ハイブリッド車は燃費が非常に良好な車種で、日本では特に普及が進んでいる車です。
日本の自動車メーカーはハイブリッド車のラインナップを拡充していますが、その中でホンダは独自のハイブリッドシステムを持つことで有名です。
今回はそんなホンダのハイブリッド車についてご説明していきます。
ホンダのハイブリッド車の特徴
ハイブリッド車はエンジンとモーターの2つの動力源を持つ車種で、エンジンの非効率な部分をモーターで補うことで燃費を大幅に向上させる技術です。
世界で初めて量産型のハイブリッド車を発売させたのはトヨタ自動車で、1997年にプリウスが登場したことで日本のみならず世界中にハイブリッド車が広がりました。
しかしプリウスの次にハイブリッド車を登場させたのは他ならぬホンダで、プリウスのライバル車でもある「ホンダ インサイト」が1999年には発売されています。
初代インサイトからホンダのハイブリッドシステムはトヨタとは別路線を進んでおり、現在に至るまで独自のシステム構成をとっています。
そんな初期のホンダのハイブリッドシステムを振り返りつつ、現行のシステムまでの進化を見ていきましょう。
ホンダの初期ハイブリッドシステム
ホンダの最初期のハイブリッド車であるインサイトに搭載されたハイブリッドシステムは「HONDA IMAシステム」と呼ばれており、トヨタが誇る「THS(トヨタハイブリッドシステム)」とは大きく構造が違います。
IMAの構造
IMAは正式名称を「Honda Integrated Motor Assist System」と呼び、パラレル式ハイブリッドシステムに分類されます。
トヨタのTHSの特徴は発電用モーターと走行用モーターの2つを持ち、エンジンとそれらモーターを遊星歯車装置で接続したシステムです。
このシステムにより発電、モーター走行、エンジン走行を柔軟に切り替えることができ、高い燃費性能を発揮することができます。
トヨタはこのシステムを20年に渡って改良を続けて採用し続けており、THS以外のシステムはほとんど採用例がありません。
ですがホンダのIMAは正式名称にもあるようにモーターでエンジンをアシストすることを目的としたシステムとなっています。
IMAでは走行の主体はエンジンであり、モーターはエンジンのトルクが不足する際に作動してエンジントルクの底上げを行います。これにより加速時などにエンジンの回転数を控えめにすることができ、燃費の改善に寄与します。
IMAはモーターが1基で済むため構造が簡単でコストメリットもあり、小型軽量にまとめることができます。IMAはTHSと違ってトランスミッションが必要にはなりますが、その点を活かしてマニュアル車と組み合わせることも可能となっています。
既存のパワートレインに対して改造して搭載することが容易であり、THSのように専用システムも不要となります。
またこのモーターはエンジンスタータを兼ねており、既存のスタータモーターの廃止とアイドリングストップシステムの追加による燃費改善にも効果があります。
IMAのデメリット
IMAの登場直後にはTHSに対してコストや燃費面でもメリットが多く競争力がありましたが、一方で車種の増加とともに改良が続けられていくとTHSとの違いやデメリットも表面化してきました。
THSはモーターだけでも走行できるのに対し、IMAはエンジンとモーターが直結となっているためモーター単独での走行ができません。
そのためTHSがモーター走行の可能な領域を広げることで燃費を改善できたことに対し、IMAは構造上それは不可能で、徐々に燃費の面でTHSのほうが有利な状況が増えていきました。
IMAの最後の世代では低速域のみの限定的なモーター走行が可能となりましたが、基本的な構造の差は変わらず問題でした。
またTHSではエンジンを停止させた状態で非常に静かに走行できたことに対し、IMAは常にエンジンが稼働していることから走行時の音が普通のガソリン車と変わりません。
トヨタのハイブリッド車はその静かさを1つの魅力としていましたが、ホンダにはその点が欠けていたことでもセールス面で不利となっています。
しかしシンプルかつ小型軽量というメリットは変わらずあり、ホンダの1モーター式ハイブリッドは現在も存在します。
ですがホンダはこれ以外にもハイブリッドシステムを開発しており、更に燃費を重視したシステムとなっています。
最新のホンダのハイブリッド技術
ホンダは現在3種類のことなるハイブリッドシステムを持っており、車種ごとに搭載するシステムを使い分けています。
そんな3種類のシステムの違いをご説明しましょう。
SPORTS HYBRID i-DCDシステム
i-DCDシステムは小型車向けのハイブリッドシステムで、IMAシステムの直接の後継機種といえます。
