トヨタ プリウスは燃費性能に優れたハイブリッドカーですが、プリウスは代替わりをいくつも重ねている人気車種でもあります。
今回はそんなプリウスの2代目である20プリウスのデザインについてご説明します。
プリウス20系のデザイン
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トヨタ プリウスは1997年に初代モデルが登場した車で、2代目プリウスは2003年にフルモデルチェンジして20プリウスとなりました。
プリウスは世界初の量産型ハイブリッドカーで、ガソリンエンジンと電動モーターを併用したハイブリッドカーの技術はプリウスから始まったといってよいでしょう。
しかし初代プリウスは初のハイブリッドカーということで高い燃費性能は話題になったものの、車のスペックやデザイン、車のコンセプトなどはまだまだ気になる点が多かったのも事実です。
これに対して2代目である20プリウスはその後の3代目、現行の4代目プリウスへとつながるコンセプトが固まった車種でもあり、その販売台数を見ても20プリウスから大幅な台数増になっています。
参考までに初代の10プリウスの販売台数は世界中でも123,000台だったのに対し、20プリウスでは販売期間がほぼ同じにもかかわらず1,192,000台までほぼ10倍に増加しています。
20プリウスでは10プリウスに対して搭載されているハイブリッドシステムが進化し、燃費性能も向上するなどハイブリッドカーとしての魅力は増加しています。
しかしそれ以上に車のデザイン的な面での進化が大きく、乗用車として魅力的なボディサイズと未来的なデザインで人気を得ています。
また車のスタイルが10プリウスではセダンタイプだったところを、20プリウスではファストバックスタイルのハッチバックカーに変更され、実用性が上がるとともに後のプリウスに受け継がれる特徴ともなっています。
そんな20プリウスのデザインについて、エクステリアとインテリアでそれぞれご紹介します。
20プリウスのフロントマスクデザイン
20プリウスが10プリウスから大きく変更された点としてはエクステリアデザインがありますが、まずは10プリウスと20プリウスの大まかな外観をご紹介しましょう。
10プリウスから20プリウスへの進化は外観を一目見るだけでしっかり感じられるものとなっており、10プリウスの比較的オーソドックスなセダンスタイルから流線型をまとった未来的なファストバックスタイルになっています。
これに伴い車のサイズも大型化するとともに車内の居住性もアップしており、さらにハッチバックスタイルとなったことで大きな荷物も積み込みやすい利便性の良さも得ています。
また10プリウスがセダンスタイルとしてボンネットやトランクが独立したようなデザインだったのに対し、20プリウスではフロントからリアまで一体化した「トライアングルモノフォルム」と呼ばれるスタイルが特徴的です。
それまでの国産車ではプリウスも含めてこのような流線型のボディを持つ車というのは珍しかったのですが、20プリウスではデザインに加えて流線型のボディが持つ空力性能の高さにも注目しており、何より燃費性能を高めるために抵抗の少ないこのフォルムを採用しています。
そのためフロントマスクのデザインはライトやグリル、サイドフェンダーまで流れるような一体感があり、ひと目見ただけでも流れる空気が感じられるでしょう。
このスタイルはデザイン的にもスポーティかつ先進的であり、プリウスの人気に大きな影響を与えました。
20プリウスのリアデザイン
20プリウスではリア側のデザインについても10プリウスからは大きな変化があり、後のプリウスに受け継がれるデザインコンセプトがここで生まれています。
参考:lobal.toyota
リアのデザインについてもそれまでの他の車とは一線を画す特徴的なデザインが採用されており、フロントからルーフ、リアにかけて流れるようなラインをつなげた後に最後部でストンと切り立ったような思い切りの良いデザインになっています。
リアにはスタイリッシュなコンビランプと大きなリアウインドウが設けられ、とくにリアウインドウ後部の左右につながる黒いラインが特徴的です。
このリアのデザイン的な特徴も後の30プリウス、現行の50プリウスまで受け継がれるプリウスのアイデンティティの一つとなっており、街中で見かけてもひと目でプリウスとわかるスタイルとなっています。
