トヨタ プリウスはトヨタの最も有名なハイブリッドカーで、その燃費の高さと静粛性はハイブリッド特有のものです。
今回はそんなプリウスで車中泊が可能かどうかをご説明します。
プリウスの車中泊が快適な理由
参考:toyota.jp
トヨタ プリウスは1997年に登場した車で、エンジンと電動モーターを併用して燃費性能を大幅に高めたエコカーです。
プリウスは燃費性能が注目されがちな車ですが、その車の使い勝手も実用的で便利な車です。現行プリウスは4代目となって性能は高くなっていますが、車のデザインとしてはワゴンタイプのハッチバックカーとなっており、車内の広さがあります。
プリウスはその性能や使い勝手から国内の車の販売台数で常にトップクラスであり、日本で最も普及している乗用車の一つです。
近年車中泊というタイプの車の活用法が注目されていて、旅先で宿やキャンプをする代わりに車の車内で1泊を過ごす宿泊方法です。
車内の広さがある程度ある車なら車中泊は可能であり、多くのプリウスユーザーの中にはプリウスで車中泊をする人も増えてきています。
そんなプリウスが車中泊に向いているかどうかをご説明しますが、それに先立ってプリウスの大まかなサイズ感を見てみましょう。
スペック | プリウス | |
価格 | 2,565,200円〜3,543,100円 | |
全長 | 4,575mm | |
全幅 | 1,760mm | |
全高 | 1,470mm(E-Four:1,475mm) | |
室内長 | 2,110mm | |
室内幅 | 1,490mm | |
室内高 | 1,195mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 720mm |
幅 | 950mm | |
奥行き | 860mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,000mm |
幅 | 約1,500mm | |
奥行き | 約1,000mm |
現行モデルのプリウスは車のサイズが大きくなっており、車の全長や全幅が歴代の中でもっとも大型となっています。
車の全高はセダンクラスのサイズで低めとなっており、特にプリウスは燃費を高めるために空力を重視したことで低い車高となっています。
それに伴って車の後部が天井が低くなるデザインとなっていますが、テールゲートには大型のウインドウが設置されて開放感の高い車となっています。
また車内のサイズも広めとなっており、室内長が2,110mmとセダン系の中型車を超えるサイズ感の室内となっています。
またプリウスはハッチバックタイプの車なのでラゲッジルームは車室とつながっており、そのサイズは高さや幅もそこそこあり特に奥行きが広く取られているので使い勝手も良好です。
プリウスは一見すると車中泊をする車には見えませんが、サイズ的には車中泊は可能です。そんなプリウスの車中泊に適している点としては次のようなところがあります。
車内にフラットな空間が作り出せる
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プリウスは車内の広さやラゲッジルームが結構広めの車ですが、車内のシートアレンジを工夫することで車中泊ができる空間を作り出すことができます。
車中泊にはなんといっても車内に寝台を確保できるスペースが必要であり、ただ寝るだけでなく快適に過ごすためには最低限でもある程度フラットな空間が必要です。
それに加えてしっかり足を伸ばして寝る前後のサイズも必要で、足を伸ばせないとかなり窮屈となって熟睡はできません。
プリウスはその車内のシートアレンジを駆使すると後部座席を前方に収納することが可能で、シートバックを折りたたむことで収納後は上面がフラットとなります。
その状態だとラゲッジルームとつながってほぼフラットな空間が生まれるのですが、もともと大きなラゲッジスペースとして使えるこの空間で車中泊は可能です。
そのサイズは後部座席の奥行きとラゲッジルームの奥行きを足した1,900mm弱はあり、大人の男性でも足を伸ばして寝るスペースとなります。
