ホンダ シャトルはホンダの中型ステーションワゴンで、控えめなサイズ感と車内の広さが特徴です。
今回はそんなシャトルでの車中泊について見ていきます。
シャトルの車中泊が快適な理由
ホンダ シャトルは5ナンバーサイズのステーションワゴンで、車内と荷室が広い車です。
シャトルは以前はフィットシャトルという車名の車で、その名の通りホンダのコンパクトカーであるフィットをベースとしたステーションワゴンです。
車名からはフィットはなくなりましたが構成は変わっておらず、フィットのエンジンや構成部品を使いつつも車の全長を延長してラゲッジスペースを増加させたモデルとなります。
乗車定員はフィットと同じ5名に抑えられているので、ラゲッジスペースの広さが高い利便性を確保しています。
近年こういったステーションワゴンの利用法の1つとして車中泊というものが注目されており、これは旅行の際に車内で一晩を過ごす方法です。
旅行の時にホテルや旅館で宿泊しないのでその分費用を抑えがちにすることができ、これが車中泊のメリットとして大人気のもとになっています。
また車中泊はキャンプの代わりとしても利用できるのも人気のもとで、非日常感のある旅行も人気のもとです。
今回はシャトルでの車中泊への適用性を見ていきますが、まずは車の大まかなサイズを見てみましょう。
スペック | シャトル | |
価格 | 1,808,400円〜2,616,900円 | |
乗車定員 | 5名 | |
全長 | 4,440mm | |
全幅 | 1,695mm | |
全高 | 2WD:1,545mm 4WD:1,570mm | |
室内長 | 1,925mm | |
室内幅 | 1,450mm | |
室内高 | 1,290mm | |
ラゲッジルーム | 高さ | 840mm |
幅 | 975mm | |
奥行き | 1,020mm | |
運転席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
助手席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約900mm | |
後席寸法 | 高さ | 約1,200mm |
幅 | 約500mm | |
奥行き | 約1,000mm | |
3列目寸法 | 高さ | 3列目シートなし |
幅 | ||
奥行き |
シャトルはステーションワゴンとはいってもコンパクトカーベースであり、全長及び全幅はステーションワゴンにしては控えめです。
それでも全長は4,440mmと小さいわけではなく、ステーションワゴンとしての使い勝手を考えた全長にまで延長されています。
全高に関してはベースであるフィットと大きく変わらないサイズ感で、低めのスポーティなフォルムをしています。
車内に関してはシャトルも5人乗りモデルなので座席が狭いということはありませんが、室内長、室内幅ともコンパクトカークラスのサイズです。
室内高についてはホンダ車の特徴でもある低床レイアウトが活きていて1,290mmもあり、背の低めなステーションワゴンにしては広々としています。
またシャトル一番の特徴であるラゲッジスペースですが、通常でも前後の奥行きが1,020mmあるので非常に広々としたスペースを確保できています。
このようなサイズ感を持つシャトルですが、車中泊に対してはなかなかの適用性を持っており、次のような点が車中泊に向いています。
車内をほぼフルフラットにできる
まずシャトルの車内が車中泊に向いている点としてはフルフラット化ができるということにあります。
車中泊は車の中で一晩を快適に過ごすためにいくつかの条件があるのですが、まず必要なのは車内にフラットな寝台が作れるかどうかです。
車の車内はシートの構造やデザインなどでさまざまな凹凸や段差があるのですが、それでは自宅のようなフラットな寝台はなかなか作れません。
しかし最近の車種ではシートアレンジによってさまざまな構成をすることが可能で、それを駆使すると車中泊でも楽に寝ることが出来ます。
シャトルではシートアレンジとして後部座席を折りたたむことができるのですが、シャトルの後部座席は前側に収納する形で折りたたむのでラゲッジスペースとつなげることができます。
この構造はラゲッジスペースに収まりきらない長い荷物を載せる時に活用できるシートアレンジなのですが、このモードが車中泊時にも使えます。
このモードではほとんど床面がフルフラットになりますので車中泊の寝台としてはもってこいであり、シャトルが車中泊に向いている最たる点となります。
