ホンダ ヴェゼルはホンダのコンパクトSUVで、小型のボディと力強いデザインが特徴です。
今回はそんなヴェゼルが車中泊に向いているかどうかをご説明します。
ヴェゼルの車中泊が快適な理由
ホンダ ヴェゼルはコンパクトカーベースの車体にSUVのデザインを取り入れた車で、SUVブームの現在で人気の車です。
SUVは多目的乗用車というタイプの車で、オフロードでも走行できるクロスカントリーSUVが元です。
現在人気なのはクロカンSUVではなくより都会的な性能を持つクロスオーバーSUVという車で、ヴェゼルも小型のクロスオーバーSUVです。
SUVはキャンプなどにも使えるのですが、近年はその用途の一つとして車中泊というものが注目されています。
車中泊は旅行の際にホテルや宿に宿泊したりキャンプしたりするのではなく、車の中で一晩を過ごす方法です。
車中泊のメリットはなにより宿泊費用を抑えられることにありますが、車の中で一晩を過ごすという非日常性も面白い点です。
車中泊には車内が広い車が一般的ですが、ヴェゼルのようなコンパクトカーやSUVでも車中泊への適用性は注目されています。
ヴェゼルが車中泊に向いているかどうかを見るために、大まかなサイズ感を見てみましょう。
スペック | ヴェゼル | |
価格 | 2,505,555円〜2,980,186円 | |
乗車定員 | 5名 | |
全長 | 4,295mm(HYBRID RS・Honda SENSING、RS・Honda SENSINGは4.305mm) | |
全幅 | 1,770mm(HYBRID RS・Honda SENSING、RS・Honda SENSINGは1.790mm) | |
全高 | 1,605mm | |
室内長 | 1,930mm | |
室内幅 | 1,485mm | |
室内高 | 1,265mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 780mm |
幅 | 1,010mm | |
奥行き | 800mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 495mm | |
奥行き | 約900mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 495mm | |
奥行き | 約900mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,100mm |
幅 | 1,240mm | |
奥行き | 約900mm |
ヴェゼルはホンダのコンパクトカーをベースとしてSUVのデザインとスペックを与えた車ですが、その外観サイズはちょっと大きめのコンパクトカーといった感じです。
全長はコンパクトカーらしく4,300mm前後とSUVにしては小さくなっており 、非常に扱いやすい車です。
一方で全幅は1,770mm〜1,790mmと結構ワイドになっており、コンパクトカーよりは中型車並のサイズ感です。全高もそれなりに高めでSUVらしい力強いデザインが特徴的です。
車内のサイズ感は室内長が1,930mmとコンパクトカーとして標準的なものとなっていますが、室内幅はヴェゼルの全幅が大きな分広めのサイズ感となっています。
またラゲッジルームのスペースもそれなりに広めに確保されており、コンパクトカーベースとはいっても使い勝手の良い車となっています。
しかし車中泊となるとコンパクトカーでは難しい部分も多いのですが、意外とヴェゼルは車中泊も可能となるサイズ感をもっているのです。
フルフラットになる車内
まず車中泊に必要となるのは快適な寝台ですが、ヴェゼルでは車内をフルフラットにすることが出来ます。
ヴェゼルは車内のシートをシートアレンジでいろいろな形態にすることができるのですが、その中の一つにフルフラットモードがあります。
このフルフラットモードは2列目シートとラゲッジスペースをつなぐ形でフラットな空間をつくるもので、通常は大きな荷物を乗せるための拡張ラゲッジスペースとして利用するモードです。ですがこの空間は車中泊用の寝台として利用することもできます。
ヴェゼルのシートをリクライニングしても一応寝ることはできますが、仮眠ならともかく一晩ぐっすり寝るためにはちょっと不適当です。
