ホンダ N-BOXはトールワゴンタイプの軽自動車で、数ある軽自動車の中でも圧倒的な人気を誇るモデルです。
今回はそんなN-BOXの故障に関してご説明します。
N-BOXの故障率
N-BOXは2011年に初めて登場した軽自動車で、他社の軽自動車に比べると歴史がまだ浅い車種です。
しかしホンダが独自の設計思想で一から作り上げたN-BOXは、ライバルの軽トールワゴンに対して室内の広さや上質感、オーソドックスなデザインなどが非常に評価が高く、このカテゴリーでは後発であるにもかかわらず一気に販売台数が増加しました。
そして2014年には新車販売台数で国内トップを獲得したり、ホンダ車としては最速で累計販売台数1,000,000台を達成したりと、わずか数年でホンダの最量販車種へと成長しました。
また2017年には2代目N-BOXへとフルモデルチェンジを果たし、ボディの改良や「HONDA SENSING」と呼ばれる安全装備の充実、デザインの進化などを受け、人気が更に高まりました。
現在も国内販売台数ではトップを獲得する人気の高さであり、もっとも注目される車の一つです。
そんなN-BOXの故障に関しては、次のような点から見ることが出来ます。
ホンダの耐久品質調査結果
自動車の故障率というものは自動車メーカー各社が市場での故障状況を把握しており、それを元にしたデータを所有しています。
しかしそのデータは社外秘のデータであり一般には公表されませんので、私達は故障率の正確な数字は把握できません。
そこでメーカーとは別の民間調査会社が独自に調査している市場調査データを参照にする必要があり、世界的な調査会社であるJ.D.パワー社が自動車の信頼性のデータに関して一定の評価があります。
同社が毎年公表している「自動車耐久品質調査」は、各国市場で新車を購入したユーザーから3年〜5年経過時の故障件数を聞き取り調査し、それをメーカーごとのランキング形式で発表しているものです。
以下のデータは最新の日本市場でのデータとなります。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
この調査ではN-BOXの車種単体での故障件数などは見れませんが、メーカーごとの傾向を見ることができます。
ホンダはランキングで6位となっていますが、トップのトヨタやレクサスに比べると不具合件数が多くなっており、故障が多少多いことがわかります。
とはいえ日産やその他の国産メーカーとほぼ同等であるため、圧倒的に故障が多いというわけではありません。
なおこの調査では各車種ごとのセグメントでの故障件数の少ない優秀な車種が発表されており、軽自動車セグメントでは同じホンダのN-ONEがトップにランクインしていますので、ホンダの軽自動車の信頼性は高いです。
2017年の調査ではN-BOXがランクイン
この自動車耐久品質調査は主要市場では毎年調査を行って公表されており、前年である2017年の調査にはN-BOXがランクインしています。
この調査は新車発売から3年以降の評価となるため最新型のN-BOXは対象となっていませんので、前型モデルの評価です。
参考 2017年日本自動車耐久品質調査J.D. Powerこの時の調査ではホンダはトヨタやレクサスに次いで3位にランクインしており、2018年の調査よりも評価が高かったことがわかります。
また各セグメントごとの評価でもN-BOXは3位にランクインしており、同じホンダのN-WGNとともに故障の少ない軽自動車となっていることがわかります。
2016年にホンダ以外の別の車がランクインしていますので、N-BOXのフルモデルチェンジが行われた2017年はホンダの不具合件数が一気に減少しているといえるでしょう。
とはいえ2018年で悪化していることを考えると、現時点ではN-BOXの信頼性は多少悪化傾向にあるといえます。
中古のN-BOXの故障しやすさ
N-BOXはその販売台数の多さから中古車市場への供給も多く、非常に様々な状態のN-BOXの中古車があります。
一般的に国産車の寿命といわれているのは年式10年以上、もしくは走行距離100,000km以上と言われており、車の主要な部品もこれを基準として設計されている部品が多いです。
そのため中古車を購入する際の判断基準の1つとなっており、そこに向けて年式5年以下、もしくは走行距離50,000km以下の中古車を選ぶと故障が比較的少なく良い状態の中古車といえます。
N-BOXの中古車は前型車および現行車どちらも供給されていますが、そもそもN-BOXが登場してからまだ最大で8年ほどしか経過しておらず、寿命といえる10年に達している車はありません。
そのため判断基準としては走行距離が一番の見所となっており、80,000km〜100,000kmに達する中古車は避けたほうが良いでしょう。
このぐらいになってくると高額修理の必要な部品も出てきますので、車自体の価格は安いですが修理費などが大変になる場合が多いです。
N-BOXのような軽自動車は普通車に対して耐久性の面では多少劣っている部分もあり、できるだけ走行距離の少ないものを選ぶと良いでしょう。
N-BOXオーナーの評判
N-BOXの故障や修理に関してはTwitterにいくつも投稿がありますので、その中からいくつかご紹介しましょう。
N-BOX ヘッドライト修理依頼
