フォルクスワーゲン パサートヴァリアントは、同社の中型ステーションワゴンです。
今回はそんなパサートヴァリアントの故障に関してご説明します。
フォルクスワーゲン パサートヴァリアントの故障率
フォルクスワーゲンはドイツ最大の自動車メーカーで、世界的にも1位2位を争う販売台数を誇っています。
そんなフォルクスワーゲンの中核車種のひとつに中型セダンのパサートがあるのですが、そのパサートの派生モデルとしてステーションワゴン化した車種です。
パサートは中型4ドアセダンですが、パサートヴァリアントでワゴン化すると共に全長も延長し、荷室容量が拡大されて使い勝手の良い車になっています。
パサートは1990年代から日本に輸入されており、それと同時にパサートヴァリアントも輸入されています。
現行車は2015年に登場したモデルで、近年のフォルクスワーゲンのデザインコンセプトを反映したシャープな車になっています。
そんなパサートヴァリアントの故障に関しては次のような点から見ていきます。
フォルクスワーゲンの自動車耐久品質調査
自動車の故障率は各メーカーが独自に市場調査などからデータを収集しているのですが、そのデータはフォルクスワーゲンに限らず機密データとなっていて公開されていません。
そのため故障に関するデータを見るにはメーカーとは別の民間調査会社のデータを見る必要があり、その一つに米国J.D.パワー社の「自動車耐久品質調査」があります。
この調査は各国市場の新車を購入したユーザーから、3年〜5年経過時の不具合件数を聞き取り調査し、それをメーカーごとのランキングとしたものです。
この調査では車種ごとの不具合件数はわかkりませんが、メーカーごとの比較として一定の信頼性のあるものです。
日本市場での最新の結果は次のとおりとなっています。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
13 | MINI | 111 |
14 | フォルクスワーゲン | 127 |
15 | ボルボ | 128 |
この調査では国内のメーカーの全てと主要な輸入車メーカーがランキングになっているのですが、全15メーカーの中でフォルクスワーゲンはワースト2位の14位となっています。
メルセデス・ベンツやBMWなど他のドイツメーカーはそこそこ良好な結果なのですが、フォルクスワーゲンは比較してもスコアが一気に増加しており、そのことから故障件数が多いことがわかります。
また国産メーカーと比較するとそのスコアには大きな開きがあり、トップのレクサスやトヨタに比べて倍以上の差が生まれています。
このことからもフォルクスワーゲンの故障率は国産メーカーに比べると高いことがわかり、維持費が増加傾向にあります。
フォルクスワーゲン パサートの信頼性評価
J.D.パワー社では米国市場の主要車種に限って信頼性評価の結果を公表しており、パサートヴァリアントはないのですがほぼ同じ車であるパサートの結果は公表されています。
そこでこの結果を参考にして、同じ北米市場での日本車との結果を見てみましょう。
参考 2019 Volkswagen Passat Best CarsUS News & World Report上記が最新のパサートの信頼性評価の結果ですが、平均点が星3点、最高評価が星5点となっているのに対し、パサートは星3点と平均的という評価になっています。
この評価はエンジンや車両、様々なコンポーネントに対するものですが、パサートとパサートヴァリアントはほぼ共通化していますので、この評価をパサートヴァリアントにも適用できるでしょう。
一方で同クラスの日本車は星4点前後の評価となっており、信頼性評価でもパサートヴァリアントより多少上をいっています。
加えてパサートヴァリアントの評価は数年前までは星2点〜星2.5点で推移していたことを考えると、ようやく平均点まで信頼性が向上してきたといえるでしょう。
中古のパサートヴァリアントの故障しやすさ
パサートヴァリアントは以前から日本に導入されていることもあって、中古車市場でもかなりの台数が見られます。年式はそれぞれ大きな差がありますので世代は確認する必要があります。
中古車の状態を表すもっとも一般的な指標は年式と走行距離であり、一般的な国産車では年式10年以上、もしくは走行距離100,000km以上が寿命といわれています。
ですがパサートヴァリアントの場合はその半分ぐらいの時期から故障は増加傾向にあり、国産車以上に新しい車を選必要があります。
現行のパサートヴァリアントであれば走行距離はともかく年式がまだ新しい車が多く、故障は比較的少なめです。
ですがそれより以前のモデルであると故障は増加傾向にあり、数代前のモデルではもっと大変なことになるでしょう。
パサートヴァリアント オーナーの評判
パサートヴァリアントの故障に関してはさまざまな情報がTwitterに投稿されており、その中からいくつかご紹介します。
パサートヴァリアントくん、大人な運転しないとカクカクするし前の車と比べたら燃費半減なのでとても安全運転できる。しかもすぐ故障する。ウケる。
— きさぬー (@sasamek1) March 17, 2019