なおこのリアのデザインは車内からの後部視界の悪さにもつながっており、ちょうどウインドウが下に曲がったところがドライバーの視点の高さにあたってしまって後部視界の妨げになります。
後のモデルでは多少の改良もあったのですが、基本的なスタイルを受け継いでいるため現行モデルまで後部視界の悪さは健在です。
その代わりプリウスではトヨタ車でもいち早く後部のカメラやセンサーなどの搭載が進み、後のモデルに行くに従って安全性は向上しています。
20プリウスのインテリアデザイン
20プリウスのインテリアデザインについてもこのモデルで後のプリウスに受け継がれる特徴がいくつも生まれています。
20プリウスは乗用車としての実用性が向上したモデルになっており、車の車体の拡大に伴い車内のスペースも広くなりました。
前席、後席あわせて5人乗りのシートは広々とした居住性があります。
とくに後部シートは前席シートとの間の足元空間が広く取られており、窮屈さを感じず快適に過ごせる仕様です。
シートの質感も表皮などから上質感のあるものになるとともに、フロントシート自体の形状もホールド感のあるものになっていて乗り心地の良い車内が作られています。
中でもデザイン的に特徴的なのが運転席周りのデザインで、プリウスでは普通の車のように運転席の前にはスピードメーターなどがありません。
その代わりダッシュボードの奥にセンターメーターレイアウトとしてデジタルメーターが並んでおり、スピードや各種情報がディスプレイに表示される未来的なものとなっています。
また20プリウスは車としてはオートマチック車にあたるのですが、そのシフトレバーの形状やシフトポジションがハイブリッドカー専用のものになっています。
プリウスでは従来の車のように1速、2速などの概念がないためドライブやリバース、ニュートラルなど必要最低限の要素がまとめられ、まるでコンピューターのコントローラーのような操作感になっています。
またプリウスには「Bポジション」というものが設定されているのですが、これは回生ブレーキというプリウスの燃費を大きく向上させるための機能を積極的に使うものとなっており、これもプリウスから他のハイブリッドカーに派生していったシステムです。
これらセンターメーターレイアウトやハイブリッドカー専用のシフトレバーはその後のプリウスや他のトヨタのハイブリッドカーでも採用されるもので、まさに20プリウスがそのデザインのさきがけといえるでしょう。
20プリウスのボディカラー
20プリウスでは車のボディカラーも10プリウスからの大きな変化があり、標準的な車と同じようなカラーラインナップとなっています。
10プリウスは当時ハイブリッドカーという車種がまだまだ浸透していないこともあったため、ボディカラーには定番カラーの他にアースカラーと呼ばれる淡いグリーンやブルーのカラーが設定されており、パープル系の特別仕様車を除くとかなり地味なボディカラーが設定されていました。
それに対して20プリウスでは次のようなボディカラー設定となり、定番カラーから原色系のカラーまでが揃っています。
前期型 | 後期型 | |
2代目プリウス | ・スーパーホワイトⅡ ・ホワイトパールクリスタルシャイン ・シルバーメタリック ・ブラック ・ブロンズマイカメタリック ・ブルーマイカ ・ダークレッドマイカメタリック ・ジェイドグリーンマイカメタリック | ・スーパーホワイトⅡ ・ホワイトパールクリスタルシャイン ・シルバーメタリック ・ブラック ・ブロンズマイカメタリック ・ブルーマイカ ・レッドマイカメタリック ・ライトグリーンマイカメタリック 特別仕様車 ・ブルーマイカメタリック ・ライトパープリッシュブルーマイカメタリック |
20プリウスでは定番カラーと呼ばれるホワイト、シルバーのほかに10プリウスにはなかったブラックが設定されており、さまざまな層に受け入れられるボディカラーが揃いました。
またブルーマイカやダークレッドマイカメタリックなどの原色系のメタリックカラーがあることで、スポーティな外観デザインに合わせた派手なカラーも選択でき、こういったボディカラーの設定も20プリウスが販売台数を伸ばした要因の一つでしょう。
また20プリウスはモデル期間の途中で後期型へとマイナーチェンジしましたが、その後に特別仕様車として特別に設定されたボディカラーもあります。
また内装色にはベージュなどの落ち着いたカラーが設定されていますが、特別仕様車では専用のパープル系のカラーが設定できるなど特徴的なインテリアカラーも魅力の一つとなっています
プリウス20系は人気か?