ただ後ほどご説明しますがこのスペースは完全なフルフラットではなく段差があるので、寝台とするには工夫が必要です。
それなりにエンジン音が静か
車中泊をするためにはフラットな寝台が必要ですが、その他に重要な点として車内の換気をする必要があります。
換気の重要性については後ほどご説明しますが、プリウスで車中泊の際に換気するためにはエアコンを活用するのが便利で、エンジンをアイドリング状態にしてエアコンを可動させる必要があります。
普通の車では静かな車内で寝るときにエンジンをアイドリング状態にしていると結構音が気になるもので、エンジン音とともにエアコンの作動音なども聞こえてきます。慣れれば多少はよいのですが基本的には静粛性は高い方が好ましいです。
プリウスはハイブリッドカーで走行時などはモーターで圧倒的な静粛性がありますが、アイドリング状態ではバッテリー消費が激しいので基本的にはエンジンがかかりっぱなしです。
ですがプリウスでは元々車の静粛性が高く設計されているとともに、エンジン音も静かなので車中泊をする車としての利点はあります。
またエアコンがハイブリッドカー専用の電動エアコンシステムとなっていることで作動音も小さくなっており、普通のエンジン車に比べれば静粛性はあるほうです。
それでもプリウスのアイドリング音も聞こえてはきますが、気になる点は少なくなるでしょう。
1,500Wコンセントが車内で活用できる
プリウスが車中泊に適している点で意外なポイントが車内で大容量コンセントが使えることで、これはハイブリッドカーならではのものです。
車中泊を楽しむ一つの要素に車内でキャンプのような楽しい時間を過ごすことがありますが、キャンプ用品などを揃えるだけでもそういった楽しみは味わえます。
ですが車という特徴を活かす方法としてさまざまな電化製品や映像などの娯楽を持ち込むことができる点があり、電源を持つ普通の車でもある程度の機器は使用できます。
しかしプリウスではハイブリッドカー特有の大容量バッテリーを活かした1,500Wの容量を持つコンセントが純正品として設定でき、これだけの容量があればほとんどの大型家電でも動かすことができます。
この電源が活用できることで車中泊の楽しみの幅が広がるので積極的に活用すると良く、コンセントの位置もフロントシートの後側とラゲッジスペースの側面にあるので、車中泊をする際にはどちらもうまく使える位置なので便利です。
なおハイブリッドカーの中には1,500Wコンセントがない車種も多いので、プリウスのアドバンテージの一つでもあります。
プリウスで車中泊をする方法
プリウスは車中泊が可能な性能を持つ車ですが、その方法を簡単にご紹介しましょう。
車内をフラットモードにする
まずプリウスの車内を車中泊用にするためには、2列目シートの背もたれを倒すところから始まります。
プリウスの2列目シートはレバーを操作することで背もたれを車の前方側へ倒すことができ、左右の6:4分割式なので左右どちらの背もたれも倒します。
そうすると2列目シートの背もたれの裏側がフラットになりますが、それとともにラゲッジルームのフラットな面とほぼ繋がります。
通常シートとラゲッジルームの間にはある程度空間がありますが、プリウスには標準でこの間を埋めるプレートも設置してあるので、フラットモードにするだけなら2列目シートの背もたれの収納だけという簡単なものになります。
2列目シートは右が6割、左が4割の左右分割式シートになっているので、もし一人で車中泊をする際には広めの右側だけをフラットにすることも出来ます。
なおフロントシートに関してはそのままでも車中泊のスペースは確保できますが、前席も背もたれを前側に倒しておくことでより開放感のあるスペースにはなります。
車中泊に必要なアイテム
車中泊を快適に過ごすためには車をフラットモードにするだけでは不十分で、最低限でもマットは必要です。
マットは車中泊の寝台に敷く柔軟性のあるクッションで、寝台の快適性を上げるとともにシートバックやラゲッジルームの凸凹を吸収する役割があります。
いくら車のシートがフルフラットになるといっても必ずしも完全にフラットなわけではなく、車の構造による凹凸があるのが普通です。