正式名称は「Honda SPORT HYBRID Intelligent Dual Clutch Drive」で、デュアルクラッチの部分このシステムの特徴です。
i-DCDシステムもIMAと同じく1基のモーターで構成されるシステムですが、その大きな違いはクラッチによってエンジンとモーターを切り離せることです。
これによってモーターのみでの走行が可能となり、IMAで課題であった完全なEV走行ができるようになりました。
この構造でi-DCDは高い燃費性能とEV走行での静粛性を獲得し、高い効率を持つシステムとなりました。
またもう一つの特徴として組み合わされるトランスミッションがDCT(Dual Clutch Transmisson)という自動変速機に変わったことで、従来のATやMTはなくなりました。
DCTはMTの変速を自動化した機構のトランスミッションであり、従来のATより燃費や動力伝達効率の面でメリットがあります。
欧州ではガソリン車によく使われますが、ストロングハイブリッドシステムと組み合わせる使い方はホンダ独自のものです。
IMAはトランスミッションにもモーター発電時に非効率な面がありましたが、それもDCTとすることで改善されています。
i-DCDはホンダの車種の中ではコンパクトカークラスに搭載されており、IMAの持つコストメリットも大いに活かされています。
SPORTS HYBRID i-MMDシステム
i-MMDシステムはホンダが初めて実用化した2モーター式のハイブリッドシステムで、トヨタのTHSと同じく発電用と走行用の2つのモータを持っています。正式名称は「SPORT HYBRID Intelligent Multi Mode Drive」となります。
i-MMDシステムはエンジンと動力軸の間に2種類のモーターを搭載しますが、THSと違って遊星歯車装置で接続されておらず、一般的な減速機構のみとなっています。
というのもi-MMDはモーターとエンジンの使い方が従来のハイブリッド車とは大きく違い、低速および中速域では車の走行はモーターのみで行われています。
その間動力軸にはモーターのみしか繋がっていないので、回転数制御もモーターが直接行える為トランスミッションが不要となります。
エンジンに関してはモーター走行時には主に発電用モーターに接続されており、エンジンの動力で発電してその電力を走行用モーターに送電しています。
ハイブリッド車の効率化の肝である回生ブレーキによる発電時にはエンジンは切り離されますが、それ以外で電力が不足する際にはエンジン発電となり、走行用モーターのみでの走行に必要な電力を生み出します。
そのためi-MMDシステムを搭載したハイブリッド車の走行感覚は電気自動車に近いものとなり、トルクフルな加速感はトヨタのハイブリッド車にはない魅力です。
ただしi-MMDでは高速走行域に関してはエンジンをメインに走行するようになっており、その切り替えはシステム内のクラッチの切り替えで行われます。
エンジンが走行に関与するシーンを高速域に限定したことで必要な減速機は高回転用のみとなり、やはりトランスミッションが不要となっています。
このことから複雑な変速システムをオミットすることでコンパクトでシンプルな構造となり、遊星歯車装置も不要なのでTHSよりもコスト面でも有利となりました。
i-MMDは燃費面でもTHSに匹敵する性能を持っており、ホンダの最新型インサイトを始めとする燃費を重視した車種に展開されています。
SPORTS HYBRID SH-AWDシステム
SH-AWDシステムはその名の通りAWD(全輪駆動)用のハイブリッドシステムですが、その構成は非常にホンダらしい独自のもので3つのモーターを組み合わせたシステムとなります。正式名称は「SPORTS HYBRID Super Handling All-Wheel-Drive」となります。
SH-AWD自体はガソリン車で最初に構成された技術で、その特徴はセンターデフを持たずに前後輪および後輪の左右の駆動力を自在にコントロールするシステムです。
ガソリン車ではその制御に電磁クラッチや油圧システムを使い、路面状況似合わせた駆動力配分や、左右の動輪のトルクを変化させることで回頭性を高めるなどの利点がありました。
この特徴をハイブリッドシステムにも取り入れたのがSPORTS HYBRID SH-AWDで、電磁クラッチの代わりに後輪には左右それぞれ独立した走行用モーターが設置されます。
またエンジンとトランスミッションの間にも走行用および発電用モーターがあり、これにより3つのモーターが組み合わさったシステムとなります。
エンジン側のモーターは前述したi-DCDシステムと同じものであり、現在はV6エンジンおよびDCTトランスミッションと組み合わされるシステムとなります。