トヨタ プリウスは今では国内販売台数で何度も年間トップを獲得するほどの人気車種になっていますが、20プリウスの時点ではまだそこまでの人気ではありませんでした。
年間販売台数順位 | 2002年 ※10プリウス | 2003年 ※20プリウス フルモデルチェンジ | 2004年 | 2005年 | 2006年 | 2007年 | 2008年 | 2009年 ※30プリウス フルモデルチェンジ |
1位 | ホンダ フィット | トヨタ カローラ | トヨタ カローラ | トヨタ カローラ | トヨタ カローラ | トヨタ カローラ | ホンダ フィット | トヨタ プリウス |
2位 | トヨタ カローラ | ホンダ フィット | ホンダ フィット | トヨタ ヴィッツ | トヨタ ヴィッツ | トヨタ ヴィッツ | トヨタ カローラ | ホンダ フィット |
3位 | 日産 マーチ | トヨタ ウィッシュ | 日産 キューブ | ホンダ フィット | ホンダ フィット | ホンダ フィット | トヨタ ヴィッツ | トヨタ ヴィッツ |
プリウス順位 | ランキング外 | ランキング外 | 17位 | 26位 | 22位 | 11位 | 5位 | 1位 |
プリウスは初代の10系から20系にフルモデルチェンジしたことで車の魅力が大幅に改善され、同じ6年のモデル期間で123,000台から1,192,000台までの大幅増加となるほど人気がでました。
しかし日本国内の車の年間販売台数で見るとプリウスは決してトップクラスではなく、20プリウスのモデル期間である2003年〜2009年で見るとプリウスがトップ3を取ったことはありません。
国内販売台数の順位を見ると20プリウスは決して販売台数で上位を取っているわけではなく、20プリウスになって5年間はトップ10に入れないほどです。
一番順位が高かった年でも2008年のトップ5であり、これでもかなり人気が高まったといえるのですが、トヨタ車ではヴィッツやカローラなどのハイブリッドカー以外の方が人気だったのです。
次の年の2009年には一転してプリウスは年間販売台数でトップにはなっていますが、これは3代目の30プリウスへのフルモデルチェンジの影響であり、20プリウスの販売台数での人気ではありません。
なお20プリウスで販売途中で人気だったボディカラーでは定番カラーであるホワイト系が人気であり、とくに高級感のあるホワイトパールクリスタルシャインやシルバーメタリックが人気です。
また20プリウスから追加されたブラックも人気色の一つであり、男性などにはブラックの引き締まったデザインが人気となりました。
プリウス20系の評判
プリウス20の評判はtwitterにもさまざまな評判があがっており、今回はその中から3つご紹介しましょう。
20プリウス欲しい病が再発してきた
このシンプルなデザインめちゃくちゃ好き pic.twitter.com/FEzP0EgPVn
— はまぐり (@Move_RS0331) February 10, 2021
この方は20プリウスのデザインをとても気に入られており、2021年のツイートでも手に入れたいと考えられています。
20プリウスはその後の3代目や4代目に比べるとたしかにシンプルなデザインですが、それが良いとおっしゃる方も少なくありません。
リアをバッサリと切った方が空力がいい。
こういう形のことをコーダトロンカって言うけど、
20や30プリウスにはコーダトロンカのスタイリングをうまく現代に溶け込む形で取り入れられてて、そういう意味ではすごくいいデザインだったなとおもう。
35GTRなんかもコーダトロンカ。 pic.twitter.com/8tqRn3qhVg— ま つ (ベルトが鳴いたまま嵐山アルト参戦する奴) (@macchan0852) February 23, 2020
こちらの方は20プリウスの後部のデザインを評価されており、スポーツカーにもつながる系譜の「コーダトロンカ」というものだそうです。
何よりこの形状は空力特性が良いため、プリウスでは燃費改善のために使われています。
20プリウスは内外装のデザインが歴代プリウスの中で1番好き。直進安定性とかは30、50に負けるけどね。内装の質感だけは20が1番だと思う
— MARU (@mk6_maru) August 25, 2019
こちらの方は歴代のプリウスの中で20プリウスが一番好きとおっしゃっていますが、何より内装がお気に入りだそうです。
車としての性能は流石にその後の後継者酒のほうが良いですが、内装の質感については20プリウスも魅力が多いです。
プリウス20系の欠点
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20プリウスはデザイン的にいろいろな魅力があって良い車に仕上がっていますが、一方でデザイン面で欠点として次のようなものがあります。
後部視界の悪さ
まず20プリウスのデザインで気になる点として前述で御説明した後部視界があり、20プリウスから後継者に至るまでつながる残念な点でもあります。
20プリウスは10プリウスからボディスタイルが大きく変わってハッチバック式になったのですが、ファストバックスタイルというリアウインドウが後部まで流れるような形状が特徴的です。
この形状は空力的には良いのですが、どうしてもリアウインドウのドライバーから見える面積が小さくなってしまい、後方視界を悪くしてしまいます。
リアでまっすぐ下につながるところにはウインドウではなく車体の金属部分がどうしても位置してしまうため、その金属部分が視界の妨げになるのです。