プリウスでもフラットモードにした際には2列目シートのシートバックとラゲッジルームの間には段差があり、快適な車中泊にはマット等でこの段差をある程度吸収するほうが良いのです。
また車中泊にはほかにも車室全体に渡ってウインドウを遮光するためのアイテムが必要で、カーテンや遮光ボードの設置がいります。
車のウインドウがそのままの状態だと車中泊で寝る際に車内に光が入ってきてしまい、安眠しづらいという問題があります。
車中泊では駐車場などに車を停めて行うのが通常ですが、その際に街灯であったり他の車のヘッドライトなどがあるので、遮光用のアイテムをあらかじめ揃えておかないと不便です。
幸いプリウスにはその人気の高さに合わせてさまざまな車外アイテムが多数販売されており、その中にマットや遮光カーテン、遮光ボードなどもあります。
これらを用意しておくことで最低限の車中泊の準備ができます。
車中泊の注意点
車中泊には寝台とマットなどのアイテムが必要ですが、その後実際に車中泊をする際には注意点もあります。
車中泊をする際には前述で触れた通り換気が重要なのですが、車内で一晩を過ごしてみるとわかりますが寝て朝になると息苦しさを感じたり汗をかいたりしています。
これは車内が密閉状態となっているところで車内に呼吸による二酸化炭素が増加しているからで、底まで密閉性の高くない宿やテントではない車の中という特殊な状況によるものです。
一晩ぐらいでは体調に問題が出るほどではないのですが、安眠できなくなることもあるので車内の換気は重要です。
プリウスは前述で触れたエアコンの性能が良いので換気のためにエアコンをずっと稼働させておくのが便利な方法で、バッテリー消費を抑えるためにエンジンはアイドリング状態にしておくと良いでしょう。
そのためには燃料であるガソリンも十分にタンクに残しておくのが重要で、エアコンをつけてあれば夏や冬でも車内の温度を保つことも出来ます。
なお一応換気だけならば車の窓を開けておく方法もありますが、そうなると虫などが入ってきたり車外の音が入ってくるのであまりおすすめはできません。
プリウスの車中泊に向かない点
プリウスは一応車中泊が可能なスペックを持つ車ですが、一方で車中泊に向いてない点もいくつかあります。
フラットモードでも段差が生まれる
参考:toyota.jp
プリウスは車内のシートレイアウトによってフラットモードが作り出せるのですが、前述でも触れた通り2列目シートのシートバックとラゲッジルームの間には段差が生まれてしまいます。
これはプリウスの構造上仕方ない点ではあり、段差は見た目ではそんな大きくないのですが、寝てみると意外と気になるものです。
一応マットを敷くことでその弾力である程度は吸収できるのですが、それでもかなり分厚いものでなければ完全に段差を吸収するのは難しい点があります。
車中泊用のマットは概ね薄めで収納性の良いものが多いので、適当なマットを使って車中泊をすると段差が気になって寝られないといったこともあるでしょう。
またプリウスで車中泊をするときには車の前方か後方のどちらかに頭を持ってくるわけですが、段差の位置は多少前方よりの中程に位置しているのでどちらの寝方をしても何かしら気になる箇所になります。
対策としては分厚いマットを使うか、もしくは段差分の高さを吸収できるようなボードなどをあらかじめ用意しておく必要があり、そういった準備をしておくことでようやく快適な車中泊ができるようになるでしょう。
天井が低く窮屈さがある
プリウスの車内は車中泊をするスペースはありますが、車のサイズ感から天井は低くなっており窮屈さを感じるところはあります。
プリウスをフラットモードにすると、その平面から天井までの高さはラゲッジルームの高さと同じ700mm前後となります。
このサイズだと寝る際にはまだ良いのですが、寝台から体を起こしたりするにはちょっと不十分で、寝る前のちょっとした時間や寝起きの際などには不便に感じることもあるでしょう。
また実際には寝台にはマットが敷かれるので天井までの距離は更に短くなってしまい、前述した段差を減らすために分厚いマットを敷くとそれだけ天井と顔が近くなってしまいます。