SPORTS HYBRID SH-AWDはホンダの車種の中でも限られた車種にしか搭載されておらず、高い走行性能を必要とする車種に採用されます。
特にホンダ最高のスポーツカーであるNSXに採用されたことから非常に注目されたシステムです。
ホンダのプラグインハイブリッド
ホンダには通常のハイブリッド車に加えて近年プラグインハイブリッドカー(PHEV)が増えており、「クラリティPHEV」という車種で商品化されています。
PHEVは従来のハイブリッド車の進化系ともいえる車種で、その特徴はハイブリッド用駆動バッテリーを外部から充電できる点です。
従来のハイブリッド車ではバッテリーの充電は走行中にしか行なえませんが、それでもガソリン車に比べれば燃費は大きく改善します。
しかしPHEVはバッテリー自体をあらかじめ充電することでモーターでのEV走行をより積極的に行えるようになっており、その間エンジンは完全に停止するので従来のハイブリッド車よりも高い燃費性能を発揮することが可能となる車種です。
プラグインハイブリッドカーは一般的には50km前後の距離をEV走行だけで走ることが出来、日常生活であれば充電を繰り返すだけでエンジンを一切稼働させなくても走行ができます。
ですがクラリティPHEVは充電可能なバッテリー自体の容量が非常に大きく取られており、スペック上114.6kmまでEV走行が可能となっています。
ハイブリッドシステム自体は前述したi-MMDシステムがベースとなった「SPORT HYBRID i-MMD Plug-in」となっており、PHEV用に性能強化がなされています。
PHEVは次世代のハイブリッド車の中核となるシステムであり、ホンダも次世代に向けてさらなる環境技術を投入してきています。
ホンダのハイブリッド車の耐久性/故障のしやすさ
ホンダは日本メーカーらしく世界的にも信頼性の高いメーカーと言われていますが、ハイブリッド車に関しては大きなリコール問題を経験したことで有名となってしまいました。
問題が多発したのは前述したi-DCDシステムのハイブリッド車で、その代表車種であるフィットハイブリッドは7回ものリコールを起こしています。
その原因の最も大きなものはi-DCDから採用されたDCTにあり、リコールの大半はこのDCTの制御やクラッチ関係に集中しました。
実はDCTというトランスミッションは別のメーカーでも度々トラブルを起こしており、フォルクスワーゲンなどの海外メーカーが積極的に採用した結果、日本でリコールを多発させた過去があります。
DCTはMTのギア切り替えを2枚の電磁クラッチで自動制御するシステムですが、運転中に頻繁に変速するとクラッチに高い負荷がかかり、故障が頻発する傾向にあります。
欧州ではそこまで問題が多くなかったものの、日本の道路環境ではDCTにかかる負荷が想定以上となり、海外メーカーはリコールを多発したのです。そしてホンダも全く同じ道を辿ることになり、i-DCDのリコールに繋がりました。
i-DCDのハイブリッドシステム自体に関してのリコールは起こっておらず、エンジン関係でも数件起こりましたが大半はトランスミッションの問題によるものです。
実際i-DCDの前型システムであるIMAではDCTは採用されておらず、リコールが多発するような状況は起こっていません。
またi-DCD以外のi-MMDシステムではこのようなリコールは起こっておらず、i-DCDのハイブリッド+DCTという組み合わせがトラブルの原因だったわけです。
現在では度重なるリコールを繰り返してi-DCDも信頼性を上げてきていますが、構造的な弱点は残ったままであり他のシステムに比べれば信頼性は低いと言わざるを得ません。
ホンダは度々こういった新技術を投入後にリコールを多発する傾向にあり、i-DCDもその1つといえるでしょう。
ホンダのハイブリッド車の評価・評判
ホンダのハイブリッド車に対する評判は前述のリコール騒動の影響でネガティブなものが多く、以下のように購入を検討するユーザーさんも気にする点となっています。
アコード オデッセイ以外ホンダのハイブリッドシステムはあかんよなぁ
リコール連発で一代でおわりか
ヴェゼルもdcdじゃなければハイブリッドにしてた— たか (@takatakaa1206) October 1, 2018
i-DCDはホンダのハイブリッド車の中ではエントリーモデルに導入されており、メーカーの売れ筋車種に悪いイメージが付いていることは現在でも尾を引いています。
アコードやオデッセイなどの中型車はi-MMDを採用していることから不安はある程度払拭されているようですが、i-DCDについた悪評を無くすにはかなりの努力が必要になるでしょう。