車中泊にはどうしても普通の寝台のようにフラットな空間は必要であり、そのためのスペースがヴェゼルには備わっています。
コンパクトカーはその小さなサイズから車中泊スペースが少ないことも多いのですが、ヴェゼルは後述するようにサイズも十分です。
ギリギリ足を伸ばして寝られるサイズ感
ヴェゼルのフルフラットモードでのサイズ感は大人がギリギリ足を伸ばして寝れるサイズです。
ヴェゼルのフルフラットモードでは後部座席とラゲッジスペースを利用しますが、その2つを合わせた前後のサイズは1,700mm前後となります。
このサイズでは170cmの人が寝るのでギリギリのサイズ感となりますが、これに加えて運転席と助手席を前側にスライドすることでさらにスペースは広げることができ、大人の男性でも足を伸ばして寝れるだけのスペースが完成します。
コンパクトカーでこれだけの前後スペースが確保できるのは珍しいのですが、ヴェゼルは車内を広く確保してあるのでこれだけのスペースがあるのです。
車中泊ではなにより足を伸ばして寝れるという点が重要で、これができると出来ないとでは寝たあとの疲労感もずいぶん違います。
コンパクトカーでは前後スペースが小さくて足を曲げないと寝れないような車もあるのですが、ヴェゼルのサイズであれば十分でしょう。
横並びで2人寝れるサイズ感
またヴェゼルのフルフラットモードでは横幅もそれなりに広く確保できるので、横に2名で並んで寝ることもできるでしょう。
ヴェゼルの室内幅は1,485mmとなっていますが、車中泊のスペースとしてはこれより少し短めとなるものの1,300mm近いサイズは確保できます。
これだけの横幅があれば大人が横並びで2人寝ても触れることなくしっかりと寝れるスペースになっており、二人旅でもしっかり車中泊ができる車となっています。
ヴェゼルで車中泊に行くシーンにはアウトドアスポーツなどもあるのですが、そういった際にも2人連れで行けるのは便利です。
またこの横幅であれば頑張れば3名までなんとか寝れる可能性があり、体の小さな方や子供さんであればギリギリ寝ることのできるスペースとなるでしょう。
家族三人での車中泊でもヴェゼル1台で過ごせるというのはとても便利なものであり、コンパクトな車ながら非常に使い勝手の良い車といえるでしょう。
それなりの室内高の高さ
ヴェゼルはコンパクトカーとしてはそれなりの車高の高さを持っていますが、室内の高さも多少高めでなかなか快適な室内空間となります。
車中泊にはなにより足を伸ばして寝れるスペースが重要ではあるのですが、それが満たされると今度は室内の高さも結構気になってくるものです。
コンパクトカーでは室内の高さがあまり取れない車が多いので車中泊をするときに天井が近くなってしまうことがありますが、ヴェゼルはそれなりに天井が高めとなっているので窮屈すぎることはないでしょう。
もちろんミニバンなど車高の高い車ほどではありませんが、コンパクトカークラスとしては十分なスペースと言えます。
ヴェゼルの室内高のサイズでは寝台の上で体を起こせるほどのサイズではありませんが、寝ているときに寝返りを打つ場合などには十分なスペースであり体が天井にぶつかることはないでしょう。
実際に車中泊をするときにはフルフラットモードの空間にクッションとなるマットを引くことになるので室内高は高いほうがよいのですが、ヴェゼルの室内高で最低限快適なサイズは確保できているといえるでしょう。
このようにヴェゼルの室内のスペースは決して広々としているわけではありませんが、コンパクトSUVという車種の中ではしっかり車中泊ができるサイズ感となっています。
ヴェゼルで車中泊をする方法
では次にヴェゼルで車中泊をする方法を簡単にご紹介しましょう。
車内をフルフラットにする
まずヴェゼルで車中泊をする上で最初に行うのは車内をフルフラットにすることで、後席とラゲッジルームをつなげるところから始まります。
ヴェゼルをフルフラットモードにするのは手順が楽なのですが、まず後席のヘッドレストを一番下まで収納します。
その後シートについているレバーを操作することで後席の背もたれが収納でき、ほぼワンタッチで背もたれが前側に倒れて収納状態となります。
ラゲッジスペースは特別な操作は必要ないので、この状態でヴェゼルのフルフラットモードとなります。