そのため20プリウスで運転中に後方を確認するときにバックミラーにはこの後部ウインドウの死角が大きくなっており、10プリウスを始めとする同時期の乗用車と比べてもかなり見えにくいものです。
プリウスの運転に慣れれば狭い後方視界でも確認できるレベルではありますが、視界の悪さに残念な気持ちになることも多いでしょう。
20プリウスにも後部カメラはあってバックの際に補助的に使うことができますが、死角が大きいのでとくに後退のときには気をつけましょう。
シフトレバーの操作性が独特
20プリウスではシフトレバーがハイブリッドカー独特な仕様に変更されましたが、そのシフトレバーは操作性が慣れないとむずかしめのものです。
20プリウス以前は10プリウスのシフトレバーは他のオートマチック車と同じ仕様になっており、コラムシフト式なのでそこまで操作感に違和感はありません。
ですが20プリウスから非常にシンプルながら初めて車に搭載されるタイプのシフトレバーとなり、初めて運転する人などはその操作感の違いに戸惑った方も少なくありません。
操作自体はシンプルなもののシフトレバーは暗視状態で操作することが多く、慣れないうちはうまく操作できないのです。
また20プリウスのシフトパターンでは目視で確認しながらでも操作ミスをすることがあり、ハイブリッドカー特有の「B(ブレーキ)ポジション」をBACK(バック)と勘違いする人が跡を絶ちませんでした。
車の後退はそれまでの車でも一貫して「R(リバース)」で表記されていて20プリウスでも同様でしたが、運転中に車に慣れていない人は「B」という文字を見てバックだと思ってしまうことがあるのです。
それまでの車のシフトにBという文字が使われていなかったこともあり、20プリウス発売当時にかなり賛否両論があった点です。
なお一度車の操作に慣れれば戸惑うこと無く操作できますし、その後のプリウスではドライバーがプリウスという車に慣れてきたこともあって同様の問題は少しずつ少なくなっています。
センターメーターの視認性
20プリウスではスピードメーターがセンターメーター式になっているのですが、そのデジタルメーターの視認性に戸惑った方も少なくありません。
車のスピードメーターを始めとする計器類は運転席のドライバーの奥に配置されているのが一般的ですが、それに対してだっしゅぼーどの上に位置するレイアウトがセンターメーターレイアウトです。
センターメーターレイアウト自体はもっと以前から採用されている車はありましたが、その視認性には常に賛否両論があり20プリウスでも同様の評判がありました。
決して見にくいわけではないもののドライバーから遠い位置にあることで意識がいきにくいという欠点があります。
さらにプリウスのセンターメーターはメーター式ではなく数字が表示されるデジタル式となっており、それにも違和感がある方が少なくありませんでした。
センターメーターで表示できるスペースが小さくなったことでの仕様でもありましたが、直感的に速度を確認できないので慣れないと違和感はどうしてもぬぐえません。
これも慣れの範疇ではありますが、20プリウスではとくにハイブリッドカーとして初期の車ということで視認性に戸惑っている人が少なくなかった点です。
プリウス20系の値段
20プリウスはすでに新車販売を終えており現在では中古車として購入できるのみですが、その価格は次のようになっています。
プリウス | 新車価格 | 中古車本体価格相場 | |
20プリウス前期型 モデル期間:2003年9月〜2005年11月 | 2,250,000円〜2,980,000円 | カーセンサー | 98,000円〜550,000円 |
goo-net | 98,000円〜497,000円 | ||
20プリウス後期型 モデル期間:2005年11月〜2009年4月 ※ビジネス向けグレードEXのみ〜2012年3月まで販売 | 2,260,000円〜3,250,000円 ※ビジネス向けグレードEX:1,890,000円 | カーセンサー | 90,000円〜715,000円 |
goo-net | 69,000円〜720,000円 |
プリウスのようなハイブリッドカーは従来のエンジンに加えて電動モーターや駆動用バッテリーなどのハイブリッドシステムの部品が搭載されているのですが、これらは通常の車に対して純増する部品であるためその分車のコストがどうしても高くなります。
その傾向は初めてのハイブリッドカーである10プリウスから見られる傾向で、10プリウスの新車価格は2,000,000円台前半と同クラスの中型セダンと比べても500,000円程度高くなるものでした。
そして20プリウスになって車体が大型化したことに加えハイブリッドシステムも新型になったため、新車価格は2,250,000円からとなり、上級仕様では3,000,000円にも達する高額の中型車になっています。
さらに20プリウスは途中でビッグマイナーチェンジを果たして仕様が追加されるとともに特別仕様車がありましたが、その仕様では3,250,000円まで価格が上がりました。
なお20プリウスは商用車向けの安価なビジネス仕様が後期型で追加されたのですが、このグレードは次の30プリウスと併売されたモデルとなり2012年まで販売が継続されました。
しかし20プリウスは既に20年弱の年数が経過した車種であり、その中古車価格はかなり低下しています。
中古車情報サイトの大手の2つのサイトではどちらも20プリウスは100,000円以下から購入することができ、とくに前期型は高くても500,000円程度で購入できるようになっています。
後期型では700,000円程度が最高額とはなっていますが、新車価格から比べればかなり手に入れやすいです。
ですがその分20プリウスの車のクオリティは年式相応でかなり低下しており、そういったリスクも考慮しておきましょう。