愛情込めて直させてもらいます♪(^ ^)♡ pic.twitter.com/ra5HnhoAj6— tetsuya (@tetetu2200) April 26, 2016
こちらの方はN-BOXのヘッドライトを修理されているようですが、ヘッドライトに関する不具合はN-BOXで結構見られるもののようです。これに関しては後ほど詳しくご説明します。
ドライブ大好き❤️
N BOX 19万キロ突破した〜🚗
これからはわからないけど、今のところ大きな故障なくて快適に過ごせてる🚗
うえ〜い🙌#ホンダ #NBOX— 海 (@gdhifhehk) May 30, 2019
こちらの方のN-BOXはなんともう190,000kmを走行しており、軽自動車としてはもちろん普通車と比較してもかなり保っている車といえます。
その間大きな故障はなかったとのことですが、適切なメンテナンスと定期交換部品の交換をしっかり行ってきたことが予想されます。
新型N‐BOX買ってからまだ1年半なのに原因不明のオートマチック故障とか本当に困る😫
車は気に入ってるのに不具合多くて信用できなくなってくる😑#NBOX
— takao (@taiyakikun_tg) March 10, 2019
こちらの方のN-BOXはオートマチックトランスミッションに不具合が連発しているようですが、原因不明とのことでなかなか安定しないようです。
新車購入からまだ1年半とのことで個体差によるものかも知れませんが、それでもこういった車に乗り続けるのはストレスですよね。
N-BOXの故障事例
N-BOXの故障事例は色々なものがありますが、今回はその中から代表的なものをご紹介しましょう。
ヘッドライトの曇り
これは初期のN-BOXに多かった不具合で、車のフロントにあるヘッドライトの内部が曇ってしまうというものです。
ヘッドライトの内部の曇りは昔の車ではよくあったもので、軽度であれば車の走行にはそこまで影響はないものの外観上で曇りがあると透明感が失われて、古臭く見えてしまいます。
原因はヘッドライトの内部に湿気が入り込んだことにあり、主にヘッドライトのシール部分の設計ミスや製造不具合によって起こるものです。
こういった不具合がN-BOXのすべてに及んでいるわけではありませんが、車によってはこの不具合が出てくるものがあります。
修理にはいくつか方法があり、分解しての内部清掃という方法もあります。ですがこれでは根本原因の解決にはならず再発の可能性もありますので、完全に直すには対策品のヘッドライトに交換しなくてはなりません。
新車の保証期間内であれば無償修理となる可能性が高いですが、それ以外では修理費用に数万円は必要となります。費用面では前述の清掃のほうが楽ですね。
CVTからの異音
これも車によって発生する場合としない場合がありますが、走行中にオートマチックトランスミッションであるCVTからさまざまな異音が発生する不具合が起こる場合があります。
CVTはベルトによって無段階変速を行なうオートマチックトランスミッションで、ステップ式に対して効率や燃費の面で有利であり、軽自動車を始めとする小型車に多く採用されています。
ですがホンダに限らずCVTは異音に悩まされることが結構あり、その原因は多岐にわたります。例えばCVTベルトとプーリーの滑りや油圧システムへのエア噛み込み、CVTフルードの劣化など様々な原因が考えられ、修理が難しい不具合の1つです。
N-BOXのCVTに関してもその原因は1つではなく、前述のツイートにもあるように原因が特定できずに長期間不具合が続く場合もあります。
ディーラーに何度も持ち込んで解決する場愛もありますが、最終的にはCVT本体の交換となることもあり、その場合は交換費用が数十万円に達することもあります。ただCVTの不具合は保証期間中であることが多く、無償修理となる場合がほとんどです。
スライドドアからの雨漏り
こちらは初期型のN-BOXのリコール案件にもなっているものですが、トールサイズワゴンの要ともいえるスライドドアから雨漏りが起こる場合があります。
スライドドアはドアの周囲にあるウェザーストリップというゴム部品によって防水がされているのですが、そのウェザーストリップが経年変化によって変形することで防水性が悪化し、雨漏りの原因になる場合があります。
この内容はリコール対象なので現在では改良された部品が採用されているのですが、中古車などで経年劣化が進んだN-BOXではこういった不具合が出てくる場合もあります。
ゴム部品の多くは年式10年を目処に設計されているため、初期型のN-BOXなどはこういった不具合が増加してくる時期に当たります。
修理にはウェザーストリップの交換が必要で、大幅な修理となるので修理費用は100,000円前後となるでしょう。
N-BOXは買っても大丈夫か?
N-BOXはホンダが社運をかけて送り出した軽自動車であり、ホンダとしても非常に重要な車種に当たります。
そのため信頼性の確保にはかなり注目されており、前述でもあるように耐久品質調査でトップクラスとなるほどの実力です。
ホンダ全体としては近年故障件数が増加傾向にありますが、N-BOXに関しては比較的良好な状態といえるでしょう。
ただ現状では前述の調査で現行モデルのN-BOXの不具合調査は行われていないので、今後どうなるかは注目したいところです。