これだけでもそこそこの前後のサイズがあるので一応車中泊は可能ですが、より前後のスペースを広げるのであれば運転席と助手席も一番前にスライドするとよいでしょう。
加えて前席の背もたれも前に倒すようにすれば、ヴェゼルの車内を一番広く活用できるようになります。
ここまですればヴェゼルのようなコンパクトSUVであっても車中泊を過ごせるようになるでしょう。
車中泊用のアイテムを揃える
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次に車中泊に必要となるのがいろいろな車中泊用のアイテムで、快適に車内で寝るためにはいろいろなものが必要となります。
車中泊には車内のスペースの広さは必要ですが、それだけでは硬めの寝台でしかないので快適に寝るためにはクッションやマットが必要となります。
このマットは弾力のある素材で出来ており、ヴェゼルでもフルフラットの場所は固いのでその上に敷くものとなります。
車中泊用のマットはさまざまなものが販売されているので、できるだけヴェゼルの車内にぴったり収まるものが良いでしょう。
また他にはウインドウを遮光するためのアイテムで、これは外から入ってくる街灯の光や他の車のヘッドライトの光を遮断するためのものです。
これがあるとないとでは眩しさによる快適性がずいぶんと違うので必須のアイテムですが、遮光ボードや遮光カーテンなども社外品で揃えることになります。
ヴェゼルのウインドウにピッタリ収まるものが好ましいのですが、専用品はほとんどありませんので汎用品を加工して自作するのも良いでしょう。
これがあれば最低限快適な車中泊が過ごせるようになりますが、その他にも様々な車中泊アイテムがありますのでいろいろカスタマイズするのも楽しみの一つになるでしょう。
車中泊の注意点
車中泊のときにはなにより寝台の確保が重要となりますが、そのほかにも注意点があります。
それは車内の換気をしっかり行うことなのですが、車の中という密閉度の高い空間で一晩を過ごしてみると、朝起きると息苦しさを感じたり汗をかいていたりします。
これは一晩寝ている間に車内の空気を消費して二酸化炭素が増えているからであり、一晩ぐらいなら健康に関わるレベルにはならないのですが快適とは言い難い空間となります。
そのため車中泊のときには一晩中しっかりと換気できるようにして置かなければなりませんが、窓を開ける対応では虫が入ってきたり外の音が漏れてきたり気になる点もあります。
虫は網戸を使うなどの方法もありますが、それよりもエアコンを外気循環モードで一晩中稼働させておくほうが車内の温度管理も出来て便利なものとなります。
この状態であれば窓が閉めれて防犯的にもよいのですが、エアコンを動かすのでエンジンはずっとアイドリング状態にしておく必要があります。
なおアイドリング状態でもし排気管が詰まるような事態になると排気ガスの問題がありますので、もし積雪などで詰まる可能性があるときにはエアコンはやめて窓を開ける方法しかなくなるので注意です。
ヴェゼルの車中泊に向かない点
ヴェゼルはコンパクトSUVというサイズ的に制限野多い車でも車中泊が可能な点は便利なのですが、その一方で次のような向かない点もあります。
フルフラットでも段差がある
ヴェゼルの車内の特徴として車中泊が十分可能なフルフラットモードがありますが、実際にはこのスペースは完全なフルフラットにはなっておらず段差があります。
段差があるのは後席とラゲッジスペースの間で、後席の背もたれの背面とラゲッジスペースの上面は同じ平面にはなっていません。
その間には一応溝をカバーするものがついていますが、実際にここに寝てみると結構気になる高さの段差となっています。とはいえ車中泊ができないレベルではないので致命的な問題ではありません。
しかし快適な車中泊を過ごすためにはこの段差を吸収して完全なフルフラットにするほうが好ましく、そのために簡単な方法は分厚いマットの弾力であるていど凸凹を吸収する方法です。
そのほかには段差を吸収できるボードなどで底上げする方法がありますが、これは何かを購入するよりピッタリしたサイズのものを自作するほうが良い結果になるでしょう。
こういった準備をすることで車中泊のクオリティがどんどん上がっていくので、段差をうまく吸収する方法を考えると良いでしょう。