2006年に新車で買ったHONDA CIVIC ハイブリッドが昨日めでたく走行距離数100000kmに達しました。その間主要部品一つとして故障はなくPERFECTパフォーマンスを示してくれました。さすがHONDAという気持ち世界に誇る品質の高さを実感しました。まだストーリーは続く
— 横山 勉 (@freedman619) September 20, 2016
なおIMAシステムを搭載したシビックハイブリッドに関しては故障もなく100,000km走行した方もおられ、同じ1モーターシステムでも信頼性に関しては大きな開きがあるようです。
ホンダのハイブリッド車の種類・ラインナップ
ホンダには現行ラインナップにも数多くのハイブリッド車があり、3つのハイブリッドシステムが車種によって組み合わされます。
コンパクトハイブリッドカー
コンパクトカーは各自動車メーカーの最も売れ筋のモデルであり、ホンダもフィットを始めとした主力車種にハイブリッド車を揃えています。
車名 | ハイブリッド システム | 駆動方式 | エンジン | カタログ 燃費 | 最高出力 | 最大トルク | 価格 |
シャトル | i-DCD | FF、4WD | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 26.0km/l~ 34.4km/l | 110ps(81kW)/ 6,000rpm | 13.7kgf・m(134N・m)/ 5,000rpm | 2,009,880円~ 2,631,960円 |
フィット | i-DCD | FF、4WD | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 28.0km/l~ 37.2km/l | 110ps(81kW)/ 6,000rpm | 13.7kgf・m(134N・m)/ 5,000rpm | 1,699,920円~ 2,367,360円 |
ホンダのハイブリッドコンパクトカーには小型軽量コンパクトのi-DCDシステムが搭載されており、燃費性能に関してもトップクラスの性能を持っています。
またトランスミッションが組み合わせられる特徴を活用して4WDも設定されており、雪国などでも便利に使えるハイブリッド車となっています。
ですがフィットハイブリッドは前述したリコールの影響がまだ影をひいており、イメージがあまり良くないのが泣き所です。
ミニバン系ハイブリッド車
ホンダもミニバンにはハイブリッド車を拡充しており、4車種にハイブリッドが設定されています。
車名 | ハイブリッド システム | 駆動方式 | エンジン | カタログ 燃費 | 最高出力 | 最大トルク | 価格 |
オデッセイ | i-MMD | FF | LFA型 1,993cc 直列 4気筒DOHC | 24.4km/l~ 26.0km/l | 145ps(107kW)/ 6,200rpm | 17.8kgf・m(175N・m)/ 4,000rpm | 3,750,000円~ 4,150,000円 |
ステップワゴン スパーダ | i-MMD | FF | LFA型 1,993cc 直列 4気筒DOHC | 25.0km/l | 145ps(107kW)/ 6,200rpm | 17.8kgf・m(175N・m)/ 4,000rpm | 3,136,320円~ 3,602,880円 |
フリード | i-DCD | FF、4WD | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 25.2km/l~ 27.2km/l | 110ps(81kW)/ 6,000rpm | 13.7kgf・m(134N・m)/ 5,000rpm | 2,256,000円~ 3,152,520円 |
ジェイド | i-DCD | FF | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 24.2km/l | 131ps(96kW)/ 6,600rpm | 15.8kgf・m(155N・m)/ 4,600rpm | 2,898,720円~ 3,088,800円 |
フリードとジェイドは比較的小型のミニバンで、これらの車種にはフィットハイブリッドと同じくi-DCDシステムが搭載されます。
エンジンも同等でミニバンといってもかなり燃費は良くなっています。またオデッセイとステップワゴンは中型のトールサイズミニバンで、比較的重量の重たい車種なので燃費は悪化傾向にあります。
ですがi-MMDの高い燃費改善性能により中型ミニバンとしてはトップクラスの燃費性能を持ち、ホンダの主力車種となっています。
