フォルクスワーゲン ゴルフは世界的にもっともスタンダードな車の一つで、日本でも輸入車で人気のある車です。
今回はそんなゴルフの故障に関してご説明します。
フォルクスワーゲン ゴルフの故障率
フォルクスワーゲンはドイツを代表する大衆車メーカーであると共に、世界最大の自動車メーカーでもあり、そのフォルクスワーゲンの中でもっとも有名なのが「ゴルフ」です。
ゴルフは1974年に初めて登場したハッチバックタイプの車ですが、そのスタイルは何より実用性を重視したものとなっており、走行性能、燃費性能、快適性、価格など、大衆車に求められるものがバランス良く配置されていることが最大の特徴です。
その特徴は7代目となる現行のゴルフにも受け継がれており、全世界の車のスタンダードモデルとなっています。
日本にもゴルフは輸入車として古くから導入されており、国産車の多くと競合する中型ハッチバックでありながらその存在感は薄れていません。そんなゴルフの故障に関する点は次のようなところから判断することが出来ます。
フォルクスワーゲンの耐久品質調査結果
フォルクスワーゲンに限らずほとんどの自動車メーカーは故障率のデータを一般には公開しておらず、重要な機密データとなっています。そのため私達は正確な車の故障率というのは把握することが出来ません。
ですが他の方法として自動車メーカー以外の民間の調査会社が車の不具合件数の調査を行っており、一般公開されているデータを見ることで傾向を見ることが出来ます。
米国のJ.D.パワー社が調査している「自動車耐久品質調査」という調査があり、この調査では各国の自動車市場において新車発売から3年〜5年の間に起こった不具合を車のユーザーから聞き取り調査したものです。
この調査ではメーカーごとに不具合件数の少ない順でランキングで発表されており、最新の日本市場の結果が次のとおりとなっています。
ランキング | メーカー | 不具合指摘件数 |
1 | レクサス | 51 |
2 | トヨタ | 61 |
3 | ダイハツ | 73 |
4 | スバル | 77 |
5 | 日産 | 78 |
6 | ホンダ | 79 |
7 | 三菱 | 82 |
8 | スズキ | 82 |
9 | BMW | 92 |
10 | マツダ | 102 |
11 | メルセデス・ベンツ | 103 |
12 | アウディ | 104 |
13 | MINI | 111 |
14 | フォルクスワーゲン | 127 |
15 | ボルボ | 128 |
この調査では国産メーカーすべてと主要な輸入車メーカーでランキングとなっていますが、全15メーカー中でフォルクスワーゲンは14位となっており、国内市場でフォルクスワーゲンは比較的不具合件数の多いメーカーとなっています。
トップはレクサスとトヨタとなっていますが不具合件数はフォルクスワーゲンの半分以下となっており、国産メーカーとの差が大きく出ています。
この結果はフォルクスワーゲン ゴルフの不具合件数の結果ではありませんが、ゴルフは同社の一番の主要車種ですので国産車と比較すると故障は多くなるといえます。
フォルクスワーゲンのセールス満足度は高い
フォルクスワーゲンは国内市場での耐久品質調査での評価は低いのですが、一方で国内市場でのセールス満足度は高く、国内メーカーを含めたランキングでトップとなっています。
参考 日本自動車セールス満足度、量販部門でVWが2年連続トップレスポンス日本市場での輸入車はメルセデス・ベンツやBMWをよく見かけるのですがセールスでの満足度はフォルクスワーゲンが高く、故障件数が多いにもかかわらず販売は好調です。
ゴルフはフォルクスワーゲンの代表車種でありこの車が満足度の代表格です。スコアではトヨタなどの国内メーカーを大きく引き離してのトップなので、信頼度と満足度は比例するものではないようです。
中古のフォルクスワーゲン ゴルフの故障しやすさ
フォルクスワーゲン ゴルフは中古車市場にも多数の車が供給されており、また数十年前から日本には導入されているので、その種類や台数もかなりのものに登ります。
そのためゴルフの中古車は年式や走行距離、車の状態などもまちまちで、それによって故障のしやすさも違います。
ですが基本的には信頼性の基本性能は前述の耐久品質調査のようにあまり高いものではありませんので、国産車の中古車に対しては故障が多い状況にあります。
国産車の場合は年式10年もしくは走行距離100,000kmが1つの目安になっており、大きな故障が増えてくるボーダーラインとなっています。
それ以前で5年もしくは50,000km経過ぐらいから細かい故障が出てきますが、基本的には大きな故障は少なく乗り続けることができます。
ですがフォルクスワーゲン ゴルフなどの輸入車の場合はこのボーダーラインが少し低く、50,000km以降で故障は結構増えてきます。
エンジンや駆動部品などにも故障は多く、後ほどご説明するような点にトラブルが増加していきます。そのためゴルフは特に年式が新しく走行距離の少ない中古車を選ばなければなりません。
フォルクスワーゲン ゴルフオーナーの評判
フォルクスワーゲン ゴルフの故障に関してはTwitterにも多数報告が投稿されており、やはり故障が多いというツイートを多く見かけます。
そんな中からいくつか代表的なものをご紹介します。
朝から自家用車の故障が確定して心が沈殿しています。
VWゴルフのDSGトラブルで変速時のジャダーが出てしまいました。
これで2台続けて同じ症状で手放す事になりそうです。