車中泊には十分な前後スペース
シャトルのフルフラットモードは車中泊するのに良い形状をしていますが、そのサイズも十分なスペースを持っています。
車中泊を快適に行うには寝台の形状も重要ですが、そのサイズ、とくに真っ直ぐ寝る方向の前後サイズがある程度必要です。
寝る時には寝る方の身長以上のスペースがなければ足をしっかり伸ばして寝られませんので、小さな車ではこれが確保できず足を曲げないといけないこともあります。
また身長ギリギリのサイズでも窮屈感があるので、身長170cmぐらいの人を標準として考えると、必要な寝台のサイズは1,800mm〜1,900mmぐらいはほしいところです。
これに対してシャトルのフルフラットモードでは前席シートはそのままで後席シートとラゲッジスペースを使いますので、その前後サイズはおおよそ1,900mm〜2,000mmとなります。
これは前席シートを前側にスライドさせなくてもこのサイズが確保できますので、ほとんどの人が車中泊をするときに足をしっかり伸ばして寝ることができるサイズとなります。
またもしもっとサイズがほしければ、前席シートを前にスライドさせることで広げることができます。
その際には前席と後席の間にスペースが開くのでそれを解消しなければなりませんが、普通はそこまでスペースを広げる必要もないでしょう。
室内幅も2人で寝るのには十分
シャトルは車の幅が5ナンバーサイズに収まるようにコンパクトな車幅の車となっていますが、その車内では2名ぐらいなら十分車中泊は可能です。
シャトルはコンパクトカーであるフィットがベースとなっているのでその車幅もコンパクトカー並となっています。
それでも軽自動車よりはかなり広々としており、車内も後部座席に3人座れるほどの横幅が確保されています。
その車内で車中泊をする際にも車内の幅は重要で、大型のミニバンなどでは3人でも寝ることができるサイズのものがあります。
しかしシャトルの場合には車幅が1,450mm、フルフラットモードにした場合の横幅が1,300mm〜1,000mm程度となっており、そこに横並びで2人で寝るのには横の人と身体などがぶつからず楽に寝ることができるでしょう。
また多少窮屈になるかも知れませんが、子供さんぐらいなら間に挟んで3人で寝ることができるでしょう。
夫婦やカップルでの車中泊や、子供さんのいる家族旅行などでシャトルの車中泊は便利に活用でき、費用も抑えて旅行ができるでしょう。
身体を起こせるだけの室内高がある
シャトルの車内ではしっかり寝ることができるだけの寝台の広さがありますが、意外なメリットとして室内高がそこそこ高く快適な点があります。
通常ステーションワゴンクラスの車高の低い車では、車中泊で寝台を作り上げたあとの天井との距離はそこまで大きいものではなく、車によっては多少窮屈さを感じることもあるものです。
ですがシャトルはベースとなったフィットと同じくホンダ得意の低床レイアウトを採用しており、とにかく車内の広さを上下方向でも確保するようになっていて天井より床が広くなっているのです。
この特徴からラゲッジスペースの上面も低いものとなっており、結果として天井までのゆとりが広いものとなります。
車中泊の際にもこの特徴はメリットとなっており、フルフラットモードでの上面から天井までの距離が840mm近くあって、寝台の上で身体を起こすぐらいのことができるのです。
この使い方ができると車中泊の際に起き上がるのに楽であったり、寝返りを打つときや横向きに寝るときなどにも窮屈さを感じることはないでしょう。
さらに車中泊で寝るだけではなく、上半身を起こして飲食が出来たり、読書や娯楽などさまざまな使い方の幅が広がるでしょう。
車中泊時の荷室は十分
シャトルでは車中泊の際に荷室のサイズもそこそこ確保でき、荷物を載せる場所もそんなに苦労することはないでしょう。
車中泊は車内の広さやフルフラット化などが注目されるのですが、実際に車中泊をする時というのは旅行中が圧倒的に多いので、持っている荷物の量も必然的に多くなります。
車中泊でなければ旅行中にホテルや旅館に宿泊するときには荷物は車の中に置きっぱなしにしておけますし、一部の荷物は手荷物として持っていくことも出来ます。
しかし車中泊では多くの車でラゲッジスペースを寝台として活用するので、必然的に荷物の載せ場所が減ってしまうのです。
ですがシャトルでは十分なサイズの寝台を作り上げた上で荷室に使えるスペースも残っており、特に前席シートの空間はほぼフルに活用できます。