さらに天井が低いプリウスでは車の後部側を頭の方向にしたほうが寝る前には楽な場合がありますが、この際にはリアウインドウが天井より低くなるデザインのためにより窮屈さは増します。
その場合リアウインドウが頭のちょうど上になるので夜空を見る場合などにはよいかもしれませんが、遮光のためにボードなどを設置すればそれもできないので残念な部分でもあります。
プリウスで車中泊をする際には、くれぐれも勢い良くはね起きて頭をぶつけないよう気をつけましょう。
左右に2名までしか快適な車中泊は難しい
プリウスは車内で前後に足を伸ばして寝れるだけのスペースがありますが、左右の幅についてはなんとか2名ぐらいが快適に寝れるサイズ感です。
プリウスの室内幅は1,490mmのサイズ感となっていますが、実際には車の左右のタイヤハウスの張り出しやドアの張出しなどで実際に使える幅は多少狭くなってしまいます。
そのサイズ感の中で横並びで寝ると2人は十分に寝れるのですが、もし3人以上で寝るとなるとちょっと厳しいサイズ感となります。
特にラゲッジルーム側の張出しが少し大きくなっているので、そちらを頭にする場合にはより狭めでしょう。
もし家族三人で子供さんが小さい場合などはなんとか横並びでも寝れるかも知れませんが、それでも窮屈なのは変わらないサイズ感です。快適な車中泊を過ごすためにはカップルなど2人が良いでしょう。
荷室が少ない
プリウスは普通の状態であればラゲッジスペースが広めの便利な車ですが、車中泊の際にはそのラゲッジスペースが寝台となるため荷室がなくなってしまいます。
車中泊は旅行やキャンプなどの際に使うのが 一般的で、だいたい荷物は多いことがほとんどでしょう。
特にキャンプの際には車中泊といってもキャンプ用品などが大量に必要なもので、キャンプであれば大事なものは車の中にしまっておくなども出来ます。
しかし車中泊となるとどうしても寝台で車の中のスペースが占有されてしまうので荷物の置き場が少なく、場合によっては車外に置いておく必要も出てきます。
プリウスで車中泊をする際に空いているスペースとしては運転席と助手席ですが、このスペースはある程度の荷物しか乗らないので大きなものは厳しいです。
ほかには寝台の足元など空いたスペースににも荷物は置けますが、それもサイズ的には小さなスペースです。
車外に置いておくと防犯上の問題もあるので、車中泊の際にはできるだけ車内におけるサイズの荷物のみ持っていくようにしましょう。
初めて車中泊をする際には勢い沢山の荷物を持っていきがちになりますが、あまり多い荷物はあとで大変な状況になります。一度自宅などで車中泊のお試しをして、荷物の量などは調整すると良いでしょう。
プリウスの車中泊の口コミ・評判
次にプリウスの車中泊に関する口コミや評判などをtwitterからいくつかご紹介しましょう。
リヤシートを倒してエアーマットをひいてプリウスで車中泊を初めて試してみたが全然いけるな…。むしろトランク側の窓からウマイこと星空が見えてパノラマルーフっぽい感じになったし。ただ、後方から追突されたら確実に死ねるから安全な場所に停車時オンリーだな(笑)
— リンクス△ (@n_lynx_24s) September 13, 2020
こちらの方はプリウスの中にエアーマットを敷いた状態で車中泊をされていますが、うまく車中泊が過ごせたそうです。
どうやら頭は車の後部に向けていらっしゃったそうで、リアウインドウから空が見れるのが特別な感じがしてよいですね。
でもプリウスは車中泊めっちゃし辛いからなぁ…あの段差なんとかならないか…
カーテンも欲しいわ…— まや (@actionkamen999) March 28, 2019
こちらの方も以前にプリウスで車中泊をされたそうですが、車内の段差が気になったそうですね。
段差は車内に敷くマットの柔らかさや厚みなどでずいぶん状況が変わってくるので、いろいろなマットを試してみると良いでしょう。
総評
プリウスはファミリーカーとして燃費の良さや車内の使い勝手の良さなどさまざま良い点がありますが、車中泊についても一応車内で足を伸ばして寝れるサイズ感があります。
車自体のサイズが車高が低めで左右の幅もある程度なのであまり開放感のある車内空間ではありませんが、車中泊の始めとしては悪くない車といえるでしょう。