こちらの方はパサートヴァリアントに乗り換えされた方のようですが、やはり故障に関しては多いようです。
また他にも燃費の悪さや運転性など色々な点で不満が多いようですね。
今日、B7パサートヴァリアントの点検だった。6年ノントラブルで7万キロ到達。DSGのジャダーも出ずに快適に使えてます。
— ガッちゃん (@gacchan1019) July 10, 2019
一方こちらの方のパサートヴァリアントは6年、走行距離70,000kmまで達したにもかかわらずノートラブルということで、車によってはこういったあたりの車もあります。
またDSGのジャダーはフォルクスワーゲンにとって定番のトラブルですが、この方のパサートヴァリアントには起こらなかったようですね。
パサートヴァリアントの塗装の浮き、ディーラーに持っていったらワランティ修理してもらえる事になりました。
— らいん (@lainnet) March 18, 2018
こちらの方のパサートヴァリアントはなんと塗装が浮くというトラブルで、ディーラーでの無償修理となったようです。
国産車ではあまり見られないのですが、フォルクスワーゲンでは日本の環境によってはこういったトラブルが起こるようです。
パサートヴァリアントの故障事例
パサートヴァリアントはいくつか故障事例がありますが、その中からいくつかご紹介しましょう。
DSGのトラブル
パサートヴァリアントに代表されるフォルクスワーゲン近年のフォルクスワーゲンには、DSG(Direct Shift Gearbox)というトランスミッションのトラブルがあります。
DSGはDCT(Dual-Clutch Transmission)の略で、オートマチックトランスミッションの一種となります。
従来のオートマチックトランスミッションと違う特徴として、マニュアルトランスミッションをベースとして自動変速化した点があり、その変速制御に2枚のクラッチを多用します。
2000年ごろから欧州市場でフォルクスワーゲンが採用したのがきっかけで、欧州メーカーに一気に広がりました。
日本に輸入されるフォルクスワーゲンにも採用されているのですが、このトランスミッションは日本や中国などのストップアンドゴーの多い道路状況ではクラッチの消耗がひどく、かなりトラブルの元となりました。
このトラブルはリコール騒動にも発展したのですが、その原因はクラッチが予想以上に消耗したことでの異常振動、異音、動力伝達の不良などです。
このトラブルは近年はさまざまな対策で減っては来たのですが、現在でもフォルクスワーゲンのDSG採用車では起こることがあり、その場合は大半は無償修理で直せます。
ですが保証期間外となった場合にはトランスミッション交換などの大掛かりな修理が必要で、数十万円クラスの修理費用がかかります。
フォルクスワーゲンの定番トラブルではありますが、一度起こると走行不良などのトラブルになるので重大な故障の一つです。
エンジンからのオイル漏れ
エンジンからのオイル漏れトラブルは輸入車では起こりやすいものですが、パサートヴァリアントでもこのトラブルは多いです。
エンジン内部には潤滑や冷却のためにエンジンオイルが循環しており、そのシールのためにエンジン各部にはガスケットやオイルシールがあります。
これらはゴムを潰すことによってシール性を確保しているのですが、そのゴムは経年劣化によって少しずつシール性が悪化するので、走行距離や年式が増えてくると少しずつオイルが漏れ出してきます。最初はオイルがにじむ程度なのですが、そのうちそれがひどくなって漏れに繋がります。
修理のためにはガスケットやオイルシールの交換が必要ですが、それぞれの部品代はそんなに高くないものの、交換にエンジンの大規模な分解が必要なので作業費用を合わせると100,000円前後の費用がかかります。
パワーウインドウの窓落ちトラブル
パワーウインドウは電動で窓ガラスを上げ下ろしできるシステムですが、その窓ガラスが動かなくなる通称「窓落ち」というトラブルがあります。
パワーウインドウはパワーウインドウレギュレータという部品で窓ガラスを上下しているのですが、その部品は電動モーターと金属や樹脂のアーム類で構成されています。
ですが部品が経年劣化していくと電動モーターの故障や樹脂部品の破損等が起こり、パワーウインドウレギュレータが正常に動かなくなります。そうなると窓ガラスが下がったままとなり、窓が開きっぱなしとなってしまうのです。
修理にはパワーウインドウレギュレータの交換が必要ですが、それにはドア周りの分解も必要となるため結構大掛かりな修理となります。修理費用は全部で200,000円前後となるため、なかなかの高額修理となるでしょう。
パサートヴァリアントは買っても大丈夫か?
パサートヴァリアントはフォルクスワーゲンの代表車種の1つで、パサートがもつ元来の完成度の高さに加えてステーションワゴンという使い勝手の非常に良い車に仕上がっています。
ですが故障に関しては国産車や他の輸入車に比べるとトラブルは多く、その分維持費がかかりやすい車ともいえるでしょう。
ただメルセデス・ベンツやBMWなどの高級輸入車に比べると車両価格は控えめですので、維持費の差額分と考えればトントンかもしれません。