シャトルはもともとのラゲッジスペースが広いのでそこにフル積載すると少し厳しいですが、前席に収まるぐらいの荷物の量であれば車中泊のときに不便になることはないでしょう。
また寝台も身長に対して多少前後にスペースがありますので、そこにちょっとしたものならおいて置けるでしょう。
大型のアンダーラゲッジがある
シャトルでは荷室が多めですが、その他に便利に使えるアンダーラゲッジも備わっています。
アンダーラゲッジはラゲッジスペースの床面の下に備わっている収納スペースで、近年の車には増えてきた装備です。
アンダーラゲッジは容量的にはメインのラゲッジスペースよりも小さなものですが、あまり使わないものであったり汚れものであったりを収めるような用途に便利に使えるので、意外なところで重宝します。
シャトルにもアンダーラゲッジがあるのですが、容積的にはそこまで大きいものではなくちょっとした荷物を入れておけるサイズです。
ですがアンダーラゲッジの特徴として樹脂製の防水トレイで覆われており、土汚れや泥汚れなどの靴などもしまっておけます。
車中泊のときにはアンダーラゲッジは寝台の下になりますが、シャトルの場合は床面の一部だけをめくることでアンダーラゲッジにアクセスできるので、意外と車中泊の途中でも使えるスペースとなっています。
シャトルで車中泊をする方法
次にシャトルで車中泊をする方法をご紹介していきます。
車内のフルフラットモード化
最初にシャトルの車内に寝台を作るため、フルフラットモード化を行います。
シャトルのフルフラットモードは後部座席とラゲッジスペースで作るのですが、操作は後部座席の収納だけです。
後部座席の収納は後部座席の上側にあるレバーを操作することで背もたれが前に倒れ、そのまま座面に重なる形で収納されます。
基本的にはこの操作だけでフルフラットモードは作れるので、シャトルでのシートアレンジ操作はとても簡単です。
後部座席さえ収納してしまえばそのままシートの背もたれの上面がラゲッジスペースとほぼ平らとなり、シートとラゲッジスペースの間もボードでしっかりと隙間を埋める構造になっています。
ただシートの構造上、後ほどご説明するように後部座席の前側がわずかに斜めになってしまうのですが、これ以上は収納できないので仕方ない点です。
座席の座り心地や快適性を犠牲にしないとシートの収納を優先できないので、商用車ではなく乗用車であるシャトルでは十分なスペックといえるでしょう。
車中泊アイテムを準備する
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次に車中泊を快適に過ごすためのアイテムを用意しますが、車中泊に必須のアイテムは2つあります。
まず1つ目は車中泊用マットで、これは車中泊時の布団の代わりとなるものです。フルフラットモードの床面は樹脂製で出来ているので感触は硬めであり、そこに直に寝るとあまり快適ではありません。
そこで快適さをあげるためにはクッション性のあるマットが必要ですが、車中泊の人気の高まりと共にさまざまな車中泊マットが市販されるようになっています。その中からシャトルの車内スペースにマッチするものを探すと良いでしょう。
その他に必要なものは遮光カーテンや遮光ボードで、これは車のウインドウを防ぐためのものです。
ウインドウがそのまま開いていると車の外から街灯の光や他の車のヘッドライトの光が入ってくるなど安眠を妨げてしまうので、フロントウインドウ、サイドウインドウ、リアウインドウともしっかりと遮光する必要があります。
遮光ボードや遮光カーテンも車中泊用の汎用品が多数販売されているので、その中から車内にマッチするものを探しましょう。
また遮光ボードなどは汎用品を自分で加工して窓にしっかりフィットするようにすると、遮光性能が高くてとても快適です。
車中泊の注意点
車中泊にはいろいろな準備が必要ですが、その他に注意点もあります。
車中泊を始めて行うときなどには防犯性などを考えて窓は締め切った状態で寝たいものですが、実際に窓を締め切って寝ていると朝起きた時に問題があります。
そういった状態で寝ていると起きたときに息苦しさを感じたり汗をかいていたりするのですが、これは車内の二酸化炭素濃度が上がったためです。
車内というのはかなり密閉度の高い空間であり、そこを窓を締め切って寝ていると呼吸で空気を消費して二酸化炭素が増えてしまうのです。
これを防ぐためには車内の換気をしっかりと行う必要があるのですが、一番簡単な方法は窓を空けて換気しながら寝ることです。
ですがその状態では虫が入ってきたり外の音がよく聞こえたりして快適性が下がるので、一番良いのは車のエアコンを外気循環モードで稼働させることです。