あんな古い年式の車で修理代に25万も出したくありません!— ちん❺ (@tinkoshounen) April 18, 2019
こちらの方のゴルフは変速機であるDSGのトラブルが起こっていますが、これはゴルフの代表的な故障箇所となっており後ほど詳しくご説明します。
非常に重大で修理費用も高額なものとなりますので、この方は車を乗り換える方向に向かったそうです。
ゴルフってかVW自体が窓落ち故障多いのね
— とりい (@S_even_S) June 5, 2019
こちらの方のゴルフは窓ガラスが下がったまま上がってこない、通称窓落ちのトラブルが発生したそうです。
窓落ちは国産車でも古い車に起こるものではありますが、ゴルフでは比較的早い時期に起こることが多いトラブルです。
ありましたね〜 そのトラブル。懐かしい(笑)
次に乗ったのは中古のVWゴルフでしたが、故障不具合率はゴルフの方が高かったです。室内天井の布が剥がれて垂れ下がったり、大きなバネが左右座席下から転がってきたり。日本車の方がしっかり作られているなぁと実感しました(^^;— aresa(ドラグーン) (@aresa0709) March 25, 2019
こちらの方は過去にゴルフに乗っていらっしゃったようですが、さまざまな故障に遭遇されたそうで大変だったようです。
天井が剥がれたり、シートのバネが出てきたりと、国産車では考えられないトラブルも多く、車の維持は大変です。
フォルクスワーゲン ゴルフの故障事例
フォルクスワーゲン ゴルフの故障事例は非常に様々なものがありますが、その中で代表的なものをご紹介します。
DSGのトラブル
まずゴルフのもっとも大きな問題となっているトラブルがDSG(Direct-Shift Gearbox)というオートマチックトランスミッションのトラブルで、何度もリコール騒動が起こったこともあるものです。
DSGはDCT(Dual Clutch Transmission)の商品名でもあり、フォルクスワーゲンが世界に先駆けて量産化を進めた技術でもあります。
これは効率の良いマニュアルトランスミッションを自動変速が可能なように変更したもので、デュアルクラッチという名前の通り2枚のクラッチによる自動変速制御が最大の特徴になっています。
トルクコンバーター式のオートマチックトランスミッションよりも変速効率がよく、燃費や動力性能が有利なのがメリットです。
ですがこのトランスミッションは変速時にクラッチを多用することがあり、変速回数が多いとクラッチに負担がかかり「ジャダー」という異音や異常振動などが発生するようになります。
この症状はゴルフの主戦場である欧州市場よりもストップアンドゴーの多い日本市場や中国市場で非常に起こりやすく、これが原因でリコールを何度も起こしています。
そのたびに改良がされてよくはなっていますが、以前ゴルフのトラブルとしては多いものとなっています。
DSGのトラブルに対する対処の多くはトランスミッション自体の交換となってしまい、その修理費用は300,000円近くと非常に高額なものです。
そのためこのトラブルに当たった場合、前述のツイートにもあるように車の乗り換えを決める人も少なくありません。
窓落ちのトラブル
窓落ちのトラブルもゴルフを始めとするフォルクスワーゲン車に多いもので、パワーウインドウのトラブルによるものです。
パワーウインドウは窓ガラスを電動で上下させる装置のことですが、その動作にはパワーウインドウレギュレーターという部品で電動モーターの動力によって行われています。
しかしパワーウインドウレギュレーターが経年劣化していくと、主に樹脂部品で構成された部分の破損によってパワーウインドウレギュレーターが正常に上下できないようになります。
こうなると重たい窓ガラスは一度下がったまま上げることができなくなり、いわゆる窓落ちと呼ばれるトラブルとなるのです。
窓落ちの修理はパワーウインドウレギュレーターの交換が必要となりますが、修理費用は100,000円以上かかることから大変な修理です。
しかし修理しなければ窓ガラスは下がったままになり、防犯上の大きな問題となるので修理は必須です。
エアコン関連のトラブル
これは輸入車ではよく起こりやすいものですが、ゴルフでもエアコン関連のトラブルは多いです。
もっともよく起こる可能性が高いのはやはりエアコンコンプレッサーの故障で、エアコンの冷媒を圧縮する重要な役目を持っている部品です。
この部品は常にエンジンの動力を受けて高速回転しており、それが続くとベアリングの故障などによって異音や異常振動が起こります。
その結果エアコンコンプレッサーを交換しなければならず、費用は100,000円〜200,000円と高額なものです。
その他にもエアコン配管からの冷媒漏れやエアコンコンデンサーの破損等、エアコン関連のトラブルは多岐にわたり、それぞれ修理には高額費用が必要なものとなっています。
輸入車である以上大きなウィークポイントではありますので、ゴルフに長年乗るのであればエアコンの効きが悪くなったら修理が必要となります。
フォルクスワーゲン ゴルフは買っても大丈夫か?
フォルクスワーゲン ゴルフは前述のセールス満足度にもあるように、日本国内でも満足感の高い輸入車として定評があります。
大衆車としての性能が非常に優秀で、かつデザインもスポーティで魅力溢れる車なのは間違いありません。
ですがやはり故障という観点になるとゴルフには不利な部分も多く、フォルクスワーゲンというメーカー自体の信頼性が今ひとつということです。
そのためゴルフを故障を少なく乗るためにはなにより新しい車である必要があり、中古車よりは新車を断然おすすめします。