車中泊時の荷室が少ない
ヴェゼルはコンパクトカー並の車内スペースでもしっかり車中泊が過ごせる寝台の長さがありますが、その一方で車中泊をするときの荷室が少なくなってしまいます。
例えばヴェゼルでは2人でも車中泊を過ごすことが可能なスペースはあるのですが、そのときには後席とラゲッジスペースをほぼ全て専有してしまうので旅行用の荷物などをそのスペースに置くことができません。
また前席なども前にスライドさせたりすれば前席に載せられる荷物の大きさも制限されるので、あまり大きな荷物を持っていくと寝るときに置く場所に困ることになるでしょう。
その他に荷物を載せられるスペースとしてはダッシュボードの上があり、ここは車中泊としては使わない場所なので荷室として利用できます。
こういったスペースに収まる荷物の大きさであれば車中泊スペースとの両立ができるので、事前に車中泊のシミュレーションをして荷物の大きさや量も考えておく必要があります。
ハイブリッドで1,500Wコンセントが使えない
ヴェゼルには上級仕様として燃費の良いハイブリッドモデルがあるのですが、ほかのハイブリッド車では車中泊に便利な装備もあるのですがヴェゼルでは設定がありません。
それは車内で使える100V 1,500Wのコンセントで、これはハイブリッド車の強力なバッテリーや電源システムを利用して車内でも家庭用電源と遜色ない性能のコンセントが使えるようになるものです。
これだけの容量があると車内であってもさまざまな家庭用電化製品が使用可能であり、車中泊というシーンでも車内でいろいろな調理器具や趣味のものが動かせるという大きなメリットとなります。
ですがヴェゼルのハイブリッドモデルには100V 100Wコンセントの設定はあるのですが、これは容量が小さく電気をたくさん消費する製品は使用できません。
携帯電話の充電ぐらいであればこの性能でも十分なのですが、車中泊でなにか電化製品を使おうと思っていた場合には消費電力などを確認したほうが良いでしょう。
しかしある程度なら最近の車中泊ブームとともに専用の電化製品なども登場しているので、以前よりはいろいろなアイテムは揃えられるでしょう。
ヴェゼルの車中泊の口コミ・評判
ヴェゼルの車中泊についてはtwitterでもいろいろな投稿があるのですが、この中からいくつかご紹介します。
ヴェゼルを買った目的の一つだった車中泊を千葉某所で実行。コンビニでお酒買ったら「大変お若く見えますのでご本人確認を…」って言われてめっちゃ嬉しい三十路であった。 pic.twitter.com/W1x0cySX0F
— rook (@rook_Saimon) October 10, 2020
こちらの方はどうやら一人旅でヴェゼルの車中泊を行っていらっしゃいますが、なかなかどうして快適そうな車中泊になっていますね。
ヴェゼルはコンパクトSUVということで手頃なサイズの車ですが、その車でこういった車中泊が過ごせるのは嬉しいものですね。
vezelで使うプライバシーシェードを作ってる訳ですが、なかなか良い感じに仕上がってきました。
かなりの低コスト。
自称業界最安値(笑)
しかし、産みの苦しみとはよく言ったもんです💨
ちなみに写真は試作品。
数日の内に動画アップします。#vezel #ヴェゼル #車中泊 #プライバシーシェード pic.twitter.com/7lK4jVdind— DD Wrench(DDレンチ) (@DdWrench) September 29, 2020
こちらの方はヴェゼルの車内で使うプライバシーシェードを自作されていますが、このような対応ができるのもある意味車中泊ならではといえます。
どうしても遮光用のアイテムはサイズがまちまちでぴったりフィットしないので、コストも抑えられますし自作するのは良い方法です。
総評
ヴェゼルはコンパクトSUVということでクロスオーバーSUVとしての力強いデザインとコンパクトカーの使いやすさを兼ね備えた便利な1台です。
あまり大きな車ではないのですが意外と車中泊にもしっかり対応できているのが驚きで、実際に車内の広さを見てみると驚くのではないでしょうか。
車の価格も控えめで手に入れやすいので、少人数での旅であればヴェゼル1台で十分旅行と車中泊が楽しめるでしょう。