中古車情報サイトやネットオークションなどで、たまに「走行距離不明」と書いてある中古車を見かけますが、いくら安くても買って大丈夫かどうかってわかりませんよね。
今回は走行距離不明な中古車についてご説明します。
走行距離の重要さ
走行距離は車のインストルメントパネル(計器盤)についているオドメーターに記録され、その車が完成した段階からの累積距離となっています。
走行距離はただ単に車の走った距離が分かるだけではなく、次のようなことにも使われるとても重要な数値です。
- 車の走行による劣化度合の推測
- 定期交換部品の交換時期を把握する
- オイル交換、タイヤ交換など消耗品の交換時期の目安
- エンジンのオーバーホール時期の推定
また車の任意保険の保険料は走行距離も勘案して設定されていますので、正確な走行距離が車には必要なのです。
中古車の「走行距離不明」の原因
中古車で「走行距離不明」となる原因はいくつかあるのですが、それが故意であるかどうかに関わらず不明となっている時点で車として問題を抱えています。
しかし実際に「走行距離不明」な車は市場にあり、次のような原因が考えられます。
原因①:オドメーターの故障で交換した際に不明となった
走行距離を表すオドメーターも車の部品ですので、当然故障する可能性はあります。一つ目の原因としては、オドメーターを交換した際に何らかの理由で走行距離が不明になったかです。
普通は修理業者で修理時に交換前までの走行距離を記録していて、オドメーター交換後に走行距離を戻すのが一般的な修理です。
しかし何らかのミスで記録を忘れてしまったか、交換後に距離を戻すのを忘れたか、などなど不注意によるなミスも考えられますが、一般的にはありえないミスです。
むしろ次に説明する人為的な操作の方が可能性が多いでしょう。
原因②:故意に走行距離を偽装している
車の走行距離は中古車の販売価格に大きく関係しており、一般的に走行距離が多い車は販売価格が低いのです。
そこで悪徳業者が走行距離を偽装するために「走行距離不明」としているケースがあるのです。
車の走行距離を変えるのは修理業者などでは簡単に行える作業で、前述した故障の場合もあるため走行距離を変更すること自体には違法性はありません。
しかし中古車価格を実際より上げるために走行距離を偽装して販売することは詐欺行ためにあたり、大きなトラブルに発展してしまいます。
そこで「正確な走行距離はわからない」ということにして販売すれば、購入者側の自己責任ということになり、詐欺行ためにならなくなります。
また「走行距離は不明だけど、おおよそ何kmぐらいだろう」などという記載がしてあることもあり、さも走行距離が少ないように説明してあったりします。
すべての走行距離不明車が不正というわけではありませんが、怪しい車が多いのも事実です。
原因③:メーター交換の痕跡が見つかった為、走行距離不明にせざるをえなかった
走行距離不明車の中には、中古車業者が不本意ながら不明としている場合があり、多くはメーター交換の痕跡があった、などの理由です。
中古車業者も日本全国から車を仕入れており、車の状態全てが事前にわかるわけではありません。
そのため、仕入れた後にチェックしたらメーターを交換した痕跡が見つかってしまい、しかたなく走行距離不明としているケースがあります。
この場合には中古車の説明文などにその旨が記載されていることが多いですが、私たち購入者はそれが本当なのか、それとも原因②のように不正をされているかどうか、判別は難しいでしょう。
中古車の走行距離不明車をおすすめしない理由
走行距離不明車は確かに値段は安く、同程度の車でも数十万円も価格差があることも珍しくありません。
しかし「日本車は丈夫だから少しぐらい走行距離が多くても大丈夫」と考えて安い走行不明車に手を出すと、後々多くのトラブルを抱え込むことになります。
走行不明車はいくら値段が安くても手を出すのは控えた方が良いでしょう。
前述で多少触れましたが、走行不明車を買ってしまうと次のようなトラブルに見舞われる可能性があります。
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車が突然故障する
走行距離が分からないことで最も大きく影響があるのは、車の部品の交換時期がわからなくなってしまうことです。
それにより予期せぬところで車の重要部品が故障してしまい、多額の修理費がかかってしまうことがあるのです。
車の重要部品のうち、次の表に挙げた部品は一定の走行距離ごとに交換が必要な部品です。
消耗品 | エンジンオイル | 10,000㎞ごとに交換 |
エンジンオイル フィルター | オイル交換2回ごとに交換 | |
ワイパーブレードゴム | 10,000㎞を目安に交換 | |
定期交換 部品 | タイヤ (スペア タイヤも含む) | 20,000㎞~30,000kmぐらい で交換時期 |
ブレーキフルード | 40,000㎞程度で交換時期 | |
バッテリー | 20,000㎞~30,000kmぐらい で交換時期 | |
Vベルト (パワー ステアリングベルト、 ファンベルト、 エアコンベルト) | 80,000㎞~100,000kmで交換 | |
タイミングベルト | 80,000㎞~100,000kmで交換 | |
ブレーキパッド | 20,000㎞~30,000kmぐらい で交換時期 | |
エアクリーナ エレメント | 40,000㎞程度で交換時期 |
これらの部品は、部品の設計段階で決められた走行距離まで保証できるように作られており、その距離を越えて使っているといつ壊れてもおかしくないのです。
走行距離不明車では交換時期がいつなのか正確にわからなくなってしまっていますので、あらかじめ部品を交換しておかない限りいつ壊れるか分かったものではありません。
中には「部品交換済み」などと記載された走行距離不明車もありますが、走行距離不明な時点で信用がおけないことに変わりはありません。
故障が原因で事故につながる
突然部品が故障するということは、それが原因の事故につながることもあるということです。
突然故障して危ないのは、主にタイヤとブレーキでしょう。
タイヤは使っていると摩耗するのですが、それが限界に達するとタイヤのパンクが起こります。もし高速道路を走行中にタイヤがパンクしてしまうと、車のコントロールを失い重大事故につながりかねません。
またブレーキなども劣化具合に気づかず使用していると、突然ブレーキの利きが悪くなり事故につながることもあります。
もちろん逐一タイヤやブレーキの状態を確認できていればよいでしょうが、交換時期は走行距離をもとに考えますのでやはり発見が遅れてしまうことがあるでしょう。
買い取り価格が0円
走行距離不明車は購入時に安い分、もしその車を手放すときの買い取り価格も大幅に下がります。
一般的に走行距離不明車を中古車店に持ち込むと、「走行距離が不明なため査定は0円」ということも珍しくありません。
車の乗り替えの時であれば、次の車の頭金代わりに数万円つけてくれることもありますが、基本的に走行距離不明車には車としての価値がほとんどないのです。
買い取った中古車業者にしても、その車を売って利益を上げるのは容易ではありません。
たとえ0円で買い取ったとしても、それを誰かに売るときにほとんど値段はつけられないでしょう。
安く買えたときには良かったと思っても、いざ売ろうと思ったときには予想外の展開がまっているでしょう。
車としての信頼性に欠ける
走行距離不明車は、それがたとえ正しい理由があるのだとしても、購入する側としてはその車に信頼がおけないのが普通でしょう。
どんなに信頼できる中古車業者であったとしても走行不明車では100%信頼できませんし、走行距離以外にも問題があるかもしれません。
車の信頼性の元の一つである走行距離が不明なのですから、ほかの部分でも信頼性を疑われても仕方ありません。
安さだけにつられてほかのトラブルの原因を抱え込むよりは、きちんと信頼性のある車を選ぶことをおすすめします。