。
滑りやすい路面でもトラクションを伝えられ、スタックした車をパワフルに牽引できるデリカD:5は、頼りになるレスキュー車ですね。
雪道は滑り知らず、バイクのトランポとしても最高
車に関しては、今乗ってるデリカD5がかなりマッチしてるo(^▽^)o4wdに切り替えると雪道滑り知らずだし、デフロックもついてるんだ。ボードもがんがん積めるし(^O^)
車高高いからちょっとバイク積みにくいけど!サーキットもいけるよ!— へむ@バイク乗ってない (@hemuhemu_600RR) 2011年7月1日
デフロック機能も使いこなし、デリカD:5の走行性能を満喫されているようですね。
しかも、サーキット走行するバイクをラゲッジに積載可能と、トランポとしても優れたデリカD:5の積載性の高さがわかります。
雪道を走行する場合のデリカD:5の選び方
ここまででデリカD:5の雪道走行性能がすごいことがわかったかと思いますが、実際に買う際には少し注意が必要です。
代表的なグレードは3つあります。3タイプのエンジンが用意され、駆動方式も4WDに加えてFFの2WD車もラインナップしています。
グレード | エンジン | 駆動方式 | 排気量 | 最大出力/最大トルク | 車両本体価格 |
Dパワーパッケージ | ディーゼル | 4WD | 2.267L | 148ps/36.7kgm | 3,534,840円 |
Gパワーパッケージ | ガソリン | 4WD | 2.359L | 170ps/23.0kgm | 3,177,360円 |
M | ガソリン | 2WD | 1.998L | 150ps/19.4kgm | 2,408,400円 |
雪道走行を前提に車選びするなら、おすすめはディーゼルエンジン搭載車です。
ディーゼルは4WD車のみのラインナップで、ガソリン車をはるかに上回る36.7kgmのトルクが最大の魅力です。
しかも、この最大トルクは1500回転から2750回転まで発生するため、ゴーストップの多い街中から雪道の登坂路まで幅広い走行シーンで力強い走りを支えてくれます。
デリカD:5のディーゼルは、多人数乗車して積載物も多い雪道走行に、最適のパワーユニットといえます。また、お財布にも優しい燃料代の安い軽油は、長距離走行の強い味方といえますね。
ディーゼルエンジンの性能の詳細は以下の記事で解説しているので、もっと詳しく知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
ガソリンエンジンとディーゼルエンジンの違い3つ!比較すると熱効率や寿命が全然違う?!デリカD:5の雪道性能をほかの車と比較
多人数乗車可能で、雪道走行可能な車を購入する際に、デリカD:5のライバル車となるのはどんな車でしょうか?
しかし、デリカD:5はオフロード志向のミニバンという唯一無二の存在だけに、ガチのライバルは不在です。
そこで、デリカD:5のおすすめグレードとしたディーゼル仕様のDパワーパッケージに近い価格帯で、7~8人乗りのSUVやミニバンをライバル車と想定。車両スペックと機能から、雪道走行の性能を比較してみます。
ライバル二車と気になるスペックを比較
上記の条件に当てはまるライバル車として、以下の二車が挙げられます。
- SUV:日産 エクストレイル
- ミニバン:トヨタ エスティマ
以下に、各車のスペック一覧を挙げます。
車名 | グレード | 排気量 | 4WDシステム | 最低地上高 | 車両本体価格 |
デリカD:5 | Dパワーパッケージ | 2.267L | 3モード4WD | 210mm | 3,534,840円 |
エクストレイル | モード・プレミア | 1.997L | 3モード4WD | 205mm | 3,393,360円 |
エスティマ | アエラス | 2.362L | 2モード4WD | 160mm | 2,408,400円 |
それぞれの車と、より具体的に比較していきましょう。
エスティマはデリカD:5のライバル車といえるのか?
トヨタのエスティマは、快適な室内空間や安定感ある走行性能に定評ある人気のミニバンです。フルタイム4WDは、トヨタ車で同じみのアクティブトルクコントロール4WDを採用しています。
これは、前後輪のトルク配分をFFから直結4WDまで連続的に可変可能とし、さまざまな走行条件で最適な駆動力を配分するシステムです。
スイッチひとつでFFに切り替え可能と、操作性の高く使い勝手のよい4WDシステムといえます。
路面が滑りやすい状況の発進時などは頼りになるシステムですが、最低地上高は160mmと一般的なミニバンのスペックです。
あくまでも一般路での日常使いレベルといえます。デリカD:5には遠く及びません。
エスティマについては以下の記事で口コミ・評判をまとめているので、興味のある方はこちらも参考にしてみてください。
エスティマの口コミ評判!価格から外装や走行性能まで全てチェック!エクストレイルはデリカD:5のライバル車といえる
日産エクストレイルは、7名定員の3列シート仕様もあるSUVです。日産自慢のインテリジェント4×4システムを搭載。デリカD:5と同様に、ロック、オート、2WDの3モードに切り替え可能な4WDシステムを搭載しています。
4WDシステムの走破性には定評があり、最低地上高もデリカD:5に匹敵する205mmと高く、積雪地域の道路公団で多く採用されている車です。
雪道の走行性能はデリカD:5に引けをとらない、デリカD:5の最大のライバル車といえます。
ただ、定員は7名までで、デリカD:5の8名仕様には及びません。また、フル乗車時のラゲッジスペースは、ワンボックスタイプのデリカD:5の圧勝。室内空間の広さとシートアレンジの差が、デリカD:5とエクストレイルの違いといえます。
エクストレイルの雪道性能については、以下の記事でさらに詳しく解説しています。詳細まで知りたい方はこちらも参考にしてみてください。
エクストレイルは雪道に弱い?雪道走行の性能について徹底分析しました!仲間と雪道走行に頼りになる車
ここまで書いてきましたが、最後にデリカD:5の「見切り」のよさについてお話しします。デリカD:5の運転席に座ると、視界のよさに驚きます。車高が高いデリカD:5は、ドライバーの視点も高くなり、周囲の車を見下ろす感じです。
視点が高いと遠方を見通すこともできるため、雪道走行に必須の「予測する運転」にもつながります。しかも、四角く切り立ったボディは車両感覚もつかみやすく、初めてデリカD:5を運転してもすぐになじめます。
冬のアクティビティエリアまで安全な長距離走行のために、あなたの仲間と交代でデリカD:5のドライブを楽しんではいかがでしょうか。
冬の雪道走行や高速巡航で、頼りになるデリカD:5は冬のアクティビティを最高に楽しめる車です。
デリカD:5については以下の記事でも解説しているので、もっと詳しく知りたい方はこちらもあわせてご参照ください。
デリカD:5の走破性を徹底解剖!オフロード・クロカン性能はいかに?!デリカD:5は故障が多い?壊れやすいのか故障率をもとに解説!