そうすることで車内を換気しながら温度管理もできるので便利ですが、その際にはバッテリーが上がるのを防ぐためにエンジンはアイドリングにしておく必要があります。
なおエンジンがアイドリング状態時に積雪などで排気管が詰まると排気ガスの逆流などの問題があり、そういった危険が考えられる場合には窓は少し空けておいたほうが安全でしょう。
シャトルの車中泊に向かない点
シャトルはかなり車中泊向けの車なのですが、次のような点は不向きであり多少ながらデメリットになっています。
多少寝台の前側が斜めになる
これは前述で多少触れましたが、シャトルのフルフラットモードでは前側が多少斜めになります。
シャトルのフルフラットモードでは後部座席の背もたれを前に折りたたむ形で収納するのですが、その際にシートの背もたれが座面に乗り上げる形になります。
その際座面はラゲッジスペースの面と完全にフラットにはなっておらず、前側が少し高くなって全体的に斜めになっています。
このフルフラットモードはもともとラゲッジスペースの拡大モードなので斜めでも大きな問題はないのですが、車中泊となると多少気になる点です。
斜めといってもその角度はほとんど水平であり気にならない人は大丈夫ですが、平らな寝台でないと寝られない方はなんとかしなければなりません。
ですが車中泊の際にはほぼかならず車中泊マットを敷き詰めるので、しっかり弾力のある車マットを使うのであればシャトルの斜めな部分はほとんど吸収することができます。
そのため車中泊マットを選定する時には厚みがあってクッション性の高いものをさがしましょう。
ハイブリッドに1,500Wコンセントがない
シャトルには燃費性能の高いハイブリッドモデルがあるのですが、ハイブリッドモデルでも1,500Wコンセントが使えません。
近年ハイブリッドカーが増えると共に既存車種にもハイブリッド仕様が設定されていますが、シャトルにもホンダ特有のハイブリッドモデルがあります。
ハイブリッドカーにはその強力なハイブリッドシステムと大容量バッテリーを活かしたACコンセントのアクセサリーがあることが多く、その容量も1,500Wまでと非常に強力なものが設定できます。
車中泊においても1,500Wコンセントが使えるとさまざまな家電製品を利用でき、キャンプでは味わえない調理器具や照明などを車中泊で利用できます。
しかしシャトルにはハイブリッドモデルであってもコンセントのアクセサリー設定がなく、車中泊時に家庭用電化製品をそのまま使うことができません。
従来の車にあるシガーソケットはあるのでカー用品であれば利用できますが、その能力の低さもあってあまりメインの使い方はできません。
通常の車中泊になるだけではありますが、車内が快適に使える車だけにすこし残念です。
シャトルの車中泊の口コミ・評判
シャトルの車中泊についての口コミはtwitterにもさまざまな評価が投稿されていますが、その中からいくつかご紹介していきます。
いまのところシャトルハイブリッドが生活車で車中泊最適だと思う。ほぼフラットだし、ハイブリッドだからエンジンとエアコンかけっぱなしで寝てもほどほどにエンジン回してエアコンつけてくれるし、寝ている間の燃費もいい
— 五色 (@Rskud) December 6, 2020
こちらの方はシャトルでの車中泊を何度か過ごしていらっしゃるようで、その快適さがよくおわかりです。
特にハイブリッドモデルはアイドリングのままでも燃費が良いようで、多少なりとも経済性もありそうですね。
昨日幕張パーキングでお試し車中泊してみたけど意外と寝れるなってなったw
シャトルすげええええ— koojii1 (@koojii1) November 1, 2020
こちらの方はなにかのきっかけで急にシャトルで車中泊を過ごすことになったようなのですが、その意外な快適さに驚いておられますね。
シャトルはコンパクトカーベースのステーションワゴンなので制限が多いのかと思いきや、実際に車内をフルフラットモードにしてみるとその広さにびっくりする車ですね。
総評
シャトルはホンダの中型車の中では少し地味な存在でフィットを大型化しただけのようなイメージがあるのですが、実際そのスペックや車内の広さを見てみるととても使い勝手の良い車ということがわかります。
その点は車中泊においても便利な点で、車内ではしっかり足を伸ばして寝られるサイズが確保できるのでとても車中泊に向いている車でしょう。
また車幅がコンパクトカー並なので普段使いでも扱いやすく、購入して様々なシーンで活躍する車となっています。