セダンのハイブリッド車
セダンはそのメーカーの顔ともいえる主力車種で、ホンダも4車種をラインナップしています。
車名 | ハイブリッド システム | 駆動方式 | エンジン | カタログ 燃費 | 最高出力 | 最大トルク | 価格 |
レジェンド | SPORT HYBRID SH-AWD | 4WD | JNB型 3,471cc V型 6気筒DOHC | 16.4km/l | 314ps(231kW)/ 6,500rpm | 37.8kgf・m(371N・m)/ 4,700rpm | 7,074,000円 |
アコード | i-MMD | FF | LFA-H4型 1,993cc 直列 4気筒DOHC | 30.0km/l~ 31.6km/l | 145ps(107kW)/ 6,200rpm | 17.8kgf・m(175N・m)/ 4,000rpm | 3,850,000円~ 4,100,000円 |
インサイト | i-MMD | FF | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 31.4km/l~ 34.2km/l | 109ps(80kW)/ 6,000rpm | 13.7kgf・m(134N・m)/ 5,000rpm | 3,261,600円~ 3,628,800円 |
クラリティ PHEV | i-MMD Plug-in | FF | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 28.0km/l | 105ps(77kW)/ 5,500rpm | 13.7kgf・m(134N・m)/ 5,000rpm | 5,880,600円 |
このうちインサイトとクラリティPHEVはハイブリッド専用車であり、特にインサイトの燃費性能は国産車でもトップクラスのものとなります。
ハイブリッドシステムはi-MMDが採用されており、ワンランク上のセダンであるアコードもエンジン排気量を拡大して同様のシステムが搭載されています。
レジェンドはホンダの最高級セダンに位置しており、そのハイブリッドシステムはセダンでは唯一のSPORT HYBRID SH-AWDシステムです。
重量のある大型セダンなので燃費性能はそれなりとなっていますが、高い動力性能とAWDがこの車種の特徴となっています。
スポーツハイブリッド車
ハイブリッド車は燃費を重視した環境対応しゃというイメージが高いですが、ホンダにはハイブリッドシステムを搭載したスポーツカーが存在します。
それはホンダ伝統のスポーツカーNSXで、最新モデルが数年前にハイブリッドスポーツカーとして生まれ変わりました。
車名 | ハイブリッド システム | 駆動方式 | エンジン | カタログ 燃費 | 最高出力 | 最大トルク | 価格 |
NSX | SPORT HYBRID SH-AWD | 4WD | JNC型 3,492cc V型 6気筒DOHC ツインターボ | 12.4km/l | 507ps(373kW)/ 6,500-7,500rpm | 56.1kgf・m(550N・m)/ 2,000-6,000rpm | 23,700,000円 |
NSXは90年代にホンダが世界のスーパーカーと闘うために生み出したスポーツカーで、その実力は日本最高のスポーツカーという評価も少なくありません。
2000年代に入ってNSXはモデルが廃止されていましたが、2016年に新型のハイブリッドスポーツカーとして改めて登場しました。
ハイブリッドシステムはレジェンドと同じSPORT HYBRID SH-AWDですが、NSXはMRレイアウトという特別なエンジン配置をしていることからパワートレインの構造は大きく違っています。エンジンは車の中央に位置し、そこから前後の動輪へ繋がるシャフトにモーターが1基ずつ搭載されます。
その性能はスペックを見る通り出力、トルクともに非常に高く、また価格面でも国産車トップとなるなど、既存のハイブリッド車からは大きく外れた車といえるでしょう。
SUV系のハイブリッド車
SUVはここ何年も世界中でトレンドにある車種で、特に都会的なデザインを持つクロスオーバーSUVが人気です。
ホンダはSUVにもハイブリッド車をラインナップしており、コンパクトSUVのヴェゼルと中型SUVのCR-Vがあります。
車名 | ハイブリッド システム | 駆動方式 | エンジン | カタログ 燃費 | 最高出力 | 最大トルク | 価格 |
CR-V | i-MMD | FF、4WD | LFA型 1,993cc 直列 4気筒DOHC | 25.0km/l~ 25.8km/l | 145ps(107kW)/ 6,200rpm | 17.8kgf・m(175N・m)/ 4,000rpm | 3,784,320円~ 4,361,040円 |
ヴェゼル | i-DCD | FF、4WD | LEB型 1,496cc 直列 4気筒DOHC | 21.6km/l〜 27.0km/l | 132ps(97kW)/ 6,600rpm | 15.9kgf・m(156N・m)/ 4,600rpm | 2,460,000円~ 2,926,000円 |
この2車種はそれぞれ同クラスのセダンやコンパクトカーをベースとして開発されたSUVで、ハイブリッドシステムもそれぞれ別のものとなっています。
SUVは車重が重たいので燃費は悪化しがちな車種ですが、ホンダは乗用車ベースで開発することで良好な燃費を実現しています。
その分SUVの特徴である悪路走破性などは多少犠牲になっていますが、一般道がメインのクロスオーバーSUVでは大きな問題にはなりません。
ホンダのハイブリッド車の人気車種
ホンダのハイブリッド車は燃費性能が高い車種が多く人気は高いですが、その中でも人気車種をご紹介します。
フィット ハイブリッド
フィットハイブリッドは前述した通りリコールなどの問題があったために一時期販売台数は落ち込みました。
ですが問題が落ち着いた現在は売上を伸ばしており、価格がよく燃費も良いエントリーモデルということで一定の人気が維持されています。
フィットハイブリッドの37.2km/Lというカタログ燃費は他社のコンパクトハイブリッド車に匹敵する性能であり、トヨタ アクアや日産ノート e-powerなどには一歩及ばないもののホンダのハイブリッド車としてはコストパフォーマンスの高さが評価を受けています。
またトヨタ車にはハイブリッドシステムの関係から4WDがないことも多いのですが、フィットハイブリッドには4WD設定があり1つの魅力となっています。
DCT周りのトラブルに関してはある程度気をつける必要はありますが、毎年の定期点検や車検時などにメンテナンスすることである程度抑えることも出来ます。
ステップワゴン スパーダ
ホンダも中型ミニバンには力を入れており、売れ筋であるステップワゴンにはi-MMDを使ったストロングハイブリッドが人気を得ています。
ただステップワゴンの派生車種であるスパーダにしか何故かハイブリッドが設定されておらず、ベース車のステップワゴンには非搭載となっています。
ステップワゴン スパーダのハイブリッド車の魅力は、i-MMDの特徴でもあるモーター走行にあり、その高いトルクは一般道路での走行時に運転しやすいといったメリットをもたらします。また燃費性能も高くホンダのミニバンの中ではトップの売れ行きを見せています。
ただライバル車であるトヨタ ノア/ヴォクシー/エスクァイア ファミリーや、日産セレナにもハイブリッドが設定されていることから、全体の販売台数としては苦戦を強いられているのも事実です。
今後発売予定のホンダのハイブリッド車
ホンダは2019年にいくつかの主要車種がフルモデルチェンジの時期を迎えており、ハイブリッド車もその中に多く含まれています。
まず最も注目されるのはホンダの稼ぎ頭でもあるフィットで、2019年の後半にフルモデルチェンジされるのではといわれています。
現行のフィットハイブリッドはリコール問題で大きくイメージが傷ついたこともあり、全面刷新となる新型フィットハイブリッドがどういった形で登場するかは大きな注目点です。
また他にはアコードハイブリッドもフルモデルチェンジを控えており、根強い人気の続くホンダの主力セダンの進化は気になるところです。
アコードハイブリッド自体は既にアメリカ市場でフルモデルチェンジを行っており、よりシャープでスポーティな外観となっています。燃費も当然ながら向上しており、一刻も早い日本への導入が待たれます。
ホンダのハイブリッド車の理想的な運転方法・コツ
ホンダのハイブリッド車は基本的には普通のガソリン車や他社のハイブリッド車と運転方法で大きな違いがあるわけではありませんが、前述のDCTの問題があるためにi-DCD搭載車は少し気をつける点もあります。
i-DCDで問題となったDCTは、車の発進や加減速を頻繁に行うとクラッチの消耗や油温の増加などの問題が起こりやすくなり、結果的にトラブルのもととなります。
日本のようなストップアンドゴーの多い道路条件ではある程度仕方のないことではありますが、それでも不用意に加減速をしないような運転を心がければDCTの消耗は最小限に抑えられ、将来的にトラブルが発生する確率を下げることができるでしょう。
なおi-MMDではシステム的にこういった問題は起こりにくく、特別気をつけた運転方法を取らなくても良いでしょう。